テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

正義を探せ!

2015-05-31 21:47:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ゆうしょうゥ、ほぼォかくていィ、でス!」
「がるる!ぐるがーる?」(←訳:虎です!今頃ゴール?)

 こんにちは、ネーさです。
 2015ジロ・ディ・イタリアも今日5月31日でフィニッシュ!
 総合優勝はA・コンタドール選手で決まりかしら?
 一方、本日の読書タイムで御紹介いたしますのは、
 かつてない団体執筆競技?な作品ですよ。
 さあ、こちらを、どうぞ~♪

  



             ―― 死者は眠らず ――



 著者は……(せーのっ!)
 ジェフ・アボットさん、ロリー・アームストロングさん、サンドラ・ブラウンさん、
 トマス・H・クックさん、ジェフリー・ディーヴァーさん、ダイアナ・カバルドンさん、
 テス・ジェリッツェンさん、アンドリュー・F.ガリーさん、ピーター・ジェイムズさん、
 J.A.ジャンスさん、フェイ・ケラーマンさん、レイモンド・クーリーさん、
 ジョン・T.レスクワさん、ジェフ・リンジーさん、ゲイル・リンズさん、
 フィリップ・マーゴリンさん、アレクザンダー・マコール・スミスさん、
 マイケル・パーマーさん、T.ジェファーソン・パーカーさん、マシュー・パールさん、
 キャシー・ライクスさん、マーカス・セイキーさん、ジョナサン・サントロファーさん、
 リザ・スコットラインさん、R.L.スタインさん、マーシャ・タリーさん、
 原著は2011年に、日本語版は2015年2月に発行されました。
 英語原題は『NO REST FOR THE DEAD』、
 米国と英国の作家さん26人の合同執筆によるミステリ作品ですっ。

「なッがァ~いィッ!」
「ぐるる!」(←訳:26人!)

 英語圏のミステリ作家さんたちが
 リレー形式でひとつの物語を書き上げる……という著作方法は、
 たま~に在ることは在る、のですが、
 ここまで入念な書き込み具合、
 ここまで完成度を追及した御本の訳出は、
 本邦初!なのじゃないかしら。

「にじゅうろくにんッぜんいんがァ~…」
「がるぐる!」(←訳:全力投球!)

 物語自体もまた凄いんです。

 10年前、アメリカ。
 或る事件の裁判に世間は騒然となっていました。
 女性が夫を殺害し、
 その遺体を中世の拷問機具に詰め、
 ベルリンの歴史博物館に輸送したという、
 ショッキングな事件です。

「ひいィ! こわいィでスよゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:なんて残虐な!)

 いくつもの“動かぬ証拠”があり、
 判決は有罪、
 女性は……死刑に。

 けれども、事件の捜査を担当した刑事さんは
 後悔にさいなまれています。

 彼女は本当に有罪であったのか。
 数々の証拠が指し示す真犯人は他にいたのではなかったか。
 
 俺は……無実の人間を処刑室に送ってしまったのか?

「わわわうゥ、そッちのほうがァ~…」
「ぐっるがるー!」(←訳:もっと怖いー!)

 10年の時が過ぎ、
 事件の追悼集会が催されることになります。
 つまり、関係者たちが一堂に会する、のですから、
 波風が立たぬはずはありませんよね。

「もしかしてッ?」
「がるるる!」(←訳:真犯人が!)

 追悼集会で何が起こるのか――
 いえ、26人の作家さんたちは何を起こそうとしているのでしょう?
 単純な、
 犯人はあまえだ!風ゲーム?
 それとも……?

「さきよみィ、できないィでス!」
「ぐるるがるーるー!」(←訳:転がるストーリー!)

 さすがだ!と思わせてくれるのは、
 エンタに徹しつつ、
 作家さんたちが共通して抱くひとつの信念――《正義》へのこだわりが
 物語の中心に据えられている点です。

 悪ではなく正義を、と。

「それがァ、いちばんッむずかしィ?」
「がるる!」(←訳:だよね!)

 なお、この作品は癌の慈善団体へ寄付しようと企画され、
 作家さんたちの賛同を得て、
 収益金は血液癌を研究する慈善協会に寄付されたそうです。
 その心意気に応じて、
 皆さまも、どうか一読を!
 


 
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1/12!

