テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

巨匠だって、コラボする。

2019-08-31 22:21:01 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ♪るるゥ~♪さよならァなつのォひィ~♪」
「がるる!ぐるるぅ~がるる~♫」(←訳:虎です!さらばぁ~9月よ~♫)

 こんにちは、ネーさです。
 我が家にショートステイしていたワンコちゃんも、
 8月の終りとともに
 お家へ帰ってゆきました。
 ただいまワンコちゃんロスの最中にあるんですけれども、
 さあ、ここで気合だ!
 元気を出して読書……をサボることにして、
 本日は、こちらの展覧会情報を、どうぞ~!
 
  


 
  ―― シンコペーション:世紀の巨匠たちと現代アート ――



 神奈川県足柄下郡箱根町のポーラ美術館にて、
 会期は2019年8月10日~12月1日(会期中無休)、
 『Syncopation:
 Contemporary encounters with the Modern Masters』
 と英語題名が付されています。

「♪るるゥ~♪くがつゥにィ~なればァ~♪」
「ぐるるがるるるぐる?」(←訳:道路も空いてるかな?)

  

 人気の行楽地であり、
 避暑地であり、
 古くからの湯治場でもある箱根。

 お盆休みシーズンや夏休み期間を過ぎれば、
 もう道路の大渋滞もなさそうなリゾート地で、
 覗いてみたくなっちゃうのは――

「もねさんッ!」
「がるぐる!」(←訳:ダリさん!)
「ろだんさんッ!」
 
  

 この展覧会で
 モネさん、セザンヌさん、ピカソさん、
 ダリさんにフジタさん、
 マグリットさん、マティスさんの絵画や、
 ロダンさんの彫刻、
 そして東洋の陶磁器といった
 ポーラ美術館所蔵のコレクションと
 コラボレーションを展開するのは、
 気鋭の現代アーティストさんたち。

 展覧会のタイトルである
 『シンコペーション(切分法)』とは、
 音楽において、
 リズムを意図的にずらし、
 楽曲に表情や緊張感を与える手法、なのだそうです。

「ふむふむッ?
 ちょッとォ、ずらしてェみるとォ~…」
「ぐるるがるるる!」(←訳:そこに別世界が!)

  

 この企画展に参加する現代アートの旗手さんは、
 オリヴァー・ピアさん、
 アブデルカデル・バンシャンマさん、
 セレスト・ブルシエ=ムジュノさん、
 カンディダ・ヘーファーさん、
 石塚元太良さん、
 磯谷博史さん、
 アリシア・クワデさん、
 スーザン・フィリップスさん、
 プリンツ・ゴラムさん、
 ヴォルフガング・ティルマンスさん、
 渡辺豊さん、
 横溝静さん。

 12人のアーティストさんと
 巨匠さんのコラボは、
 はたしてどんな……?

「はこねのォおやまでェ~♪」
「がるるぐる!」(←訳:ご堪能あれ!)

 
 
 
    ではここで、話題のワンコ画像も、じゃじゃん!
   
    はい、↑このワンコちゃんが
    ネーさ家を席巻した《連邦の白い悪魔》じゃなくて、
    小さくてかわいい白いプードル犬の
    《竹知誉(たけちよ)》くんです。
    ムダ吠えをせず、
    拾い食いもせず、
    CもUも完璧、
    人見知りはしないけれど、
    不審な物音には『ウゥ~!』と唸って警戒する、
    本当に賢くてきゃわゆいワンコちゃん♪
    ……なのですが、
    唯一の弱点というか問題点があって。
    「ぷふふッ!」
    「ぐるるっ!」
    竹知誉ちゃん、カメラが大嫌いでして。
    デジカメでもスマホでもタブレットでも、
    とにかくレンズの存在を察知すると逃げる!
    お尻を向ける!
    じっとしていない!
    ……という訳で、
    こんなお写真しか撮れませんでした。
    また次回、遊びに来てくれたら
    その時はもっといいお写真が、撮れ、る、かな……?

    つらく悲しい災害が頻発した夏から、
    こころ安らぐ
    豊かな秋へと移り変わることを
    切望する週末です。
    どうか皆さま、穏やかな休日を。

    
    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

― 遠くて近い、書物の森から ―

2019-08-30 22:00:00 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 ふひゃァ! うえをォしたへェのォ、おおさわぎィ~!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!ドタバタです!)

