テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

♪ 2024 新春特別企画 《倫敦街角大疾走》 その5!

2024-01-03 22:08:10 | ♪2024!新春特別企画♪

 ロンドン市内の広場から、家々から、

 新年おめでとう!の声、グラスをぶつけ合う音が空へ上ってゆきます。

 ええ、2024新春特別企画もいよいよクライマックス!……なんでしょうか。

 

  ――はんにんッ、わかッちゃッたもん!――

 

 名探偵テディちゃムズの衝撃的な発言に

 ドラゴンくんと虎くんは、「えっ!」「がる?」(←訳:マジ?)と驚きました。

  

「はんにんはァ、ほらッ、あそこにィ~いるよゥ!」

 

 ぴしり!とテディちゃムズが指差す先にあるのは、

 オックマスフォードストリートの、一軒の商店。

 

 煌々と照明を灯す店の窓ガラスには、

 『高級 芳香用品各種 香りでリフレッシュ!』

 『理想の香りを貴方に!』

 などの文字が流麗にペイントされ、

 その横には、

 『イヤな匂いも当店の芳香剤でなかったことに!』

 と書かれた真新しい大判ポスター紙が貼ってあります。

  

 愕然と眺めるうちに虎くんとドラゴンくんは気付きました。

 賑やかとはいえど、大晦日~元旦の、夜中です。真夜中です。

 通りに面したお店はどこも扉を閉めて、ひっそりしているのに、

 なぜ、このお店だけ、オープンしているのか。

 それに……

 『イヤな匂い』って、スカンク ボムを連想させますね?

 スカンクボムの匂いには芳香剤で対抗しようぜ!といわんばかりの、

 事情を熟知しているようなポスターの文言も

 めちゃくちゃ怪しくありませんか。

 

「いやいやッ! なによりィ~あれだよゥ!」

  

 さらに再び、テディちゃムズが指差したのは。

 

 店内を行き来する、店長とおぼしき大きなテディクマの、

 背広の肩にくっついている

 黒と白の長めの毛。

 

「おおおう! あれはまさしく!」

「スカンク一族の毛だ!」

 

 んまあ、

 マイクマフト氏とユキノジョン・Hワトスン博士ったら、

 「あッ? おにィちゃん!」とテディちゃムズが止めるのもきかず、

 ロンドン警視庁のパトロール警官たちを指揮して

 高級芳香用品店に殴りこ、いえ、なだれ込んでゆきますよ。

 まいりましたぁ、すべて白状しますっ、ごめんなさぁい、

 なんて降参の声がするからには、

 テディちゃムズの推理はやっぱり当たっていたようですけれども。

  

「そもそもォ、はっそうがァ~ふるいィ!」

 

 名探偵テディちゃムズ、熱く語ります。

 イヤな匂いを芳香剤でごまかそうだなんて、前近代的思考だ!

 必要なのは、消臭剤でしょ!

 チカラにはチカラを、じゃなくて、

 重要なのはバランス!

 

 うんうん、そうそう、と仲間たちは頷いたのでした。

  

 「じゃあァ、そろそろォ~」

 「ぐるるるるがるるる!」(←訳:あらためてお祝いを!)

 

 ハッピー新年!

 よい一年になりますように!

 ドラゴンくんが音頭をとって、せーの!で唱和すれば、

 元気なお腹がぐーぐーと歌いますよ。

 年越しパーティーを迎春パーティーに模様替えして、

 さあ、御馳走をいただきましょう。

 

「みなさまァ、あけましておめでとうございまスゥ!」

 

 

       ~完~

 

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♪ 2024 新春特別企画 《倫敦街角大疾走》 その4!

2024-01-02 22:08:10 | ♪2024!新春特別企画♪

 新年だ!新年だぁ!

 トラファルガー広場で、ピカデリーサーカスで、宮殿の門前で、

 カウントダウンの歓声が広がってゆきます。

 その大騒ぎを横目に、虎くんはようやっと名探偵テディちゃムズを見つけて、

 干支ドラゴンくんが挙げたお手柄を知らせました。

 

 連れ去られたスカンクたちを発見!

 呪魔法がかけられた時限装置付きの袋から解放!

