テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 300歳の記念に ~

2016-04-30 21:54:12 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ……そろそろォ、でスかッ?」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!そろそろだね!)

 こんにちは、ネーさです。
 くまモンくん、ついに沈黙を破るのか?
 小山薫堂さん(くまモンくんのパパ)と嵐の皆さんが
 5月1日午後8時53分から熊本の民放4局で
 熊本の皆さんに向けた60秒の応援メッセージを放送するそうです。
 
「しんぶんしゃもォ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ラジオ局も賛同!)

 どんなメッセージなんでしょう?
 どんな映像が使われるんでしょう?
 そのニュースをまた心待ちにしながら、
 さあ、本日は読書をサボって展覧会情報の日ですよ。
 こちらを、どうぞ~♪

  



            ―― 若冲 展 ――



 東京・上野の東京都美術館企画展示室にて、
 会期は2016年4月22日~5月24日(5/9は休室)、
 『The 300th Anniversary of his Bierth:Jakuchu』と
 英語題名が付されています。

「おおォ~! はではでッ!」
「がるるぐる!」(←訳:華やかだよ!)

  

 ↑チラシ(フライヤー)のデザインにも
 チカラが入っていますね。
 
 若冲さんの代表作『老松白鳳図』と『群鶏図』が――

「どォーんッ!!」
「ぐるぅ!」(←訳:強力ぅ!)
 
  

 伊藤若冲さん(1716~1800)。

 もはやあらためて御紹介するまでもない、江戸絵画の巨人さん。
 
 そして、今年2016年は、
 若冲さん生誕300年となるスペシャルイヤー!
 
 生誕300年記念となるこの展覧会では、
 若冲さんが京都の相国寺さんに寄進した《釈迦三尊図》と
 《動植綵絵》30幅が一堂に会します。
 これは、東京では初のことなんですよ。

  

 既に、東京を中心とする関東圏では、
 毎日のようにTVで特集番組が放送され、
 新聞雑誌には若冲さんの記事が掲載され、
 駅のポスターにも若冲さんの作品が、という状態です。

 私ネーさも上野に出陣したい!のですが
 ……混んでるわよねぇ、きっと。

「それはァ、もちろんッ!」
「がるぐるぅ!」(←訳:行列ですぅ!)

 行列?
 そんなもん、屁のカッパよ!と自負するアート好きさんは、
 ぜひ、東京都美術館へ!

 なお、注意していただきたいのは、
 期間中に展示替えがあること
 (5月10から一部展示作品を入替え)と、
 5月18日のシルバーデイです。
 シルバーデイには65歳以上の御方は入館無料となるので
 大混雑が予想されるとか。
  
 皆さま、混雑を上手に避けて、お出掛けしてくださいね~♪

「たのしィ~びじゅつゥかんしょうゥにッ!」
「ぐっるがっるぅ~る!」(←訳:いってらっしゃ~い!)




    ではここで、春の、いえ初夏の?オマケ画像も!
   
    近所の公園でパチリ、しました。
    いまが盛りの、
    藤のお花です!
   「くんかッ、くんかッ!」
   「がるぐる!」(←訳:濃い香り!)
    皆さま、どうか、御自愛しつつ、穏やかな休日を。
    
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もっとも難しいもの。

2016-04-29 22:01:11 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ひゃあッ! れんきゅゥでスよゥッ!」
「がるる!ぐるるる!」(←訳:虎です!黄金色の!)

 こんにちは、ネーさです。
 いつのまにやらゴールデンウィークに突入しちゃいましたが、
 旅行や帰省や自分磨きやショッピングに忙しい方々も、
 さあ、しばしの読書タイムを。
 本日御紹介いたしますのは、こちらの小説作品ですよ~!
 
  



          ―― 日本一の軽口男 ――



 著者は木下昌輝(きのした・まさき)さん、2016年4月に発行されました。
 デビュー作品『宇喜多の捨て嫁』がいきなり直木賞候補!
 という快挙で注目されている著者・木下さんの新作は……
 《笑い》が、
 いえ、《笑い》に憑かれた人々が主人公の斬新な歴史小説です。

「ふァ? わらいィ??」
「ぐるるがるるぐる?」(←訳:落語や漫才のこと?)

 落語、漫才、スタンダップコミックといった
 “芸”としての《笑い》。
 さらにまた、
 お金を稼げる“職業”としての《笑い》。

 それは、いつ、どのようにして始まったのか――

 物語の幕開けは、
 昔むか~し。
 戦国時代末期&江戸時代の初期に遡ります。

「ッてことはァ、え~とォ??」
「がるるるぐるるる?」(←訳:400年くらい前?)

 安楽庵策伝(あんらくいんさくでん)さん。
 《天下一のお伽衆》と呼ばれる彼は、
 途方もないエピソードの持ち主でした。

 策伝さんが笑話を披露すれば、
 太閤秀吉さんも抱腹絶倒!
 話のおかしさに笑い転げて、
 ああ、お腹の皮がよじれる~!

「ええッ、ほんとにィ??」
「ぐるるるがるる!」(←訳:本当ならすごい!)

 本当のことであったために、
 その後の策伝さんの人生はややこしくなりました。

 豊臣家が潰え、
 徳川の世になっても
 《天下一のお伽衆》の名は消えません。

 或る青年など、
 策伝さんが著した笑話の集大成『醒睡笑(せいすいしょう)』を丸暗記し、
 弟子にしてください!と
 押しかけてきたほど。

「あはァ! そこらへんはァ~」
「がるぐるがる!」(←訳:昔も今も同じ!)

