テディちゃとネーさの読書雑記

ぬいぐるみの「テディちゃ」と養い親?「ネーさ」がナビする、新旧の様々な読書雑想と身辺記録です。

~ ふんわり、ひらり、《白》の歴史 ~

2023-10-31 22:07:07 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はぴィはろゥ~!」

「がるる!ぐるぅがるる~!」(←訳:虎です!ハピィハロウ~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 ハッピーハロウィーン!

 待ちに待ったハロウィーン当日の読書タイムの主役は、

 魔女さん? 黒猫ちゃん? オバケ型のお菓子?

 いえいえ、思いっきり天邪鬼に、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

             ―― 白の服飾史 ――

 

 

 著者はニーナ・エドワーズさん、

 原著は2023年に、日本語版は2023年8月に発行されました。

 英語原題は『PAZAZZ The Impact and Resonance of White Clothing』、

 『人はなぜ《白》を着るのか』と日本語副題が付されています。

 

「まッしろォ??」

「ぐっるがぅるる?」(←訳:真っ黒じゃなく?)

 

 ハロウィーンの街に湧きいずるのは、

 黒いドレスのチビ魔女ちゃんや黒ニャンコたち。

 あ、私ネーさが見かけたベストな仮装は

 グリフィンドールのガウンとマフラーの女の子でしたけど、

 やはり、黒をベースにした装いでした。

 

 そんなパワフルカラー《黒》と対極にあるのが、

 《白》。

 

「さわやかァ、なのでスゥ!」

「がるるるぐる~!」(←訳:清々しいよね~!)

 

 人はなぜ《白》を着るのか。

 

 実際には、衣服の《白》は少々厄介な色です。

 さわやかで、清々しくて、可愛くて、上品ではあるけれど、

 とにかくもう、すぐ汚れてしまって、

 染みやシワも目立ちますから、

 こまめにクリーニングが不可欠、という“贅沢な色“であるのに、

 それでもなお、なぜ《白》を着るのか。

 

 その疑問へ、著者・エドワーズさんは

 御本冒頭の『序』で↓こう答えています。

 

   古来、白はつねに好ましい色だった。

   ずばり、印象的な色だから。

 

「いんしょうてきィ?」

「ぐるるるる~!」(←訳:なるほどね~!)

 

 美しくも清冽な印象を観る者に与える、ドレスの《白》。

 それでいて《白》は、

 働く者の色でもありました。

 科学者さん、医師さん、看護師さん、料理人さんや

 パン職人さん、ペンキ職人さんたちの仕事着も《白》。

 

 エドワーズさんは、

 古代の神々がまとった《白》から、

 聖職者の《白》、制服の《白》、

 ヴェールや手袋などの《白》、

 下着や普段着の《白》、

 近現代のファッションに於ける《白》と、

 《白》の衣服の歴史を辿り、解析してゆきます。

 

 マリー・アントワネット妃の、

 モスリンの白いドレス。

 白いウェディングドレスの原型とされる、

 ヴィクトリア女王のウェディングドレス。

 白いテニスウェア。

 ドガさんの画の中の、ダンサーたちの白い衣装。

 

 本文231ページには、

 日本の衣服の《白》に関する記述もあって、

 西欧の視点とはこういうものか……と

 考えさせられたりもしますよ。

 

「しりょうッ、おもしろいィでス!」

「がっるぐるるるる!」(←訳:もっと見たくなる!)

 

 巻頭にはカラーで図版が、

 本文中にもモノクロの図版資料が掲載されています。

 できれば全部カラーで、もっとた~くさん収録してほしかった!