2015-05-30 21:52:13 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きのうはァ、さぼッちゃッたのでェ~…」
「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!今日は読書です!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、前回記事では展覧会情報をお伝えしました。
 なので、週末の今日は読書タ~イム!
 本日は、一般的な書評ではおそらく紹介されそうにないかも?な、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  



             ―― ミニチュアワールド ――



 監修は中村和子さん、2015年4月に発行されました。
 『The world of miniature artisans』と英語題名が、
 『~中村和子の世界~』と日本語副題が付されています。

「みにちゅあッ?」
「ぐるっるる!」(←訳:ちびっ子だ!)

 

 チビッ子、ではなくて、
 小さな小さな、家も家具もファブリックも食器も、
 ミニチュアのサイズで出来上がっている世界。

 この御本は、
 日本ミニチュア作家教会・アーティザン会員、
 国際ミニチュア作家教会・アーティザン会員である中村和子さん監修による
 著名なミニチュア作家さんたちの“華麗な競演”中継、
 という感じかしら~♪

「すんごいィ~りあるゥ!でス!」
「がるるぐるるる!」(←訳:チビに見えない!)

 中村さん所有の《中村コレクション》から紹介されているのは、
 米国や欧州でトップアーティストと目され、
 数々のミニチュアコンペで受賞している作家さんたちの
 超力作!
 
 ミニチュア制作における、
 世界の統一サイズは1/12となっているのですが……

 1/12の工具箱(糸ノコやコンパスも1/12)!
 1/12のライティングデスク(隠れ引きだしには豆本の聖書が)!
 1/12のチェステーブル(チェス駒も当然1/12)!
 1/12のシャンデリア(ちゃんと灯が点る)!
 1/12の銀器(お皿も湯沸しポットも1/12)!

「ちとッてもォ、いさいィのにィ~…」
「ぐるるがる!」(←訳:見事すぎる出来!)

 ミニチュアに興味がない御方も、
 ぐぐっと来ちゃうに違いないのは、
 椅子!

 脚の部分の、微妙なカーブ。
 艶や素材。
 座面の張り地のふっくら感。
 なんとも精巧で、素晴らしい!

 家具好きさんはうっとりするはずですよ♪

「ほしくなるゥ~♪」
「がるるるるる~♪」(←訳:集めたくなる~♪)

 アンティークなドールハウス&ミニチュアからは
 古色を帯びた優雅な美が匂い立っていますけど、
 現代作家さんによるミニチュア作品には
 モダンな“活きの良さ”や“覇気”があります。

 高層ビル、航空機、ロケット、架橋……
 人類は大きなモノが大好き!
 ではあれど、
 小さなモノも大好き!!なんですね。

「ちいさくてェ、たくましィのでス!」
「ぐるがるる!」(←訳:小は美なり!)

 言葉で説明するよりも、
 百聞は一見にしかず!
 アート好きさんもインテリア好きさんも、
 ミニチュアを知らない活字マニアさんも、
 ぜひ、一読を♪



 

 
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てくてくルーヴル展。

2015-05-29 21:43:28 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ぎゃうゥ! いそがなくッちゃッ!」
「がるる!ぐるっるぅるる~!」(←訳:虎です!終わっちゃうよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 CL決勝の地ベルリンへ行こう~♪ジロ・ディ・イタリアだ~♪と
 浮かれているうちに、
 あらら、残り期間が僅かになってしまいました。
 そこで私ネーさ、本日は読書をさぼり
 ↓こちらのミュゼへお出掛けしてまいりましたよ♪

  

 東京・港区六本木の
 国立新美術館(企画展示室1E)にて開催されている――

  


        ―― ルーヴル美術館展 ――


  チケットをお持ちの御方は、急いでくださいな、
  2015年6月1日が最終日ですから、

「つぎのォ、げつようびィまでッ?」
「ぐるがる!」(←訳:あと3日!)

 それにしても、
 ブリューゲル一世さん、ムリーリョさん、
 ドラクロワさん、コローさん……と
 そうそうたる面々の作品が展示されておりましたが、
 この展覧会の主役は――

  

 やっぱり、この御方だわね!
 ヨハネス・フェルメールさん!
 作品は『天文学者』(1668年制作)!!

「せんとうとォ、はしッてまスゥ!」
「がるぐるるるるる!」(←訳:誰も追いつけない!)

 『天文学者』と同じ展示室にある作品は、
 ジャン=バティスト・グルーズさんの『割れた水瓶』(1771年制作)以外、
 とうてい太刀打ち出来ないというか、
 影が薄れるというか……
 グルーズさんの作品は、一種異様な存在感があるんですけど、
 フェルメールさんの
 《技》のチカラには敵いません、ね。。

「おもッたよりもォ~…」
「ぐるる?」(←訳:小さい?)