 さらに、ドラゴンくんと虎くんは同じような袋を

 あちこちの公園や広場、駅の待合室でも見つけましたので、

 チェルシー植物園そばの空き家に運んで、

 超高熱ビームを、シュワッチ!

 

「ぐッじょぶゥ、どらごんくんッ!」

 テディちゃムズも、はい、ガッツポーズでベタ褒めです。 

  

「それでェ、いまッ、すかんくさんたちィはァ~…?」

「今はね、猛然と食べてる!」

 

 疲れ切って腹ペコのスカンク一族は、

 高熱ビームが開けた穴から呪魔法袋を脱出し、

 大激怒!……と思いきや、目を輝かせました。

  

 そこは、空き家の中庭。

 中庭のちょうど真ん中に、

 良い枝ぶりで聳えている樹木は――

  

「ハシバミ、だったんだ!」

「はしばみィ??」

「またの名をヘーゼルナッツ!」

 

 ぷっくり、ふくふく。

 

 夏が長く、秋が遅れたためでしょうか、

 空き家のハシバミの木の枝には、

 何十何百ものハシバミの太った実が揺れています。

 しかも、スカンク一族のチビッ子が木の幹に触れただけで、

 ぽろんぽろろん、とハシバミの実が落ちてくるのです。

 

 これは、いただかずにはおられますまい……!

 

「食べたらお昼寝する、って言ってたよ」

「がっるるる~」(←訳:言ってたね~)

  

 ふう、と名探偵テディちゃムズは額の汗を拭います。

 スカンク ボムの脅威は、これで取り除かれた……!

 年越しのお祭り騒ぎが怪我クマだらけの凄惨なパニックになる可能性は

 ほぼゼロになったと考えていいでしょう。

 

 いやしかし、まだまだ安心はできません。

 悪企みをした犯人を捜し出さねば!

 

「ふふんッ!

 ぼくにはァもうゥ、はんにんッ、わかッちゃッたもんねッ!」

  

「なんだとぉ!」

 

 あら、ユキノジョン・H・ワトスン博士とマイクマフト氏が

 ちょうどやってきて、

 テディちゃムズの言葉に色めき立ちましたよ?

 

 

 

   ~その5!に続く(のよね?)~  

 

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♪ 2024 新春特別企画 《倫敦街角大疾走》 その3!

2024-01-01 22:08:20 | ♪2024!新春特別企画♪

 チクタク、チクタク――

 ビッグベンの時計の針が真夜中へ、新年へ向けて、

 刻々と進んでゆく大晦日。

 毎度お騒がせしております、

 名探偵テディちゃムズと仲間たちが今回取り組んでいるのは。

 

「どこだっ、スカンクは!」

「しィッ! しずかにィ!」

 

 名探偵テディちゃムズはユキノジョン・H・ワトスン博士を諭します。

  

 正体不明の者どもに連れ去られ、

 “恐怖のボム“として利用されようとしている

 スカンクたちを素早く救出し、

 年越しパーティーで浮かれるテディクマたちをパニックに陥らせないためには、

 スカンクを探せ!などと大声を出すのは良策とは申せません。

 

 先ずは、スカンク ボムを仕掛け易く、

 パニックを誘発するのにもうってつけな繁華街の、

 暗がりや物陰の点検から始めた方がよさそうですね。

 

「そ、そうか。なるほど」

 

 名探偵テディちゃムズは

 事情を知るロンドン警視庁の私服警備部隊に指示し、

 人目につかぬようにして要所をチェックしてゆきます。

 ゴミ箱、建物と建物の隙間、郵便ポスト……

 ううむ、どこも怪しさいっぱいですねえ。

 

 ん? おや? おやや?

 捜索部隊のメンツに、ひとり、足りない顔が?

  

「が~るぐっるるる~!」(←訳:お~い待ってよう~!)

 

 そう、虎くんです。

 むっちりどっしり体型のテディクマたちに比べ

 どちらかというと小柄な虎くん、街路の雑踏に阻まれて、

 いつしかテディちゃムズたちとはぐれてしまったのです。

 

「ぐるがるぐるるる……がるるぐるる……」(←訳:もう足が動かない……お腹も空いた……)

 

 しょんぼり座り込む虎くんでしたが、

 そこへ、或る声が!

  

「虎くん!久しぶり!」

「がるっ、ぐる!」(←訳:わわっ、君は!)