 と思うのですが、

 アート好きさんや服飾史好きな方々に

 おすすめのノンフィクション作品ですよ。

 

 非日常なドレスの《白》に留まらず、

 日常の中の、仕事着としての《白》の役目を

 丁寧に拾い上げてゆく力作を、

 活字マニアの皆さま、ぜひ~♪

 

 

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~ 江戸から明治へ、時計は動く ~

2023-10-30 22:07:00 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 まんげつゥ~まるまるゥでしたでス!」

「がるる!ぐるるがるる!」(←訳:虎です!木星もきらり!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 昨夜10月29日の満月『ハンターズムーン』はとてもクリアで、

 お月さまとランデヴーしているかのような木星にも見惚れました……

 今宵もプチ天体観測できるかな?と期待しながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 博物館の少女 ―― 

 

 

 著者は富安陽子(とみやす・ようこ)さん、2023年9月に発行されました。

 『A Girl at the Museum』と英語題名が、

 『騒がしい幽霊』と副題が付されています。

 2021年に刊行された『博物館の少女 怪異研究事始め』に続く

 《博物館の少女》シリーズ第2作ですよ。

 

「……でるゥ!」

「ぐるるる!」(←訳:出るのだ!)

 

 時代は明治16年、

 舞台は上野のお山の博物館――

 現在の国立博物館の元祖の元祖ともいうべき博物館、

 その敷地内に古~い蔵がありまして、

 掲げられている看板は

 《怪異研究所》。

 

 花岡イカル(はなおか・いかる)さんは、

 この《怪異研究所》に勤務する職員であり、

 また、博物館でただ一人の女性職員さんです。

 

 ……まあ本当は、勤め始めてまだ半年そこそこの、

 雑用を命じられるばかりの助手、なんですけど、

 “ただ一人の女性職員“という点を買われて。

 

「よびだしィ~でスよゥ!」

「がるるぐる~!」(←訳:すぐに来て~!)

 

 博物館本館の職員さんが

 研究所からイカルさんを連れ出したのは、

 政府の要人が博物館観覧にやって来たため、でした。

 

 陸軍卿の大山巌(おおやま・いわお)さんと、

 婚約者の山川捨松(やまかわ・すてまつ)さん。

 

 大山さんは

 西郷隆盛さんの実弟・従道(つぐみち)さんの従兄弟にあたり、

 その従道さんは博物館を管轄する農商務省の長官、

 という政治的な背景がありまして。

 

「きんちょうゥでェ、どきどきィ……!」

「ぐるるがるるるるぐるる!」(←訳:ミスがありませんように!)

 

 幸いにもイカルさんは、

 唯一の女性職員として無事に

 女性の賓客を案内することが出来ました。

 

 会津出身の捨松さんは優しい御方で、

 観覧を終えて帰ってゆく捨松さんを

 イカルさんはあたたかな気持ちで見送ったのですが。

 

 年の瀬も迫る頃、事態は急展開!

 

「しんぶんでェ、ざわざわッ?」

「がるるるぐる~!」(←訳:こんなの嘘だ~!)

 

 新聞が盛んに書き立てるのは、

 大山巌さんのもとに嫁いだ捨松さんの噂話や、陰湿な悪口。

 

 そこに、大山家で怪異が連続!と

 捨松さんの兄である東大教授・山川健次郎さんが相談に来たのでは、

 《怪異研究所》が動くしかありません。

 

「いかるちゃんッ、でばんでスッ!」

「ぐるるがるるる!」(←訳:まずは大山家へ!)

 

 はたして、怪異の真相は……?

 

 前作では絵師・河鍋暁斎さんと娘のさとさん、

 そして今回も明治期に活躍・実在した人物さんが多々登場し、

 物語を彩ります。

 (私ネーさ、建築家の辰野金吾さんの妹さんが

 捨松さんの兄・山川健次郎さんと結婚していた、と知って

 もうビックリいたしました!)

 

 近代日本の歴史&人物模様も描き込まれ、

 ハロウィーンの季節にぴったりの一冊を、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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~ ランタンの淡い光に浮かぶのは ~

2023-10-29 22:08:42 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 とりッくゥ~おあァ~とりいィつゥ!」

「がるる!ぐっるーがるるぅーる!」(←訳:虎です!ハッピーハロウィーン!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 今日29日は《八王子ハロウィン》が開催されていて、

 仮装をしたチビッ子ちゃんたちが

 笑顔で“お菓子あげちゃうぞポイント“を巡り歩いています。

 いっぱい貰っとけよ~!と声援を送りながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 妖精・幽霊短編小説集 ――

 

 

 著者はJ.ジョイスさん、W.B.イェイツさん他、

 編・訳者は下楠昌哉(しもくす・まさや)さん、

 2023年7月に発行されました。

 『《ダブリナーズ》と異界の住人たち』と副題が付されています。

 

「あううゥ、ようせいィとォ~ゆうれいィ??」

「ぐーるる!」(←訳:ダークだ!)

