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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ひとひらの“王国” ~

2015-07-31 21:45:13 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァうゥ~、しちがつもォ、らすとォでスねッ!」
「がるる!ぐるるがるぐる!」(←訳:虎です!明日はもう8月!)

 こんにちは、ネーさです。
 7月最後となる本日の読書タイムは、
 さあ、あの人気作家さんの登場ですよ。
 こちらを、どうぞ~!

  



           ―― 過ぎ去りし王国の城 ――



 著者は宮部みゆきさん、2015年4月に発行されました。
 『The Castle of Kingdom Gone』と英語題名が付されています。

「おおォ! みやべさんのォ、ごほんッ!」
「ぐるるがるぐるるる~…」(←訳:しかもこの雰囲気は~…)
「ふぁんたじィ!」

 そうね、御本の題名も
 表紙画に描かれているお城の様子からも、
 きっと読み手さんは予想されることでしょう。
 
 やった!
 雄大な別世界を舞台にしたファンタジー小説だわ!と。

 けれど、そうは思っていない人が、ひとり――

「むゥ? それはァ?」
「がるるる?」(←訳:誰ですか?)

 他でもない、この物語の主人公である
 尾垣真(おがき・しん)くん。

 困り切った表情で尾垣くんが見詰めているのは、
 ちょっとばかり複雑な成り行きで
 彼の手許にやってきた一枚の絵です。

「わほォ! じょうずゥ、なのでスゥ!」
「ぐるるるがるるる?」(←訳:真くんが描いたの?)

 誰の手になる絵なのか、
 尾垣くんは知りません。

 エンピツ描きらしいこれは、
 デッサン画、というものでしょうか。

 画題は、お城。

 尖った塔がそびえ、ドームの周囲には彫刻が飾られ、
 バルコニーやアーチ形の窓も巧みに描き込まれていて、
 やけにリアルな。

 ……いや、リアルすぎるような。

「なんだかァ、へんッ?」
「がっるるるっ?」(←訳:こっこれはっ?)

 その絵から、絵の中から、
 風が吹いてくるのを
 真くんは確かに感じ取りました。
 樹木の香りがするのも、
 木立が揺れるのも、
 森の中を小道が通っているのも、
 感じ取りました。

   ――この絵のなかには、別の世界がある――

「わきゃッたでス! なるにあァ、でスねッ!」
「ぐるるるるがる?」(←訳:ナルニア国物語?)

 大きな衣裳タンスの扉を開ければ、
 そこは、偉大なライオンが統べる“もうひとつの世界”。

 同じようなことが真くんの身にも起きた、のでしょうか。
 
 絵に惹きつけられた真くんは
 のめりこんでゆきます。

 これはどういう世界なのか。
 ここには……誰かいる、のか?

「ううッ、だんだんッ」
「がるるっるるるー!」(←訳:怖くなってきたー!)

 いえいえ、
 ファンタジーであり、
 ゴシックロマンであり、
 ミステリの要素を持つSF作品でもあるこの御本は、
 怪談、とは違うようです。

 真くんの眼とこころが捉えた、
 お城の主(あるじ)の姿とは……?

「おうこくのォもちぬしはァ?」
「ぐる!」(←訳:誰だ!)

 夏休みの読書タイムにおすすめの一冊です。
 宮部さんのファンの方々、
 オトナもコドモも、ぜひ♪
 
 
 

キングたる者は。

2015-07-30 22:00:15 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 むむッ! きょうもォ、くろいィ~くもがッ!」
「がるる!ぐるる!」(←訳:虎です!雨雲だ!)

 こんにちは、ネーさです。
 今日も東京の空には、
 真っ黒な雨雲、激しい雨足、そして……怖いのは雷ですね。
 雷雲が近いぞ!と思ったら逃げ場をしっかり確保して、
 (耳栓もして?)
 さあ、読書タイムを、どうぞ~!

  



           ―― セレブの遺言書 ――



 著者はハーバート・E・ナスさん、原著は2000年に、
 日本語版は2015年7月に発行されました。
 英語原題は
 『Wills of the RICH & FAMOUS  A Fascinating Glimpse at the Legacies of Celebrities』、
 『あの有名人たちの意外な素顔』と日本語副題が付されています。

「……ゆいごんしょッ??」
「っるぐる?」(←訳:ってあの?)