 こんにちは、ネーさです。
 えー、我が家には現在、
 知人さんの愛犬ちゃんがショートステイ中で、
 そのお世話に明け暮れております。
 抱っこしたり撫でたり、と
 腕は筋肉痛気味ですが(ふぅ~)、
 ワンコちゃんのお昼寝中は、
 ちょこっとリラックスしての平和な読書タイムを、
 こちらの御本で、さあ、どうぞ~♪
 
  


 
        ―― 夢見る帝国図書館 ――



 著者は中島京子(なかじま・きょうこ)さん、
 2019年5月に発行されました。
 御本の表紙は……皆さま、お気付きでしょうか、
 パッと見では少々分かりにくいかもしれませんけれど、
 イラストや写真ではなくて、
 ミニチュアなんです!

 mondeさんというクリエイターさんが制作している
 《路地裏bookshelf》シリーズの中のこの作品は、
 本と本に挟まれて、
 細い路地と小さなお家が照明に浮かび上がっている……
 これは、ドールハウスの一種というべきでしょうか。

「このォいめーじィ、たいせつゥなのでス!」
「ぐるるがるるる!」(←訳:憶えておいてね!)

 書物と、小さなお家。

 しかし、物語は、非常に広々とした、
 大きな空間から始まります。

 上野公園のベンチ、
 それも5月の終わり頃の
 噴水の見えるベンチといえば、
 子どもたちの歓声と、
 ハトたちの羽音が聞こえてくる気がしますでしょ?

「おてんきィ、じょうじょうゥ~♫」
「がるるぐるがる!」(←訳:青空が良い感じ!)

    うららかな、とてもいい日。

 語り手の《わたし》も、そう思います。
 
 ライターのお仕事をしている《わたし》は、
 上野公園の奥まった場所にある
 国際子ども図書館の取材を終え、
 公園のベンチに腰掛けました。
 
 すると、そこへ。

「だれかァ、きましたでス!」
「ぐるがっる?!?」(←訳:隣に座った?!?)

 短い白い髪、
 端切れを縫い合わせて作ったコートは、
 動物園の孔雀もかくや?

 喜和子(きわこ)、と名乗ったその女性は、
 初対面の《わたし》をタバコの煙で咳き込ませ、
 金太郎飴をくれて、と
 《わたし》のふところにぐいぐいと入り込んできます。

「だからァ、ついィ~」
「がっるぅっる!」(←訳:喋っちゃった!)

    《わたし》は物書きです。

    小説、書いているんです。

 喜和子さんに、あんた学生さん?と訊ねられ、
 いつのまにか答えている《わたし》。

 喜和子さんはそんな《わたし》に返します。

    じゃあ、書けたら見せてよ。
    うんと楽しみにしてるから。

「はいッ!」
「ぐる!」(←訳:はい!)

 ほんの短い間の、
 偶然の出会い。

 それきり会うこともないだろう、と
 《わたし》は考えました。
 
 ところが、8月、
 またも子ども図書館の取材で上野に来た《わたし》の前に。

「あッ?」
「がるるぐる!」(←訳:喜和子さん!)

 再びの出会いに、
 親交は一気に進みます。

 東京藝大の先の細い道を抜けた先の、
 そこだけ江戸時代?な狭い家に《わたし》を招き、
 喜和子さんは言ったのでした。

    あんたに折り入って、頼みがある。

    上野の図書館のことを書いてみないか。

「としょかんッ?」
「ぐる?」(←訳:書く?)

 図書館――
 《わたし》と喜和子さんを
 はからずも結びつけたもの。

 そして、
 図書館を作ったひと、
 育てたひと、
 通ったひと、
 そこで泣き、笑い、励まされたすべてのひと。

 上野の図書館の、
 いえ、あらゆる図書館の、
 さらには喜和子さんと《わたし》の物語が、
 ぐぅんと根を張り、
 枝葉を伸ばしてゆきます。
 書物の中に、
 書庫の中に、
 《わたし》の中に。

「いまもォ、つづいてまス!」
「がるるるぐるる!」(←訳:図書館が見る夢!)

 喜和子さんの夢は、
 《わたし》の夢は、
 何処へ漂い流れてゆくのか。
 それを、図書館は知っているのか――

 博物館、美術館、図書館、動物園が集う、
 上野の山を愛する方々に、
 そしてもちろん活字マニアさんに
 心よりおすすめしたい《夢ものがたり》、
 著者・中島さんに拍手を送りつつ、
 どうか皆さま、ぜひ一読を♫
 

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 宵闇はささやく ~

2019-08-29 22:00:00 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでスゥ!
 ふわァ~…はちがつゥがァ、おわッちゃうゥでス!」
「がるる!ぐるっ、がる?」(←訳:虎です!ええっ、もう?)

 こんにちは、ネーさです。
 8月のうちにやろうと思いつつも出来なかったこと……
 それは、宿題ではなく……
 スイカを食べることでもなく……
 そう、怪談をご紹介すること!
 という訳で、本日の読書タイムは、
 こちらの御本を、さあ、どうぞ~♪

  


 
          ―― 化物蠟燭 ――



 著者は木内昇(きうち・のぼり)さん、
 2019年7月に発行されました。
 御本の表紙を飾る滝平二郎(たきだいら・じろう)さんの
 切り絵作品が、とても魅力的で、
 暗示的、でもありますねえ。

「……ううゥ、せッ、せなかァがァ~…」
「ぐるるるがるぅ!」(←訳:ゾクゾクするぅ!)