 画面は小さくとも、
 ブラックホールのように鑑賞者を惹きつけ引き寄せる『天文学者』。

 ルーヴルの至宝のひとつ、と言えるこの作品、
 日本で観られるのはこれが最後かもしれませんから、
 さあ、アート好きさんは今すぐ六本木へ!
 
 あ、でも、この展覧会は
 今夏、関西へも巡回するんですよ♪
 京都市美術館にて、
 期間は2015年6月16日~9月27日!
 既に前売券が発売されています。

「なつのォ、きょうとでェ、びじゅつかんしょうゥ!」
「がるるー!」(←訳:羨ましー!)



   では、ここからはちょこっと美術館でのオマケ画像も。
   
   午後はチケット売り場に長い行列が出来ました。
   私ネーさが正午頃に着いたときは
   ほぼ並ばずにチケット購入できたんですが……。
   
   そして、館内は、
   
   そこそこ混雑しております。
   『ルーヴル美術館展』の企画展示室は人口密度も高くて、
   グッズ売り場でも、行列!
   「あちちィ!」
   「ぐるがるっ!」(←訳:熱気すごっ!)
   
   1Fロビー、B1フロアのミュージアムショップでは、
   季節のせいでしょうか、
   Tシャツや傘のグッズに熱い視線が集まっているようでした♪
   
   明日はまた真夏日?と予想されています。
   お出掛けになる皆さまは、熱中症にご注意くださいね!




   


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かわいいヤツらが、大挙して♪

2015-05-28 21:46:06 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 そろそろォ、みえてきましたでス!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!ミラノは近いぞ!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015年のジロ・ディ・イタリアも終盤戦となりました。
 風光明媚な北イタリアのリゾート地から、
 5月31日にはゴールとなるミラノへ!
 総合首位は揺るがないのか?と今日もまたハラハラしつつ、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~♪

  



              ―― かわいい絵巻 ――



 著者は上野友愛(うえの・ともえ)さん&岡本麻美(おかもと・まみ)さん、
 2015年5月に発行されました。
 『Kawaii! The Intimacy of the Japanese Handscroll』と英語題名が付されています。
 
「えまきとォ、いえばァ!」
「ぐるるるがぅる!」(←訳:鳥獣戯画じゃん!)

 2014年秋には京都、
 そして現在、2015年春にはここ東京で公開されている
 国宝『鳥獣戯画絵巻』。

 この御本では、『鳥獣戯画』を代表とする、
 
   うわあ♪可愛い~♪♪

 と、頬がフニャリンと緩んでしまいそうな、
 日本の美術作品=絵巻が紹介されています。

 華麗とか秀麗と賞讃したい
 豪快豪胆剛腕な戦(いくさ)絵巻じゃなくて、
 どこまでも、

「かわいいィ!」
「がぅーる!」(←訳:キュート!)

 な絵巻って、けっこう多いんですね。

 そんな可愛い(カワイイ!)という概念は
 日本オリジナルな発想……ていうか視点、/観点であるわけですが、
 絵巻というのも、
 日本オリジナルな芸術様式なのだそうですよ。

「えッ? がいこくにはァ、ないのでスかッ?」
「ぐるがる?」(←訳:中国には?)

 源流とされているのは、中国の『画巻(がかん)』――
 横長の巻物に
 ひとつひとつの絵を並列的にならべたもので、
 ただし絵と絵に物語的なつながりはないのが特徴です。
 
 読み解くことより、
 横に長い絵画を観る歓びが
 『画巻』の意義、なのでしょう。

「ぱのらみッくゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:それもいいね!)

 『画巻』は日本では発展せず、
 代わって『絵巻』が誕生し、根付きました。

 お寺社の縁起を著わしたもの、
 偉人さんの出世譚、
 妖怪退治・鬼退治を描いた冒険譚、
 鳥獣戯画のような、お伽噺やファンタジー……

「わほおッ♪ これはァきゃわゆいッ!」
「ぐるるる!」(←訳:スズメだ!)

 この御本で取り上げられている絵巻作品の中で
 とりわけ、
 きゃ~♪かわいい~♪のは、これね!

 『雀の小藤太絵巻』(16世紀、サントリー美術館蔵)。

「ゆるきゃらッ??」
「がるるる!」(←訳:可愛すぎ!)