 近年、日本でも作成する人が増えてきた、という遺言書。
 この御本は、題名からもお分かりのように、
 欧米の富豪&有名人(RICH&FAMOUS)さんたちの
 遺言書(Will)46例を集めた、
 ユニークな遺言評論書……というか、
 著者さんの『あとがき』によれば、
 
   “刺激的で面白い読み物”。

「でもォ、ゆいごんしょッてェ~…」
「がるぐるぅっるがるる?」(←訳:公開しちゃっていいの?)

 そこが、遺言書の作成が珍しくない欧米社会と日本の差でしょうか。
 
 検認裁判所で認められた遺言書は
 法的拘束力を有する、のですから、
 公文書のような扱いをされているらしいわ。

 英国のミステリには、
 サマセットハウス、という遺言書の内容を確認できる機関も
 しばしば登場しますしね。

 そうした歴史的背景もあって、
 富豪さんたちは書面で明確に指示します。

  わが財産の行方は――

「はらはらァどきどきィ!」
「ぐるるがる!」(←訳:波乱の予感!)

 あら、すべての遺言書が『犬神家の一族』みたいに
 トラブルを引き起こすわけじゃないのよ。

 妻に、子に、親族に、
 教育機関や慈善施設に、と
 ごくまっとうな遺言書を記した方々は、
 
 ピアニストのウラディミール・ホロヴィッツさん、
 俳優のハンフリー・ボガートさん、
 科学者のアルベルト・アインシュタインさん……。

 その一方で、
 うわあ~、とドン引きしてしまうのは、

 世界一の大金持ちと呼ばれたJ・ポール・ゲティさん、
 実業家のハワード・ヒューズさん他。

 また、う~むぅ、と唸らされるのは、
 フランク・シナトラさんかしら。

「それはァ、♪まいィうえいィ~♪のッ?」
「がるぐるがる?」(←訳:あの歌手さん?)

 歌手にして俳優、
 米国屈指のエンターテイナーであったシナトラさんの家族構成は、
 結婚を4回して、
 3人の子どもがいる大所帯でした。

 もと妻に、現在の妻に、
 子どもの誰それにいくらずつ分け与えよ、
 と遺言書上で指定しながら、
 《争議禁止条項》も付け加えます。

 つまり、
 異議申し立てするヤツには一文もやらんぞ!
 ってことね。

「ふァ~、いいきりましたでスねッ!」
「ぐっるるる!」(←訳:きっぱりと!)

 キングは、この世でもあの世でもキング。
 逆らう者を許さない、その迫力をひしひしと感じさせる
 《遺志》であり《意思》だわね。

 ひとりの人間が、
 社会、あるいは家族に対して
 どんな思いを抱いていたか、
 何を望むか。

 少々考えさせられたり、
 苦笑いさせられたりする、
 変わりダネなノンフィクションは……

 ひろ~いこころをお持ちの活字マニアさんに、おすすめです。
 
 
 

《繪本》で旅を。

2015-07-29 21:30:32 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もうすぐゥ、おぼんやすみィ~ですよッ!」
「がるるぐるがーるるぐる!」(←訳:虎です!旅行シーズンだね!)

 こんにちは、ネーさです。
 旅の愉しさ面白さなら、この御方に訊きましょう!
 本日の読書タイムは、おっと、いえいえ、、
 読書をサボっての展覧会情報は、旅の達人さんが主役ですよ~♪

  



            ―― 安野光雅の世界 ――



 東京都八王子市の八王子市夢美術館にて、
 会期は2015年7月31日~9月27陽(月曜休館、ただし9/21は開館し9/24が休館)、
 『空想と歴史物語そして風景』と副題が付されています。

「ふァいッ! あんのさんとォいえばァ~」
「ぐるるる!」(←訳:旅の絵本!)

  

 欧州や米国、
 のびやかな田園や海岸、
 喧騒の都会――旅で出会った風景を描き留める達人・安野さん。

 この展覧会では、
 安野さんの故郷・島根県津和野町の安野光雅美術館の協力を得て、
 初期の数字や文字を題材にした空想的な作品、
 ヨーロッパの風景画、
 近年に制作された歴史画などが展示されます。

  

「ぱずるゥ、みたいなッ♪」
「がるるるる!」(←訳:不思議な絵!)