 しかし、《笑い》は、
 軽々と継承できるものでしょうか。

 習えば、“芸”を習得できるのか。

 策伝さんがやったのを
 そっくり真似れば、ドッと笑いが取れるのか。

「うゥ~むゥ? そういうものでもォ~…」
「ぐるるるる?」(←訳:ないよねえ?)

 ひとを笑わせたい。

 簡単そうに見えて、
 まったく容易ではないことです。

 以前にダウンタウンの松本さんも言っていました。
 人を笑かすのは難しい、
 ほんまに難しいことや、と。

 その難しいことを、やってのける。

 策伝さんがやったように、
 そしてまた策伝さんとは違うアプローチで
 《笑い》を生み出す。
 《笑い》を、生きてゆく糧にする――

「むずかしさァ、にばいィでス!」
「がるぐる!」(←訳:百倍かも!)

 上方落語の始祖、
 日本初のお笑い芸人、
 米沢彦八(よねざわ・ひこはち)さん。

 彦八さんの生涯を、
 というより、彦八さんが《笑い》に抱いた想いを、
 著者・木下さんは綴ってゆきます。

 教科書はなく、
 明確なルールもなく、
 ウケればこの上もない喜び、
 ハズせば地獄、の
 得体の知れないもの――《笑い》。

 誰も歩いたことのないその荒野を、
 さて、いかに切り拓いてゆこうか……?

「ぱいおにあァ、でスねッ!」
「ぐるるるがるる!」(←訳:行く手に道なし!)

 《笑い》の、真のプロフェッショナルとは。

 書店さんでは、おそらく時代小説のコーナーに
 置かれているのでしょうが、
 現代小説の愛好家さんにも
 激おすすめの作品です!
 彦八さんの(=著者・木下さんの)操る言葉のリズムの、
 その楽しさ、素晴らしさを、
 皆さま、ぜひ味わってみてくださいね~♪
 

 
  
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原作から、“別の顔”へ。

2016-04-28 22:03:08 | ブックス
「こんにちわァ、テディちゃでス!
 ねろォ~ッ!」
「がるる!ぐるるっるぅ~!」(←訳:虎です!パトラッシュ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 ハメを外しまくっちゃいました前回記事の白黒祭りに続いて、
 本日はアニメ祭り……じゃなくて、
 きっちりやります読書タイム!
 さあ、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~♪
 
  



       ―― 誰がネロとパトラッシュを殺すのか ――



 編著者はアン・ヴァン・デェーンデレンさん、ディディエ・ヴォルカールトさん、
 原著は2010年に、画像の日本語版は2015年12月に発行されました。
 原題は『A DOG OF FLANDERS : EEN NOOIT GEZIENE KIJK OP VLAANDEREN』、
 『日本人が知らないフランダースの犬』と日本語副題が付されています。

 ネロとパトラッシュの物語――
 といえば、日本に住む多くの方々には
 説明の必要もないでしょう。

「ねろくんとォ、ぱとらッしゅゥくんッ!」
「ぐるるるがるぐる!」(←訳:アニメの名作だよ!)

 1975年1月に放送開始、
 そして同年12月の最終回をもって
 《ネロとパトラッシュ》の物語は
 “伝説”となりました。

 あの最終回を、
 ルーベンスさんの画が登場する
 教会の場面を見ても泣かないなんて、
 そんなのヒトデナシよ!とまで言われるほどの、
 大インパクトを放ったアニメ作品は、
 『アルプスの少女ハイジ』等と同じく海外へ輸出され、
 そこでまた『ハイジ』同様、人気を博します。
 1999年には、アメリカで映画化!

「えッとォ~、おはなしはァ~、そのゥ~」
「がるるるぐるるる!」(←訳:日本のと違うけど!)

 ひとつの物語が、
 蝶のようにメタモルフォーゼを経て、
 いくつもの形態と解釈を分有する――

 執筆者のディーンデレンさん、ヴォルカールトさんたちは、
 変容の過程を丹念に追跡します。

 原作『フランダースの犬』の著者である
 イギリスの女性作家ウィーダとは、いったいどんな人物だったのか?

 そして『フランダースの犬』が
 日本で知られるようになったきっかけとは?

「げんさくしゃさんはァ、いぎりすのォひとッ??」
「ぐるるるるがるぐるるがる?」(←訳:フランドルとは無関係なの?)

 原作者ヴィーダさん――

 御本の第一章は、
 本名マリア・ルイーズ・ラメさん(1839~1908)の評伝となっていますが、
 この章だけでも驚きの連続です。
 映画というなら、この女性の生涯の方がよっぽど映画的だわ!

「じぇッとこーすたーみたいィでス!」
「がるぐるぅ!」(←訳:激動だよぅ!)

 日本でアニメ化されるはるか以前に
 ハリウッドで初映像化された『フランダースの犬』……
 現存フィルムが一本もない、とは惜しまれますね。
 しかし、ハッピーエンドを望む米国版『フランダースの犬』と、
 悲劇的な結末を拒まない日本版『フランダースの犬』の、
 違いはなぜ生まれたのか?

