「こんにちわッ、テディちゃでス!
ふァいッ! ばんぱくはァ~とおいィけどォ~」
「がるる!ぐるるがるぐるる!」(←訳:虎です!ここは訪問したい!)
こんにちは、ネーさです。
関西万博のイタリア館で展示されるのは、
カラヴァッジョさんの『キリストの埋葬』、
ティントレットさんの『伊東マンショの肖像』、
レオナルド・ダ・ヴィンチさんのドローイング……!
いいなぁ観たいなぁ、と羨望の溜め息をつきながら、
さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪
―― イギリス世紀末 耽美と幻想の美術 ――
著者は荒川裕子(あらかわ・ゆうこ)さん、
2025年2月に発行されました。
『Fin de Siècle in Britain : Aestheticism and the Art of Fantasy』
と外国語題名が、
『神秘・エロス・装飾美』と日本語副題が付されています。
1848年、或る美術運動が
ロンドンのロイヤル・アカデミー附属美術学校に所属する
3人の学生さんによって開始されました。
ルネサンスの巨匠・ラファエロさん以前の芸術――
中世やルネッサンスの芸術に立ち戻って、
アカデミーの硬直した教義を否定する
《ラファエル前派》運動は、
(注:ラファエロ前派とも表記されます)
批判と議論の的になりながらも、
多くのフォロワーを得、
美術界に浸透してゆきます。
その運動の中心にいたのが、
ダンテ・ガブリエル・ロセッティさん(1828~1882)。
絵画や映画の世界では、しばしば
『パリのアメリカ人』という言葉が使われますが、
ロセッティさんは、いうなれば
『ロンドンのイタリア人』でした。
「ろんどんでェ、いたりあッ?」
「がるるるぐる~?」(←訳:どういう意味~?)
ダンテ・ガブリエル・ロセッティさんの父、
ガブリエーレ・ロセッティさんは、
政治的に“好ましからざる人物“として
故国イタリア(当時のナポリ王国)から追放された
亡命者だったのです。
ダンテ・ガブリエルさんは
ロンドン生まれのロンドンっ子でしたが、
ロセッティ家での会話はすべてイタリア語で交わされ、
イタリアの文化に浸って育ちました。
そんなダンテ・ガブリエルさんが描く作品は、
必然的というべきでしょうか、
イタリアに縁深いものが多くを占めています。
「いたりあのォ、でんせつゥ!」
「ぐるるる!」(←訳:神話もね!)
フィレンツェやヴェローナなど、
イタリアの諸都市を舞台とする伝説。
そこに登場する悲劇のヒロインたちを描きながら、
ロセッティさんは何を想っていたのか。
ロセッティさん自身は、
イタリアの大詩人にちなむ名を持ち、
不自由なくイタリア語を話し、
イタリアの美術文化に通じていながら、
しかし、イタリアを訪れることは叶いませんでした。
追放者の子である彼に、
イタリア国境の扉は開かれていなかったのです。
「さみしいィでスゥ……」
「がるる……」(←訳:切ない……)
3人の学生が結成した《ラファエル前派》は、
時を経て、解散に至りました。
しかし、彼らが始めた運動は、
世紀末美術に、さらには現代の美術にまでも
大きな影響を及ぼしています。
現在、東京・丸の内の三菱一号館美術館では
『異端の奇才 ビアズリー展』が開催されていて、
大ヒットしていますね。
ビアズリーさんの作品が気になる!
世紀末美術についてもっと知りたい!という御方は、
ぜひ、この御本で、
ビアズリーさんが生きた時代の息吹きを
体感してみてくださいな♪
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