 

 この御本は、

 ハロウィーンの季節にシンクロするかのような、

 妖精や霊、土地の伝承、生まれ変わり譚などを集めた

 アンソロジー作品……ではありません。

 編・訳者の下楠さんは、

 なかなかに野心的な企みを仕掛けてきましたよ。

 

 それはいったいどんなギミックかというと、

 

 ジェイムズ・ジョイスさん(1882~1941)の著作

 『ダブリナーズ』を、

 幽霊話や妖精話の間にこっそり、

 いえ、堂々と紛れ込ませちゃった♫んですね。

 

「なじんでェまスゥ!」

「がるるるるる!」(←訳:浮いてないよ!)

 

 ディケンズさんの『第一支線――信号手』、

 H・G・ウェルズさんの『赤い部屋』、

 ラフカディオ・ハーンさんの『雪女』

 といった名作怪談と一緒に収録されているのは、

 『遭遇』『姉妹たち』『死者たち』他

 ジョイスさんの短編8作品。

 

 不思議なことに、これがまた

 実にすんなりとハマっているというか、

 違和感がありません。

 

 ことに、全編のラストに位置する

 『死者たち(抄訳)』は、

 妖精・幽霊譚アンソロジーを締め括るに最適解な、

 美しくも怪なる作品!

 

 いやーこういう編纂の仕方もあるんだなぁと、

 私ネーさ、衝撃を受けました。

 難解で読みにくいとされるジョイスさんの作品が、

 すんなりと眼に入ってくる……!

 

「しかけにィ、ぱッくりィ!」

「ぐるるるるぅっるる!」(←訳:嵌められちゃったね!)

 

 また、《取り替え子》をテーマにした章では

 背筋がヒンヤリする思いをしました……

 

 人間の子どもを盗んだ妖精たちが

 代わりに置いてゆくのは、

 魔法がかけられた丸太か、

 病んでいるような妖精の子ども。

 ですから親たちは、これは我が子ではない!と気付きます、が。

 

 子どもを盗まれた親は、どうする?

 何が何でも取り返そうとするのか。

 力及ばず、と諦めるのか。

 どうにか子どもを取り戻したとしても、

 その子は本当に我が子……なのだろうか?

 

 本当の我が子は、どこにいる?

 

「もはや、さすぺんすゥ!」

「がるるぐるぅ!」(←訳:背筋が凍るぅ!)

 

 妖精譚の底に潜む真の恐怖と、

 “怖い話”に共鳴するジョイスさんの短編作品。

 

 仕掛けが張り巡らされた妖精・幽霊譚アンソロジーは、

 全活字マニアさんにおすすめですよ。

 パンプキンランタンのおそろしげな明かりを横目に、

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

 

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~ 巨匠さんの《美》の眼とは ~

2023-10-28 22:08:33 | ミュゼ

「こんにちわッ、テディちゃでス! 

 しおかぜェ~ほわほわァ~…」

「がるる!ぐるるるがる~…」(←訳:虎です!かすかな波音~…)

 

 こんにちは、ネーさです。

 はい、本日も週末恒例の、

 読書をサボって展覧会情報!をお送りいたしますが、

 今回は相模湾の波の音が聞こえてきそうな、

 こちらの企画展へ、さあ、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 小津安二郎の審美眼 ――

 

 

 神奈川県茅ケ崎市の茅ヶ崎市美術館にて、

 会期は2023年9月3日~11月9日

 (月曜休館、ただし9/18と10/9は開館し、9/18と10/10は休館)、

 『OZU ART』と英語題名が付されています。

 

 日本を代表する映画監督にして、

 世界各地に熱烈なファンを持つ

 小津安二郎(おず・やすじろう)さん(1903~1963)。

 

「せいたんッきねんッ、なのでスよゥ!」

「ぐるがるるるるぐるがるる!」(←訳:生誕120年で没後60年!)