 収録されているのは、
 
 『隣の小平次』
 『蛼橋(こおろぎばし)』
 『お柄杓』
 『幼馴染み』
 『化物蠟燭(ばけものろうそく)』
 『むらさき』
 『夜番』

 という、江戸を舞台にした短編7作品です。

 怪談好きな活字マニアさんは、おそらく、
 『小平次』の文字を目にしただけで
 ニヤリ♪としてしまうでしょうが、
 ここはまず、表題作品の
 『化物蠟燭』
 について、ちょっとお喋りいたしましょうか。

「ぶるるッ! みみをォ~ふさごうゥ!」
「がるぐるるる!」(←訳:目を閉じよう!)

 富右治(とうじ)さんは、
 当代一と噂される
 腕利きの影絵師さんです。

 広小路でも名の通っている見世物小屋で、
 手影絵の技を披露して、
 毎回たいそうな喝采をいただいておりますが。

 或る日、富右治さんの長屋に、
 お客さんがありました。

  ――折り入って頼みたいことがある――

「いやァ~なァ、よかんッ!」
「ぐるがるぐるる!」(←訳:不安しかないよ!)

 訪ねて来たものの、
 そのとき、富右治さんは留守でした。

 決して名乗ろうとしないお客さんは、
 それで諦めるかと思いきや、
 見世物小屋での出番を終え、
 ほろ酔い気分で
 家路を辿る富右治さんの前へ、
 ぬぅ、と現れたのです。

「しッ、しつこいィ~!」
「がっるるぅ~…」(←訳:困ったなぁ~…)

 謎のお客さんは、
 案の定、
 富右治さんに頼み事を致します。

 え~、知らない人からの頼み事なんて断っちゃえばぁ?
 と言えるのは、私たちが外野席にいるからで、
 当の富右治さんは、ひとが好くて、
 ついお節介をしちゃう性質だもので、
 ハッと気付けば、
 頼み事を引き受けてしまう羽目に……。

「にッ、にげちゃおうゥ!」
「ぐるがるるるぐる~!」(←訳:いや逃げるのはダメ~!)

 はたして、
 富右治さんは何事に巻き込まれたのか。
 何に肝を冷やし、
 何をいみじみと噛みしめることになるのか。

 なんでもなさそうな日常と、
 その向こうの、摩訶不思議なできごと。

 ただ怖いばかりではない7つの物語は、
 怪談好きな方々にはもちろん、
 歴史好き&時代小説好きな方々にもおすすめですよ。
 ぜひ、一読してみてくださいね♪
 
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 《アリス》が、秋の横浜へ ~

2019-08-28 23:04:16 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 うわわァ、すッごォ~いィ!」
「がるる!ぐるるるる~る!」(←訳:虎です!信じられな~い!)
「おめでとうゥございまスゥ!」

 こんにちは、ネーさです。
 先ほど放送されたばかりの『鳥人間コンテスト』を見ていたら、
 60㎞完全制覇!ですって?!?
 スゴイ記録が出ちゃったのねえ~と、
 呆然としつつもお祝いの拍手を送りながら、
 さあ、週の半ばの今日は、
 読書をサボり、↓こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪

  


 
      ―― 不思議の国のアリス 展 ――



 神奈川県横浜市のそごう美術館にて、
 会期は2019年9月21日~11月17日(会期中無休)、
 『The Magic of Alice in Wonderland Exhibition』
 と英語題名が付されています。

「わんだァらんどォへェ~」
「ぐるるる!」(←訳:ようこそ!)

  

 ルイス・キャロルさんこと、
 数学者にして詩人、作家、写真家の
 チャールズ・ラトウィッジ・ドジスンさん(1832~1898)が
 『不思議の国のアリス』を刊行したのは、
 1865年のことでした。

 世に出た『不思議の国のアリス』は
 たちまち大好評を得て、
 ベストセラー、いえ、大ロングセラーの道を
 ひた走り始めます。

 21世紀の現在、
 発行部数は1億超!
 170もの言語に翻訳され、
 絵本になり、映画になり、アニメになり、と
 《アリス》の物語は
 世界中に広まっています。

「どじすんさんッ、びッくりしてまスねッ!」
「がるるぐるる!」(←訳:たぶん予想外!)

  

 この展覧会では、
 作者キャロルさん自筆のスケッチ『涙の池』、
 ジョン・テニエルさんによる挿絵下書き、
 そして、
 アーサー・ラッカムさん、
 エリック・カールさん、草間彌生さんなど、
 国内外のアーティストさんたちの
 《アリス》作品およそ200点が展示されます。

 神戸から松本、横浜と移り、
 次は福岡へ……と
 各地を巡回しているこの企画展ですが、
 キャロルさん作『涙の池』が展示されるのは、
 ここ横浜会場だけ、
 だそうですよ。

「きちょうゥなのでス!」
「ぐるがるる!」(←訳:必見なのだ!)
 