 

 あらまあ、新年の干支のドラゴンくんじゃありませんか。

 

「えへへ! 新年にはちょっと早いけど、先乗りしちゃった♪

 で、何してるの?」

  

 スカンク ボムの一件を、虎くんはドラゴンくんに打ち明けました。

 ドラゴンくん、目を真ん丸くして聞き入っておりましたが。

 

「あ~、う~ん、それね、たぶん、あっちにいるよ」

 

 は? あっち?

 

「うん。そこの空き家のね、中庭に。

 疲れてクタクタだ、って、スカンクさんたち、へばりこんでるんだよ」

  

 ドラゴンくんが言うことには。

 

「公園の植木の下に、大きな袋が置いてあってね、

 その袋が、もぞもぞって動くんだ! おかしい!って思うでしょ?」

 

 用心しながらドラゴンくんが近付くと、

 かすかに、出して、たすけて、と声がします。

 ドラゴンくんは袋を破こうとしましたが、

 驚いたことに、袋は時限装置で封が為され、

 布地には呪魔法がかけられていて、

 決して開けられないようになっているじゃありませんか。

 

「ひどい話だよ!

 あんなに狭い中に閉じ込めておいて、

 ご飯も飲み物もないなんて! 失礼で失敬だ!」

 

 怒ったドラゴンくん、ぽふふ、と鼻から小さく火を吹きました。

 

「でもさ、僕って一応、干支の守護者でしょ?」

 

 新年が、龍たちが新たなる年の象徴となる瞬間が、

 一秒また一秒と迫っています。

 その一秒ごとに、ドラゴンくんの身の内に

 干支のパワーが強く、熱く、高まってゆくのです。

 時限装置も呪魔法も、

 干支パワーの前では大して役には立ちません。

 ドラゴンくん、てへへ、と笑って、

 

「超高熱ビーム1発! で布地を溶かしてやったよ」

 

 

 

   ~その4に続く(はず)!~

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♪ 2024 新春特別企画 《倫敦街角大疾走》 その2!

2023-12-31 22:08:10 | ♪2024!新春特別企画♪

「すッ、すかんくゥぼむッ……!」

 

 兄マイクマフト氏の答えを聞くや、

 ベーカー街221Bの暖炉の炎は揺れ、

 名探偵テディちゃムズの背筋に戦慄が走りました。

 スカンク ボム……!

 愉快な年越しのパーティーとは正反対の、

 なんという不吉で不穏な響きでしょうか。

 スカンク、というからには、

 おそらく、そのぅ、つまり――

 

「くちゃいんだねッ?」

 

 あら、ハッキリ言いますね、テディちゃムズ?

  

「おう! 臭いのだ! 半端なく臭いぞ!」

 

 ちょっとちょっと、お兄ちゃんまで。

 

「おほん! 1週間前のことじゃ、

 オックマスフォード大学の嗅覚研究所の研究棟に侵入者があってな、

 研究協力のため滞在していたスカンクの一族を無理矢理に連れ出し、

 大型馬車に乗せて、いずこかへ走り去った。

 ロンドンに通じる街道で目撃したとの情報があるが、

 いまのところ、所在は不明だ。

 ……いや、不明だったというべきか」

 

「じゃあァ、もしかしてッ」

  

「もしかしなくてもっ、その通りじゃ!」

 

 ショックで動揺し、怯え、警戒しているスカンクたちを、

 大晦日だから、もうすぐ新年だからと、

 ホットワインで酔っぱらい、

 浮かれて大盛り上がりしているテディクマたちの中に

 ポーンと放り出せば。

 

 スカンクたちは平静ではいられないでしょう、

 何が何だか分からぬまま、

 とにかく身を守ろうとする訳で。

 

 一方、テディクマたちは、

 黒白のスカンクの姿を目にしただけで貧血を起こし、

 悲鳴を上げて逃げ惑う、かもしれません。

  

「そいつは、大ごとだ!」

 

 ちょうど今頃の、盛り上がりっぷり最高潮の

 ピカデリーサーカスやトラファルガー広場で

 そんなパニックが発生したなら。

 怪我をする者が出るのは必至、ですよね。

  

「いそげッ、いそげッ! こうどうゥ、あるのみィ!」

「交通整理とパトロール強化を!」

 

