テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

庭園美術館でお花見物。

2009-03-31 23:02:51 | ミュゼ
 東京都庭園美術館のサクラは……↑の画像でお分かりのように、
 3月30日の時点では、一分咲き、といったところでした。
 ちょっとがっかりでしたね、テディちゃ。

「おはなみィ、したかッたでスゥ……」

 美術館となっている旧朝香宮邸エントランス近くにも
 サクラが植えられてあるのですが、
 やはり満開には程遠くて、
 それでも何人ものお客さんがカメラを向けておりました。

 画像の、ランチを愉しむのにとても気持ちの良さそうな
 芝生の広場は、
 美術館エリアとは別の、庭園エリアにあります。
 庭園のみの入場料は、
 一般の御方は¥200、
 大学生さん¥160、
 65歳以上の御方と中・高校生さんは¥100 
 (都内在住・在学の中学生さんは無料)、
 小学生さん以下は無料、となっています。

 門には警備員さんが常駐しているので、
 庭園内は、の~んびりと、
 安心できる空気に満たされています。
 そうです、ここは、
 小さいお子さんを連れたお母さんたち、
 会社員さんやOLさんたちの、
 絶好のランチ(お昼寝?)スポット!

「あッ、ネーさ!
 かふェがァ、ありまスゥ!」

 カフェレストラン、ミュージアムショップも、
 庭園エリアで営業しており、
 美術館入館者以外の御方も利用できるんですよ。

 天気予報では、東京都内のサクラの見頃は
 今週末――4月4日か5日あたり?
 
 庭園美術館の芝生の上なら、
 無粋なブルーシートは要りません!
 どこか、都心で、騒がしくなくて、という
 お花の名所をお探しの御方に、おすすめですよ~♪

「おべんとォもッてェ、しゅつどうッ!」

 庭園美術館のおとなり、
 自然教育園にもサクラ!ありま~す!
 
「どちらもォ、おすすめェ♪」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《ポワレとフォルチュニィ》展/東京都庭園美術館

2009-03-31 12:40:21 | ミュゼ
 明日から4月! こんにちは、ネーさです。

「あしたはァ、えいぷりるふーるゥ!
 こんにちわッ、テディちゃでスゥ~♪」

 嘘よりも、『平均気温』を期待したい新年度ですね。
 昨日はとっても寒かったです……
 目黒の駅から震えつつ辿り着いたのは、はい、こちらの展覧会です!


 
           ―― ポワレとフォルチュニィ ――


 
 東京都庭園美術館にて、会期は2009年1月31日~3月31日、
 『20世紀モードを変えた男たち』と副題が添えられています。

 ポール・ポワレさん(1879~1944)の名は、
 ファッション好きさんにはよく知られているでしょうね、
 コルセットを必要としないドレスを
 いち早く制作したデザイナーとして
 ファッション史に刻まれているクリエイターさんです。
 
 一方の、マリアノ・フォルチュニィさん(1871~1949)は、
 あまり一般的な知名度は高くはありませんが、
 テキスタイルの世界に於いては神さまのような御方です。
 
 特に、フォルチュニィさんのドレスは、
 実物を拝見できる機会は数少ないのです。
 さあ、チケットを握りしめ、
 旧朝香宮邸内へ――

「わッ!
 くらいィでスゥ!」

 びっくりしました。
 作品保護のためでしょう、
 館内の照明はぎりぎりまで落とされています。
 窓はカーテンやシェードで覆われ、
 天然光は全く入ってきません。
 これほど内部が暗く保たれた旧朝香宮邸は初めてです。

 足元を注意しつつ、
 展示室に向かいます、と……

 おお、なんという布の美!