  

 既に特別先行前売り券が発売されていて、
 『ハードロックカフェオリジナルピンバッジ』付きの
 前売り券は¥3.000!
 (取り扱いはセブンイレブンのみ、9/20まで)

 また、イベントも予定されていますし、
 お展覧会オリジナルのグッズ各種も
 販売されます。
 美術館HPもしくは展覧会公式HPをご参照の上、
 《アリス》好きな活字マニアさんも
 アート好きさんも、
 ぜひ、お出掛けくださいね~♪

「あきのォ、よこはまァ~!」
「がるるぐーるがるる!」(←訳:楽しいアート散歩を!)





    では、ここでスッキリ美味し~いオマケ画像も!
   
    あざやかなブルーのボトルは……
    「たんさんッいんりょうゥ?」
    「ぐぅーる?」(←訳:ジュース?)
    ではなくて、
    スペイン産のミネラルウォーターです。
   
    開催中の
    《ブエルタ・ア・エスパーニャ2019》に
    敬意を表し、登場いただきましたよ。
    《ブエルタ》出場の唯一の日本人選手、
    新城幸也さんに声援を送りながら――
    「ごくごくゥ!」
    「がるる!」(←訳:ごくり!)
    


    
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 《テツ旅》は、最先端 ~

2019-08-27 22:59:01 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 いまァ、てつどうゥがァ、あついィ~のでス!」
「がるる!ぐるがるるぐる?」(←訳:虎です!旅は鉄道に限る?)

 こんにちは、ネーさです。
 飛行機と鉄道、
 いわゆる“地球にやさしい”のは、どっち?
 その答えを考えながら、
 本日の読書タイムは、
 さあ、こちらの御本を、どうぞ~♪

  


 
      ―― 女性のための鉄道旅行入門 ――



 著者は蜂谷あす美さん、2019年7月に発行されました。
 《鉄旅HOW TO》シリーズの001号であるこの御本は、
 鉄道旅行ビギナーさんのための《鉄旅》入門書です。

「ふァいッ! てつどうゥりょこうゥにはァ~…」
「ぐるるがるるる!」(←訳:コツが要るんだ!)

 飛行機というモノは、
 高揚力飛翔体――
 ジェットエンジンでジェット燃料をバンバン燃やし、
 本来なら飛ぶはずがない重~い物体を
 無理やり飛ばしちゃう、
 というものですから、
 どうしたって環境に負荷がかかります。

 それに比べると、
 鉄道が必要とするエネルギーははるかに少ない!
 という訳で、
 この夏、とんでもない熱波と高温に襲われ、
 悲鳴をあげた欧州の旅行好きさんたちが、
 エイエイオーと立ち上がりました。

「ひこうきィ、よりもォ~」
「がるるるぅ!」(←訳:列車でしょ!)
 
 旅をするなら飛行機より列車で。
 いままで飛行機を使って移動していたけれど、
 これからは列車移動でゆこうじゃないか。

 日本の鉄道好きな方々にも、
 大いに共感できる考え方ですね。

「そこでェ、まなんでェみましょゥ!」
「ぐるるるがるるる!」(←訳:鉄道旅の基礎知識!)

 紀行文ライターである
 著者・蜂谷さんが著したこの鉄道旅行入門書は、

   第1章『乗車中の過ごし方』
   第2章『旅行計画の作り方』
   第3章『きっぷの買い方』
   第4章『荷造りは入念に』
   第5章『旅に出発』

 という5つの章から構成されています。

 超級鉄道マニアさんには、

「きほんッでス!」
「がるるぐる!」(←訳:初歩の初歩!)

 と思われちゃうかもしれませんけど、
 私たち初心者には
 参考になる情報がたくさんありましたよ。

 『青春18きっぷ』や、
 『乗り継ぎ割引』、
 さまざまなフリータイプきっぷ、
 途中下車のルールとメリット……
 
 また、章と章の間には、
 コラムやクイズが掲載されていたり、
 鉄道用語の予習コーナーもあったり。

「せんもんッようごをォ、おぼえればァ~」
「ぐるるがる?」(←訳:初心者卒業?)