  

 東京・深川に生まれた小津さんは、

 湘南の風情をとても愛し、

 茅ヶ崎市の老舗旅館『茅ヶ崎館』を

 シナリオ執筆時の定宿としていました。

 

 この展覧会では、

 映画に関する資料、小道具、旧蔵品、直筆資料など、

 映画の製作や撮影に用いられた品々や、

 公開時の宣伝に使われたポスター等が展示されます。

 それらに見る、小津さん独自の《美意識》とは

 どのようなものだったのか――

 映画マニアさんにおすすめの記念展ですよ。

 

「ほかにもォ、ありまスゥ!」

「がるるるるぐるるる!」(←訳:メモリアルイベント!)

 

 東京国際映画祭での特集上映、

 生誕120年記念のデジタルスタンプラリー他、

 小津さん関連のイベントはまだまだ続きますので、

 ファンの方々は、ぜひ、小津さんの公式HPをご参照くださいな。

 

 

 

   では、ここでオマケ画像も、じゃじゃ~ん!

   

   『グリコ』さんの大定番おやつ、

   《PRETZ ロースト塩バター》と

   《PRETZ おさつ》です。

   「あまァ~いィ!」

   「ぐるがる!」(←訳:秋の甘味!)

   明日はハロウィン直前の日曜日、

   皆さま、どうか穏やか&楽しいひとときを♪

 

   

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~ 美術記者の、こころは走る ~

2023-10-27 22:08:15 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 きょうからァ、かんだでェふるほんまつりィ~!」

「がるる!ぐるるるがっるる!」(←訳:虎です!イベントいっぱい!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 第63回神田古本まつりは、今日10月27日から11月3日まで。

 青空掘り出し市、特選古書即売会、稀少書展示会、

 京極夏彦さん&妖怪仲間のトークショーなども開催されます。

 神田へ遠征する方々が良いお買い物ができますようにと祈りつつ、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 二人の美術記者 ――

 

 

 著者はホンダ・アキノさん、2023年9月に発行されました。

 『井上靖と司馬遼太郎』と副題が付されています。

 

 井上靖(いのうえ・やすし)さん(1907~1991)、

 司馬遼太郎(しま・りょうたろう)さん(1923~1996)、

 世紀を超えていまも愛読される二人の作家さんの共通点は、

 “美術記者であったこと“でした。

 

「しんぶんのォ、まんなかァあたりィ?」

「ぐるるるがる~!」(←訳:文化欄を担当~!)

 

 大スクープが躍る第一面や、

 社会欄や経済のページでもなく、

 美術と宗教を担当する記者さん――

 

 アート好きさんならば嬉しくてたまらないお仕事、

 なのですが、残念なことに。

 

 井上さんにとっても司馬さんにとっても、

 それは望んだポストではなかった、と

 著者・ホンダさんは冒頭の『序』で記しています。

 

「じけんきしゃッ、しぼうゥなのでスゥ!」

「がるるぅ!」(←訳:走るぞぉ!)

 

 走って走りまくって特ダネをモノにし、

 悪を炙り出し、世間の眼を不正へ向ける。

 そんな記者生活を渇望していた新入社員さんが配属されたのは、

 展覧会の紹介や批評、

 芸術家のインタビューを記事にする部署でした。

 

 おそらくは、内心にマグマのような、

 燃える鬱屈を秘し隠した二人の記者さんは、

 そこで任務を放り出し……たりはせず、

 13年もの月日を

 美術記者であることに費やします。

 

「つまりィはァ~…」

「ぐるがるぐるるるるがるる!」(←訳:二人とも一流の記者なんだ!)

 

 著者・ホンダさんが明らかにしてゆくのは、

 井上さんと司馬さんの、美術記者としての仕事ぶりです。

 

 シルクロードの仏像、ゴヤさんにゴッホさん、

 上村松園さん、三岸節子さん、河井寛次郎さん、

 夏目漱石さんの仏教美術観、日本の仏塔……。

 

「じゅうじつゥ、してまスよゥ!」

「がるるるぐるるる!」(←訳:二人とも一流記者!)

 

 実は、美術記者の世界にも

 スクープというものはありました。

 

 昭和23年(1948年)、

 “戦後の文化記事ではもっとも大きなスクープ“とされる

 社説記事『日本画新団体の結成』をかっ飛ばしたのは、

 なんと、井上靖さん!

