テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

2012新春特別企画!《黄金色い依頼人》その2!

2011-12-31 23:30:06 | 2012も!新春特別企画♪
 さてさて、前回よりの続き、でございます。

 あかあかと燃える暖炉、
 テーブルの上の御馳走と、
 友人たちとの団欒と。
 今年こそ!
 ああ、今年こそは、穏やかに年を越せるものと思っていた、
 ここベイカー街で――

 名探偵テディちゃムズは、
 大晦日の夜に訪れた依頼人を目にして、
 まあ、びっくり!
 
   

「きらぴかッ、だねェッ!」

 シロクマのユキノジョン・H・ワトソン博士も、
「すごっ!」

 そして虎くんは、
「ぐるる~がるる~…?」(←訳:きみは~もしや~…?)

  

「そう!
 ぼく、ドラゴン!」

  

「どらごんッ!」
「ひゃあ! ほんもの!」
「がるるぐるぐる!」(←訳:龍なんだよねっ!)

 ええ、本物の龍。
 ドラゴン。
 名探偵テディちゃムズのもとへ、
 やって来たのは、龍なのでした。
 
 驚いたり、慌てたりしながらも、
 テディちゃムズは龍に椅子と紅茶をすすめます。
 それで、御用の向きは?
 『ひとを探している』とのことでしたが……?

「はいっ!
 ぼく、ダディを探してるんです!」

「だだッ? だでィッ??」
「それは、えーと、パパっ?」
「ぐるるぐるがるるる?」(←訳:お父さんドラゴン?)

「うん、実は……」

 ぽわわ、と溜め息の代わりに小さな炎を吐いて、
 ドラゴンくんは説明いたします。

 半年も前の出来事だったでしょうか。
 父ドラゴンは、
 端役ではありましたけれど、
 映画に出演するためロンドンへ行くと言って旅立ったきり、
 音信不通になってしまいました。
 ああ、ダディはどうしちゃったのだろう?
 今どこに居るんだろう?

「ふんふんッ? それはァ、なんていうえいがァなのォ?」

 ドラゴンくんいわく――
 《魔法使いクマリー・ポッター》!

  

 おお!《クマリー・ポッター》!
 世界的ヒット映画シリーズの最新作には、そういえば……

「あッたねッ、どらごんのォ、でてくるゥしーんがッ!」
「あのドラゴンさんが?」
「ぐるがるる?」(←訳:行方不明?)

 人探しならぬ、ドラゴン探し?
 名探偵テディちゃムズも、うう~む、と首を傾げます。
 
 クマリー・ポッターの物語のように、
 魔法の杖を一振りすればヒントが空から降ってくる、
 という具合にはゆきません。
 ドラゴンの習性は?
 ドラゴンが隠れそうな場所は?
 くまブリタニア百科事典“D”の項目に
 そういった情報は掲載されているでしょうか?
 
 重たい事典と格闘する名探偵テディちゃムズ!
 と、ドラゴンくんは、
 白い炎を、ぽふー!と噴いて 
 
「ヒントなら、ぼく、持ってますー!」

 
  ~その3!に続く!~
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2012新春特別企画!《黄金色い依頼人》その1!

2011-12-30 23:24:51 | 2012も!新春特別企画♪
 ゴォ~ン、ゴォ~ン……
 鐘が鳴ります、鐘が鳴る、
 2011年の暮れを告げる鐘の音を、
 ビッグベンが鳴らしております。

 今年も、やってまいりました新春特別企画!
 例の如く、
 霧けぶるロンドンのベイカー街に響くのは、
 ヴァイオリンの調べ……ではなくて。

  

「きゃぽォ~♪
 しゃんぱんッ、あけようッ!」
「よっしゃ、まかせろぉ!」
「がるるるぐるー!」(←訳:盛大にゆこうー!)

 ああ、やはり。
 名探偵テディちゃムズ、
 シロクマのユキノジョン・H・ワトソン博士、
 彼らの友人の虎くんです。

「いろいろォあッたァ、いちねんだけどォ、
 おおみそかァはッ、ちょびッとォ、ぶれいこうッ!」
「たのしくさわごう!」
「がるるぐるぐるる!」(←訳:御馳走もできたし!)