 お盆休みの、
 運賃がいちばん高くなる、
 車内は大混雑で座席の確保も困難、
 という期間が終わって、
 でも秋の旅行シーズンにも
 ちょっと早い……

 そんないまの時季、
 お出掛けを予定している方々に
 おすすめの《鉄旅》マニュアルです。
 本屋さんで見かけたら
 ぜひ手に取ってみてくださいね~♪
 

 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ アルプスのマエストロ ~

2019-08-26 23:08:08 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 あつさにィ、まけずゥ!」
「がるる!ぐるるるがるる!」(←訳:虎です!激坂にも負けず!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい、週末から始まっていますよ、
 《ブエルタ・ア・エスパーニャ2019》!
 《ジロ・ディ・イタリア》
 《ツール・ド・フランス》に続き、
 夏のスペイン半島を疾走する3週間の闘いは
 地中海に面したトレビエハをスタートし、
 ゴール地のマドリードへと北上してゆきます。
 みんなガンバレ~!と声援を送りながら、
 さあ、レースの合間の読書タイムは
 こちらの御本を、どうぞ~♪
 
  


 
    ―― アルプスの画家 セガンティーニ ――



 著者は久保州子(KUNIKO Besson-Kubo)さん、
 2019年5月に発行されました。
 『Giovanni Segantini』と外国語題名が付されています。

 御本の表紙になっているのは、
 ジョヴァンニ・セガンティーニさんの代表作のひとつ
 『アルプスの春』(1897年)。

 たぶん、多くの日本人にとって
 こういう光景から連想してしまうのは―――

「はいじィ~でスゥ!」
「ぐるるるるがるぐるる!」(←訳:アルプスの少女ハイジ!)
「あるむゥおんじィ~!」

 いやだわぁ、
 アルプスといえばハイジしか思い浮かばないなんて、と
 お怒りの方々も、ちょっと待ってくださいね。

 『アルプスの春』を描いた
 ジョヴァンニ・セガンティーニさんは、
 1858年に生まれ、1899年没。

 そして、『アルプスの少女ハイジ』こと『ハイジ』の原作者
 ヨハンナ・シュピリさんは
 1827年に生まれて、1901年没。

 そう、数年の差はあれど、
 ふたりは“同時代のスイス”に生きていたのです。

 シュピリさんは作家として。
 片や、セガンティーニさんは画家として。

「でもォ、しゅッぱつゥてんはァ~」
「がるぐるがるるる!」(←訳:もう全然違うんだ!)

 良家の子女であるシュピリさんは、
 学校に通い、寄宿学校に入学もし、と
 一流の教育を受けるチャンスに恵まれました。

 しかし、セガンティーニさんの少年時代は
 悲惨なものでした。

 幼くして母を失ったジョヴァンニ少年は、
 父に連れられて
 ミラノの異母兄姉宅に身を寄せます。

 が、ほどなく父は病没、
 異母姉と仲違いして家を出、
 浮浪児となって孤児院に収容された彼は、
 読み書きも出来ぬ“ならず者”として扱われました。

「でもッでもッ!」
「ぐるっるがるるるるる……!」(←訳:運命って分からないよ……!)

 セガンティーニさんの画才が
 はっきり花開くのは、
 働きながら美術学校で学び、
 1878年に、
 ブレラ美術アカデミーの展覧会で展示された作品
 《ニオベの胸像》が評価されたあたりから、でしょうか。

「さあッ、のぼろうゥ!」
「がるぐるるがるる!」(←訳:陽のあたる坂道を!)

 登ってゆけば、
 坂道の、さらにその先には
 何があるのか、
 どんな景色が見えるのか――

 ようやく辿り着いたスタート地点から、
 早過ぎる旅立ちまでの、
 “アルプスの画家”さんの一生を、
 著者・久保さんは丹念に、
 敬愛の念をもって描いてゆきます。

 御本の巻頭にはカラー図版が、
 本文中にもモノクロ図版が多数収録されていて、
 セガンティーニさんの画業を
 詳しく知りたい方々にもおすすめですよ。
 アート好きさんも
 美術史好きな活字マニアさんも、
 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

《シャーロッキアン》諸氏は、ぜひ。

2019-08-25 23:15:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 えェッ? もうゥなつやすみィおわりィ???」
「がるる!ぐるがるぐぅるるる!」(←訳:虎です!まだ9月じゃないよ!)

 こんにちは、ネーさです。
 県や地域によっては
 25日の月曜日から新学期、というところも
 あるのだそうですね。
 そこで本日の読書タイムは、
 あ~あ……もう楽しい夏休みはお終いかぁ~…
 と、気落ちしている方々のために、
 凝った仕掛けが盛りだくさんの
 こちらのユニークな御本を、さあ、どうぞ~♫



   ―― ごきげんいかが、ワトスン博士 ――


 
  

「ふァいッ! ↑こッちはァ、じょうかんッ!」

  

「↑ぐっるるがるぐる!」(←訳:↑こっちは下巻です!)

 著者はキャロル・ネルソン・ダグラスさん、
 原著は1992年に、日本語版は2019年6月に発行されました。
 英語原題は『IRENE AT LARGE』、
 かの《名探偵》さんを愛するミステリ好きさんには
 既にお分かりのことでしょうが――

「ほーむずゥさんのォ!」
「がるるぅーるぅ!」(←訳:パスティーシュ!)