「きれいなァ、どれすゥでスッ!!」

 プレタポルテではなく、
 オートクチュールの美の極致、ですね。
 ポワレさんのドレスは、
 イメージとしては一時期のココ・シャネルさん、
 フォルチュニィさんのドレスは
 三宅一生さんのプリーツプリーツ・シリーズを
 より繊細に、より輝かしく練り上げたもの……

「しゃわわァ、ッてなッてるでスよゥ~」

 しゃわわ、ならぬ皺々、つまり特殊なプリーツ加工が
 フォルチュニィさんの作品の特徴です。
 その技法は公開されなかったため、
 現在の技術をもってしても再現は不可能とされています。

 ポワレさんのドレスも、見事!のひと言です!
 ディオールさんやジヴァンシーさん、シャネルさんの、
 最も脂がのった時代の最高のドレスと比較しても
 遜色ない美しさ!
 むしろこちらの方が美しい、好ましい、と
 評する御方もいるかもしれません。

 展示されていたドレスの点数は多くはありませんでしたが、
 アールデコ期の有名な挿絵画家さんが描いた
 ファッション画(複製)や、
 19世紀のドレスも参考展示されていたりと、
 印象深い展覧会でした。

 残念ながら、この企画展は
 本日3月31日で終了しますが、
 神戸ファッション美術館などで
 フォルチュニィさんやポワレさんの
 作品が展示されることもあるかと思います。
 その時はお見逃しなく!
 また、フォルチュニィさんのドレスを収蔵展示するミュゼが
 ヴェネツィアにあるらしいのですが、

「べねちあッ!? とおいィ~ッ!」

 ですので、はい、
 《ポワレとフォルチュニィ》展図録を、
 庭園美術館のミュージアムショップで、どうぞ~!
 一部¥1.600ですよ~♪
 (図録に掲載されている写真は、
  ちゃあんと照明が当てられて撮影されていますし、
  解説も充実しています)
 
「ふゥッ!
 これでェ、さくらがァさいてればァ、かんぺきィ!だッたのにィ!」

 次回も、庭園美術館探訪レポ、つづきます♪
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《ポワレとフォルチュニィ》展レポ(プレレポ?)

2009-03-30 22:43:06 | ミュゼ
「わォゥ~♪
 おしろッ! おしろォ、でスよゥ~♪」

 お城ではなくて、邸宅でしょ、テディちゃ。
 はい、お待たせの御報告タイムでございます、が、
 画像でとうにバレちゃったでしょうか?
 そうです、ここは――
 『東京都庭園美術館』です!
 明日3月31日まで開催されている

  《ポワレとフォルチュニィ》

 という企画展へ、
 テディちゃとネーさは行って参りましたのです。

「きれいなァ、おしろォ~でスゥ♪」

 お城、ではないんですってば。
 この御邸は、
 『旧朝香宮邸』の名称でも知られる
 アールデコ様式の建物なんです。
 数年前までは『白亜』であった外観は、
 調査の結果、
 本来は白ではなくクリーム色に近い色調だったと判明し、
 氷のような白から、
 温かなアイヴォリーに塗りかえられました。
 
「きゃッこいィのでェス!」

 展覧会の内容につきましては、
 明日あらためて御報告いたします。
 ただ、一言で感想を申し上げておきますと……

 アールデコ好きさんは、うっとり~♪

 ですね!

「まだァ、まにあうゥ、のでスよゥ!
 あーるでこォふぁんのかたがたはァ、
 だッしゅゥ~!!」

 そう、会期は残り一日!
 ダッシュして下さい!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

迷走?

2009-03-30 08:54:55 | その他
「ほんじつはァ、おでかけェなりィ♪
 きゃほほォ♪」

 はい、テディちゃ&ネーさ、
 今日はちょこっとお出かけしてまいります。
 どこへ?
 の御報告は、次回に記事にて~♪

「ではッ、しゅッぱつゥ!
 いッてきまァ~スゥ♪」

 テディちゃ、そっちじゃありませんっ、こっち~!

「むぽッ?」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

枝垂桜に御挨拶。

2009-03-29 22:46:02 | 花雑記
 ソメイヨシノはまだまだですが、
 テディちゃ、枝垂桜が咲いていましたよ~♪

「これはァ、ネーさ、はなやかァでスねッ♪」

 私たちは東京住まいですが、
 他にも有名な枝垂桜が各地にありますね。
 京都・円山公園の枝垂桜、
 そしてやはり京都の、
 京都府庁旧本館中庭にある枝垂桜も
 たいそう美しいのだそうです。
 桜の開花に合わせて、
 旧本館は一般公開される予定なので
 この春、京都旅行へお出かけする御方は
 府庁のHPなどで情報収集を!