 そうです、12月31日――年越しの夜は、
 荘厳な雰囲気のクリスマスと異なり、
 賑やかに、陽気に過ごすのが西欧の風習です。
 
 ベイカー街の名探偵テディちゃムズの下宿では、
 焼きたての蜂蜜パン、
 良い香りのホットワインがテーブルで湯気を立て、
 今にも深夜のくまパーティが始まらんとするところ。

 しかし、そこへ。

「むむッ?
 よびりんのォ、おとッ?」
「だれだろうね、いまごろ?」
「がるぐるる~…」(←訳:もしかして~…)

  

 下宿の女主人ハドソンさんが応対する声がして、
 ほぅら、足音がいたしますよ!
 誰かが、ぎし、ぎし、と階段を昇ってくる音が。
 そして足音は、
 名探偵テディちゃムズの部屋の前で停まりました!

「テディちゃムズさん!
 テディちゃムズさん!
 お願いです!
 たすけてください!」

「うむむッ??」

  

「ぼく、ひとを探してるんです!」

 人探し!
 テディちゃムズの脳裏を今まで扱った数多の難事件がよぎりました。
 『クマ花婿失踪事件(未公開)』!
 『唇を曲げたクマ(未公開)』!
 『くまスクール事件(未公開)』!

 どの事件も複雑極まるものでした。
 もし名探偵テディちゃムズの活躍がなかったら……
 いえいえ、追想にふけっている場合ではありません!
 初動捜査は、迅速でなければ!

「わかりィましたッ!
 そのじけんッ、ひきうけましょうッ!」

 さあ、部屋にお入りなさい、と
 お客を招き入れてみれば――

「ふァ??」
「えええッ??」
「がるっ!」

  

 さあ、黄金色い依頼人の登場です!


   ~その2!に続く!~ 


 


 
 
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2011のBEST BOOKは何処に?その②!

2011-12-29 23:28:31 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 さあ、お待たせしました!……って、待っていて下さる奇特な御方はおられるのかしら?
 と若干の不安も感じつつ、
 始まりますよ!
 2011年のBEST BOOKは何処なの~?その②!
 テディちゃ、虎くん、用意はよろしくて?

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふァいッ! がんがんッゆくゥのでスゥ!」
「がるるー!ぐるるぐるがるがる!」(←訳:虎です!始まり始まりだよ~!)

 では、参りましょう!
 本日の②は、外国の作家さん編&アート系の2011BEST BOOKを、どうぞ!
 
「じゃじゃんッ!」
 
  

 画像の左側は、
 ユッシ・エーズラ・オールスンさん著『特捜部Q』!
 
 近年、日本へ怒涛の進出を遂げております北欧ミステリの、これは真打ち登場かも!?!
 デンマークを舞台に、中身は限りなくハードボイルド!

「ほくおうのォ、ちゃんどらーさんッ、でス!」
「がるるぐるがる!」(←訳:続巻も刊行されるよ!)

 シリーズ第一作『檻の中の女』以降の作品も刊行予定とのこと、
 楽しみですね!

 他には、まだご紹介していない作品なのですが、
 
 ケイト・サマースケイルさん著『最初の刑事』!

 デイヴィッド・ゴードンさん著『二流小説家』!

 それに、
 7世紀のアイルランドを舞台とする異色時代ミステリ小説
 ピーター・トレメインさん著《修道女フィデルマ》シリーズの各作品、

 ジェフリー・ディーヴァーさん著『ロードサイド・クロス』も素晴らしい!

 一方、ノンフィクション分野のおすすめBOOKは、
 
 レベッカ・スクルートさん著『不死細胞ヒーラ』!
 
「ネーさッ、あーとのォ、ごほんはァ?」

 はい、アート系の御本でおすすめなのは、
 画像右側、
 新人物往来社さんから刊行された《黄金時代の挿絵画家》シリーズを
 個人的に高~く評価いたします!

 『アーサー・ラッカムの世界』&続巻、
 『絵本画家 天才たちの競作集』、
 
 他には、
 
 海野弘さん著『おとぎ話の幻想挿絵』、
 同じく海野さん著『幻想の挿絵画家カイ・ニールセン』も
 マニアが涙する名品です~!
 