 記者魂ここにあり!ですね。

 

 ちょうどこの昭和23年に、

 司馬さんは産経新聞社に入社しています。

 はたして、青年・司馬さんは、

 井上さんのスクープ記事を意識したことはあったのか、と

 想像してしまいますが……?

 

「きッとォ、しッていたのでス!」

「ぐるるがるるぐぅっる!」(←訳:猟犬の嗅覚でチェック!)

 

 記者であることに飽き足らず、

 《書く》プロフェッショナルへ。

 

 のちに作家となった二人に、

 美術記者であった日々とは何であったのか。

 

 井上さん司馬さんのファンの方々に

 おすすめしたいノンフィクション作品です。

 書店さんのアート本コーナーで、

 ぜひ、探してみてくださいね~♪

 

 

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~ 明治の古都に、お化けを探せば ~

2023-10-26 22:08:26 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 しゅつぼつゥ、ちゅういィ~!」

「がるる!ぐるるがるるるる!」(←訳:虎です!散策は安全第一で!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 全国で報じられているクマ出没のニュース……

 ここ多摩エリアの山間地域でもクマ目撃の情報が増えているようです。

 山の秋は何気に危険が多いなぁ~とビクつきながら、

 さあ、読書タイムですよ。

 本日は、こちらの文庫作品を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 少年泉鏡花の明治奇談録 ――

 

 

 著者は峰守ひろかず(みねもり・ひろかず)さん、

 2023年8月に発行されました。

 物語の舞台は、21世紀の現代から

 一気に130余年をパーン!と遡って、

 明治21年(1881年)の、古都・金沢。

 

 人力車夫の武良越義信(むらこし・よしのぶ)さんは、

 英語を学ぼう!と思い立ち、

 とある私塾を訪ねてみたのですが。

 

「たのもォ~うッ!」

「ぐるがっるぐぅるるるる!」(←訳:いやもっとジェントルに!)

 

 お頼み申します、と

 掛けた声に応えてくれたのは。

 

 年の頃は十三か十四、身の丈五尺(約150cm)足らずの、

 書生風の出で立ちの少年でした。

 

 泉鏡太郎(いずみ・きょうたろう)と名乗った少年は、

 ちょっとお高い受講料に逡巡する義信さんに、

 “取引“を持ちかけます。

 

   怪異な噂をご存知なら、ぜひ教えていただきたいのです。

   噂を確かめた結果として

   本当の怪異や神秘に巡り合えたなら、

   受講料は免除いたします。

 

「ええェ~? こわいィ~うわさァ??」

「がるるるぅ~…」(←訳:怪異話かぁ~…)

 

 怪異な噂、と言われても

 一般市民さんは困ってしまうところ、ですけれど、

 義信さんのお仕事――人力車夫とは、

 タクシーの運転手さんのようなもの。

 

 お客さんの会話に耳を傾けていれば自然と、

 不思議な話、奇妙な話はころころと、

 あちらから転がってくるのです。

 

「あのねッ、あのねッ」

「ぐるるるがっるる?」(←訳:こんな話知ってる?)

 

 鏡太郎さんに、義信さんは語ります。

 

 それは、金沢の町の一画、

 かつては前田家に仕えるお武家さんたちが行き交っていた辺りで。

 

 出る、と。

 

「むぎゅぎゅッ!」

「がるぅ!」

 

 黒門屋敷(くろもんやしき)という、

 今はだぁれも住んでいない

 大きな武家屋敷があって、

 『入ると祟られる』と噂され、

 近隣の住民たちは、

 怪しいものを見たり、不思議な音を聞いていたり。

 

 夜になると、

 あの近くは通りたくない、遠回りしてくれ、と

 車夫さんに頼み込むお客さんもいるほど。

 

「とッ、とおまわりィしましょゥ!」

「ぐるるがるぐるるる!」(←訳:触らぬ神に祟りなし!)