「テディちゃもォ、きょうとへェ、ゆきたいよォ~!
 うえェ~んッ!」 (←激うそ泣き…)

 ネーさも京都へ行きたいわ~! 
 えぇ~ん!! (←激マジ泣きです…)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

 ― 人形の船が海をゆく ―

2009-03-29 12:51:43 | ブックス
(おや? どこからか、ミャー、ニャー、という鳴き声が……?)

「むむッ、ねこッ!
 でもォ……おかしィでスねェ?
 ねこなんてェ、どこにもいないィでスよねッ、ネーさ?」

 ここにはいなくてもね、テディちゃ、
 御本の中にはいるかもしれないわ。
 例えば、そう、この一冊の奥深くに、ひっそりと……


 
           ―― 猫を抱いて象と泳ぐ ――


 
 著者は小川洋子さん、’09年1月に発行されました。

(おやや? 今度は、チリ、チリリ、と鈴の音が……?)

「やぱりィ、ねこッ!
 ねこがァ、どこかにィいるみたいィ!」

 そのようですね。
 おそらく、その猫の名は、ポーン。
 そして、猫を抱いているのは或る少年。
 少年の名は……
 いえ、猫を抱くそのひとは、こう呼ばれています。
 リトル・アリョーヒン。

「ありょゥひんッ?」

 むかし、アレクサンドル・アリョーヒンさんという
 偉大なチェスプレイヤーがおりました
 (アリョーヒンはアレヒンとも表記されます)。
 その棋風ゆえ《盤上の詩人》と讃えられた御方です。

 アリョーヒンさんは、リトル・アリョーヒンの憧れです。
 愛猫家であったアリョーヒンさんと同じく、
 リトル・アリョーヒンもまた
 猫を抱いてチェスを指します。
 ただ、寡黙な彼は、
 盤の下から指すことを選びました。

「ふむゥ、ふしぎなァやりかたァでスねッ」

 最初の頃は、
 テーブル型のチェス盤の下で。
 それがやがて、
 人形の内側へ。

 歴史に名高い自動チェス指し人形“トルコ人”を模して作られた
 “リトル・アリョーヒン”。
 
 “リトル・アリョーヒン”は、船なのです。
 リトル・アリョーヒンにチェスを教えてくれた人物は言いました。
 チェスの海は広い、と。
 人形“リトル・アリョーヒン”の暗いキャビンに
 小さな身体を潜め、
 リトル・アリョーヒンは大海に漕ぎ出します。

 魔法のような自動人形“リトル・アリョーヒン”の誕生/完成でした。

「ほんとにィ、まほうゥ!」

 名誉のためではなく、
 金銭のためではなく、
 さらには勝つためでさえなく、
 すべての欲から解き放たれて小さなアリョーヒンは
 人形を操ります。

 海は深く、広大にして、流れは千変万化し、
 波は騒ぎ、凪ぎ、
 “リトル・アリョーヒン”の航路は果てしもなく。
 澪の間に、
 世にも美しい棋譜を漂わせて。

「おんがくがァ、きこえてきそゥな、ちぇすゥ、でスゥ♪」

 盤下の詩人の航跡を綴るのは、
 詩そのもののようなものがたりです。
 宝石にも比すべき
 リトル・アリョーヒンの《奇跡》の光、
 2009年ベストに数えられることになる御本でしょう!
 ポーンの鈴の音を聴きながら、
 まばゆいチェスの海へ、本好きさんは、ぜひ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

24のスヌーが??

2009-03-28 22:47:50 | その他
「ネーさ!
 じけんでスゥ!
 すぬーちゃんがァ、ぺぷしィにッ!」

 何のおまじないですか、テディちゃ?
 すぬーがぺぷし……あ! 分かりましたよ!
 画像の、これね!
 現在、500mlサイズの『ペプシNEX』に
 《SNOOPY全国おいしいものアクセサリー》が
 オマケとして付いてくるキャンペーン実施中!
 えーと、全部で24種類あって、
 ……は?
 何ですか、《生八つ橋スヌーピー》って?
 《金時イモスヌーピー》?
 《江戸前寿し》?《梅干し》??