 『きりぎりす絵巻』(17世紀、細見美術館蔵)、
 『鼠草子絵巻』(16世紀、サントリー美術館蔵)も
 カワイイもの好きな方々をノックアウトすること、
 間違いありません。

 では、こういう『絵巻』作品を
 正しく観賞する方法は?

 『絵巻』に添えられている『詞書(ことばがき)』とは?

「えまきものとォ~…」
「ぐるるるがる!」(←訳:付き合うコツ!)

 分かりやすく解説されている『絵巻』の知識あれこれ。
 
 アート好きさんならずとも、
 一読以上の価値あり!
 ぜひ、手に取ってみてくださ~い♪
 



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歴史ミニ散歩の多摩!

2015-05-27 21:49:10 | ミュゼ
「こんにちわゥ、テディちゃでス!
 なぜかァ~いまッ、だいぶーむゥ??」
「がるる!ぐるるるがるるる!」(←訳:虎です!大々人気らしいよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 誰が人気かというと、
 刀剣を主題としたゲームでまたも注目されている
 あの御方たち!
 さあ、本日は読書をサボって、こちらの展覧会情報をどうぞ~♪

  



           ―― 二十一世紀の新選組 ――



 東京都日野市の日野市立新選組のふるさと歴史館にて、
 会期は2015年4月25日~6月7日(月曜休館)、
 『新選組のコンテンツ化とファン層の広がり』と副題が付されています。

 先日は、
 やはり日野市にあります《土方歳三資料館》にて
 土方歳三さんの愛刀『和泉守兼定』が期間限定公開され
 (展示期間は既に終了しています)、
 長~い行列が出来てニュースにもなりました。

「ふァいッ! びッくりィでしたでス!」
「ぐるがるるるるぅ!」(←訳:大勢並んでたよぅ!)

 土方歳三さんの資料館は、個人で運営されているものですので
 開館日はごく限られておりますが、
 日野市立新選組のふるさと歴史館は
 一般的な美術館・博物館と同じように
 平日(月曜を除く)と週末も開館しています。

 企画展で展示されているのは――

  

 NHKの大河ドラマ『新選組!』劇中で使用された小道具や、
 アニメーション作品の台本、
 コミック作品の複製原画など、
 新選組をテーマにした“創作”作品。

「はじけてェまスゥ!」
「がるぐるるーるぅる!」(←訳:斬新クリエーション!)

  

 また、常設展示のコーナーでは、
 新選組隊員であった方々の手記、
 多摩と天然理心流の係わり、
 京都での隊員さんたちの日々などをテーマとする
 書類や資料が公開されています。

「しんせんぐみィのォ、まにあさんはァ~」
「ぐるっるぅるる!」(←訳:見入っちゃうね!)

 幕末史大好き!という御方は、
 多摩をお散歩するついでに、
 いえ、多摩散歩のメインとして
 お出掛けしてみてはいかがでしょうか♪

 JR日野駅もしくは京王線の高幡不動駅からは
 ちょっと離れているので、
 歴史館のHPのアクセス等を確認してから、

「おこしくださいなッ♪」
「がるるるる!」(←訳:のんびりと!)




   さてと、歴史話の次はオマケ画像でホッと一息。
   
   『キリン』さんの
   《午後の紅茶 こだわり素材のピーチティー》!
   「ちょうどォいいィ、もものあじィ!」
   「ぐるぅるっ!」(←訳:うみゃいっ!)
   ノンカフェインで美味しい飲み物、って
   本当に少ないんですけど、
   この《ピーチティー》はおすすめですよ~♪♪




   
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なつかしのしらべ。

2015-05-26 21:48:47 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、かきごおりィをォ~…」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!大盛りで!)

 こんにちは、ネーさです。
 ホントにね~、今日は初夏から夏へ
 季節がスピードアップしちゃった天候でしたが、
 読書タイムは安全運転で参りましょう。
 さあ、本日は、こちらの小説作品を、どうぞ~!

  



              ―― 睦月童 ――



 著者は西條奈加(さいじょう・なか)さん、2015年3月に発行されました。
 『睦月童』は『むつきわらし』とお読みください。

「わらしッていうのはァ~…」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:子どものことだね!)

 童子、と書いて『わらし』と読む例もあるでしょうか。

 その童っ子ちゃんが誰を指しているのか、
 御本の冒頭を読めばすぐに分かります。

 七つくらいに見える、女の子。
 ひどくやせている上に、どうにも垢抜けない。
 色だけは生っ白いが。

 と描写されている、
 彼女の名は、イオちゃん。

「ふァ?? めずらしィおなまえェ、でスゥ?」
「がるるるぐるぐる?」(←訳:どういう意味だろ?)

