(……ぶつ、ぶつ、ぶつぶつぶつ……)
「わォッ!
ネーさッ、せんせィでス! せんせィがァ、きたでスよッ!」
そうですね、テディちゃ。
御本の中から聞こえるブツブツは、あの御方が到来されたしるし!
さあ、前回に続いての御紹介は、こちらです! どうぞ~!
―― わらしべ長者、あるいは恋 ――
著者は服部真澄さん、’08年11月に発行されました。
『清談 佛々堂先生』から4年、
あの佛々堂先生が帰ってこられたのです!
「ようこそッ、おじちゃんせんせィ~ッ♪」
関西きっての数寄者にして、
諸芸全般に通じ、その審美眼は伝説的!
あらゆる美術商・骨董商さんたちも、
先生の前では、ははぁ~っと、ひれ伏してしまうのです。
「ふァいッ!
せんせいはァ、へんてこだけどォ、すごいィのだッ!」
《平成の魯山人》とも称される佛々堂先生、
この御本では……おや? ちょっと様子が違いますね?
第一作『清談 佛々堂先生』では、
どこか高みから
《美》にまつわる騒動を眺めていたようでもあった佛々堂先生、
この第二作では自ら渦中へ飛び込みます。
愛用のボロいワンボックス車に、
玉石混合、いえ、眼を持つ者にとっては玉石ばかりの荷物を
詰め込めるだけ詰め込んで、
奈良へ、金沢へ、島根へ、小豆島へ、
えいさ、ほいさ、と、
「あくせるゥ、ぜんかいィッ!
きゃぽォ~~ッ♪」
先生、いったい何のためにそんなことを?
蒐集家の、欲ですか?
数寄者の、矜持ですか?
いえ、そうではないようです。
佛々堂先生は美しいものがお好きなのですが、
美しい心にも、つい、動かされてしまうんです。
おそらく、先生の真の姿、その正体は――
《美の審判者》ではなく、
《美の神さまの使い走り》!
「……おじちゃんせんせィ、ぱしりィ、なのッ??」
今日も佛々堂先生、
《美》のために、
《美の神さま》のために車を駆ります。
或いは、もしかしたら……淡い恋心のため、にも。
「おォ! それでこそォおじちゃんッ♪」
第一作よりさらに突き抜けた
佛々堂先生の《美》探求探索放浪記、
4篇の物語には《謎》と《博識》がてんこ盛り!
ミステリ好きさんに特にお勧めしたい快作ですよ♪
茶道に興味がある御方も、ぜひ!
「おじちゃんせんせィにィ、でしいりィしがんッ!」