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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

古典への、愉快な入り口?

2018-07-31 22:12:53 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……ふゥ~、つーるろすゥ、しんこくゥなのでスゥ~…」
「がるる!ぐるるるる~…」(←訳:虎です!寂しいよね~…)

 こんにちは、ネーさです。
 ジロ・ディ・イタリアが終わり、
 ツール・ド・フランスも終わり、
 残るはブエルタ・ア・エスパーニャ!
 ブエルタが始まるまでには欧州の熱波も落ち着いていますように、
 と北半球の長期予報図を眺めて願いながら、
 はい、今日も読書タイムです。
 本日は、“文芸ノンフィクション”とも呼ぶべき
 こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  



        ―― 作家と楽しむ古典 ――



 著者は収録順に、島田雅彦さん、いとうせいこうさん、
 三浦しをんさん、松井今朝子さん、島本理生さん、
 2018年6月に発行されました。
 《作家と楽しむ古典》シリーズの第3弾です。

「きッかけはァ~」
「ぐるがる~!」(←訳:文学全集~!)

 ええ、そうなのよね、
 5人の作家さんは
 池澤夏樹さん個人編集《日本文学全集》に、

   島田雅彦さんは『好色一代男』

   いとうせいこうさんは『曽根崎心中』
  
   三浦しをんさんは『菅原伝授手習鑑』

   松井今朝子さんは『仮名手本忠臣蔵』

   島本理生さんは『春色梅児誉美』

 の訳者さんとして
 それぞれ参加なさったんですけど、
 全集刊行の後に設けられた
 《作家と楽しむ古典 連続講義》の壇上で、
 古典作品を現代語に訳すに際しての苦心、
 作品への思い入れ、共感などを、
 しみじみと語りました。

 その連続講義を書籍の形にしたのが、
 この御本、という次第なんです。

「とッてもォ~ぷふふッ♪」
「がるるぐるるるがるるっ♪」(←訳:笑える講義ですウフフっ♪)

 5人の作家さんの顔触れ、
 訳出した作品と、
 作品の筋立て・特徴を考え合わせると、
 ええ、分かる御方には分かっちゃうことでしょう。

   堅苦しい訳文なんて、まっぴら。
 
   楽しく、明るく、
   古典を面白がってやろうじゃないか!

 ――そんな心意気が
 御本のあちこちでバチバチッとハジケています。

「ほぼッ、おんがくろんッ?」
「ぐるるるがるーる?」(←訳:浄瑠璃はブルーズ?)

 いとうせいこうさん、いわく。

 浄瑠璃の感覚はブルーズ。
 ちょっと調弦が狂ってるくらいがイイんです。

 島田雅彦さん、いわく。

 西鶴はファッションの描写が細かい。
 服を着るということは、
 自分の看板を背負って歩いているというもの。
 だから、着道楽は偉いんです。

 三浦しをんさん、いわく。

 またこのチームで作品を作ろうぜ!
 前回の上演作ではやり残した感がすごくてさぁ。
 次はこんなのどう?
 そんな風にスタッフ同士ワイワイ言いながら、
 浄瑠璃の名作が作られていったんでしょうね。

「うむうむむゥ! わきゃりィまス!」
「がるぐるるるー!」(←訳:想像できるよー!)

 そうして、
 5人の作家さんの講義を読んでから、
 あらためて古典作品に接すると……

「いッしょにィ、ないたりィ~」
「ぐっるるがっるる!」(←訳:笑ったり怒ったり!)
「きょりかんッ、ちぢまりィましたでス!」

 あ~あ、どうしよう、
 夏休みの課題として
 古典を読まなくちゃいけないのよぅ、と
 お困りの学生さんに。
 5人の作家さんのファンの方々に。
 池澤夏樹さん個人編集日本文学全集を愛読する
 活字マニア諸氏さんにも
 おすすめの一冊です。

 “楽しい古典”の時間を、
 皆さまも、ぜひ♫
 
 

― 黄金の匠 ―

2018-07-30 22:35:27 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ゆうしょうゥ、おめでとうゥございまスゥ~♪」
「がるる!ぐるるるるがぅーるる!」(←訳:虎です!おめでとうウェールズ!)