 イオちゃんに集まる好奇の視線。
 しかし、彼女の隣りに座る国見屋(くにみや)の主人、
 平右衛門(へいえもん)さんは
 奉公人さんたちにピシリと釘を刺します。

   こちらの御方は、国見屋の大事な客人と心得てもらいましょう。

 そう、これは、お江戸の時代のものがたり。
 国見屋さんは、日本橋にお店と蔵を持ち、
 たいそう繁盛している大店なんですね。
 となれば、
 主人の平右衛門さんの一言に
 奉公人さんは皆、逆らえないわけで。

「でもォ、ちっちゃなァこどもをォ?」
「ぐるがるるる?」(←訳:この御方扱い?)

 小さなイオちゃんを丁重にもてなしている理由を知るのは、
 平右衛門さんと、妻のお久さんだけ。
 お店の大番頭さんも首を傾げています。

 けれど、程なく理由は知れました。

 イオちゃんの眼が光る!

 金色に光って、まともに目を合わせられない!

「えッ? そうなのでスかァ?」
「がっる……るるるる?」(←訳:光って……ないよね?)

 金色の瞳に、心臓が縮み上がる思い……をするのは、
 悪事を働いた者のみ。

 潔白の身ならば、イオちゃんの眼に怯えることもないんです。

「ふァ~、ほッとしたでスゥ!」
「ぐるぐる!」(←訳:うんうん!)

 その能力ゆえに、国見屋に招かれたイオちゃん。

 平右衛門さんに頼まれて
 イオちゃんがこれから顔を合わせねばならぬのは、
 国見屋の跡取り息子・央介(おうすけ)さん、なのでした。

 央介さんに、イオちゃんの瞳は何色に映るのだろうか――
 国見屋の主人夫妻は
 固唾を呑んで見守りますが……?

「ううわァ~、どうしようッ??」
「がるるっ!」(←訳:冷や汗っ!)

 イオちゃんの不可思議などこから来るのか。
 イオちゃんはいったい何者なのか。

 問われてイオちゃんは答えます。

   ―― おらたちは睦月神さまの子どもだ ――

「それッてェ~??」
「ぐるるるる!」(←訳:ますます謎!)

 著者・西條さんの『六花落々』を
 先日ご紹介したばかりですが、
 正統派時代小説のジャンルに入る『六花落々』に比較すると、
 こちらの御本は江戸を舞台にした
 ファンタジー小説、でしょうか。

 物語の主役は、
 決闘しまくる剣豪さんたちでも、
 江戸城内で陰謀を巡らせるお殿さまたちでもなく、
 非力な、小さな女の子。

「でもォ、ただものじゃないィ、のでス!」
「がるるるぐるる!」(←訳:見かけは二の次!)

 天下分け目の大決戦!とはちょっと違い
 派手さはないかもしれませんが、
 時代モノ好きな御方に、
 ファンタジーやSF好きな活字マニアさんに
 おすすめしたい一冊です。

 イオちゃんと、そして央介さんの運命を紡ぐ
 古歌のような、なつかしく美しい物語、
 ぜひ探してみてくださいね♪♪




 
 
 
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~ 黒い将軍の誇り ~

2015-05-25 21:52:40 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 とうきょうゥでェ~、ごーるゥ!」
「がるる!ぐぅるっるぅ!」(←訳:虎です!フィニッシュ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ツアー・オブ・ジャパン2015の総合優勝は、
 ミルサマ・ポルセイエディゴラコールさん
 (国籍はイラン、所属チームはダブリスペトロケミカル)!
 2年連続の総合優勝となりました。

「おめでとうございまスゥ!」
「ぐる~!」(←訳:拍手~!)

 ジロ・ディ・イタリアの方は、休養日で選手さんたちも朝寝坊?
 かと思われますので、
 本日は、この一冊でゆ~っくりと読書タイムを、どうぞ~!

  


 
           ―― ナポレオンに背いた黒い将軍 ――



 著者はトム・リースさん、原著は2012年に、日本語版は2015年4月に発行されました。
 英語原題は『The Black Count  Glory,Revolution,Berryayal,and The Real Count of Monte Cristo』、
 『忘れられた英雄アレックス・デュマ』と日本語副題が付されています。

 いやあ、とんでもない御方がいたものですね!

「くろいィ~しょうぐんッ??」
「がるるぐぅるるぅるる?」(←訳:もしやヴェネツィアの?)