 また、レトロな香りの

 森英俊さん・野村宏平さん著
 『少年少女昭和ミステリ美術館――表紙で見るジュニアミステリの世界』!

 昭和の出版文化を総括する勢いの超力作ですね!
 
 さて、ラストは、こちら~!

  

 朽木ゆり子さん・前橋重二さん著『フェルメール巡礼』!

「ふぇるめーるさんッ!」
「がるるぐるぐる!」(←訳:北欧の巨匠さんだ!)

  

 2012年は《フェルメール・イヤー》になりそうです!
 その理由は……ふっふっふっ、
 お正月明けに、御紹介いたしましょう~♪

「みなさまッ!
 おいそがしィなかァ、ごほうもんッありがとうございまスゥ!」
「がるるぐるがるぐるるがる!」(←訳:本当にありがとうございます!)

 駆け足の御紹介となりましたが、
 年末年始の休日、
 読書タイムを愉しみたいわ!という方々の
 参考にしていただければ幸いです。

 次回よりは、
 一年分の感謝と御礼の気持ちをこめて??
 新春特別企画!をお送りいたします。
 どうかお付き合いくださいませ~!
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2011のBEST BOOKは何処に?その①!

2011-12-28 23:31:22 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 12月も28日になってしまい、ずずずぃっと押しつまってまいりましたね。
 デパートやスーパーの食品売り場は、お正月用の御馳走尽くしだわ♪

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 もッふゥ! たべるぞォ、おせちィ~♪」
「がるる!ぐるるがるぐるるる~!」(←訳:虎です!ボク凧揚げしたいな~!)

 はいはい、おせちも凧揚げもよろしゅうございますが、
 その前に!
 今年もやります!
 2011年のBEST BOOK探し~!
 まずは~……じゃじゃん!
 
  

「おォッ? これはァ~!」
「ぐるがるぐるっ?」(←訳:いきなり漫画っ?)

 そうです、いきなり漫画です!
 ↑上の画像は、
 『銀の匙 Silver Spoon』1巻&2巻!
 著者・荒川弘さんが生命の深遠を描いた名作『鋼の錬金術師』に続いて送り出したのは、
 こちらも生命の在りかたを問う斬新な酪農青春グラフィティ!
 笑いというリボンでラッピングされた中に、熱い農業高校魂がこもってます!

 お次は、こちら~!

  

「あはッ♪ おふろやさんッ!」
「がるがるがるぐる~!」(←訳:こっちも熱いよ~!)

 先日ご紹介したばかりの、
 ヤマザキマリさん著『テルマエ・ロマエ』!
 日本人が愛してやまぬもの、それは……お風呂!
 お風呂なくしては夜も日も明けぬ我々ジャポネの本性がここに!

「いいィ~ゆゥだなッ♪」
「がるぐるるる!」(←訳:温泉LOVE!)

 さて、ここからは、いよいよBEST BOOK小説編です!
 こちらも御紹介して間もない作品ですが……

  

 三浦しをんさん著『舟を編む』!
 井上尚登さん著『ブンデスの星、ふたたび』!
 辞書という大船に乗って、
 比類なく美しいゴールを求め、
 エンタの王道を、いざ進め!

「たのしさァ、ほしょうつきィッ♪」
「ぐるるがるがるる!」(←訳:いわゆるテッパン!)

 他にも、もちろん、素晴らしい作品はた~くさんありますよ!
 
 宮崎駿さん著『本へのとびら』!

 北村薫さん著『飲めば都』!

 万城目学さん著『偉大なる、しゅららぼん』!

 近藤史恵さん著『サヴァイヴ』!

 宮部みゆきさん著『ばんば憑き』!

 ことにおすすめなのは、宮崎さんの『本へのとびら』でしょうか。
 宮崎さんが震災後に感じた失望、幻滅、悲しみ、そして希望……。
 派手な御本ではありませんけれど、
 ロングセラーになる!と確信を抱かされる一冊です。

「うむゥ! おおぜいのひとにィ、よんでほしいィッ!」
「がるがるるるぐる!」(←訳:挿絵も見てほしい!)

 さあ、ではいよいよ、発表いたしましょう!
 私ネーさの、個人的嗜好による2011年のBEST BOOKは――

 小川洋子さん著『人質の朗読会』!