 こんにちは、ネーさです。
 2018ツール・ド・フランス総合優勝者は、
 ゲラント・トーマスさん(英国ウェールズ出身、チームスカイ所属)!
 そして激坂も石畳も乗り越えてゴールした選手さん&スタッフさんに
 精一杯の拍手を贈り、
 早くもツールロスに嘆息しながら、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらのアートブックを、どうぞ~♪
 
  



        ―― グスタフ・クリムトの世界 ――



 解説と監修は海野弘(うんの・ひろし)さん、2018年7月に発行されました。
 拙ブログではたびたび御紹介しておりますね、
 パイインターナショナルさんから刊行されている
 海野弘さん監修の《読むビジュアル・ブック》シリーズの最新刊には
 『女たちの黄金迷宮』と副題が付されています。

「うきゅゥ! こんどはァ、くりむとォさんッ!」
「ぐるがるる~♪」(←訳:そう来たか~♪)

 いやー、見事です。
 何が見事かというと、金ピカです!
 御本のカバーが、キラキラの黄金なんです。
 いえ、馬鹿にしたり、フザケているのじゃありません。
 クリムトさんと黄金――
 これほど素晴らしくも幸福な結びつきが
 他にありましょうか。

「ないィでス!」
「がるぐる!」(←訳:ないない!)

 陶然としつつ御本を手に取って、
 あ、ちょっと重たいので、
 手首や肩に負担がかからないよう、
 お気を付けてくださいね、
 ええ、つまり、
 そろり、そろり、とページを捲ると……

 さらに嬉しい驚きが!

「ななッ、なんでスかァッ??」
「ぐるるるる?」(←訳:どうしたの?)

 初めて見る図版があるわ!!

 これも、こっちのも、
 今まで見たことがなかった作品よ!!

「ネーさッ、おちついてェ!」
「がるぐるるる!」(←訳:気を鎮めよう!)

 はーい、そうね、
 先ずはココロを落ち着けて、
 私ネーさが舞い上がっちゃった理由をお話ししましょう。

 グスタフ・クリムトさん(1862~1918)は
 若い頃から創作を始め、
 売れっ子さんでもありましたてので、
 “多作”と言える作家さんです。

 代表作『接吻』や、
 当時のウィーン社交界の著名夫人たちを描いた肖像画は、
 世界各地の美術館に所蔵され、
 広く公開されておりますが。

 なかには、公的な美術館に寄託されることもなく、
 ひっそりと個人所有になっている作品もあるんです。

 そして、第二次世界大戦の折り、
 ナチスドイツによって強奪された美術品については
 未だ全容が解明されていません。
 クリムトさんの作品数点も、おすらく行方不明のまま……。

「むむゥ~んッ! それはァ~」
「ぐるる~!」(←訳:悲しい~!)

 この御本では、
 本文198ページ、199ページ、201ページ、
 203~205ページ、208~209ページ、
 211ページに掲載されている“個人蔵”作品が、
 とてもレアな図版かと思われます。

 肖像作品ではなく、風景画――
 完成度の高さにもうっとりです♪

「あれッ? これはァ?」
「がるるるぐるるぅがるる?」(←訳:クリムトさんじゃないね?)

 御本の後半部分には、
 『クリミトをめぐる人々 ウィーン分離派とウィーン工房』
 と題して、
 世紀末ウィーンのアートシーンと人物相関図、
 エゴン・シーレさんやココシュカさんの作品も
 収録されていますよ。

 海野さんによる解説の文章を読めば、
 ややこしい人間模様も一目瞭然!

「てごたえェ、ずしりィ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:価値ある一冊!)

 来春には、上野の東京都美術館で
 クリムトさんの展覧会が開催される……と聞きました。
 展覧会の予習として、
 クリムトさんのファンの方々に
 激おすすめの画集です。
 皆さま、ぜひ、一読&一覧を♪
 

始まりの夏。

2018-07-29 22:15:40 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 きょうはァ、ごーるゥ!」
「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!パリへ凱旋~!)

 こんにちは、ネーさです。
 日本と同じく異常気象&猛暑に見舞われている欧州ですが、
 2018ツール・ド・フランスは今日29日(現地時間)が最終日!
 3週間の長期戦を闘った選手さんたちに幸あれ!と願いながら、
 さあ、読書タイムです♪
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!

  



        ―― 君の名前で僕を呼んで ――



 著者はアンドレ・アシマンさん、
 原著は2007年に、画像の日本語版は2018年4月に発行されました。
 英語原題は『CALL ME BY YOUR NAME』、
 2017年の米映画界で好評を博し、
 数々の映画賞を得た同名映画の原作がこの御本、なんですね。

「にほんでもォ、ひょうばんッでしたでス!」
「ぐるるるがる!」(←訳:DVDも好調!)

 そうね、映画館での公開は
 もう終了してしまったようですが、
 DVD、ブルーレイ等が発売されています。

 物語の舞台は、イタリア――

 ジロ・ディ・イタリア開催時は
 その美しい風土が世界中に発信され、
 私たちも溜め息したものですが、
 長靴の形をしたイタリアの、
 フランスに近い海岸地帯を想いうかべてみましょう。

「ちちゅうゥかいィ?」
「がるるる!」(←訳:リビエラ?)