 黒い将軍、と聞いてイメージされるのは、
 まずシェイクスピアさんの戯曲に登場する
 悲劇の将軍オセローさん、でしょうか。

 ですが、『オセロー』はあくまでフィクションだよね~、
 なぁんて思っていると……
 
 いたのです。
 現実に、白人中心のヨーロッパの大国で、
 自身の武勇を以って将軍の座に上りつめた人物が。

 アレクサンドル・デュマさん――
 
 フランス革命軍の将軍です。

「むゥ? そのなまえはァ~…」
「ぐるるるがるぅ?」(←訳:文豪さんでしょ?)

 『三銃士』『モンテ・クリスト伯』で知られる作家のデュマさんは
 デュマ将軍の息子さん。
 名前がね、父も子もアレクサンドルなのですが、
 父のデュマ将軍はアレックスと名乗ることを好んでいました。

 文豪デュマさんの盛名の影に隠れ、
 いまはもう忘れられた存在となっているデュマ将軍。

 著者・リースさんは、文豪デュマさんが著した自叙伝を読み、
 強烈な印象を受けました。
 4歳で父を喪った文豪デュマさんの、衝撃的な記憶――

 しかし、文豪デュマさんの想いも将軍デュマさんの功績も、
 21世紀の現在では。

「わすれられちゃッたッ??」
「がるるぐるるがるる~…」(←訳:記録もあまり無いし~…)

 デュマ将軍の生涯を調べねば!

 著者リースさんは、おスランスらしい混沌する地方行政と戦い、
 遺された資料から将軍の辿った道を
 一歩また一歩と明らかにしてゆきます。

 アレックス・デュマさんの実父は、
 フランスの貴族、パイユトリー公爵である
 アレクサンドル=アントワーヌ・ダヴィさん。
 母は、フランスの植民地サン=ドマングに暮らす奴隷、
 マリー=セセット・デュマさん。 
 
「むむゥ! するとッ!」
「ぐぅるるがるるぐる!」(←訳:デュマは母方の名前!)

 どのような思いで、将軍デュマさんが母方の名字を名乗ったのか。
 そして、その名を受け継いだ子の文豪デュマさん、
 文豪デュマさんの子にして『椿姫』の作者デュマ・フィスさん。

 バイユトリー公爵に始まるデュマ家の歴史は、
 フランス共和国誕生の歴史と連動します。
 波乱、混乱、王と民衆、
 恐怖と失望、国家の成立――

「あまりにもォ、ものすごいィ!」
「がるるる!」(←訳:大ドラマ!)

 この御本、ノンフィクションではありますが、
 これ以上は説明しない方がよいでしょう。

 デュマ将軍の、劇的すぎる人生を、
 活字マニアの皆さま、
 どうか御自身で読み、知ってください。
 おそらく今年のノンフィクション本ジャンルでは
 BESTに挙げられる作品です。
 ぜひ!
 
 

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古都にて、腕試し?

2015-05-24 21:50:02 | ブックス
「こんにちわゥ、テディちゃでス!
 むむゥ!おうじゃのォ、かんろくゥ!」
「がるる!ぐるるがぅるる!」(←訳:虎です!さすがチャンプ!)

 こんにちは、ネーさです。
 ジロ・ディ・イタリア2015個人TTでは今日も華麗なドラマが見られました。
 昨日総合首位を奪われたコンタドール選手が
 力走の末、首位を奪い返す……!
 くぅ~カッコいいなぁ!とエールを送りつつ、
 さあ、読書タイムで活字のドラマも御堪能あれ~♪

  



           ―― 純喫茶《一服堂》の四季 ――



 著者は東川篤哉(ひがしがわ・とくや)さん、2014年10月に発行されました。
 《謎解きはディナーの後で》シリーズの人気作家・東川さんが、
 新たなミステリ作品の舞台に選んだのは……
 鎌倉です!

「かまくらァ~♪♪」
「ぐるがるる!」(←訳:有名観光地!)
「テディちゃ、かまくらァだいィすきでスゥ~♪」

 神奈川県では、
 いえ、関東圏でも大人気の観光地・鎌倉。

 MM21地区を中心とする横浜、
 いま何かを話題の温泉リゾート箱根と並んで、
 神奈川観光の目玉、ですね。

「これからのォきせつはッ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:もちろん紫陽花!)

 サクラ、アジサイ、バラ、ボタン、と
 鎌倉は花の名所であり、
 そして……小路の名所でもあります。

 歴史がある、つまり古い街である鎌倉は、
 狭い道がけっこう多いのだと、
 鎌倉散歩の経験をお持ちの方々は
 よく知っておられるでしょう。

 そんな細道がつらなる住宅街の一角、
 ごく普通の民家に、
 小さな小さな看板が掲げられています。

「じゅんきッさァ~…」
「ぐるる??」(←訳:一服堂??)

 雨宿りできるところはないか、と
 喫茶店を探しているのは
 放談社(ほうだんしゃ)という出版社社員の
 村崎蓮司(むらさき・れんじ)さん。

 『週間未来』編集部に所属する彼は、
 先日、或る事件に巻き込まれてしまい――

「おおッ! それじゃァ、きじにィしないとッ!」
「がるがるるるるぐる!」(←訳:事件レポ記事を掲載!)

 ええ、村崎さん本人も、

   記事にしよう!
   いや、俺の手によって書かれるべきなのだ!

 と意気込んでいるのですが……

 すべての事件記者、
 必ずしも名探偵ならず。

「ふァ~、やぱりィ~…」
「ぐるるがるるぐるる!」(←訳:探偵は稀少種だもん!)

 ところが、その稀少種が、いたのです。
 《純喫茶一服堂》の、奥の奥に――

 ってことで、
 ストーリーのご紹介は、ここまで!

「ええッ? もうゥおわりィでスかァ?」
「がる!」(←訳:ケチ!)

 4話から成る連作短編集は、
 あっちにもこっちにも
 笑いと伏線と罠が仕掛けられているんです。
 これ以上お喋りすると、
 ネタをバラしてしまうことになるので、
 ダメです、秘密です。

 ただ、著者・東川さんの得意技=密室トリックが炸裂!
 ってことだけは言っちゃってもいいかしら♪

「ふぁんたすちッくでェ~」
「ぐるるるるぅっる!」(←訳:アクロバティック!)

 少女コミック風??な表紙画の中身は、
 一見チャラそうでいて、
 でも実はカチリと硬質なミステリが
 読み手の“お客さま”を待っています。

 犯人は、誰だ?
 方法は?
 動機は?

「ふふふッ! そのォちょうせんッ!」
「がるる……るるるるるぅ?」(←訳:うけて……みようかなぁ?)

 ミステリマニアさん、ぜひ、腕試しを。




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真筆ならずとも!

2015-05-23 21:46:14 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 こうはんせんッ、とつにゅうゥ~!!」
「がるる!ぐるるがるるるぐる!」(←虎です!またも熾烈な争い!)

 こんにちは、ネーさです。
 ジロ・ディ・イタリア2015は後半戦に入りました♪
 雨模様の現地では落車事故が発生、
 総合首位の座にも変化が!
 明日の個人タイムトライアルで、さらに変動が?
 ヒヤヒヤしつつ、
 本日はイタリアつながりの展覧会情報を、どうぞ~♪♪

  



       ―― レオナルド・ダ・ヴィンチと《アンギアーリの戦い》展 ――



 東京都八王子市の東京富士美術館にて、
 会期は2015年5月26日~8月9日(月曜休館、ただし7/20は開館して翌7/21は休館)、
 『Leonardo da Vinci and the Battle of Anghiari - The Mystery of Tavola Doria-』と英語題名が、
 『~日本初公開《タヴォラ・ドーリア》の謎~』と副題が付されています。

「あはァ! れおなるどォおじさんッ!」
「ぐるがるるぐるるる!」(←訳:これ有名な絵だよね!)

 ちょっと待って!
 慌てちゃダメですよ!
 ここでキッパリ申し上げておきますが、

 レオナルドさんの真筆作品は来日してませーん!

「ほぺッ?」
「がるっ??」

  

 1440年、フィレンツェ近郊の丘陵地帯アンギアーリ村で
 ミラノ軍対フィレンツェ軍の戦いがありました。
 のちに、この戦いをテーマとした壁画制作を、
 フィレンツェ共和国政府は
 画家レオナルド・ダ・ヴィンチさんに依頼します、が……

 結果からいうと、
 レオナルドさん作『アンギアーリの戦い』は
 “失われて”しまいます。

「ろすとッ、でスかァ~…」
「ぐる~…」(←訳:無念~…)

 壁画を巡るミケランジェロさんとの相克は語り草になっています。
 ミケランジェロさんもまた、
 壁画制作を構想し、
 原寸大下絵まで描き上げてやる気満々!だったのですけれど……

 完成には至らなかった、と言われています。

  

 この展覧会では、16世紀の画家さんによる『アンギアーリの戦い』の模写作品、
 アリストーティレ・ダ・サンガッロさんによる
 ミケランジェロさんの『カッシナの戦い』の下絵を模写した作品(1542年制作)を中心に、
 2大巨匠の壁画作品に関する資料が展示されます。

 また、レオナルドさん派の油彩作品、
 フィレンツェ派のテンペラ画、
 同時開催の『天才ダ・ヴィンチのひみつ』展では
 レオナルドさんの手稿(ファクシミリ版)も紹介されますので、
 イタリア美術好きな御方は、

「ぜひィ!」
「がるる!」(←訳:来てね!)

 東京富士美術館へのアクセスは、ちょこっとややこしいので、
 美術館HPをよく御覧になって
 八王子へいらしてくださいな~♪♪




    さて、今回のオマケ画像は美味しいもので!
   
   『カルディコーヒーファーム』さんのオリジナルお菓子、
   レモン味と、抹茶味のダックワーズ♪
   「さッくりィ!」
   「ぐるる!」(←訳:ぱふふ!)

   皆さま、穏やかな休日を。


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ゆきや、ふれふれ。

2015-05-22 21:49:24 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あじさいィのォおはなァ、はッけんでスゥ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!もうじき梅雨!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええ、梅雨の足音が聞こえるこの季節……ではありますが、
 本日の読書タイムでは、冬のシーンから始まるこちらの御本を、
 さあ、どうぞ~♪

  



          ―― 六花落々(りっかふるふる) ――



 著者は西條奈加(さいじょう・なか)さん、2014年12月に発行されました。
 御本の表紙画(装画は浅野隆広さん)にも
 ひんやりとした冬の空気が感じられますね。
 見上げれば……

「あッ、ゆきィでス!」
「ぐるがる!」(←訳:ちらほら!)

 題名の『六花落々』の『六花』とは、
 雪を意味します。
 『りっか』と読み、また、ずばり『ゆき』と読む場合もあるようです。
 女の子に『六花(ゆき)』ちゃんと名付けることもあるそうですよ。

「なまえがァ、ゆきちゃんッ?」
「がるる!」(←訳:可愛い!)

 しかし、大のオトナが。男性が。

 六花=雪ふりしきる中、
 寒い戸外でウロウロしていたら、どうでしょう?

「それはァあやしいィ!」
「ぐるるがる?」(←訳:落し物でも?)

 落し物ならぬ探し物をしていたのは、
 下総古河(しもうさこが)藩の武士、
 小松尚七(こまつ・なおしち)さん。

 彼は、探していたのです。

 なぜ、雪は六花――六つの花と呼ばれるのか、
 その理由を。

 書物によれば、雪は六弁の花だというけれど?

 草木に咲く花は、みな花びらが五枚なのに、
 どうして雪は六花なのだろう??

 いや、それよりも雪は本当に六弁の花の形をしているのか???

「うむむゥ、もッともなァ、ぎもんでスけどォ~」
「???がるるぐる!」(←訳:???だらけだね!)

 なぜ、どうして、を求めて一刻半(約3時間)。
 雪の川端で腹這いになっていた尚七さんに
 声が掛けられました。

 こんなところで、何をしているのだ――
 と問うたのは、
 鷹見十郎左衛門忠常(たかみ・じゅうろうざえもん・ただつね)さん。
 古河藩の、要職に在る御方です。

「ふァ? えらいィひとォ、でスかッ?」
「ぐるるるぅる!」(←訳:怒られちゃう!)

 いいえ、
 驚く尚七さんを、鷹見さんは叱ったりはしませんでした。

 不思議なもので、この出会いが
 尚七さんを新たな世界へ連れてゆくのです。
 下級武士の家に生まれた彼が
 知りようもない広大な世界へ。

「じだいはァ、おえどッ!」
「がるるぐる!」(←訳:しかも幕末!)

 学ぶ、識る、考える、
 呻吟しつつも、
 それを何より楽しむ尚七さんの姿に
 活字マニアの皆さまは共感をおぼえることでしょう。
 そして、平穏な日々に波が立ち、
 立場も住まいも変わり、
 それでも追い求める、
 六花の《なぜ?》。

「いつまでもォ、なぜッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:それが初心!)

 あくどい、とか、、あざとい、
 といった言葉からは対極にあるような、
 凛々しさにあふれた物語。

 時代小説好きさんも
 エンタなフィクション好きな御方も
 ぜひ、一読を♪



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