 説明や解説は、敢えて、いたしますまい!
 長く、長く、読み手の記憶に残る、
 忘れがたい、或いは忘れようにも忘れられない痛みと、
 淡く幽かな光に満たされたものがたり……。

 未読の活字マニアさんは、とにかく、読むべし!

「よまなくちゃッ、でスよゥ!」
「がるるるぐるるるがるるる!」(←訳:じっくりゆっくり、読んでね!)

 次回の2011BEST BOOKは何処に?②では、
 外国人作家さんの作品と
 アート系作品のBEST BOOKを御紹介いたします。
 気楽にお付き合いくださいね~♪

「いそがしィとしのせもォ~!」
「がるるるぐるがるるぐる!」(←訳:やっぱり読書タイムで!)
 
 
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ピッチに、星よ輝け!

2011-12-27 23:18:01 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ふうぅぅ~…今日はトンでもなく忙しい一日でした。
 こんな日は、熱いコーヒーでも淹れて、のんびりと……

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 のんびりィおやつゥ、でスかッ♪ わくわくッ♪」
「ぐるる!がるるーがるがるぐる♪」(←訳:虎です!のんびりケーキもいいな♪)

 えへん、もちろん、
 コーヒー片手にのんびり読書タ~イム、ですわよ。
 ネーさ同様、ホッと一息つきたいな~とお考えの活字マニアさん、
 さあ御一緒に、こちらを、どうぞ~!

  



               ―― ブンデスの星、ふたたび ――



 著者は井上尚登さん、2011年11月に発行されました。
 『ホペイロ坂上の事件簿 J1篇』と副題が付されています。
 『ホペイロの憂鬱』
 『幸せの黄色いフラッグ』に続き、
 プロサッカーチーム《ビッグカイト相模原》のピッチ内外での闘い?を描く
 人気スポーツミステリ第三作ですよ~!

「ふォるつァ!びッぐかいとォ!」
「がるる~!ぐるがる~!」(←訳:ゴ~ル!走れ走れ~!)

 と、応援の声がかかるのも無理はありませんね。
 副題に『J1篇』とありますように、
 このたび目出たく、《ビッグカイト相模原(さがみはら)》は、
 J1へ昇格の運びとなりました!
 おめでとう、ビッグカイトのイレブンさんたち!
 スタッフさんもサポーターさんも!

「よかッたでスねェ~♪」
「ぐるがるがるるるぐる~♪」(←訳:頑張った甲斐があったよね~♪)

 お祝い気分は、はい、そこまで!
 昇格です!J1です!
 つまり……強豪チームとの激闘がチームを待ち受けているんです。

 J2での苦しみも汗も、J1で戦いたかったからこそ。
 強豪チームに、勝ちたい!
 そして、いずれは……日本一に、なりたい!

「でッきゃいィゆめェ、でスねッ!」
「がるるぐるぐるるるがる~!」(←訳:夢は大きい方がいいのさ~!)

 とはいえ、先ずは、J1で生き残ることが目標、でしょうか。
 《相模原ビッグカイト》の前に立ちはだかる
 アウェイの洗礼を撃破しなくては!

「でもォ、もんだいィはァ~」
「がるがる!」(←訳:戦力不足!)

 そうなのよね、
 チーム側もその点は分かっていて、戦力の補強を試みます。
 
 表題作『ブンデスの星、ふたたび』では、
 本場ヨーロッパ――
 ドイツのブンデスリーグで活躍していた伊藤隆俊(いとう・たかとし)選手が加入、
 即戦力になる!と皆は期待していたのですが、
 どうも調子が上がらないらしくて……?

「けがァ、でスかァ?」
「ぐるがるかな?」(←訳:練習不足かな?)

 ブンデスの星は光を失ってしまったのでしょうか?
 ここ《ビッグカイト相模原》で、
 伊東選手は輝きを取り戻せるのでしょうか?
 チームの雑用係兼探偵・ホペイロ坂上(さかがみ)くんの推理は――

 日本の女子サッカーが世界一になった記念の年、
 先日のバルサのメッシ選手の華麗なプレーに酔っぱらっちゃった~という
 スポーツ好きの活字マニアさんには
 なんとしても読んでいただきたい連作ミステリです。
 ホペイロって何なの??という初心者さんも、
 出来ればシリーズ第一作から、臆することなく一読を!
 
「おうえんしてねッ、びっぐかいとッ!」
「がるるるぐるぐるるーがるるる~!」(←訳:新ユニフォームの日本チームにも応援を~!) 

 
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言の葉で、帆を高く。

2011-12-26 23:40:45 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 ふぅ~…クリスマスツリーが街から一気に消えてしまうと、
 ちょっと寂しさを感じますね……。

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ネーさッ! かんしょうてきにィ、なッてるひまはァ、ないィのでス!」
「ぐるる!ぐるがるがるるるがる!」(←訳:虎です!年末だよ歳末だよう!)

 あたふたと忙しい歳の瀬になっちゃいましたが、
 ふっふっふっ、
 そんな時こそ悠然と、のんびり読書タイムを敢行いたしましょう♪
 本日は、こちらを、どうぞ~!

  


 
               ―― 舟を編む ――


 
 著者は三浦しをんさん、2011年9月に発行されました。
 筋金入りの活字マニアの皆さまは、とうに御存知でしょうね、
 大人気作家・三浦さんのこの御本は、
 私たちにとって馴染み深~い『アイツ』が主人公です!

「あいつゥ??」
「がるぐるっ?」(←訳:誰のことぉ?)

 『アイツ』は、
 通常やたらと分厚くて、重たくて、
 間違って足の爪の上にでも落としたら大惨事が発生します。
 置き場所にも困るし、
 お値段は決して安くないし、
 でも気に入ると手離せなくなる……
 
 そんな、憎いアンチクショウの名は……

 辞書。

「ふァ~、じしょッ!」
「ぐる~がるるる~!」(←訳:あれは重いよね~!)

 そう、《主演》を《辞書》とするならば、
 《主演》者を引き立てるため、
 奮闘するのが《助演》者さんたち。
 どっしり構える主役の横で、
 振り回されるのが脇役さんたちの宿命です。

 大手総合出版社・玄海(げんかい)書房の、
 荒木公平(あらき・こうへい)さんも、
 そんな宿命を背負った人間のひとり。
 荒木さんは出版社員としての人生を、いえ、ものごころついてからの日々すべてを、
 辞書に埋もれて過ごしてきました。

 玄海書房の辞書編集部に所属する荒木さんは、
 しかし、いま焦燥に駆られています。

   定年が、間近い。
   私の後任となる辞書編集者を探さなくては……!

「それはァ、ぴんちィッ!」
「ぐるがる!」(←訳:難問だね!)

 ええ、難問です。
 辞書の編集作業は、単行本や雑誌とは異なる、
 とても特殊な世界なのです。
 
 玄海書房の新辞書、
 『大渡海(だいとかい)』の編纂を託するに価する辞書編集者のタマゴを求め、
 社内を彷徨った荒木さんは、
 これだ!と思われる人物を発見しましたが……

   はあ?
   編集部員ではない?
   営業部の人員?
   マジメくん?

「またしてもォ、ぴんちィ!」
「がるる!」(←訳:不安だ!)

 当初は不安を覚えた荒木さんでしたが、
 マジメこと馬締光也(まじめ・みつや)くんに
 『大渡海』を任せることを決心します。
 彼なら、きっと!
 やってくれる!と。

 でも、
 馬締くんが踏み込んだその世界は、荒れる海のよう――
 言語の奔流をも乗り切れる『舟』、
 『言葉の海を渡る舟』を
 玄海書房辞書編集部の人びとは、
 はたして編み上げ得るのか否か……

「おおきなァ、ふねがァ、いいなッ♪」
「ぐるぐるがる!」(←訳:頼れる舟がね!)

 書物を愛し、
 言葉を愛する活字マニアさんならば、
 こんな御本を待っていたのよ!と喝采したくなる快作です!
 個人的には、
 辞書のための『究極の紙作り』のくだりに
 爆笑いたしました♪
 こんなステキな『紙の舟』なら、言葉の大海も余裕で渡れそうです!

「おーるもォ、つくろうッ!」
「がるぐるぐるるる~!」(←訳:舵も忘れずに~!)