  

「じだいしょくゥゆたかなッ♪」
「ぐるがる!」(←訳:歴史繪本!)

 安野さんの御本が大好き!持ってるわ!という方々も、
 できれば一度は原画を御覧になってくださいな。

 印刷されたものより、ずっと深い色合い……
 雄弁な、鉛筆の描線……
 画面に映える赤の絵具……。
 本物は、やはり本物なのです。

「かッこいいィんだからァ、もうッ!」
「がるるるぐるぅる!」(←訳:一目惚れしちゃう!)

 展覧会初日の7月31日には、
 津和野町立安野光雅美術館学芸専門員・廣石修さんによる
 ギャラリートークも予定されていますよ
 (午前11時~11時30分、費用は無料、ただし展覧会の観覧料が必要です)。
 多摩地域にお住まいの御方は
 ぜひお出かけを~♪
 
 



    さあでは、今回はオマケ画像でも、旅に出ようじゃありませんか♪
   
   『レディ・ボーデン』の国へ~!
   「ひゃはァ♪おいしィ~♪」
   「ぐるぐるがるぅ♪」(←訳:冷え冷えだよぅ♪)
    朝・昼・夕、三食すべてアイスクリームで。
    おやつタイムはかき氷で。
    っていうのは、ムリかしら……。



花鳥とりどり。

2015-07-28 21:43:17 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 なんだかァ~さみしィ~…!」
「がるる!ぐるがるる!」(←訳:虎です!断然寂しい!)

 こんにちは、ネーさです。
 ツール・ド・フランスが終わってしまい、
 スペイン版ツール《ブエルタ・ア・エスパーニャ》が始まるまで、
 約一ヶ月……その寂しさを埋めるべく、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらのヴィジュアル本を、どうぞ~♪

  



             ―― 江戸の動植物図譜 ――



 監修は狩野博幸(かの・ひろゆき)さん、2015年7月に発行されました。
 表紙デザインからもお分かりでしょうか、
 江戸期の画師さんたちが描いた動植物画満載の
 “眼福”な御本です♪

「はなやかァ~♪」
「ぐるるる!」(←訳:こまやか!)

 日本画にあまり興味のない御方も、
 伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)さんの名を
 耳にしたことはあるでしょうか。

 また、同時代の円山応挙(まるやま・おうきょ)さん、
 応挙さんの弟子である蘆雪(ろせつ)さんも、
 動物・植物を描いた作品の素晴らしさはよく知られ、
 大人気となっています。

「てんらんかいはァ、いつもォ~」
「が~るぐる!」(←訳:長~い行列!)

 応挙さん若冲さんたちは、
 現代でいう、ファインアート分野の画家さんたち。 
 
 他方、ファインアートとはちょっとだけ離れた分野で
 絵筆をふるっていた画家さんたちもいました。

 画家――というより
 一種の《観察家》と評すべき画師さんたちの作品が、
 動植物を細密に描写した図譜本です。

「むゥ! しゃじつゥ、でスねッ!」
「ぐるるる!」(←訳:リアルだ!)

 フランスにルドゥーテさんの『美花選』があり、
 米国にオーデュボンさんの『アメリカの鳥類』があったように、
 日本にも数々の図譜本がありました。

 18世紀、殖産事業を進める各藩が『諸国産物帳』を編纂したことが
 図譜制作のきっかけであった、と
 御本の冒頭には著されています。

 大名が自ら、
 或いはお抱え絵師さんたちが、
 アマチュアのナチュラリストさんたちが
 競うようにして刊行していったのは
 植物の図譜、
 鳥類の図譜、
 蟲類や、魚介類の図譜……。

「おはなッ、きれいィでス!」
「がるるぐるぐる!」(←訳:蝶々や象もいい!)

 プロの画家さんもアマ画家さんも
 緻密な描写に力を注ぎます。
 羽根一本、
 うろこ一枚、
 葉の反り具合に至るまで。

 御本の巻末近くでは
 翻車(マンボウ)ばかりを描いた
 『翻車考』(栗本丹洲さん著・文政8年=1825年)なる図譜も紹介されていて
 これにはびっくりするやら
 つい笑ってしまうやら♪

「いッさつゥ、すべてェ、まんぼうッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:世界初かも!)

 古風な言い方をするなら、博物学。
 その博物学と日本伝統の花鳥画の結実が、
 色彩豊かな、とりどりの図譜。
 
 江戸アート好きな御方は、
 ぜひ一読してみてくださいね。
 おすすめですよ~♪

 

 涙のランタン。

2015-07-27 21:50:56 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪おォ~しゃんぜりぜェ~♪」
「がるる!ぐぅ~るぅるるるる~♪」(←訳:虎です!オォ~シャンゼリゼ~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 2015ツール・ド・フランスの総合優勝は、
 クリストファー・フルームさん!(英国籍・チームスカイ所属)
 二度目の優勝おめでとうございます、フルームさん!
 そして、見事に完走した選手さんたち、
 スタッフさんたちに感謝をこめて
 本日の読書タイムは、さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  



          ―― 敗者たちのツール・ド・フランス ――



 著者はマックス・レオナルドさん、原著は2014年に
 日本語版は2015年7月に発行されています。
 英語原題は『LANTERNE ROUGE The Last Man in teh TOur de France』、
 『~ランタン・ルージュ~』と日本語副題が付されています。

「らんたんッてェ~??」
「ぐるるるぅ?」(←訳:何ですかぁ?)

 ランタン=Lanterne Rouge(ランタン・ルージュ)とは、
 『赤いランプ』、
 つまりは、赤いテールライト(尾灯)のことですが、
 ツール・ド・フランスで『ランタン・ルージュ』といったら、
 それは……

 ビリケツさん。

 最後尾の走者さん、
 すなわち、最下位の選手さんを意味しています。

「ふあァ~…しッぱォ~…」
「がるるるぐる~…」(←訳:いちばん後ろ~…)

 あら、カン違いしちゃ駄目ですよ。
 ランタン・ルージュは蔑称ではないんです。
 逆にね、ツールのファンさんたちからは愛されていて、
 けっこう人気の高い賞だったりします。

 だって、ランタンは、完走の証(あかし)!
 ビリと言われようがドベと呼ばれようが、
 とにかく走り切った!
 最終ステージの最後のゴールラインをちゃんと越えてみせた!
 それは讃えるべき偉業ですとも!

「ぱちぱちぱちィ!」
「ぐるる~!」(←訳:大拍手~!)

 ライターとして執筆活動をしている著者・レオナルドさんは、
 アマチュアのサイクリストさんでもあります。

 2011年7月、レオナルドさん、レースイベントに参加しました。
 そこは、わずか1週間前、
 ツール・ド・フランスに使用されたばかりのコースで、
 参加者一同、意気込んでスタートラインについたのですけれど……。

「わァッ、おおあめェでスゥ!」
「がるるる!」(←訳:悪天候だ!)

 風雨に襲われ、
 多くのイベント参加者さんたちが
 やむをえず途中で棄権。
 棄権者の中には、レオナルドさんもいました。

 自分に失望し、完走した参加者さんたちを羨みながら、
 レオナルドさんは想いを巡らせます。

    訊いてみたい。
    ランタン・ルージュを獲った選手に。
    最下位を貫き通して完走した理由を。
    自転車から降り、
    もっと楽で、
    苦痛を感じずに済む道を選ばなかった理由を。

「それはァ、やぱりィ~…」
「ぐるがる?」(←訳:意地かな?)

 ツール・ド・フランスに代表される
 ロードレースは、
 数多のスポーツに比べ随分と“変わっている”競技です。

 絶対的エースと、アシスト。

 アシストとは、
 チームのエース選手のため、ただ尽くすのみの役割。
 滅私奉公とでも形容すればいいのでしょうか、
 炎天下を飲料水のボトルや食料を運ぶために走り、
 エースの風よけのために走り、
 ときには楯(護衛)となって、走る。
 表彰台を目指すのではなく、
 自分以外の誰かのために、走って走って走って。

 けれど、尽くすことは喜びでもあります。

 選手さんによっては、
 あの人のアシストになりたい!という思いを抑えられず
 チームを移籍することもあるほどなんです。

「あしすとさんがァ~いるからッ!」
「がるるるぐるる!」(←訳:安心して走れる!)

 最初のランタン・ルージュとなった選手さんから、
 現代のランタン・ルージュ記録まで。
 世界最高峰の自転車競技の側面から
 レオナルドさんは読み取ろうとします。

 最後尾をゆく者の、こころの内を。

「ごーるはァ、とおいィ!」
「ぐるがるるるる!」(←訳:でも降りないぞ!)

 御本の日本語題『敗者たちの』には、
 どうか活字マニアの皆さま、
 惑わされないでください。

 近年、いっそうの公正さを期しているロードレース競技、
 ことにツール・ド・フランスに
 敗者なんているのでしょうか。

 彼らには、“勇者”であってほしい。




 
 
 

― 《銀幕》の手帖 ―

2015-07-26 21:40:22 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 みえたぞッ、がいせんもォーんッ!」
「がるる!ぐるるるぅー!」(←訳:虎です!パリだあぁー!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015ツール・ド・フランスも、今日26日が最終ステージ。
 現地時間を考えると、
 もうすぐゴール?セレモニーの最中?
 完走を遂げた選手さんたち、
 サポートしぬいたスタッフさんたちに拍手を送りつつ、
 よっしゃ、読書タイムも気合い入れて行きましょー!

  



           ―― モンゴメリー・クリフト ――



 著者は井上義照(いのうえ・よしてる)さん、2011年7月に発行されました。
 『エリザベス・テーラーの人生を狂わせた男』『挽歌への旅路』と
 副題が付されています。

 最近、映画関係のノンフィクションやフェス情報を
 たびたび御紹介しておりますが、
 この作品は……多くの《評伝》《伝記》とされる書籍の中でも
 ちょっと変わり種な一冊、と申せましょうか。

「ふむむゥ? かわッてまスかァ?」
「ぐるがるるる?」(←訳:どのあたりが?)

 著者の井上さん、
 プロの映画評論家さんではありません。
 けれど、独力で資料を集め、
 俳優・モンゴメリー・クリフトさんの生涯を、
 こうして、本にしてしまいました。

 その原動力は、
 若き日に映画館で目にした
 『陽のあたる場所』――

 1951年制作の、アメリカ映画です。

「わすれられないィ、さくひんッ?」
「がるるるるぐる!」(←訳:公開当時の衝撃!)

 『陽のあたる場所』は、
 モンティと呼ばれたクリフトさんの
 代表作とされる名作です。
 共演は、美しさの絶頂期にあったエリザベス・テイラーさん。
 いえ、美しさというなら、
 クリフトさんもまた
 絶世の美男さんでありました。
 
 そんな、“忘れ得ぬひと”は、
 フィルムの向こう側で実際にはどのような人生を、
 俳優としての日々を過ごしていたのか。

 井上さんは、ゆっくり、
 インタビューの記録や
 資料の断片をつなぎ合わせてゆき、
 やがて知ります。

 マリリン・モンローさんのそれに比肩する、
 クリフトさんの悲劇を。

「ひかりとォ~…」
「ぐるる!」(←訳:深い影!)

 クリフトさんを見舞った悲劇の詳細は、
 御本の本文で読み識っていただきたいので
 ここでこれ以上は記しませんが、
 できれば、ぜひ!
 クリフトさんの映画を観た後で
 読んでいただきたいと思います。

 私ネーさ、
 クリフトさんの出演作品全部を拝見してはいないのですが、
 『ここより永遠に』では
 鳥肌が立ちました……
 『終着駅』も、凄かったですよね……!

「えいがだいすきなァかたがたにはァ~」
「がるるるぐるぐるぅ!」(←訳:堪らない御本ですぅ!)

 クリフトさんの生涯を描くかたわら、
 もうひとり、
 エリザベス・テイラーさんという
 稀代の女優さんの“愛情”をも論じた評伝作品、
 一読してみてくださいな。
 おすすめですよ♪
 
 
 

~ 鳥が導く、星の世界へ ~

2015-07-25 21:37:01 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 けッせんのォひがァ、きましたでス!」
「がるる!ぐるがるーるる!」(←訳:虎です!最終ステージだ!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015ツール・ド・フランスは実質的な最終ステージを迎えようとしています。
 超難所ラルプデュエズの勝者は誰だ?
 そして総合優勝は?
 さあ、実況開始!……じゃなくて、
 週末の本日は、展覧会情報を、どうぞ~!

  



          ―― イーハトーヴの鳥たち ――



 東京都町田市の 町田市民文学館ことばらんど にて、
 会期は2015年7月18日~9月23日(月曜休館、ただし9/21は開館、8/13と9/10は休館)、
 先日は、宮沢賢治さんの世界を
 漫画家・ますむらひろしさんが描く企画展を御紹介いたしましたが、
 こちらは、《鳥》をテーマにした企画展です。

「けんじさんのォとりィ、といえばァ~…」
「ぐるがるぅ!」(←訳:これでしょ!)

  

 『よだかの星』、
 『二十六夜』、
 『銀河鉄道の夜』……

 この展覧会では、《鳥》が登場する賢治さんの作品を
 絵本や紙芝居の原画によって辿ります。
 また、鳥の特徴・習性がよく分かる図鑑の原画、
 バードカービングなども展示されますよ。

「それにィ、これもッ!」
「がるぐるるる!」(←訳:必見なのです!)

  

 ↑上の画像は、
 複製ではありますけれど、
 『銀河鉄道の夜』の原稿です!
 (宮沢賢治記念館提供)

 むむむ、見たい!
 賢治さんは『銀河鉄道の夜』を原稿用紙ではなく、
 手帳に書いた――と聞いたことがあります。
 これは、手帳の複写なのかしら?
 その手帳も、何度も書き直したために3冊ある、とか?
 とすると、これは何作(何稿)目の手帳なんでしょうか?
 見たいー!
 見て確かめたいー!

「おちついてッ、ネーさッ!」
「ぐるるー!」(←訳:静粛にー!)

 いえいえ、、私ネーさと同じ思いを抱く活字マニアさんが
 きっと大勢いらっしゃるに違いありません。
 
 夏休み期間中はワークショップやファミリーコンサートも予定されている
 《鳥》色の展覧会へ、
 観覧料は無料ですので、
 賢治さんファンの方々は
 お気軽に、ぜひ!
 



    では、オマケな画像も、気軽にパクリ~♪
   
   『明治』さんの
   《贅沢カカオのマーブル》!
   「ひやしてェ、ぱくりィ!」
   「がるるぐるる!」(←訳:贅沢な口溶け!)
   
   皆さま、睡眠不足と疲労には要注意です。
   ガンバリすぎると、熱中症につかまっちゃいますよ!
   休養第一で、どうか、穏やかな休日を。



ちょっとだけ、むかし?

2015-07-24 21:48:15 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 みあげるばかりのォ、いろはざかッ??」
「がるる!ぐるがるるる!」(←訳:虎です!崖に九十九折!)

 こんにちは、ネーさです。
 2015ツール・ド・フランス第18ステージは、
 えっ?ここを登るのぉ?と目を疑いたくなる坂&カーブの連続……
 それをまたグイグイ登り切っちゃう剛脚な選手さんたちに拍手です!
 明日(ていうか、ちょうど今頃?)も
 似たような激坂にアタックしてるのかしら~と、ただ呆れつつ、
 さあ、ここ日本では、読書タイムですよ~♪
 
  



              ―― 返事はいらない ――



 著者は宮部みゆきさん、単行本は1991年に、
 画像の文庫版(改版)は2010年に発行されました。
 著者・宮部さんにとって第2作目の短編集となるこの御本は、
 2015年のいま、読んでみると……

「ちょッぴりィ、れとろォ、でスよゥ!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:そこがいいんだ!)

 ええ、そうなんですよね♪
 物語の端々に登場する小道具、その名称、使い方も、
 小中学生の方々には、
 もう何が何だかさっぱり分からない?
 高校生さんだって、
 憶えてないなぁ?知らないなぁ?
 と困ってしまうモノがざくざく……。

 でも、それがまた、リアリティを高めてもいます。

 こういう時代が確かに在ったのだ、と。

「なつかしのォ~♪」
「がるる!」(←訳:20世紀!)

 単行本が刊行された1991年前後、の日本にあったもの――

 例えば、それは《伝言板》。

「えェ~とォ、でんごんばんッてェ~…」
「ぐるがる!」(←訳:駅の備品だ!)

 JR、私鉄、地下鉄などの駅の改札近くには
 伝言板というものがありました。
 おそらく、現在はもう絶滅してしまったそれは、
 文字通り、
 待ち合わせ相手に伝言を書いて知らせることが目的の
 “小型の黒板”だったのですが。

 篠原伸治(しのはら・しんじ)くんは、
 或る日、愕然とします。

「あッ! でんごんばんにィ!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:彼宛の書き込みが!)

 なぜ、どうして?
 ありえない――

 ええそう、伸治くん、
 週に一度、
 伝言板に伝言を書き入れていたのです。
 
 けれどそれは気晴らしのため。
 
 誰に宛てたのでもない、
 他愛ないといえば本当に他愛ない、
 息苦しい学生生活を支えてくれる、
 ささやかな創作伝言だったはず、なのに。

「わけわかんないィでスゥ!」
「ぐるるがるるるっ?」(←訳:伝言の返信者はっ?)

 返信者の意図は? 
 目的は?
 そして、
 伸治くんが見出した答えは――

 という展開の『ドルシネアへようこそ』や
 スリリングな表題作品『返事はいらない』、
 下町の住宅街の風景が見えてきそうな『聞こえていますか』など
 6編のミステリアスな作品が収録されているこの御本には、
 ほんのちょっと昔の《東京》が
 細部まで活き活きと描き込まれています。

「いぜんはァ、こうだッたのでスねッ!」
「なるほどねッ!」

 巨匠・宮部さんの御本にハズレはありません♪

 20世紀を知らない活字好きさんも、
 懐かしく思い出す活字マニア諸氏さんも
 本屋さんで手に取ってみてくださいね。 
 

 

~ 薔薇花、ふたつ ~

2015-07-23 21:50:01 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 うゥ~むッ?きまッちゃッたでスかァ?」
「がるる!ぐるるがるぐる?」(←訳:虎です!たぶん首位確定?)

 こんにちは、ネーさです。
 日本では大暑の今日……2015ツール・ド・フランスの総合優勝争いは、
 クリス・フルーム選手(英国籍、所属はチームスカイ)でほぼ決定か?
 と思わせる展開となっていますが……
 
「めげずにィ、めざせッ!」
「ぐるるがーる!」(←訳:パリのゴール!)

 2位以下の選手さんたちの奮起を予想しながら、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~!

  



         ―― マリリン・モンローと原節子 ――



 著者は田村千穂(たむら・ちほ)さん、2015年6月に発行されました。
 前回記事の、フィルムセンターの夏の特集上映情報に続いて、
 今回も映画ネタで行きますよ~♪

「もんろーさんッ??」
「がるるぐる?」(←訳:原節子さん?)

 マリリン・モンローさん(1926~1962)、
 そして、原節子さん(1920~)。

 おふたりとも、20世紀を代表する俳優さん、
 いえ、ここは敢えて女優さんとお呼びするべきでしょうか。
 いまなお、強大な影響力を持ち、
 その美を称える者が後を絶たない、
 不世出の《女優》さん、ですね。

「おふたりはァ、えェ~とォ?」
「ぐるるる?」(←訳:同世代人?)

 そうですね、
 モンローさん、原さん、ともに1920年代に生まれ、
 1960年代初めに映画界から去っている、
 という経歴は共通しています。

 原さんは御自身の意志で、
 一方、モンローさんはどうしようもない理由で。

 そのこともまた、
 おふたりをいっそう伝説化する結果を招き、
 かえって、

   モンローさんの映画を、
   原節子さんの出演作品を観たことがない、

 そんな方々が増えていると、
 著者・田村さんは御本の冒頭で嘆いています。

「ええェッ? みたことォ、ないィのでスかァ??」
「がっるるぐるー!」(←訳:もったいないー!)

 この御本では、
 モンローさんと原さん、
 それぞれの代表作を、
 公開された順にそって紹介してゆきます。

 マルクス兄弟の『ラブ・ハッピー』(1949)に
 ほんのチョイ役で登場するモンローさん。

「ほんとうにィ、ちょこッとだけッ!」

 同じ年、原節子さんは。
 小津安二郎監督作品『晩春』で、
 “スター”“演技者”としての評価を固めます。

「ぐるるがるぐっるるる!」(←訳:スチル写真かっこいい!)

 交差するはずもない、ふたりの女優さんの映画人生。

 しかし、短い活動期間に、
 ふたりともが美しい大輪の花を咲かせます。
 他の誰にも真似できない、
 その演技、その存在によって。

「たくさんのォ、ひとにィ、みてほしいィでスゥ!」
「がるぐるがる!」(←訳:偏見なしでね!)

 特に、モンローさんの作品をあまり知らない方々に
 この御本はおすすめです!
 あ、でも、先ずは映画をしっかり観て、
 それからこちらの御本を読む方がいいかしら?
 
「でスねッ!」
「ぐるるがる!」(←訳:映画を先に!)

 読む者に
 《美とは何か》《幸福とは何か》を考えさせてくれる
 硬派かつ真摯な映画評論書、
 映画好きさんに、
 活字マニアさんにもおすすめです。
 ぜひ、一読を♪



 
 

 

 

その顔を、声を、目線を、偲ぶ。

2015-07-22 21:41:45 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪あるぷすゥ~いちまんじゃくゥ~♪」
「がるる!♪ぐるるがる~♪」(←訳:虎です!♪小槍の上で~♪)

 こんにちは、ネーさです。
 違いますってば、そっちのアルプスじゃありませんてば。
 本場おフランスのアルプスで、
 2015ツール・ド・フランス後半戦の幕が切って落とされます。
 総合首位陣に変動は?
 大逆転はあるのか?
 最新の結果は……まだ出ていませんので、
 それまでしばしの読書タイム、
 じゃなくて、本日は映画の情報をお送りいたしますよ~♪

  



       ―― NFC 特集 逝ける映画人を偲んで 2013-2014 ――



 NFC(National Film Center 東京国立近代美術館フィルムセンター)にて、
 会期は2015年6月23日~9月6日
 (7~9月の休館日:月曜日、8/10~17、9/7~11、9/25、9/28~10/1)、
 『In Memory of Films Figures We Lost in 2013-2014』と英語題名が付されています。

「なつのォ、ふぃるむゥふぇすゥ??」
「ぐるるがるる!」(←訳:マニア向けだ!)

 2013年から2014年にかけて
 惜しくもこの世を去られた映画人さんたち――
 俳優さんたち、監督さんスタッフたちを偲んで、
 東京国立フィルムセンターでは
 追悼企画が開催されています。

  

「うんッ! けんさんでスねッ!」
「……がるっ?ぐるがるぐるる?」(←訳:……あれっ?その隣の御方は?)
「どなたァでスかァ??」

 ↑上の画像の、左側の男性は、三國連太郎さんだそうよ。

 まあ!
 若き日の三國さんは細身の美男さんなんだわ!と、
 私ネーさ、びっくりいたしました。
 このお写真は、
 木下恵介さん監督作品『善魔(1951)』からのスチル写真のようです。
 三國さんのデビュー作だったんですって!

  

 三國さん出演作品の選集上映は
 残念ながらもう終了してしまいましたが、
 7月下旬~8月にかけては
 大島渚さんの監督作品、
 山口淑子さん出演の作品など
 70作品(60プログラム)が上映されます。

  

 この特集企画、
 撮影監督の森田富士郎さんを偲んで『大魔神』、
 作画監督の角田紘一さんと
 声優の内海賢二さんを偲んで『マジンガーZ対暗黒代将軍』、
 黒澤さんの映画の撮影を担当した斉藤孝雄さんを偲んで『どですかでん』、と
 渋~い選択眼で構成されていて、
 20世紀映画のマニアさんは
 毎日通いたくなること必定!

「料金はァ、えェ~とォ」
「ぐるがるるる!」(←訳:大人520円!)

 NFCのHPで上映予定作品を調べたら、
 さあ、そこらのシネコンとは別の銀幕世界へ、
 ぜひ、お出かけくださいな。
 フルムセンターは、
 メトロ銀座線京橋駅から歩いてすぐ、ですよ♪



   
   さて、今回のオマケ画像は……夏ですから! 
   
   『カンロ』さんの
   《やわらか はちみつ梅》で♪
   「むひゅッ!すっぱィ!」
   「がぅるる!」(←訳:ちょい甘!)
   水分と適度な塩分補給で、
   熱中症回避です~!