 ロンドン市内の地図を手に、

 名探偵テディちゃムズとユキノジョン・H・ワトスン博士、

 虎くんとマイクマフト氏は階段を走り下ります。

 連れ去られたスカンクの一族を、

 パニックの火種となるより先に見つけ出し、

 無事に保護しなくては。

 

「いちばん怪しいのはピカデリーサーカスじゃ!」

 

 マイクマフト氏の指示が飛び、

 よぅし!とテディちゃムズは気合を入れます。

 ピカデリーサーカスを目指すのなら、

 そう、南へ、GO!ですよ。

 

 

 

  ~その3に(たぶん)続く!~

 

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♪ 2024 新春特別企画 《倫敦街角大疾走》 その1!

2023-12-30 22:08:10 | ♪2024!新春特別企画♪

 ゴォ~ン、ゴォ~ンンン……

 鐘が鳴ります、鐘が鳴る、

 ロンドンの街々の上空を、

 2023年の暮れを告げる鐘の音が粛々と流れてゆきます。

 

 はい、今年もやってまいりましたよ、

 新春の特別企画が!

 では、霧に包まれたベーカー街221Bの様子を

 ちょっと拝見………おや?

  

「いそげやァいそげッ!」

「駆け足駆け足!」

「がるぅ!」

 

 どうしたことでしょう、

 いつもはグータラしている名探偵テディちゃムズと

 盟友のユキノジョン・H・ワトスン博士、

 友人の虎くんが、せっせせっせと食卓のお仕度をしております。

 真っ白なテーブルクロスの上に、

 程良く冷やしたワイン、

 香草を詰めて焼き上げた丸ごとのチキン、

 蜂蜜ドレッシングをたっぷり垂らした新鮮なサラダと、

 大きなカンパーニュパン、

 紅茶にケーキに……と御馳走が並んでいますが?

 

「さあッ、いまのうちィだよゥ!」

「うん! 邪魔モノが来ないうちに!」

「ぐるるるる……がるっ!」(←訳:いただきま……ああっ!)

 

 毎年の大晦日、

 美味しい食事の準備が整った時に限って、

 必ず起こるトラブルの数々。

 そんなこと今年は起こさせないぞ!と決意した

 名探偵テディちゃムズと友人たちは、

 何事も早めに早めに!をモットーに頑張ってみたのです。

 

 ああ、しかし。

 

 無情にも、呼び鈴が。

  

「だれかがァ、きちゃッたァ~…」

「うん? あの足音は……!」

「がっるる!」(←訳:やっぱり!)

 

「おにィちゃんッ!」

  

 ドドドっと階段を駆け上がってきたのは、

 こちらも毎度お馴染みの、マイクマフト氏!

 行き来するのは自宅・勤務先のお役所・ディオゲネスクラブの3か所のみ、という

 テディちゃムズ以上にグータラなマイクマフト氏、

 実は“政府そのもの”と囁かれる超優秀な敏腕官僚であり、

 王族方からも信頼されているデキるクマなのです。

 

 そのマイクマフト氏が、

 部屋に踏み込むなり叫んだのは。

 

「大変じゃ、テディちゃでス!

 ボ、ボムが、

 ボムが仕掛けられたぞっ……!」

 

 え? ボム?

 ボムって、あの、つまり、

 バクダン……ってことですか?

 

 うわぁ、いやああぁ、うそぉ!

 

「嘘ではないぞ! ボムじゃ!

 それもな、聞くだに怖ろしいボム、

 我ら強靭なクマ一族も震え上がるボムを仕掛けたと

 スコットランドヤードの宿直室に投げ文があった!

 出動だ、テディちゃでス!

 ただちにボムの脅威を取り除かねばならん、

 さもないと、新春のロンドンはどうなるか……

 ううっ、想像したくもないぞ!」

 

 身を震わせるマイクマフト氏に

 ユキノジョン・H・ワトスン博士が水を与えて落ち着かせたところへ、

 名探偵テディちゃムズは質問いたします。

 

 恐怖のボム――

 いったい、それはどんな?

 

「それは……スカンク ボムじゃ……!」

 

 全員、引っくり返りました。

 

 

 

   ~その2に(たぶん)続く!~

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