 『舟』の完成を信じて、
 さあ、ぜひ乗船切符を!
 
 
 
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すべてのお風呂は、彼のために。

2011-12-25 23:21:18 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、楽しい連休を過ごされましたでしょうか?

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 さむさむゥのォ、れんきゅうでしたでスゥ!」
「がるる!ぐるぐるるるがるる!」(←訳:虎です!各地で大雪ですって!)

 ぶるぶる寒波に見舞われているこんなときには、
 北風も大雪も吹き飛ばしてくれちゃうパワフルな御本に登場していただきましょう。
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  


 
             ―― テルマエ・ロマエ Ⅳ ――


 
 著者はヤマザキマリさん、2011年12月に発行されました。
 2012年GWには実写映画が公開予定!
 TVではアニメも!
 既にWebでは映画予告編も公開!
 言わずと知れた好評&絶好調の驚愕お風呂コミック第四巻ですよ~!

「でたなッ、るしうすッ!」
「ぐるがるるるがるるる!」(←訳:ヘンテコお風呂マニア!)

 はいはいはい、ルシウスさんはオバケじゃないんですから~、
 お手柔らかに~。
 でも、発売日の朝刊一ページ分を独占しての大広告には
 びっくりしましたね。
 
 んまあ、ルシウスさん! 
 メジャーになったわ!
 
 時代と空間を超え
 古代ローマと現代日本のお風呂を往復するヘンタ……いえ、おほん、
 へんちくりん浴場設計技師さんは、
 ここ、第Ⅳ巻に到り、
 陰ながら大ローマ帝国の屋台骨を支える優れた人材となりました!
 皇帝さまの信頼厚く、
 それでいながら謙虚で誠実、
 ミステリアスな《平たい顔族》から学ぶべきは学び、
 しっかりモノにしてローマへ帰る……!

「がんばりやさんッ、ですねッ!」
「ぐるがるるぐる~♪」(←訳:努力家なんだよ~♪)

 どういった偶然か特異体質なのかは不明ですけれど、
 浴場設計技師ルシウスさんが
 時空間をワープし、
 現代日本のお風呂を訪問できるのは、
 最長で半日程度、
 というのが第Ⅲ巻までのストーリーでした。
 ルシウスさん自身は、
 この国に留学したい!とさえ思うのですが、
 思い叶わず、
 気付けば古代ローマにトンボ帰りする《弾丸タイムトラベラー》の日々……。

 が、この第Ⅳ巻では、なんと!
 弾丸ツアーにフリータイムが加味されたようです!
 
「ふりーたいむゥ??」
「ぐるがるがる!」(←訳:自由時間だね!)

 こうなればいいな~と望んではいたものの、
 いざ現実になってみると、
 私たちは、
 そしてルシウスさんも、
 焦ったり困ったりオロオロするのが通常の反応です。
 さあ、異国の地での予定外のフリータイム、
 ルシウスさんは、どんなオプショナルツアーを申し込むんでしょう?

 名所旧跡めぐり?
 人気のレストランへ?
 それとも……恋の花咲くデートコース漫遊?

「むむッ! まさかァ、るしうすくんはッ!」
「がるるるるぐる!」(←訳:ホントに予想外な!)

 著者・ヤマザキさんのエッセイも痛快な、
 お風呂ファイター・ルシウス技師の新たな冒険、
 全活字マニアさんにおすすめです!
 2012年1月には、
 ルシウスさんをモデルにしたフィギュアも発売されるそうですから、
 そちらもまた怖い、いえ、楽しみですね~♪

「すべてのォ、おふろはァ~」
「ぐるがるがるぐるる!」(←訳:ルシウスのために存在す!)
 
 
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We wish~♪

2011-12-24 21:43:14 | くま
  

  ♪We~♪We~♪

  

  ♪We wish~♪

  

  ♪We wish you a Merry~♪

  

  ♪♪We wish you a Merry Christmas~♪♪

 

  

「きょだいィくつしたァッ、じゅんびィかんりょうッ!」
「がるるるぐるがるるるるぐるがる~!」(←訳:サンタさん、ボクたち全力で待ってます~!)

 皆さま、楽しい聖夜を!
 Merry Christmas!