「じつぶつをォ、みればァ、わかるゥのでス!
 ぷひひッ♪くすくすッ♪」

 生八つ橋ってなんのこと?
 と思った御方は、
 コンビニやスーパーでペプシNEXのオマケを御覧下さい!
 笑えます!

「テディちゃ、たこやきィがァ、おきにいりィでス!!」  
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルムの山に口笛が♪

2009-03-28 12:51:33 | ブックス
 3月最後の週末ですね、こんにちは、ネーさで……むっ?
 どこからか調子ハズレなハミングが??

「♪よーるよーるれッひッほォ♪
 れッひッほッほッれッひッほォ~♪
 こんにちわゥ! テディちゃでスゥ!」

 ……いまのは、はたして音楽に分類されるのでしょうか?
 いえ、ここで立ちすくんでいてはなりません。
 本日の一冊を御紹介しなくては!
 はい、こちらを、どうぞ~!


 
          ―― アルプスの少女ハイジの世界 ――


 
 著者は、ちばかおり さん、’08年11月に発行されました。
 『In die Welt von“Heidi”』と、独語題が付されています。

「♪くちぶえはッなぜェ~ッ♪」

 えへん。
 日本人なら、おそらく知らない者はない、
 名作アニメーション『アルプスの少女ハイジ』。
 お歌も、もちろん聞いたことはありますよね?
 
「ありまッスゥ~!」

 この御本を開いて、驚きました。
 オープニングテーマ曲『おしえて』の、
 作曲は渡辺岳夫さん、
 作詞は……岸田衿子さん!
 詩人の岸田さんが、この歌の詞を!
 ネーさ、この時点で感動です!

 いえ、感動はまだまだ続きます。
 アルムおんじの、山の家の設定図面!
 りんごの園に囲まれた『冬の家』全景!
 『グラウビュンデン州マイエンフェルトの図』には
 ラガーツからマイエンフェルト、
 デルフリ村の位置関係が詳しく描かれています!
 
「ちッちゃなァ、きしゃぽッぽがァ、かわゆいィ~!」

 現在は日本を代表する映画作家となった宮崎駿さんは、
 この作品で『場面設定・画面設定』を担当しておられました。
 この御本には、宮崎さんのペンによる
 設定図やスケッチも掲載されています。
 
 また、原作者ヨハンナ・シュピーリの略伝、
 日本人にはやや分かりにくい物語の背景にも
 心を打たれます……
 その昔、懐かしの山々を想うあまり病気になってしまうのは
 ハイジだけではありませんでした。
 スイスから外国へ出稼ぎにでた多くの人々が
 故郷恋しさに体調に異変を来たした、というのです。
 その症状は『スイス病』と呼ばれました。
 ハイジの世界はそれほどに、
 そこに生まれ育った者の魂をつかんで離さない、
 唯一無二の《ふるさと》だったのでしょう。

「そゥでス!
 おやまにィ、かえるのでスゥ!」

 第34話『なつかしの山へ』で、
 フランクフルトの町が小さく、遠くなってゆくシーンが
 ネーさは大好きです。
 都会は彼方へ去り、
 そして鉄路の先にはアルムの山が
 刻々と迫ってきます……あの山には、おじいさんがいる!

「かえッてきたのでス!」

 全52話のアニメーション作品が放送されたのは
 1974年のことでした。
 現在はDVD化されていますから、
 ハイジ未見の平成生まれの御方も、ぜひ!

「しろぱんッ、たべようゥッ!」

 この御本には白パンの秘密?も明かされています!
 なぜロッテンマイヤーさんは
 ハイジが貯めた白パンを捨てさせたのでしょう?
 ああ、そうだったのかと、またまた感心!

「ふむふむッ、なるほどォ!」

 では、心ゆくまで、ハイジの世界へ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『ぴょこん』で『ぴたん!』?

2009-03-27 22:48:16 | くま
 ぷふふっ♪
 『プラザ』さんで見つけた時には笑ってしまいました。
 画像は、4月開始のスケジュール帳のコーナーですが……
 中段に注目を!
 スケジュール帳の表紙カバーど真ん中には、
 リアル!
 と申しましょうか、
 まるまるっとしたクマちゃんの顔、
 いえ、頭部がどーんと!
 ぷぷっ!