 エリオくんは
 家族とともにリビエラの或る街に暮らしています。

 そして、17歳の夏、
 恋をしました。

「いきなりィ??」
「ぐるがる?」(←訳:一目惚れ?)

 一目惚れ、とは記されていないんです。
 
 初対面の印象は、

 ああ、父さんが招いたお客さんなんだな、
 なんだか付き合いにくそうなやつだ、
 いや、好きになるかもしれない、
 でも何日かしたら嫌いになるかもしれない、

 というものでした。

 けれど、程なく、
 エリオくんはその“付き合いにくそうな“客から
 目が離せなくなります。

「きになッてェ、しかたないィのでス!」
「がるるぐるるがるる!」(←訳:それは恋だよやはり!)

 そう、恋でした。

 たとえ、その人が同性――男性であろうと、
 やっぱり恋なのでした。

 ルックスがよく、華やかな雰囲気の、年上のひと。

 計算ずくの遊戯ではなく、
 制御できない恋――
 イタリアでは《雷(いかずち)の恋》などと呼ぶ
 “どうしようもない恋”の日を、
 エリオくんはどう生きるのか。

 けれど、実は。

 これは、

   “恋愛真っ只中の物語”

 というよりも、

   “恋愛の、後日のものがたり”
 
 と呼ぶ方が相応しい気がします。

「れんあいのォ、そのあとォ??」
「ぐるる?」(←訳:後日譚?)

 浮かれたような恋の日々とは対照的な、
 夏が過ぎ去った“後日”に、
 エリオくんの心はどう動くのか。
 どちらを向いているのか。

 本文294ページ目あたりからは
 文章がより引き締まってゆきます。
 より鋭く、より狂おしく、
 エリオくんは自分の思いと対峙することになります。

 僕の、生きる喜びとは?

「こたえはァ、むずかしくッてェ~…」
「がるぐるがるるるるるるる!」(←訳:でも一度見つけてしまえば!)
「とッてもォかんたんッ!」

 映画を御覧になった方々も、
 まだ映画を観てないんだ!という方々も、
 この美しい恋物語を、ぜひ♪

 
 

― さざめく睡蓮の世界へ ―

2018-07-28 22:10:49 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 とうげッ、こえたァかなッ??」
「がるる!ぐるっるー!」(←訳:虎です!怖かったー!)

 こんにちは、ネーさです。
 避難準備情報が出るほど大荒れに荒れましたが、
 いまは雨も小止みになったここ、東京・八王子……
 これから台風が上陸する東海以西にお住まいの方々は、
 水害風害の両方を警戒してくださいね。
 戸締りを確認して、
 ケータイやスマホの充電をして、
 ちょっと一息つく余裕ができたら、
 さあ、週末の今日は読書をサボって
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  



       ―― モネ それからの100年 ――



 神奈川県横浜市の横浜美術館にて、
 会期は2018年7月14日~9月24日(木曜休館、ただし8/16は開館)、
 『MONET'S LEGACY』と英語題名が付されています。

「すうゥ~いィ~れんッ!」
「ぐるるるるがるるぐる!」(←訳:モネさんといえば睡蓮!)

  

 オスカル=クロード・モネさん(1840~1926)。

 あらためて説明する必要はありませんね、
 《印象派の巨匠》、
 《睡蓮の画家》――

 かつては日本と海外を結ぶ港町であった横浜に、
 モネさんの作品がやって来ました♪

「さきほこるゥ~はなばなッ♪」
「がるるぐる!」(←訳:揺れる水面!)

  

 この展覧会では、
 初期から晩年までのモネさんの作品25点と、
 モネさんの影響が窺える後世代の26作家さんによる
 絵画・版画・写真・映像65点を展示されます。

 日本初公開となるモネさんの油彩作品
 『バラの小道の家』(1925)、
 モナコのナーマッド・コレクション所蔵の
 『睡蓮、水草の反映』(1914~1917頃)は
 必見ですよ♪

「あのねッ、それとねッ!」
「ぐっるるがる!」(←訳:こっちも必見!)

 ええ、関連企画と言えるのかは分かりませんが、こちらも!
 
  


     ―― 増田セバスチャン×クロード・モネ ――
    POINT-RHYTHM WORLD -モネの小宇宙― 2018


 神奈川県足柄郡箱根町のポーラ美術館にて、
 会期は2018年7月22日~12月2日(会期中無休)、
 2017年に銀座で開催され好評を得た
 増田セバスチャンさんのインスタレーション展が
 今年は箱根で!