 
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お屋敷は、カラクリ三昧!

2011-12-23 23:25:35 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 今日も遭遇しましたよ!
 こちらの熱烈営業中キャラちゃんは……

  

「むッ?
 こんにちわッ、テディちゃでス!
 みえないィ!ネーさッ、みえないィでスよゥ!」
「がるる!ぐるがるがるぐるー!」(←訳:虎です!ボクにも見えないよー!)

 はいはい、待ってて下さいね、2枚目の画像は……じゃじゃん!

  

「あッ!」
「ぐるっ!」

  

「ちぇぶゥちゃんだァ!!」
「ぐるるーがるがるるぐる!」(←訳:チェブラーシカちゃん!)

 ええ、そうで~す♪
 可愛いチェブラーシカちゃんが、
 私たちの地元、東京・八王子の東急スクエアというお買い物スポットに
 やって来てくれたんですよ~♪
 すごい人気です、チェブちゃん!
 チェブちゃんの周囲は黒山の人だかり~!

「おあいできてェ、うれしィでス!」
「ぐるるー!」(←訳:ステキー!)

 さあ、チェブちゃんが運んできてくれた熱気も一緒に、
 クリスマスシーズンど真ん中の今日も、読書タ~イム!
 本日ご紹介いたしますのは……ハートウォーミングストーリー?
 涙ほろりな感動巨編?
 それとも……↓こ~んな御本でしょうか?

  


 
             ―― ミドリさんとカラクリ屋敷 ――


 
 著者は鈴木遥さん、2011年5月に発行されました。
 今年、大いに評判を呼んだノンフィクションですから、
 もう読んだぞ~!という活字マニアさんも大勢おられることでしょうね。

「……からくりィやしきィッ??」
「がるるぐるるる?」(←訳:忍者のお屋敷なの?)

 忍者のお屋敷がありそうなのは伊賀や甲賀の山里ですが、
 ミドリさんのお屋敷があるのは、神奈川県です。
 いえ、ミドリさんは風魔一族の末裔、でもありませんよ。
 そもそも、著者の鈴木さんが出会ったのは――

  電信柱。

 とある昼さがり、
 湘南の海岸から程遠からぬ住宅街で
 自転車を走らせていた鈴木さんは、
 気付いてしまったんです。

  あの電信柱……変じゃない?
  
  どうして民家の屋根から電信柱が突き出ているの?

「ふァ? ほんとォにィ??」
「がるーるぐるる!」(←訳:シュール過ぎる!)

 なぜコンクリート製の電信柱が?
 なぜ家の屋根に?

 目の錯覚、ではありません。
 御本の表紙写真には、写っていますよね、問題の電信柱が。

 あまりの衝撃に、鈴木さんの記憶に電信柱のお屋敷は
 しっかりと刻まれることとなりました。
 何度も繰り返し、そのお屋敷を見に行くうち、
 鈴木さん、とうとう意を決します。

  訪ねてみよう!

  この御屋敷には、どんな人が住んでいるのか?
  知りたい!

「おやしきのォ、なぞッ!」
「ぐるるぐるがるぐる!」(←訳:ボクらも知りたいよ!)

 そうして出逢ったのが、ミドリさん。
 電信柱付き御屋敷が生まれた経緯を知ることは、すなわち、
 ミドリさんの生涯を知ること、でもありました。
 
 ミドリさんの生い立ち。
 お屋敷と電信柱とカラクリと、
 そこに暮らす人びとのものがたり――
 まるで、日本の近代史を学び直すかのような。

「おやしきもォ、そこにィすむひともォ、ふしぎィッ!」
「ぐるるるるがるがるる!」(←訳:不思議は呼び合うんだよ!)

 昔むか~しから、ヒトを魅了する《建築》というもの。
 建築大好き!なアート系活字マニアさんに、
 カラクリ大好き♪ノンフィクション大好き♪な御方にもおすすめの一冊です。
 年末年始の休日にでも、ぜひ~!

「にんぽゥッ、このはがくれッ!」
「ぐるがるる!」(←訳:水遁の術!)

 忍術マニアさんも……お読みあれ!
 
 
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そのドアには《Q》。

2011-12-22 23:35:31 | ブックス
 こんにちは、ネーさです。
 冬至の今日は……じゃじゃん!

  

 知人さんから、ユズをいただいちゃいました♪
 画像はごく一部で……小さなダンボール箱に一杯の大漁、いえ、大量ユズです!

「こんにちわッ、テディちゃでス!
 こうなッたらァ、まいにちィ、ゆずゆッ!」
「がるる!ぐるぐるぐるがる!」(←訳:虎です!お肌つるピカだね!)

 湯冷めしないようムクムクに着込んだら、
 さあ、年末の忙しさにもメゲず、読書タ~イム!
 本日は、久々の重厚ミステリを、どうぞ~!

  


 
           ―― 特捜部Q ―檻の中の女― ――


 
 著者はユッシ・エーズラ・オールスンさん、原著は2008年に、
 日本語版は2011年6月に発行されました。
 著者のオールスンさんは、デンマークのコペンハーゲンに生まれた御方で、
 欧州では既に人気のミステリ作家さんです。
 この御本の、どこか意味深な題名は……

「うるとらァきゅうゥッ?」
「がるっぐるがるっ?」(←訳:えっ?特撮なのっ?)

 ……誰かがそう言い出すだろうと思っていましたが、
 違います!
 特捜部Qは、宇宙怪獣や怪現象と闘う組織ではありません。
 迷宮入り事件を扱うコペンハーゲン警察内の特殊部署です。

 多くの人員を投入し、
 捜査を行ったのにもかかわらず、
 犯人を逮捕するには至らなかった《未解決案件》。
 特捜部Qは、そんな未解決の事件を再捜査し、解決するため
 ……というか、政治的な思惑が発端となって、
 コペンハーゲン警察本部に新設された部局なんです。

 特捜部のボスに任命されたのは、
 カール・マークさん。
 ベテランの刑事さんで、現在の階級は警部補、なのですが……

「うむッ!
 ゆうしゅうゥなァ、けいじさんッ、でスかッ」
「ぐるるがるがるぐるる?」(←訳:もしやいずれは所長さん?)

 いえ、それがカールさんときたら。
 捜査中に負傷した後遺症なのでしょうか、
 職場に復帰しても同僚さんたちと上手くゆかず、
 周囲から孤立しています。

 そこで、上司さんたちは
 特捜部の設立を口実に、
 捜査課からカールさんを追い出してしまったのでした。

「ひどいィッ! それはァ、ひどいィでスゥ!」
「がるるぐるる!」(←訳:パワハラだよ!)

 特捜部に割り当てられたのは、
 地下の、薄暗く、まともな備品もない部屋。
 いえ、備品はないのですけれども、
 ちょっと変わった《助手》なら居ました。

 アサドと名乗る彼は、
 実際は雑用係、のはずなのですが。

 地下の部屋でのんびり、ぐったり、暇を囲っているカールさんの日常に、
 アサドさんはぐいぐい食い込んできます。
 部屋の備品を揃え、
 機械の配線をし、
 ついには《事件》まで調達してきちゃうんですから、
 やる気を失っているカールさんには堪りません。

  オレが迷宮入り事件を再捜査?
  冗談だろぉ?

 けれど、
 熱意って、伝染するものなのです。

「ふァ~、うつりましたかッ♪」
「がるるがる!」(←訳:伝染ったね!)

 強風の前にかき消される寸前だったカールさんのやる気――刑事の魂は、
 アサドさんを連れての捜査するうち、
 いつしか、再び火力を増し、燃え上がってゆきます。
 
 未解決のまま放置された事件……
 そこには、何があった?
 何が起こったのか?

 過去の事件を再検証する安楽椅子探偵の要素と、
 再捜査に駆け回るアクティブな場面、
 カールさんの抱える葛藤、
 警察内部の摩擦を描きながら、
 なおかつユーモアも忘れない刑事物語は、
 今年翻訳紹介されたミステリの中でも際だって素晴らしい作品です!

 外国のミステリはあまり読まないんだけど~という御方も、
 ぜひ一読を!
 
「えいがになるッてェ、うわさもォ、ありまスゥ!」
「ぐるるがるがるる!」(←訳:カールさん大人気!) 

 続編が待ち遠しくなる逸品、おすすめですよ~♪


 
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