「んもゥッ!
 なんでェ、わらうゥのでスかッ、ネーさッ!」

 なぜなら、テディちゃ、
 これってまるで、
 『ド根性ガエル』ならぬ……

 『ド根性テディくま』!!

 みたいじゃありませんかぁ~?
 ♪ぴょこん、ぴたん、ぺったんこぉ~♪
 ヒロシくんのTシャツじゃなくて、
 スケジュール帳の正面に、ですけどぉ~?

「むきゃうゥ!
 しつれいィでスゥ!
 おこッちゃうでスよゥ!
 ぷんぷんッ!」

 手ざわりフンワリ♪なド根性クマちゃん、
 黄色のヒヨコちゃん、いえ失礼、
 ド根性ヒヨコちゃんバージョンもありますよ~♪
 
「ひよこォなんてェッ!
 ぷんぷんぷーんッ!」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タイムマシンがなくても?

2009-03-27 12:42:59 | ブックス
 東京・多摩一帯のソメイヨシノはほぼ沈黙……
 都心は五分咲きって本当でしょうか? こんにちは、ネーさです。

「ぶるるッ!
 おさむゥございまスゥ、テディちゃでスゥ!」

 さて、ちょっとぐらい寒くても、雪が降っても、
 花が咲くものは、というと、
 そのココロは……思い出話!
 というわけで、本日はこちらの御本を、どうぞ~!


 
              ―― 思い出探偵 ――


 
 著者は鏑木蓮さん、’09年3月に発行されました。
 ミステリ、いえ、変型連作短編複合ミステリ、と申しましょうか。
 
「ふァ?? ネーさ、いみィふめいィ、なのでスよゥ!」

 なかなか凝った構成のミステリ、なのですよ、テディちゃ。
 
 『思い出探偵』を名乗るのは、
 つい先頃まで京都府警で刑事さんをしていた
 実相浩二郎(じっそう・こうじろう)さん。
 『思い出探偵』なんて、
 へんてこなネーミングだし、
 興信所の調査員とどこが違うの~?と
 実相さんに名刺を渡された多くの人が
 首を傾げるのですが……

 ええ、離婚や浮気の調査、
 尾行などはいたしません。
 実相さんとスタッフさんたちが手掛けるのは、
 たとえば、

 大事なペンダントを拾ってくれた御方に
 お礼を言いたいんです!
 でも、その人の名は分からない、
 住所も、人相もあまり分からない……
 それでも!
 せめて一言、ありがとうと言いたいんです!
 だって、このペンダントは、
 他の何ものにも替えられない、
 思い出が詰まったものなんですから!

「ふむむゥ、なるほどゥ~」

 或いは……

 43年前に知り合った女の人を探して欲しいんです!
 会ったのはジャズ喫茶の前で、
 ほんの半時間、話をしただけ。
 名前は、わかりません。
 たぶん東北の出身で、
 ……それに、そう、これ!
 これがテーブルに残っていました!
 
 依頼人さんが差し出したのは、
 一羽の折鶴でした。

「えッ??
 てがかりはァ、それだけェ??」

 折鶴と、
 依頼人さんの思い出を手掛かりに、
 実相さんたちは捜索を始めます。
 
 たった一度の短い出会いだったが、
 あの女性との会話が、
 私の人生を変えた――
 そう述懐する依頼人さんの心を汲むように。

 が、はたして――

「みつかるのかなッ?
 あえるゥのかなッ?」

 過去を対象とする捜査と、
 また、過去では納まり切らず、
 現実=現在にまで波及する
 それぞれの思い出が
 複雑に重なります。
 
 ユルそうでいながら
 ハードボイルドな、
 浪花節のようでいて
 理詰め&クール。
 《見えない心、思い出を捜す》
 探偵さんたちのミステリアワーが
 渋く光ります。

 ミステリ好きさん、
 歴史ものが好きな御方に、
 おすすめしたい変化球ミステリです!
 舞台が京都を中心に描かれているので、
 京都好きさんもぜひ!

「わわッ!
 あたらしィいらいにんさんがァ、きたでスゥ!
 たんていさんはァ、おおいそがしィ!」 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする