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テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ 小さな服が語るとき ~

2025-04-09 22:03:09 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 にゅうがくしきィびよりィ~なのでスゥ!」

「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!青空にサクラ!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 新年度が始まって、今週は入学式ラッシュですね。

 大きなランドセルを背負って駆けてゆく

 小さな小学生さんたちにエールを送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― 三國寮の人形たち ――

 

 

 著者は三國万里子(みくに・まりこ)さん、

 2024年12月に発行されました。

 ニットデザイナーとして大人気の三國万里子さんによる

 人形たちのお写真+物語、エッセイ4編が収録されています。

 

「うわァ、あッたかそうゥ!」

「ぐっるるがるる!」(←訳:バッグも可愛い!)

 

 銀座や丸の内、六本木に渋谷、

 といった日本の首都・東京の中心部から、

 電車に乗って、郊外方面へ。

 西荻窪という駅で降りて、

 地図を見ながら歩いて行くと、

 辿り着いた町の名は、善福寺(ぜんぷくじ)。

 

 そこに、『三國寮(みくにりょう)』はあります。

 

 寮母のまりこさんにお世話されて、

 現在、5名の寮生さんが暮らしているんですよ。

 

 まりこさんのお世話は

 実に行き届いていて、

 ことに、寮生さんたちの装いを見守る姿勢は

 半端じゃありません。

 

 異国生まれの寮生さんたちは

 日本の四季を知りませんから、

 季節の寒さ暑さに合わせて、

 まりこさんは

 ふわふわニットのジャケットを用意したり、

 肌触りのよい綿のワンピースを仕立てたり。

 

「なァるほどォ、だからァ~」

「がるるぐるぅる!」(←訳:みんなオシャレ!)

 

 たった一人のための、手作りの服。

 

 パジャマ、カーディガン、

 手織りツイードのスーツ、

 リバティ―の生地のツーピース、

 更紗のスカート、

 手刺繍布のカフタン(ガウン)、

 フェイクファーのロングスカートに、

 コート、エプロンなどなど、

 寮母まりこさんの縫製技術とセンスは

 超一流です。

 

「どれもォ、わんあんどォおんりィ~!」

「ぐーるるるぅーるるがるる!」(←訳:オートクチュールの美しさ!)

 

 寮生さんたちの衣装があまりに見事なので

 ついそちらに目を奪われがちなんですが、

 エッセイ作品を忘れないでくださいね。

 

  人形は、かわいい。

  とはいっても、

  アンティークドールは……

  一緒に暮らしていて

  こわくないの?

 

 そんな声に答えるのは、

 本文118ページの

 『人形はこわい?』。

 

 人形は怖いものなのか?

 そして、

 この問いの底には、もうひとつの問いがある――

 

 人形に《心》はあるのか?

 

「むゥ!」

「がるる!」(←訳:古典だ!)

 

 《心》を、人形は持っているのか。

 モノは、《心》を持たないのか。

 

 数千年の昔から続く、

 古典といえる問いに、

 著者・三國さんがそっと呟く答えとは。

 

 手芸や服飾デザインは門外漢で……

 という活字マニアさんにこそおすすめしたい一冊です。

 人形さんたちの物語と

 三國さんの文章を、皆さま、ぜひ♪


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