 アニメ作品中のフランダースと
 現実のフランダース、
 ベルギーの中のふたつの“地方”――
 フランダース地方とワロン地方の
 近くて遠い隔たり。

「はいけいィはァ、ふくざつゥでス!」
「ぐるがる!」(←訳:重い歴史!)

 ひとつの作品が、
 運び手の歩む道次第で
 なんと大きく変わってゆくことか。

 御本の巻末、
 野坂悦子さんによる解説が
 さらに感慨を深めます。

 日本で、なぜ『フランダースの犬』は受け入れられたか。

「こちらもォ、ふくざつゥ??」
「がっるるるぐるるがる!」(←訳:こっちでも歴史が重い!)

 19世紀英文学が好きな御方、
 アニメ『フランダースの犬』ファンの方々に
 おすすめの一冊です。
 ベルギー好きな御方も、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね。
 
 
 
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白黒祭り!

2016-04-27 22:05:39 | フットボール!
「こんにちわッ、テディちゃでス!」
「がるる!」(←訳:虎です!)

 こんにちは、ネーさです。
 さあ! 本日はやらかしちゃいますよ!
  
  

 ユヴェントスFCのリーグ優勝を祝して、
 念願の――

  

     
        五連覇記念!白黒祭り~!!


 はい! ニュース等で御存知の方々も多いことでしょうが、
 我らがユーヴェ、やりました!
 セリエAで首位確定!
 優勝です!五連覇です~!

「やッたのでスゥ!」
「ぐるるるるがるる!」(←訳:選手さんは大喜び!)
 
  

 ↑選手さん、それに監督さんやコーチさんたちスタッフ、
 クラブを運営する、いわゆるフロントの皆さんも、
 みんな一緒に、

「きゃッぽゥ~♪」
「がるる~♪」

 ↓優勝といえば、お約束!
 監督のアッレグリさんが宙を舞います。

「どうあげェ~!」
「ぐ~る!」(←訳:せ~の!)
 
  

 振り返れば、何もかも印象深いシーズンでした。

 2015年秋、新たに編成されたチームは、
 昨季の主力であった選手さん3人が移籍し、
 怪我人が続出したこともあって
 “クラブ史上かつてない暗い船出”と評されるほど、
 成績は低迷し、監督解任論が噴き出し……

「あぶなかったでス!」
「がるぐるるがっるる!」(←訳:ほぼ降格圏だったよ!)

 そんなときでも、頼りになるのが、この御方。

 ↓ユーヴェの、そして伊代表の守護神、
 GKのジジ・ブッフォンさん!

  

 航路を、闇から光へ!
 
 一戦ごと、ユーヴェは本来のチカラを取り戻してゆきました!
 (いえ、ここんとこ、一行では片付けられないくらい、
  ドラマがい~っぱいなんですけどね)

 クリスマスシーズン時点では、まだ首位ではありませんでしたが、
 徐々にギアアップ!
 25戦で24勝1分けという驚異のペースで
 順位表を駆け上がったんです!

「ひゃッほううゥ!」
「ぐるぅ~る!」(←訳:うわぁ~ん!)

 では、ここからは優勝の立役者さんたちを
 ちょこっと御紹介いたしましょう。

 ↓こちらのボーズ頭さんは、
 レオナルド・ボヌッチさん。

  

 世界屈指のDFであるボヌッチさん、
 数々の逸話を持つ変人さんでもあるのですが、
 えーと、そのお話はまたの機会に。

 ↓そして、こちらは《一億ユーロの男》と呼ばれる、
 ポール・ポグバさん。
 
  

 彼もまた、世界トップクラス!
 あらゆるクラブが欲しがっている超一流のMFさんです。

「くるくるゥ~かわるゥ!」
「がるるぐるがるるる!」(←訳:楽しいヘアスタイル!)

 ときどきアタマが虎やヒョウになっちゃったりしてますけど、
 現在はこんな感じ↓で~す。

  

 ↓お次のこちらは、ユーヴェ加入一年目の、
 パウロ・ディバラくん!

  

「わきゃいィぞッ!」
「ぐるがる~!」(←訳:伸び盛り~!)

 将来的にはバロンドール候補間違いなしの逸材!
 《ラ・ホヤ》(宝石の意)と称される期待の新スターですよ。
 
 そして――

「わうゥ! でたッ!」
「がるるるるーる!」(←訳:プリンチピーノ!)

 ↓クラウディオ・マルキージオさん!!

  

 私ネーさの大々好きなマルキージオさん!
 ユーヴェの司令塔であり魂!
 バンディエラ(旗頭の意)としてチームを引っ張るMFさんは、
 残念ながら、先日の試合中に大怪我を負ってしまい、
 治療とリハビリの真っ最中です……
  
  

「ふッかつゥ~めざしてェ!」
「ぐぅるる!」(←訳:ファイト!)

 実は、ユヴェントスさんは日本と縁のあるクラブなんですよ。
 ↓こちらは、2015年5月、
 日本で(しかも、たしか九州で!!)行われたイベントでの風景です。
 いちばん右側の御方――ダヴィド・テレゼゲさんは、
 ユヴェントスの伝説的プレイヤーさんで、
 現在はクラブ幹部の一員さんです。
 慈善活動の先頭に立つことも多い篤志家さんなのです。
 
  
 
 ↓東日本の震災の折りも、
 ユヴェントスさんをはじめ、
 セリエAの選手さんたちは日本にエールを送ってくださいました!