 名探偵ホームズさんを熱烈に信奉する
 《シャーロッキアン》さんたちには
 “自明の理”とされている事柄が
 幾つかあります。
 それは、先ず……

 ホームズさんの物語は、
 ノンフィクション!

 つまり、『冒険』や『事件簿』に記されている出来事は、
 現実に起こった事件の記録なのだ!

 ということと――

「ぷふふッ♪」
「ぐるるっ♫」

 えへん、そしてですね、

 事件の記録者・ジョン・H・ワトスン博士も、
 探偵シャーロック・ホームズさんも、
 実在の人物である!

 え? なんですって?
 アーサー・コナン・ドイル卿?
 著者はドイルさんでしょ、ですって?

 いいえ、ドイルさんは著者ではなくて、
 ワトスンさんの代理人、
 いわゆる出版エージェントさん、なんですよ。

「くすくすッ♪」
「がるるるっ♫」

 以上が、《シャーロッキアン》の基礎知識、というか、
 忘れてはならない基本のスタンスです。

 そうして、この御本の著者・ダグラスさんも、
 同じように考えました。 

 ホームズさんもワトスン博士も、
 物語中で活躍する他のキャラクターさんたちも、
 ちゃあんと実在するんだから、
 もちろん、
 “彼女”も実在する――

 そう、実在するのだ、
 歌姫アイリーン・アドラー嬢も!

「よきィ、らいばるゥ!」
「ぐるる!」(←訳:好敵手!)

 1889年、夏。
 ボヘミア王との醜聞にまつわるゴタゴタを
 巧みにやり過ごしたアイリーン・アドラーさんと
 ゴドフリー・ノートンさん夫妻は、
 パリ近郊に暮らしていましたが、
 或る日、奇妙なトラブルに巻き込まれます。

「きゃわッ! びょうにんッ?」
「がるるぐる!」(←訳:怪我人かも?)

 パリの路上で倒れたその男は、
 アイリーンさんたちに介抱され、
 ひとりのお医者さんを探していると
 打ち明けます。

 お医者さんの名は、ワトスンさん。
 軍医の、ワトスンさん。
 
「わァおッ!」
「ぐるっ!」(←訳:出たっ!)

 軍医のワトスンさんって、あのワトスンさん?
 あのワトスンさんなのだとしたら、
 またなぜ、探そうとしているのか?

 アイリーンさんと友人たちは、
 倒れた男性に協力し、
 調査に取り掛かるものの――

「くんくんッ! きけんなァ、においィ!」
「がるぐるるる!」(←訳:注意しないと!)

 19世紀末のパリに、ロンドンに展開する
 もうひとつの《探偵物語》は、
 著者・ダグラスさんによる
 《アイリーン・アドラー》シリーズの第3作です。

 シリーズ前作を読んでいなくても
 けっこう楽しく読めちゃいますので、
 ミステリ好きな活字マニアさんは
 挑戦してみてくださいね。
 また、下巻の巻末の、
 北原尚彦さんによる解説も必読ですよ。
 本編の物語と併せて、ぜひ♪
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

― 木版画で、景勝地めぐり ―

2019-08-24 23:18:54 | ミュゼ
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 かしましィ~のはァ、みんみんッ!」
「がるる!ぐるるるがる!」(←訳:虎です!ツクツクもね!)

 こんにちは、ネーさです。
 今年もまた我が家の窓に、
 セミくんたちがゴツーンと正面から突撃!
 そのまま網戸にしがみついて盛大に鳴く!
 という謎の現象が頻発しております。
 なぜだ、いったいどうしてなんだ?と首を傾げつつ、
 さあ、週末の今日は読書をサボって、
 こちらの展覧会情報を、どうぞ~♪ 

  


 
     ―― 木版画で旅する にっぽんの風景 ――



 栃木県日光市の小杉放菴(こすぎ・ほうあん)記念日光美術館にて、
 会期は2019年7月13日~9月8日
 (月曜休館、ただし祝日・振替休日のときは開館し、その翌日を休館)、
 『THE JOURNEY TO JAPANESE SCENERY IN THE WOODBLOCK PRINTINGS』
 と英語題名が、
 『吉田博と川瀬巴水を中心に』と日本語副題が付されています。

「わほゥ! にッこうゥ~♫」
「ぐるるがる~!」(←訳:避暑地だね~!)

  

 観光地であり、
 明治の時代には避暑地として
 外国の外交官さんたちに大人気だった日光エリア――

 その日光の駅から
 バスで5分&徒歩で3分の場所に、
 洋画・日本画・デザインなど、
 幅広い分野で活躍した小杉放菴さん(1881~1964)を記念する
 美術館が建てられています。

「げんざいィ、かいさいちゅうゥなのはァ~」
「がるるぐ^る!」(←訳:企画展で~す!)

 ええ、そうなんです。
 今夏期の企画展示は、
 以前から海外にファンが多く、
 近年は日本でも愛好する方々が増える一方の、
 木版画家さんたちの展覧会なんですよ。

  

 “新版画を確立させた版画家”とされる
 川瀬巴水(かわせ・はすい)さん(1883~1957)。

 20世紀の日本画壇に於いて
 風景画の大家と評価される
 吉田博(よしだ・ひろし)さん(1876~1950)。

 国内外に熱心なコレクターを持つ2人の画家さんの作品が、
 企画展の柱です。

「ゆうぞらァにィ、あおぞらァ~」
「ぐるがるぐる!」(←訳:山と海と水鏡!)

 この展覧会では、
 平木浮世絵財団が所蔵する
 大正から昭和初期にかけての
 木版画コレクションの数々が展示されます。

 油彩画とも、
 水彩画とも異なる、
 木版画による《景勝》の美。

 日光に旅行する予定がある、
 用事があって日光の近くへ行く、という方々は、
 ぜひ、お出掛けしてみてくださいね~♫
 

 
 
    では、ここで『ぷは~!』なオマケ画像も、はい!
   
    『グリコ』さんの
    《アーモンド効果》は、
    夏バテ気味なんだけど
    もうスポーツドリンクには飽きちゃったし~
    と、お嘆きの諸氏におすすめです!
   「えいようかァ、たかしィ!」
   「がるるるぐる!」(←訳:のど越し良し!)
    私ネーさもバテバテですが、
    アーモンドのパワーでなんとか乗り切ってます。
    涼しくなるまで、あと少し……
    皆さま、御自愛しつつ、どうか穏やかな休日を。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 島影をたずねて ~

2019-08-23 22:31:52 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでッス!
 きゃぽゥ! にじィ、みましたでス~!」
「がるる!ぐるるがるる~!」(←訳:虎です!ミニ虹でした~!)

 こんにちは、ネーさです。
 はい! 今日の夕方、
 雨上がりの空に虹を見つけましたよ。
 ごく小さな虹でしたので、
 彩雲(さいうん)と呼ぶべきなのかな?
 彩雲は瑞雲(ずいうん)でもあるそうですから、
 きっと何か良いことあるぞ♪とワクワクしながら、
 さあ、本日の読書タイムは、
 こちらのご本を、どうぞ~!
 
  


 
          ―― 幻島図鑑 ――



 著者は清水浩史(しみず・ひろし)さん、
 2019年7月に発行されました。
 『THE BOOK OF VISIONARY ISLANDS IN JAPAN』と英語題名が、
 『不思議な島の物語』と副題が付されています。

「まぼろしのォしまァ、とかいてェ~…」
「ぐるるるるがる!」(←訳:げんとうと読む!)

 《幻島(げんとう)》とは。

 それは、はかなげで、稀少性のある、小さな島である、
 と、著者・清水さんは定義します。
 つまり。

   はかなげ――人口が少ないか、無人島で。

   稀少性――珍しい名称や形、美しさ、特別な歴史を持ち。

   小さい――面積が小さかったり、狭かったり。

 という条件をクリアした島、ですね。

「うむゥ~…はーどるゥ、たかいィでス!」
「がるるぐるる!」(←訳:滅多にないよ!)

 そうねえ、
 “日本の島の数”については
 数え方によって違いがあって、
 およそ4千とも6千8百とも言われているんですけど、
 清水さんが《幻島》として選んだのは、
 17の島。

 御本の前半部分では、
 それら17の島のカラー写真、空撮写真、
 日本のどのあたりに位置しているか、など
 ガイドブック的な情報が記載されています。

 そして、御本の後半部分には、
 『紀行編』として、
 清水さんご自身が島を訪れての
 “見聞録”が収録されています。

「ほッかいどうゥからァ~」
「ぐるがる!」(←訳:沖縄まで!)

 地図には確かにその名があるのに、
 現地にいってみれば、
 どう目を凝らしても見当たらない
 “消えてしまった島”。

 まぁるいフォルムの、
 海底炭鉱の換気用に作られた“人工の島”。

 潜伏キリシタンの歴史を持つ、
 日本でいちばん小さい有人島。

 大きな虹を宿す、
 南の海の、愛らしい小島。

「どれもォ、いいなッ♪」
「がるるるぐるる!」(←訳:良い島と良い旅!)

 とりわけて素晴らしいのは、
 沖縄県の降神島(うるがみじま)訪問記です。
 
 芥川龍之介さんの作品『トロッコ』に託して語られる
 幼い時分の冒険の記憶、
 いまも脳裏によみがえるその映像のあざやかさ――

 すぐにも『トロッコ』を探し出して読みたくなるような、
 旅愁と郷愁ただよう1編ですよ。

「きょうもォ、なみまからァ~…」
「ぐるるるがるるるる!」(←訳:島たちが呼んでいる!)

 遠くに、近くに、
 ぼんやりと、はっきりと、
 浮かび上がる幻の島々。

 地図マニアさんに、
 写真好きな方々や、
 歴史好き&旅好きな方々にもおすすめしたい御本です。
 ぜひ、一読してみてくださいね。
 
 
 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

~ 昔のまま、の《猫童話》 ~

2019-08-22 23:11:37 | ブックス
「こんにちわッ、テディちゃでス!
 きょうはァ、にゃァ~にゃァ~でスからァ~」
「がるる!ぐるるがる~!」(←訳:虎です!猫の日だよ~!)

 こんにちは、ネーさです。
 2が2つ並ぶ今日22日はネコの日……いえいえ、
 正確には、猫の日は2月22日ですね。
 もっともこれは日本だけのことで、
 米国は10月29日、ロシアは3月1日、
 欧州では2月17日がWorld Cat Dayなのだそうです。
 本日の読書タイムは、
 そんな風に世界中で愛されている猫たちをテーマにした
 こちらのご本を、さあ、どうぞ~♪

  


 
     ―― 人間を幸せにする 猫の童話集 ――



 編者はジョン・リチャード・スティーブンスさん、
 原著は1993年に、画像の日本語版は2018年12月に発行されました。
 英語原題は
 『THE KING OF THE CATS AND OTHER FELINE FAIRY TALES』、
 題名の通り、猫が登場する童話や昔話を集めた
 《猫アンソロジー》作品です。

「せかいのォ、あちらァこちらァにィ~!」
「ぐるるがる!」(←訳:猫伝説あり!)

 そうね、目次のページを見てみますとね、
 こんなにいろんな国で猫の物語が受け継がれているのかと、
 ちょっとビックリさせられますよ。

 イタリア、フランス、ノルウェー、
 イングランド、スコットランド、
 アイスランド、アイルランド、ドイツ、
 インド、オランダ、北アメリカ、
 そして日本でも。

「まずはァ、あのォゆうめいィなァ~」
「がるるるぐる!」(←訳:長靴くんから!)

 編者・スティーブンスさんによる
 プロローグ『猫の目の不思議』に続く本文は、
 題材ごとに8つのパートで構成されています。

 1は『《長靴をはいた猫》の誕生』、
 2は『猫の王は、誰だ?』
 3は『ディック・ホイッティントンと猫の物語』、
 4は『グリム童話の猫たちの旅』、
 5は『日本の忠義な猫たち』、
 6は『猫と玉に変えられた人間』、
 7は『わが道をゆく猫たち』、
 8は『人間の運命を変えた猫たち』。

 このうち、
 世界に最もよく知られているのは
 《長靴をはいた猫》でしょうか。

 猫とかかわることで
 主人公が出世してゆく物語は、
 訳者・池田雅之さんによれば、

 《はずれ者である弟と
  役立たずの猫が
  力を合わせて大成功するという、
  昔話によくあるパターン》

 とのことです。

「ふァいッ! あッ!というゥまのォ~…」
「ぐるがる!」(←訳:栄誉栄達!)

 トントン拍子に陽のあたる坂道を昇ってゆく
 《長靴をはいた猫》は、
 フィクション作品なんですけれども。

 この御本には、同じように、
 猫がきっかけで大躍進!
 しかも、ほぼノンフィクション!
 という作品も収録されています。
 
 そう、本文72ページ、
 『ディック・ホイッティントンと猫』ですよ。
 
「こちらもォ、ゆうめいィ!」
「がるるるぐるるるるる!」(←訳:ロンドン市長さんの猫!)

 リチャード・ホイッティントン卿(1385~1423)は
 実在した人物であり、
 ロンドン市長を3回務めた、というのも
 事実です。

 ただし、物語の中のディック・ホイッティントンくんは、
 陽の当たる坂道どころか、
 泥だらけのロンドンの道で
 日々苦闘している孤独な少年です。

 そして、最終的にディック少年の苦境を救うのは、
 猫……だけではなくて、
 彼の周囲の、優しいこころを持った人間たち。

 猫と人間、両方のおかげで、
 ディック少年はロンドン市長への階段を
 堅実に、一段ずつ登ってゆきます。

「おうえんッしたくゥなりまスゥ!」
「ぐるるがぅっるるる!」(←訳:頑張れディックくん!)

 『長靴をはいた猫』の様々なバリエーションや
 『ホイッティントンと猫』について、
 編者・スティーブンスさんは
 正確さを重んじ、
 物語に手を加えることをしなかった、
 と述べています。

 現代人に都合のよいように
 省略されていたり、
 改変されていない、
 昔のままの《昔ばなし》は、
 大人の活字マニア諸氏に、
 もちろん読書好きな少年少女さんにも
 おすすめの一冊です。

 夏休みの終わりに、
 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪
 
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする