『海賊船が接近中! 総員警戒を!』
か、海賊!
2025年新春特別企画は、開始早々えらいことになりましたよ。
どうします、名探偵テディちゃムズ?
「むゥ、かいぞくゥッ!」
眉間にシワを刻んで、テディちゃムズは唸ります。
《アテナ》号は海軍学校所属の船ですから、機密ではないし、
船橋や船内の設備も特別なものではありません。
そんな船へ、海賊たちが乗り込んでくる理由といえば。
「がるるるるるるるぐるる!」(←訳:マイクマフトさん隠れて!)
テディちゃムズと同様に
事態を察した虎くんが慌てて忠告しましたが、
時すでに遅し。
騒々しい足音がどんどんこちらに迫ってくる!
と思う間もなく、
黒い影たちが船室に雪崩れ込んできて、
テディちゃムズと虎くんには目もくれず――
「ふぎゃっ!」
ぬぬっ!
黒い影たちは、マイクマフト氏の腕から外交行嚢を引き剥がし、
奪い取ってゆくではありませんか!
「返せっ! 戻せっ! わしの行嚢~!」
マイクマフトお兄ちゃんの抗議も虚しく、
影たちは疾風のごとく駆け去ってゆきます。
この間、わずか3.5秒。
「おにいィちゃんッ、しッかりィ!」
「ぐるる?」(←訳:大丈夫?)
「だっ、大丈夫だわい! それより、それより行嚢を……!」
「うんッ、わかッたァ!」
名探偵テディちゃムズ、
颯爽と影たちの後を追いかけ……るのではなく、
船橋への階段をモフモフ足で駆け上がりました。
まっしぐらに通信士さんの席へ向かい、
「しきゅうゥでんぽうをッ! ろんどんへッ!」
テディちゃムズが通信文を送り、
船員さんたちがアタフタしている隙に、
侵入者たちは《アテナ》号から退去してゆきます。
マイクマフト氏が後生大事に抱え守り、
謎の黒い影集団が強奪していった外交行嚢とは、
いったい……?
(次回へ、続く!)