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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 時代の花影 ~

2025-04-16 22:03:51 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 ふァいッ! ばんぱくはァ~とおいィけどォ~」

「がるる!ぐるるがるぐるる!」(←訳:虎です!ここは訪問したい!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 関西万博のイタリア館で展示されるのは、

 カラヴァッジョさんの『キリストの埋葬』、

 ティントレットさんの『伊東マンショの肖像』、

 レオナルド・ダ・ヴィンチさんのドローイング……!

 いいなぁ観たいなぁ、と羨望の溜め息をつきながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― イギリス世紀末 耽美と幻想の美術 ――

 

 

 著者は荒川裕子(あらかわ・ゆうこ)さん、

 2025年2月に発行されました。

 『Fin de Siècle in Britain : Aestheticism and the Art of Fantasy』

 と外国語題名が、

 『神秘・エロス・装飾美』と日本語副題が付されています。

 

 1848年、或る美術運動が

 ロンドンのロイヤル・アカデミー附属美術学校に所属する

 3人の学生さんによって開始されました。

 ルネサンスの巨匠・ラファエロさん以前の芸術――

 中世やルネッサンスの芸術に立ち戻って、

 アカデミーの硬直した教義を否定する

 《ラファエル前派》運動は、

 (注:ラファエロ前派とも表記されます)

 批判と議論の的になりながらも、

 多くのフォロワーを得、

 美術界に浸透してゆきます。

 

 その運動の中心にいたのが、

 ダンテ・ガブリエル・ロセッティさん(1828~1882)。

 

 絵画や映画の世界では、しばしば

 『パリのアメリカ人』という言葉が使われますが、

 ロセッティさんは、いうなれば

 『ロンドンのイタリア人』でした。

 

「ろんどんでェ、いたりあッ?」

「がるるるぐる~?」(←訳:どういう意味~?)

 

 ダンテ・ガブリエル・ロセッティさんの父、

 ガブリエーレ・ロセッティさんは、

 政治的に“好ましからざる人物“として

 故国イタリア(当時のナポリ王国)から追放された

 亡命者だったのです。

 

 ダンテ・ガブリエルさんは

 ロンドン生まれのロンドンっ子でしたが、

 ロセッティ家での会話はすべてイタリア語で交わされ、

 イタリアの文化に浸って育ちました。

 

 そんなダンテ・ガブリエルさんが描く作品は、

 必然的というべきでしょうか、

 イタリアに縁深いものが多くを占めています。

 

「いたりあのォ、でんせつゥ!」

「ぐるるる!」(←訳:神話もね!)

 

 フィレンツェやヴェローナなど、

 イタリアの諸都市を舞台とする伝説。

 そこに登場する悲劇のヒロインたちを描きながら、

 ロセッティさんは何を想っていたのか。

 

 ロセッティさん自身は、

 イタリアの大詩人にちなむ名を持ち、

 不自由なくイタリア語を話し、

 イタリアの美術文化に通じていながら、

 しかし、イタリアを訪れることは叶いませんでした。

 追放者の子である彼に、

 イタリア国境の扉は開かれていなかったのです。

 

「さみしいィでスゥ……」

「がるる……」(←訳:切ない……)

 

 3人の学生が結成した《ラファエル前派》は、

 時を経て、解散に至りました。

 しかし、彼らが始めた運動は、

 世紀末美術に、さらには現代の美術にまでも

 大きな影響を及ぼしています。

 

 現在、東京・丸の内の三菱一号館美術館では

 『異端の奇才 ビアズリー展』が開催されていて、

 大ヒットしていますね。

 ビアズリーさんの作品が気になる!

 世紀末美術についてもっと知りたい!という御方は、

 ぜひ、この御本で、

 ビアズリーさんが生きた時代の息吹きを

 体感してみてくださいな♪

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