  

 ↓このチームで、来季も戦いたい!
 そしてCLの優勝杯を掲げたい!
 と、切望している私ネーさですが、
 はたして……?

  

「あきらめェないぞゥ!」
「がるるぐるるるー!」(←訳:最後の最後までー!)

 優勝は決定しましたが、
 まだまだ!リーグ戦は終わったわけじゃありません!
 今週末にも試合が控えています。
 FORZA JUVE!!


  
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― 東から西へ、そして東へ ―

2016-04-26 22:02:57 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ひゃわわッ! ゆうしょうゥしちゃッたでスゥ!」
「がるる!ぐるぅるるるる!」(←訳:虎です!ユヴェントスが!)

 こんにちは、ネーさです。
 ええもう、ユーヴェ五連覇成る!の報については
 明日たーっぷりお喋りすることにしまして、
 まずは《くまモン募金箱》のお話から!
 YAHOO!JAPANネット募金内で
 作家・脚本家にして
 くまモンくんのパパ・小山薫堂さんが実行委員長を務める
 《くまモン募金箱》が活動を開始いたしました♪
 私ネーさ、些少で申し訳ないのですが、
 手持ちのTポイントを、ポチっ!と。
 薫堂さんのファンの皆さまは、
 あたたかく活動を見守ってくださいね。
 では、ここからは、本日の読書タイムを、どうぞ~!
 
  



        ―― 明治の建築家 伊東忠太 ――



 著者はジラルデッリ青木美由紀(あおき・みゆき)さん、
 2015年12月に発行されました。
 『オスマン帝国をゆく』と副題が付されたこの御本、
 まさに労作です!
 
 伊東忠太(いとう・ちゅうた)さん(1867~1954)さんの旅の記録を、
 これほど細部まで“発掘”してのけるとは!

「ちゅうたァおじさんはァ~」
「ぐるるあるる!」(←訳:建築家なのだ!)

 建築家・伊東忠太さんの、
 最もよく知られている作品といえば、
 築地本願寺さんでしょうか。
 それに、一橋大学兼松講堂、阪急うめだ店他、
 現役で大活躍している建物が多いのですけれど……

 忠太さんの作品を目にした御方、
 訪れたことのある御方は、
 思うはずです。

 これは、東洋なりや?
 それとも、西洋なりや?

「どッちィでスかっ??」
「がるるぐる……?」(←訳:微妙に東洋……?)

 柱は……西洋っぽい?
 屋根のラインは……東洋かなぁ?
 でも……ガーゴイルがいる?
 ウシさんやらゾウさんやら獅子さんやら怪物やら、
 へんてこりんな彫像があちこちにある……?

 全体はなんとなく東洋風、に見えるんだけど、
 西洋なのだろうか?

「けんちくゥすきなァおかたはァ~…」
「ぐるるる!」(←訳:悩みます!)

 イスタンブルに暮らす
 オスマン美術・建築史研究家の著者・ジラルデッリ青木さんは
 かねてから忠太さんの旅行記に注目しており、
 2010年の《トルコにおける日本年》を機に、
 この御本の執筆に取り組むこととなりました。

 明治次代。
 開国後の日本から、
 多くの青年たちが西洋を――
 ヨーロッパへと出発します。

「せいじかのォ、たまごさんッ!」
「がるるるるぐるるるる!」(←訳:画家さんや文学者さん!)

 エリート官僚候補生さんや、
 技術留学生さんたちにとって
 東洋の国や都市は、通過点、に過ぎなかったかもしれません。

 西洋画習得の意欲に燃える画家さんたちにも、
 東洋の街々はエキゾチックで魅力的にこそ映れど、
 終着点、ではなかった……

 目的地は、パリであり、ロンドンであり。

 東洋や中東では、決してない――

「でもォ、ちゅうたァおじさんはァ~」
「ぐるるるるるがるる!」(←訳:見逃しませんでした!)

 東から西への旅の途中、オスマン帝国。
 とりわけ、イスタンブルの都で
 忠太さんは憑かれたように建築見物に没頭します。

 そのリストが御本の巻末に掲載されているのですが、
 いやー、半端じゃありませんね!
 これ全部見たのかしら? 
 回ったのかしら?

「すごいィでス、ちゅうたァおじさんッ!」
「がるぐるがるる!」(←訳:健脚鉄人建築家!)

 とっくりとオスマン帝国の建築を味わい、
 そうして、ギリシャへ、イタリアへ、パリへ、
 ロンドンへ。

 壮大な旅のはて、
 忠太さんの眼と心に、
 《世界の建築》はどのような像を結んだのか。

「それがァ、ほんがんじィさんッ?」
「ぐるるがーるるる?」(←訳:屋根のガーゴイル?)

 ジャンルとしては建築史。

 しかし、大旅行記としても、
 明治の豪傑偉人伝としても楽しく読める作品は、
 歴史好きさん、
 もちろん建築マニアさんにもおすすめです!

 図版資料も多数収録されているので、
 アート好きな活字マニアさんも、ぜひ!
 読み終えたら、必ずや拍手したくなりますよ。

「ちゅうたァおじさんとォ!」
「がるるるっるぐるるるる!」(←訳:ジラルデッリ青木さんに!)