  

「ここではァ、ひかりィ!」
「がるるるぐるるる!」(←訳:キラキラしまくり!)

 たゆたう光のうつろいを追いかけ続けた画家・モネさんと、
 それぞれの形でモネさんの背を追う現代の作家さんたち。
 アート好きな御方は、
 横浜へ、箱根へ、ぜひ♪
 


    では、ここで恒例のオマケ画像も!
   
   『森永製菓』さんと『午後の紅茶』のコラボ品、
   《午後の紅茶 ストレートティークッキー》は
   くったくたに疲れた日のおやつにおすすめです。
   「つかれたァときにはァ~」
   「ぐるるるるがるるる!」(←訳:甘いものがいちばん!)
   どうか明日は、
   疲労も癒える穏やかな一日になりますように……。
   
   

体当たりの、サメ知識!

2018-07-27 22:27:26 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もうすぐゥ、きまるゥのでスゥ!」
「がるる!ぐるるがるー!」(←訳:虎です!王者は誰だー!)

 こんにちは、ネーさです。
 2018ツール・ド・フランスも終盤に入り、
 この金曜&土曜で総合優勝者が確定します。
 大逆転はあるのか? それとも……?
 ピレネーで熱く闘う選手さんたちにエールを送りながら、
 はい、ここ日本では読書タイムです。
 本日は、こちらの動物ノンフィクション?を、どうぞ~♪

  



        ―― ほぼ命がけ サメ図鑑 ――



 著者は沼口麻子(ぬまぐち・あさこ)さん、2018年5月に発行されました。
 ええ、折しも夏休みですから、
 この御本の題名を見ただけで――

「じょーずゥ!」
「ぐるるるるがるるー!」(←訳:人喰い鮫が出たぞー!)

 そうね、映画『ジョーズ』の印象は強烈だわ。
 海辺での楽しい水遊びが、一転、
 巨大なホホジロザメが人間に襲い掛かる……!
 尖った歯の並ぶ顎が、グワワァッと……!

 っていうのは、うそ。

 ホホジロザメは、あんなに大きくなりません。
 これまで確認されている最大のホホジロザメは、
 メスの個体で全長6.4メートル、
 オスは大きくなっても4~5メートルと考えられていて、
 映画の設定には無理がある。

「ふああァ??」
「がるるる?」(←訳:そうなの?)

 サメの中間は、509種類が確認されていて、
 このうち、ヒトを襲う可能性があるのは
 1割程度にすぎない――

 と語るのは、著者・沼口さん。

 《シャークジャーナリスト》と自ら名乗る沼口さんは、
 サメ専門のジャーナリストさんで、
 TV番組の企画などで海に潜り、
 サメとお近づきになること数知れず。

 そんなサメの専門家さんですから、
 沼口さん、大声で叫びたくって堪らないんです。

 誤解よ!!
 サメは怖いと決めつけないでー!

「じゃあァ、さめくんのォ~」
「がるるぐる?」(←訳:本当の姿は?)

 御本の第1章は
 《サメのよろず相談室》なる“サメQ&A”で構成されています。

 『人喰い鮫ってどこにいるんですか?』
 『キャビアってサメの卵ですよね?』
 『大海原でどうやって、サメは獲物を見つけるんですか?』
 『サメを川で見たという人がいるんですけど』

 等々のサメ基礎知識は、
 けっこうな常識破りっぷり!

「うゥ~むゥ! さめッてェ~…!」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:まだまだ研究途上!)

 第2章《わたしの体当たりサメ図鑑》では
 小さなツラナガコビトザメから、
 ドでかいジンベエザメまで
 多彩なサメたちが登場し、
 第3章《わたしのサメ巡礼》では、
 “おいしいサメ肉選手権”開催?

「たッ、たべまスかッ、さめをォ?」
「がるるるるる……!」(←訳:美味しいんだ……!)

 海は人間のものではない。
 サメはヒトの敵ではない。
 もっともっと、共有してほしい、
 サメに対する知識や熱い気持ちを。

 沼口さんの思いの丈が引っ張る、
 《サメLOVE!》なノンフィクション作品は
 動物好きな方々におすすめです。

 生きものの謎を探るユニークなサメ図鑑を、
 皆さまも、ぜひ♪

 


― 《ダイヤル》で、舞台も廻る ―

2018-07-26 22:06:19 | ブックス
「こんにちわゥ、テディちゃでスゥ!
 たいふゥ、こなくていいィ~のでス!」
「がるる!ぐっるるるがるる!」(←訳:虎です!せっかくの花火が!)

 こんにちは、ネーさです。
 今週末は、都心や立川、ここ八王子で花火大会が開催予定で、
 たしかフジロックもこの土日に行われるはず、ですね?
 これはもう、心底本気で根性入れて
 台風を太平洋上にうっちゃらないと!

「きえええいィ!」
「ぐるるぅ!」

 どうか平穏な週末になりますように、との祈願もこめつつ、
 さあ、本日も読書タイムです。
 こちらを、どうぞ~♪

  



          ―― ダイヤルMを廻せ! ――



 著者はフレデリック・ノットさん、
 原著は生放送のTVドラマとして1952年に発表されたもので、
 画像の日本語訳版書籍は2018年5月に発行されました。
 英語原題は『Dial “M” for Murder』、
 映画好きな御方は、
 A・ヒッチコックさん監督作『ダイアルMを廻せ!』原作だわ!と
 ピンと来たことでしょう。

「とびきりィのォ~」
「がるるるる!」(←訳:ミステリ劇!)

 そもそも、著者・ノットさんが著したのは
 舞台劇『ダイヤルMを廻せ!』でした。

 ところが、ノツトさん入魂の作品は
 ロンドンの舞台プロデューサーたちから
 突き返されてしまったのです。

「ぷんぷんッ! みるめェ、なかッたのでス!」
「ぐるがっるる!」(←訳:節穴だったね!)

 破棄してしまおう、こんなもの――とまで
 思い詰めたノットさん、
 しかし、危ういところで踏みとどまって、
 作品をBBC放送に送付しました。

 すると、採用の通知が!!

「やッたァ~♪」
「がるるる!」(←訳:めでたし!)

 そうね、めでたい!と言いたくはありますけれど、
 その後がタイヘンだったのよ。

 ノットさんがリライトした脚本は好評で、
 さっそく映画のプロデューサーが権利を買い取り、
 一方で舞台のプロデューサーたちは
 あらためて舞台化に乗り出し、
 権利やら何やらのドタバタが多発した末、
 ようやっとハリウッドでの映画化が決定!
 ノットさんは敬愛するヒッチコックさんと二人三脚で
 自作をブラッシュアップしてゆく
 ……って、
 舞台裏のお話だけで長編ノンフィクションになりそうだわ。

 でも、
 この御本の“読みどころ”は
 そういったトリビアじゃないんです。

「ほわゥ??」
「ぐぅるがる?」(←訳:じゃあどこ?)

 どこが“読みどころ”なのかというのなら。

 まずは、御本冒頭の、

 『戯曲《ダイヤルMを廻せ!》考~序文に代えて』。

 三谷幸喜さんによる序文、
 いえ、プチミステリ演劇論です。

「わあァ~おッ!」
「がるるるぅ!」(←訳:ぜいたくぅ!)

 そして、本文は、お待ちかね、
 戯曲『ダイヤルMを廻せ!』が、
 舞台上演時の平面図とともに
 全編収録されています。

 9月のロンドン、金曜日の夕方6時過ぎ。
 マーゴ・ウェンディスさんは
 恋人のマックス・ハリディさんに打ち明けました。
 
 貴方から貰った手紙が盗まれて、
 そして、この脅迫状が。
 お金を寄越せと――

「うゥ~むむッ!」
「ぐるがるぐる!」(←訳:それ犯罪です!)

 マーゴさんには弱みがあります。
 マックスさんは、彼女の夫ではない――
 夫のトニー・ウェンディスさんはどうするでしょう?
 マックスさんの存在を知ったら……?

「さささッ、さすぺんすゥ!」
「がるるるぅ~!」(←訳:怖いようぅ~!)

 三谷さんの序文に加え、
 圭初幸恵さんの名訳が恐怖をかきたてる戯曲部分、
 町田暁雄さんによる巻末の解説もすばらしい一冊です。
 映画好きさんも
 ヒッチコックさんのファンの方々も、
 どうかぜひ、手に取ってみてくださいね。
 おすすめです♫


 

~ 真夏の、虫尽くし ~

2018-07-25 21:54:23 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 わおおッ♪ ゆうだちィ~!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!さらば熱波!)

 こんにちは、ネーさです。
 現在、とてもとても久しぶりに雨が降っている多摩地域……
 この雨で空気が冷えて、
 熱中症で搬送される方々が減ることを祈っています。
 それでも念のため、
 水分・塩分の補給を怠らないようにしながら、
 さあ、本日は読書をサボって、
 こちらの展覧会情報でニヤリ♪としてくださいね~!

  



           ―― 特別展 昆虫 ――



 東京・上野の国立科学博物館にて、
 会期は2018年7月13日~10月8日
 (休館日は、7/17、9/3、9/10、9/18、9/25)、
 『昆活しようぜ!』と副題が……副題よね、これ……
 えーと、たぶん副題……が付されています。

「うわァッ! みてみてェ~!」
「ぐっるるる~!」(←訳:すっごいよ~!)

  

 『昆活』云々はちょいと措いとくとして、
 チラシ(フライヤー)の内容に
 私ネーさ、仰天いたしましたよ。

 何なの、このピカピカっぷりは?
 これが、昆虫~?!?

「ぷらちなこがねェ、でス!」
「がるるるぐるるるがるるる!」(←訳:青いのはホウセキゾウムシ!)

  

 ↑このヤンバルテナガコガネには、
 おお?
 “世界に1点だけ”のキャプションが?

 ホロタイプ標本?
 管理担当者さんが公開をためらったほどの貴重品?
 それに、
 琥珀に閉じ込められた『絶滅目の昆虫』?

「まるでェ、じゅらしッくゥぱーくゥ!」
「ぐるるがるるるぅ!」(←訳:映画を超えてるぅ!)

  

 おそらくは新種――
 現時点では、未記載種、となっている
 セイボウの展示にも大注目の展覧会は、

 《昆虫を知る――膨大な昆虫標本》
 《昆虫を学ぶ――体のつくり・生態・能力》
 《昆虫を採る――最新の研究と“新種”採集》

 と、3つのパートに分けて
 展示構成されています。

 サポート役は、もちろん、この御方!

  

 昆虫マイスターの、香川照之さん!

「こんちゅうゥはかせェ~!」
「がるるる~!」(←訳:虫マニア~!)

 昆虫を愛するチビっ子たちの憧れ、といえば、
 NHKのEテレ『香川照之の昆虫すごいぜ!』の
 カマキリ先生が有名になっちゃった香川さん、ですね。

 今回の展覧会では、
 音声ガイドも担当しておられるそうですから、
 マイスターさんの博識と情熱を
 貴方のお耳で、ぜひ!

「なつやすみィはァ~」
「ぐるるるる!」(←訳:虫尽くしで!)




    では、ここでオマケ画像も、はいっ!
   
    『ロッテ』さんの
    《爽 ピーチ》は……
    うわ、いけない、パクッと頬張ったら、
    こめかみがキーン!と……
    「つめたいィものォ、たべるときはァ~」
    「がるるる!」(←訳:慌てずに!)
    そうね、すこーし待ってから……
    パクっ!(←再びキーン!)
    いたたたたっ!


北の島にて。

2018-07-24 22:27:51 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 むむゥ! うりきれェちゃッたでス!」
「がるる!ぐるるがるるぐる?」(←訳:虎です!これも暑さのせい?)

 こんにちは、ネーさです。
 熱中症予防には塩飴が効く!と聞いて、
 スーパーマーケットで探してみましたら、
 あらららまあ! 完売ですって?
 仕方ないわね~と飴の代わりに干し梅をパクつきながら、
 さあ、読書タイムですよ♫
 本日は、涼し~い国のミステリ作品を、どうぞ~!
 
  



            ―― 空の幻像 ――



 著者はアン・リーヴスさん、
 原著は2014年に、日本語版は2018年5月に発行されました。
 英語原題は『THIN AIR』、
 舞台はグレートブリテン島の北東に位置するシェトランド諸島――
 真夏でも最高気温が30℃を超えることはなさそうな土地柄ですね。
 政治的には、スコットランド議会の
 シェトランド選挙区なんですって。 

「なつもォ、くうきィ~ひんやりィ~♪」
「ぐるるがるる?」(←訳:肌寒いくらい?)

 朝晩はちょっと肌寒いとしても、
 風光明媚なシェトランドは
 観光客さんに人気があるようです。

 ブリテン島の各地から、
 ロンドンからも、
 大勢がシェトランドにやって来ては、
 バカンスを満喫したり、
 結婚式を挙げたり。

「あはァ! きょうもォにぎやかァでスゥ!」
「がーるぅーぐっるる!」(←訳:パーティーやってる!)

 シェトランド諸島の最北端、
 アンスト島。

 バンドの演奏も賑やかに、
 結婚式後のパーティーでは
 招待客さんも、
 その島出身の花婿さんも、
 幸せそうに踊り、食べ、
 高緯度地方ならではの長い夏の宵を
 愉しんでおりましたが。

 その翌朝のこと。

「あさねぼうゥ、でスかッ?」
「ぐるるる?」(←訳:二日酔い?)

 ひとり、足りない。

 結婚式に出席した女性のひとりが、
 滞在先の休暇用コテージから
 消えてしまった……?

「さがしてもォ、みつからないィ?」
「がるるるぐるるる?」(←訳:何処にもいないね?)

 通報に応え、現場へ向かったのは、
 シェトランド署のジミー・ペレス警部。

 ペレス警部さん、ひそかに期待します。

 現場に着いてみたら、
 行方不明になった女性は戻ってきていて、
 大げさにしすぎよ!と、
 警察に通報した夫を叱っているんじゃないか。

 けれど――

「やぱりィ、かえッていないィのでス!」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:ホントに行方不明!)

 ペレス警部は本腰を入れ、
 捜査に取り掛かります。

 消えた女性は、どこにいるのか。

 この捜査の描写が、
 島と島の間をつなぐフェリーを使い、
 地道に効き込みをし、
 というクラシカルな方法がメインで、
 デジタル機器を駆使する近年の日本のミステリや
 何かにつけ銃撃戦が始まる米国の警察小説とは違うのが
 いっそ新鮮に感じられます。

 そうして、拾い上げた情報を
 警部さんが頭の中でつなげたとき。

「かいけつへッ!」
「がるる!」(←訳:一直線!)

 ペレス警部を探偵役とするシリーズは
 他にも刊行されていますので、
 ミステリ好きさんにはおすすめですよ。
 
 北極圏は、もうすぐそこ――
 涼やかなシェトランド諸島の鮮やかなミステリを、
 皆さま、ぜひ♪
 
 
  

ワンコ派には、こちら!

2018-07-23 22:28:59 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 かきごおりィ~やまもりィでッ!」
「がるる!ぐぅるーるがるるる!」(←訳:虎です!ジェラート大盛りで!)

 こんにちは、ネーさです。
 朝昼夕食すべてアイスクリームでいいわ~…と
 本気で思ってしまう大暑の一日でしたが、
 日も暮れたところでクールダウンしたら読書タイムですよ♫
 本日は、こちらの御本を、どうぞ~!
 
  



           ―― 元禄お犬姫 ――



 著者は諸田玲子(もろた・れいこ)さん、2018年5月に発行されました。
 前回記事で御紹介しました松尾由美さん著
 『ニャン氏の事件簿』とバランスを取らなくちゃね、という意味で、
 さあ、今回はワンコたちに登場していただきましょう♪

「にゃんこォのォ、つぎィはァ~」
「ぐるがる!」(←訳:犬が主役!)

 正確を期すならば、
 この物語の主役はワンコではなく、
 “時代”なのかもしれません。

 元禄時代――
 日本の歴史の中でも、
 ちょっと変わった、いえ、エキセントリックな、といったらいいのか、
 他に類例を見ない“時代”であると申せましょうか。

 西暦でいうなら1688~1704年の間、
 徳川幕府は5代目の、
 綱吉さんの治世でした。

「ふァいッ! テディちゃ、しッてるでス!」
「がるるぐるがるる?」(←訳:犬将軍さんだよね?)

 犬将軍、犬公方などと
 ひどい仇名を付けられちゃってる綱吉さん……

 ですが私ネーさ、
 将軍としてはそう悪い御方じゃなかったと思うのよ。

 武力中心から経済中心へと
 社会の変革を推し進め、
 文化の興隆を後押しする。

 あの悪名高い《生類憐みの令》だって、
 欠点だらけではあったけど、
 動物保護を模索したものだと考えれば
 いくらか同情できなくもない……。

「でもォ、いろいろォたいへんッなのでスゥ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:あちこちに余波が!)

 御鷹御犬索(おたかおいぬさく)とは、
 将軍家が鷹狩りに用いる鷹・犬を養育し、
 訓練する役目の職業です。

 が、《生類憐みの令》に従い、
 鷹狩りは廃止され、
 この物語の主人公・知世(ともよ)さんの父親は、
 別の役職をふり当てられました。

 お江戸の郊外・中野の地に造られた
 犬を保護する場所《御囲(おかこい)》の
 運営助役になったのです。

「ものすごいィ~かずのォわんこッ!」
「がるぐるるるるるる!」(←訳:もう数えきれないよ!)

 《御囲》にる犬の数は、
 何万匹にものぼります。

 日夜、何万もの犬が吠え立てる喧騒に、
 知世さんの母親は身体を壊してしまいました。

 その日、知世さんは
 江戸市中の静かな場所で療養しようと、
 母を駕籠に乗せ、
 祖父と弟も一緒に知人宅へ向かっていたのですが、
 あら、まあ?

「わッ! おいぬかごッ!」
「ぐるるるる!」(←訳:避けないと!)

 野良犬を捕まえて《御囲》に送る
 お犬駕籠(おいぬかご)が
 正面からやって来ましたが、
 よりにもよって、
 知世さんたちの目の前で駕籠からワンコたちが脱走?
 
「あばれてェまス!」
「がるるるる!」(←訳:どうしよう!)

 お犬姫、と呼ばれる知世さん、はい、出番です。
 暴れるワンコをなだめ、
 次々と襲いくるアクシデントを
 乗り切ることは出来るのでしょうか。

 時代小説好きな御方も、
 ワンコ好きさんも楽しめる一冊、
 皆さま、ぜひ♪
  

~ ニャン氏の軌跡 ~

2018-07-22 22:23:25 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 またしてもォ~さんがくゥ!」
「がるる!ぐるがる!」(←訳:虎です!坂道だね!)

 こんにちは、ネーさです。
 2018ツール・ド・フランスはアルプスでのステージを終え、
 激坂コースの高難度に脱落者が多発、
 そして次に移動したのが
 中央山塊と呼ばれるフランス中央部の山地でこれまた坂が……!
 という訳で見ている方もクタクタになった週末でした。
 それでも明日の熱戦を待ちわびながら、
 さあ、読書タイムもガンバですよ♫
 本日は、こちらのミステリ作品を、どうぞ~!
 
  



         ―― ニャン氏の事件簿 ――



 著者は松尾由美(まつお・ゆみ)さん、2017年2月に発行されました。
 『The Mysterious Mr.Nyan』と英語題名が付されています。

「……にゃんッ??」
「ぐるるる?」(←訳:てことは?)

 ええ、そう、ニャンです。
 ニャンと来てミステリ、というからには、
 この御本の主役は。
 栄誉ある探偵役は。

 猫!

「……ほんとにィ??」
「がっるるぐぅるる?」(←訳:ドッキリじゃなく?)

 猫が探偵。
 いや、実業家であり、
 童話作家でもある。
 作家としてのペンネームは、ミーミ・ニャン吉さん。
 その本名は、
 アロイシャス・ニャン氏。

 と聞かされて、
 開いた口がふさがらなかったのは、
 配送会社でアルバイト中の、
 佐多俊英(さた・としひで)くんでした。

 先輩社員の岡崎さんと一緒に、
 照明器具のお届けに行った先で
 出会ったのが――

「にゃんッ?」
「ぐるる!」(←訳:白黒の!)

 いわゆる、タキシードキャット――
 顔の上半分が黒くて、
 肩から背中、4本の脚も黒くて、
 でも爪先はソックスを履いたように白い。

 このニャンコが、いえ、ニャン氏が、
 配達先のお家に絡む或る事件を、
 ニャーニャーニャーと
 解き明かしてしまったもので、
 どう考えていいのやら、
 困り果てる佐多くんです。

「ぐうぜんッ、でスよゥ!」
「がるぐるぅ!」(←訳:偶々でしょ!)

 そう、偶然かもしれない……

 白黒猫のニャン氏が
 ニャーニャーと言うごと、
 ニャン氏の秘書・丸山さんが
 佐多くんたちに“通訳”してくれるのですが、
 そこに何かのトリックが?

「むゥ~んッ? それにィしてはァ~…」
「ぐるるがるる!」(←訳:眼光が鋭いぞ!)

 ペパーミントグリーンの瞳の、
 探偵ニャン氏が見事に解明するのは、

 『ニャン氏登場』
 『猫目の猫目院家』
 『山荘の魔術師』
 『ネコと和解せよ』
 『海からの贈り物』
 『真鱈の日』

 の6作品です。
 連作形式になっているため、
 1作また1作と読み進んでゆけば、
 佐多くんの抱える或る“秘密”も
 少しずつ明確になってきます。

 あっちに謎、
 こっちにも謎、
 あちこちからニャーニャーという声が響いて、
 ふっと気付くと……?

「めでたしィめでたしィ??」
「がるる!」(←訳:まさか!)

 ニャン氏の、
 というよりは、著者・松尾さんの
 チャシャ猫のようなニヤニヤ笑いが
 そこここでハジケるファンタジックな猫ミステリ、
 ニャンコ好きさんにおすすめです。

 また、この物語の続編となる短編作品
 『袋小路の猫探偵』が
 『ベスト本格ミステリ2018』に収録されていますので、
 ニャン氏のファンになっちゃったわ!という御方は、
 そちらもぜひ、一読してみてくださいね♪