 
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ココロは何処に。

2016-04-25 22:03:44 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ちぇッくゥめいとォ、でスかッ?」
「がるる!ぐるるー!」(←訳:虎です!王手だー!)

 こんにちは、ネーさです。
 ユヴェントス、勝ちました!ので、
 リーグ優勝に必要なのは、あと勝ち点1!
 明日にも決まるのか?次節に持越しか?
 元気玉をまず九州へ投げてから、
 ハラハラ気分のまま、
 本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!
 
   



        ―― ダンゴムシに心はあるのか? ――



 著者は森山徹(もりやま・とおる)さん、2011年4月に発行されました。
 『新しい心の科学』と副題が付されています。

「……だんごむしィ、ッていうとォ~…」
「ぐるがるるるる、ぐるる?」(←訳:あのダンゴムシ、だよね?)

 えーと、説明の前に、白状いたします。
 私ネーさ、この御本の題名を読んで、

 ダンゴムシに心はあるのか、ですって?
 名作SF映画『ブレードランナー』の原作、
 F・K・ディックさんの小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の
 パロディ作品なのかしら??

 と、思い込みかけました。

 のですが、もちろん誤解です。早トチリです。

 信州大学で比較認知科学と動物心理学の研究に携わっている
 著者・森山さんが、
 真剣に、至極真面目に取り組んだのが、この
 『ダンゴムシに心はあるのか?』。

 生命と心のかかわりを追及する、
 科学論文です。

「でもォ、それはァ~!」
「がるーるるるるーるぐるる!」(←訳:ブレードランナーと同じだ!)

 そうなのよね、
 映画『ブレードランナー』に登場するレプリカント……
 彼らはヒトなのか?
 人造の身体に、心は宿るのか?
 
 そして、ダンゴムシもまた、
 姿形はヒトとは異なれど、
 確かにひとつの生命体です。

 ならば、彼らダンゴムシが心を有する可能性は?

「ぜろォじゃないィ、でスよねッ?」
「ぐるるがる!」(←訳:可能性あり!)

 いえ、ちょっと待ってくださいな。
 そもそも心とは何なんでしょう?

 著者・森山さんは、
 御本の第一章を《心とは?》の定義に費やします。

 心とは、何なのか。

 脳があれば心もある、のか?
 感情すなわち心、なのか?
 
「むむむゥ、えェ~とォ?」
「が~るるぅ?」(←訳:う~んとぉ?)

 《心》とは何であるかを、
 森山さんは、次のように言い表しています。

  ――私の内にあるもう一人の私――

「うちなるゥじぶんッ??」
「ぐるるる?」(←訳:それが心?)

 その定義をもとに、
 さあ、いよいよ第二章に進みましょう。

 ダンゴムシも、
 “内なる私”を持っているのか?

 庭先、公園、神社の物陰、石の下からダンゴムシくんたちを集め、
 森山さんは実験を繰り返します。

 周囲を水に囲まれたら、ダンゴムシくんはどう行動する?
 されるがまま、なのか?
 それとも回避行動に出る?

「けんとうゥもォ、つきませんッ!」
「がるるるぐるるがっる?」(←訳:どうするダンゴちゃん!)

 実験の詳細は、
 敢えてここには記しませんが
 (ネタバレになっちゃいますから)、
 
 『道具使用の萌芽――ダンゴムシの知性』という文章には、
 私ネーさ、テンション上がりましたよ!

 生き物が道具を初めて手にする瞬間……

 おお、それはもうひとつの名作SF映画
 『2001年宇宙の旅』を彷彿とさせる光景ではありませんか!

 ダンゴムシに、心はある?
 心があって、知性もあるのなら、
 彼らの生物としての未来は?
 何万年か先に、
 彼らの心は、脳は、社会は、どうなっている??

「そこまでェいッちゃうぅとォ~!」
「ぐるるるがる!」(←訳:ホントにSF!)

 おっと、失礼しました、
 森山さんはダンゴムシくんたちの未来には言及していませんが、
 彼らの可能性について、
 さらには他の動物たち、
 はては石!
 ええ、石にも心があるであろうとさえ
 示唆しています。

「だんごむしのォ、つぎはァ??」
「がっる!」(←訳:石って!)

 刊行当時はたいそうな評判であったこの作品を、
 遅ればせながら読んでみて、
 いえ、もう2度か3度読み返してみないと
 まだまだ分からないことがいっぱいなのですが、
 なるほど、これは
 『新しい心の科学』です。

 《心》をもっともっと知りたい、
 理解したい、という活字マニアさんは、
 ぜひ、一読を!

 
 
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ふたたび、シッポを持つ者たちと。

2016-04-24 22:02:10 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ううむゥ! きまッちゃうかもォ!」
「がるる!ぐるがるるる~!」(←訳:虎です!ほぼ優勝だよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 日本時間で4月25日朝に試合を予定しているユヴェントス……
 2位以下のチームの勝敗成績によっては
 ここでリーグ優勝が決まってしまうかも?という状況です。
 さあ、イタリアへ、そして九州へも
 えいや~っ!!と元気玉を投げたなら、
 本日の読書タイムは、こちらのノンフィクション作品を、どうぞ~!

  



         ―― また、犬と暮らして。 ――



 著者は穴澤賢(あなざわ・まさる)さん、2016年3月に発行されました。
 穴澤さん――と、お呼びするより、或いは、
 『富士丸くんの父ちゃん』という名の方が、
 通りがいい、でしょうか?

「ふじまるくんのォ、ぱぱさんッ!」
「ぐるがるる~!」(←訳:今も大人気~!)

 わんこ系ブログの“主人公”としては最強かつダントツの人気を誇り、
 ユニーク過ぎるビジュアルで
 観る者の胸を騒がせたミックス犬・富士丸くん。

 その富士丸くんが急逝したのは
 2009年10月のことでした。

 愛する富士丸くんを失い、
 取り残された穴澤さんがどれほど嘆き悲しんだか、
 ブログ『富士丸な日々』を読んだことのある御方は
 よく知っておられるでしょう。

「はらはらァ、しましたでス!」
「がるぐるるぅ!」(←訳:心配したよぅ!)

 穴澤さん、大丈夫だろうか……

 こう言ってはまことに失礼で申し訳ないんですけれど、
 『富士丸な日々』読者全員が
 とにかくもう穴澤さんを心配して心配しまくって
 穴澤さんの身を案じておりました。

 ちゃんとごはんを食べているかしら?
 お酒に呑まれちゃっていないかしら?

「まいにちィ、どきどきィでスゥ!」
「ぐるるるるがるぅ~…」(←訳:どうしてるかなぁ~…)

 それが、突然!

 ふたたび家にワンコを迎えたと聞いて、
 富士丸くん&穴澤さんファン諸氏は
 ほっと一安心、
 いえ、大安心しました。

 ワンコ飼いの穴澤さんが戻ってきたー!

「やッたァ~♪」
「がるぅるぐるる!」(←訳:父ちゃん復活だ!)

 ふたたび、犬と暮らす日々。

 この御本には、穴澤さんが
 大吉(だいきち)くんという新たなワンコが家にやって来るまでの、
 穴澤さんの葛藤、喪失感や悔悟、恐怖から、
 縁を得て大吉くんとお見合いした経緯、
 大吉くんと暮らして思い出した
 “犬とともにある”生活の喜び、嬉しさが
 きめ細やかに描かれています。

 大吉くんは、富士丸くんではない。
 けれど、
 
 《大吉を迎えてよかったと思っている》。

 そう言い切れるほど、
 光が差し込む毎日。

「ぐんぐんッ、へんかするゥ、まいにちィ!」
「ぐるるーるる!」(←訳:猛スピードで!)

 都会の住まいから、郊外へ、
 さらには海沿いの古都へお引越し?
 サーフィンに挑戦?
 いまでは釣りがいちばんの趣味?
 こ、この変化は……!

「だいきちくんのォ、おかげでス!」
「がるるぐるるるる!」(←訳:それに福助くんも!)

 大吉くんに加えて、
 福助(ふくすけ)くんも、
 穴澤さんのお家の一員となりました。

 また、犬と暮らす日々。
 同時に、
 忘れようもない犬と暮らした日々。

 両方を大切に、
 ひたすら慈しむ穴澤さんの想いは、
 すべてのワンコ飼いさん、ニャンコ飼いさんの
 涙と共感を誘います。

「とうちゃんッ、かッこいいィ~!」
「ぐるるがるるぐる!」(←訳:ワンコ飼いの憧れ!)

 穴澤さんと大吉くん・福助くんの近況は
 ブログ『Another Days』他で公開されています。

 ワンコ飼いさんも、そうでない方々も、
 ぜひ、覗いてみてくださいね。
 ワンコを愛してやまないひとの、
 優しい日々を。
 

 

 
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~ ルーシーさんの、色と形 ~

2016-04-23 21:52:54 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 はッしゅたぐゥ、くまもんあのねッ!」
「がるる!ぐるるるるる~!」(←訳:虎です!覗いてみよう~!)

 こんにちは、ネーさです。
 皆さま、もう御存知でしょうか、
 Twitterの『#くまもんあのね』!
 《被災地で見たり、聞いたり、感じた
  ココロを和ますような意見を
  Twitterで『#くまモンあのね』をつけてつぶやく》企画です。
 くまモン好きな御方、九州を応援したい御方は
 検索してみてくださいね♪
 くまモンかっこいいぞ!と私たちもツブヤキながら、
 さあ、本日は読書をサボって展覧会情報を、どうぞ~!
 
  



           ―― ルーシー・リー展 ――



 静岡県静岡市の静岡市美術館にて、
 会期は2016年4月9日~5月29日(月曜休館、ただし5/2は臨時開館)、
 『Lucie rie A Retrospective』と英語題名が、
 『没後20年』と日本語副題が付されています。

「むほゥ! きれいィなァ、ぴんくゥ!」
「ぐるるるるる!」(←訳:鮮やかだねえ!)

  

 ルーシー・リーさん(1902~1995)は
 20世紀を代表する陶芸家であり、
 日本との縁が深いアーティストさんとしても
 知られています。

「ふむふむッ!
 どことなくゥ、かたちがァ、おりえんたるゥ!」

  

「がるぐるるるがる?」(←訳:でも色合いは独特?)

 前回記事では、
 ユダヤ文化とヴァイオリンの結び付きに斬り込むノンフィクション
 『希望のヴァイオリン』を御紹介いたしましたが、
 ルーシー・リーさんもユダヤ人家庭に生まれ、
 亡命を余儀なくされた人でした。

 1938年、生地ウィーンから英国に移住、
 以降はロンドンの自宅にアトリエを構え、
 半世紀以上に渡り制作を続けました。

 象嵌(ぞうがん)や、掻き落としなどを駆使した
 ルーシーさん独自の文様、
 釉薬(ゆうやく)のエレガントな色調は、
 現在も陶芸マニアさんたちに大人気です。

「きれいッていうゥよりィ~」
「ぐるるがる!」(←訳:可愛い感じ!)

 この展覧会では、
 初期から晩年にいたる約200点の作品が展示されます。
 また、作品の大半が日本初公開であり、
 新たに発見されたウィーン時代の作品も出展されたりと、
 ルーシーさんの業績を俯瞰する記念展となっています。

「びじゅつかんはァ、えきのォ、すぐゥそばァでス!」
「がるぐるるがるるるぐるるる!」(←訳:JR静岡駅北口から徒歩3分!)

 連休期間中には
 製作技法についての実演&レクチャーや
 ギャラリートークなども開催されます。
 
 それにね、
 『ゴールデンウィーク特典!』というのがあって、
 4月29日~5月8日の間、
 展覧会をご観覧の方先着30名様に
 本展オリジナルグッズをプレゼントしてくれるのだそうよ♪

「おおォ! ふとッぱらァ!」
「ぐるるっ!」(←訳:いいなっ!)

 ルーシーさんのファンの方々は
 ぜひ、お出掛けしてみてくださいね~!
 


  
    さて、今日のオマケ画像は、トンデモ系で…… 
   
    『LoFt』さんのクスメ売り場で見つけちゃったのは、
    《ワンピース》キャラを使ったフェイスパック?!?
    「ひえええッ!」
    「がるぐるるる!」(←訳:驚きモモの木!)
   
    ボンちゃん……
    私ネーさも大好きな、ボンクレーちゃんのお顔が
    ファイスパックに……
    これは、喜んでいいのか笑えばいいのか……
    「ぷふふゥ!」
    「がるぅ!」
    
    笑う門に福よ来い、と願う毎日です。
    皆さまが、どうか、穏やかな週末を過ごされますように――



    
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歴史の、行間。

2016-04-22 21:58:28 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あうゥ~、またもォ、せつないィにゅーすがァ……」
「がるる!ぐるるるがるるるーる!」(←訳:虎です!プリンスおにいさーん!)

 こんにちは、ネーさです。
 ああ、『パープル・レイン』の紫の王子が旅立ってしまった……
 芸術性と商業性を併せ持つ稀有なミュジーシャン、プリンスさん。
 ただただ御冥福を祈りつつ、
 本日の読書タイムでは“音楽”をテーマにした
 ノンフィクション作品を、どうぞ~!
 
  



         ―― 希望のヴァイオリン ――



 著者はジェイムズ・A・グライムズさん、
 原著は2014年に、画像の日本語版は2016年3月に発行されました。
 英語原題は『VIOLINS of HOPE』、
 『ホロコーストを生きぬいた演奏家たち』と日本語副題が付されています。

「ほろこーすとォ、というとォ~…」
「……ぐる?」(←訳:……戦争?)

 《どこであれ、ヴァイオリンのあるところ希望あり》

 著者・グライムズさんは、
 御本冒頭の『プロローグ アムノンのヴァイオリン』で
 “最も暗い時代の演奏”を
 ↑こう表現しています。

 けれど、その実情は……

 希望よりも、絶望という言葉の方が
 より真実に近かった、と言えましょうか。

「やぱりィ、せんそうゥ……!」
「がるるぐるる……」(←訳:つらいお話だ……)

 生まれて間もない国家の、
 何もかも足りないような環境で
 必死の思いで奏でたヴァイオリン。

 ナチスの強制収容所で
 弾かざるを得なかったヴァイオリン。

 復讐の手段として、
 少年が握りしめたヴァイオリン。

 しかし、ときにその楽の音は、
 生きる手助けになりもしたのだとも、
 グライムズさんは著述します。

 ヴァイオリンを弾いて、
 その代償にパンを得る。
 そうして、
 家族を飢えから救うことが出来るなら?

「それはァ、きぼうゥ?」
「ぐるがぅるる?」(←訳:絶望じゃない?)

 この御本の根幹を成しているのは、
 楽器修理人アムノンさんが収集する《ものがたり》です。

 アムノンさんは、或る特別な意図をもって
 ヴァイオリンを、
 そしてヴァイオリンに係わる物語を
 収集しています。

 第二次世界大戦のホロコーストを、
 戦禍をくぐり抜けた演奏家と楽器の物語を知っていたら、
 どうか話してほしい。
 教えてほしい。

「かたりつぐゥ、のでスねッ!」
「がるる!」(←訳:次代へ!)

 語り継ぐ。

 と、書いてしまえば簡単なように思われますが、
 収容所の恐怖と悪夢を、
 戦中戦後の苦悩を、
 思い返し、公けにするのは
 簡単ではないのです。

   言葉にできないつらさ、悲しみ。
   すべて記憶から消去できたら、
   その方がどんなに楽であることか。

 ……けれど、また、

   すべての苦楽をともにしたヴァイオリンは
   “親友”でもある。

 そう考える人もいます。

「ゆうめいなァ、えんそうかさんもォ~」
「ぐるるがるるるるる!」(←訳:無名の演奏家さんも!)
「きぼうをォ、すてないィ!」

 ヴァイオリンは何世紀にもわたってユダヤ文化の
 重要な側面を担ってきたこと、
 世界屈指のヴァイオリニストの多くが
 ユダヤ人であること、
 ユダヤ伝統音楽に欠かせない楽器が
 ヴァイオリンであること。

 アムノンさんが集め、
 著者・グライムズさんが追跡した
 ヴァイオリンたちのカルテ。

 希望と絶望の正史――歴史の教科書には書かれていないような事柄が
 この一冊の中に記されています。
 ずしりと重い内容は
 時折り、読むのを止めたくなりさえしますが、
 訳者・宇丹貴代実さんの『訳者あとがき』も含め、
 どうか、最後まで!

 知らねばならない《ものがたり》です。
 
 

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遠くを近くに。

2016-04-21 20:09:05 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 またいッぽォ、ちかづきましたでス!」
「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!制覇は目前!)

 こんにちは、ネーさです。
 前回記事では書きそびれましたが、
 ユヴェントスはまたひとつ勝ち星を挙げ、
 五連覇に近付きました!
 どうか九州にも良いことが起きますように~と祈りつつ、
 さあ、本日の読書タイムは、こちらを、どうぞ~!

  



       ―― 日本全国 ソウルフードを食べにいく ――



 写真・文は飯窪敏彦(いいくぼ・としひこ)さん、2015年10月に発行されました。
 はい、食いしん坊さんはヨダレ拭きを用意して~!

「ふァいッ!」(←首元にヨダレかけ巻きました)
「ぐるっ!」(←こちらも巻いてます)

 ソウルフードとは――

   地元民に深く愛されているから、
   全国どこにでもあると思っていたら、
   よその土地ではお目にかかれなくなる。

   いわゆる郷土料理ではなく、
   母の味でもない。
 
   長い時間をかけて、
   人びとと店がつくりあげたその土地の味なのである。

 と、御本冒頭の『はじめに』で
 飯窪さんは定義しています。

 昨日や今日、流行りに乗って
 ちょろろんっとデッチあげたものではなくて、
 何十年もかけて出来上がった、

 《土地から生まれた、魂、熱情、気迫がたっぷりこもった個性》

 である、とも。

「こせいィ、でスかァ~」
「がるるぐるがる!」(←訳:分かる気がする!)

 この御本に収録されているのは、
 北海道の帯広に始まって、
 根室、芦別、函館、
 そして本州の、
 仙台、山形、会津若松、栃木……と
 南下してゆきます。

「ふじよしだのォ、よしだうどんッ!」
「ぐるるるがるぐーるる!」(←訳:名古屋の小倉トースト!)

 小倉トーストって、もはやソウルフードなのねえ。
 吉田うどんも、県外では
 ありそうでないもの、なのかしら。

「きょうとォではァ~…」
「がるるるる!」(←訳:オムライス!)

 和食じゃなくて、洋食!
 しかもオムライスに凝っちゃうとは、
 京都って不思議な土地だわ……。

「おかやまではァ、どみぐらッ!」
「ぐるるるるがーるぐるる!」(←訳:ドミグラスソースカツ丼!)

 なぜか、岡山のカツ丼には
 ドミグラスソースがつきもの……
 その秘伝のルーツは帝国ホテルにあり?

「まるがめではァ、うどんじゃなくてェ~…」
「がるるる!」(←訳:骨付鳥だ!)

 鳥といやぁ名古屋!かと思ったら、
 意外だわ……蒸し焼きの鳥もも肉をガブリ!
 仕上げは、とりめし?

「いよいよォ、きゅうしゅうゥでス!」
「ぐーるるがぅるるぐる!」(←訳:ラーメンじゃないです!)
「はかたァ~うどんッ!」

 はい、九州からは4品のソウルフードが
 ここでは紹介されています。

 福岡の博多うどん!
 長崎のトルコライス!
 佐世保バーガー!
 鹿児島の白熊!

「おおッ、しろくまァ!」
「がるるぐる!」(←訳:出たねクマ!)

 残念ながら、熊本のソウルフードは
 掲載されていないんですけど、
 熊本ラーメンは私ネーさも知っているわ!
 あれってソウルフードなのかな?
 トマトは熊本産が美味しいと有名ですよね♪

「まッかなァ、とまとォ!」
「ぐるるるがる!」(←訳:おすすめです!)

 沖縄のぜんざい、
 沖縄そば(ソーキそば)も、ソウルフード。

 ひそかな《味の名所》巡りを応援するこの御本、
 いや、でも、実は……
 論議を呼びそうな箇所もありますよ。

   冷し中華の発祥地は仙台。

 と、記述されているんですけど、
 これにはきっと、
 ウチが元祖だ!的な異論が
 あちこちで噴出するのではないでしょうか?

「それはァともかくゥ~」
「がるるるるるるぐるがるるぅー!」(←訳:美味しそうです仙台ヒヤチュー!)

 これからどうやって熊本を、
 九州を応援していったらいいんだろう?
 そんな想いを抱きながら、
 この御本を読みました。

 いえ、難しく考える必要はないのかもしれませんね。
 遠くの土地が、
 そこに住む人びとが
 ふっと身近に感じられてくる一冊です。
 皆さまも、ぜひ!

 
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