 

 いえ、それがですねえ、

 鏡太郎さんは喜色を隠そうともせず、

 では早速参りましょうか、

 などと言い出すんです。

 

 勘弁してくれと心の内で思うものの、

 受講料のためだと義信さんも肚を括りました。

 

 かくして、ふたりは黒門屋敷へ……。

 

「ふうゥ! さすがはァ、すじがねェいりのォ~」

「がるるぐる!」(←訳:お化け好き!)

 

 はたして、鏡太郎さんはお化けに会えるのか。

 

 第一話『草迷宮』

 第二話『高野聖』

 第三話『夜叉ヶ池』

 第四話『天守物語』

 第五話『化鳥』

 

 と5つの短編から成る

 鏡太郎さん――少年時代の泉鏡花さんが

 金沢に怪異を探す連作ミステリは、

 も~っちろん鏡花さん大好きな活字マニアさんに、

 ファンタジー好きな方々にもおすすめですよ。

 あの人気ゲームで鏡花さんのファンになった!という方々も

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

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~ 試練と栄誉のフーガ ~

2023-10-25 22:07:04 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 くりすますゥしょうせんッ、かいしィ~でスゥ!」

「がるる!ぐるるがっるぅる~!」(←訳:虎です!欲しくなっちゃう~!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 チョコレート専門店さんに入荷したのは、

 お菓子がセットされたアドベントカレンダー……

 可愛い!美味しそう!

 でもこれは12月の足音ってヤツかしら?と恐れおののきながら、

 さあ、本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

           ―― バイオリン狂騒曲 ――

 

 

 著者はブレンダン・スロウカムさん、

 原著は2022年に、日本語版は2023年7月に発行されました。

 英語原題は『THE VIOLIN CONSPIRACY』、

 表紙画からもお分かりのように、

 バイオリンをめぐるミステリ作品ですよ。

 

「ふむふむゥ? しゅじんこうゥはァ~…」

「ぐるがるるるる!」(←訳:新人音楽家さん!)

 

 レイ(レイクアン)・マクミリアンさんは、

 プロのバイオリン奏者……ではありますが、

 学校を卒業して間もない“新人“さんです。

 

 目下、“新人“レイさんを取り囲んでいるのは、

 途方もないプレッシャー――

 年末が近くて焦っちゃう、どころではない強大なストレスが、

 彼の背にのしかかってしました。

 

 チャイコフスキー・コンクール。

 

 世界で最も権威があり、最も困難とされる

 クラシック音楽のコンクールが始まるまで、

 あと一ヶ月。

 ロシアでの本選前にやらなきゃならないことは山積みで、

 なのに、そんな時に限って大事件が……!

 

「わわッ、なにごとォでスかッ?」

「がるるぐるるるるがっるる!」(←訳:部屋は警官さんでいっぱい!)

 

 バイオリンが、ない。

 なくなっている。

 

 愕然としたレイさんは警察に急報し、

 捜査が始まる様子を呆然と眺めながら記憶を辿りました。

 バイオリンは、いつ、どこでなくなった?

 ニューヨークのホテルの部屋が、いちばん怪しい?

 ああ、どこにあるんだ、

 ぼくのストラディヴァリウス!

 

「ひえええェッ!」

「ぐるるるぅるぅるるるがる?」(←訳:ストラディヴァリウスなの?)

 

 ええ、そうなんです、レイさんのバイオリンは

 アントニオ・ストラディヴァリさんの作品であると

 専門家さんが鑑定したもので、

 つまりは、何百万ドルもする高価な楽器でした。

 

 では、盗難の目的は?

 名匠の作品をコレクターに売ろうと企んで?

 レイさんの家族か親族が保険金目当てで?

 或いは、コンクールを間近に控えたレイさんへの嫌がらせ?

 

「かぞくゥ?」

「がるぐるる?」(←訳:なぜ家族が?)

 

 レイさん、複雑な事情を抱えているんです。

 黒人であること。

 音楽などやめてもらいたい、と考えている母親。

 親族には、大きな借金をしている者も数人。

 バイオリンの所有権に口を出してくる他人。

 

 こういったゴタゴタに悩まされている上に、

 バイオリンが消えてしまうなんて……

 いやいや、心はぽっきり折れてしまいそうだけど、

 ストラディヴァリウスの代わりをとりあえず入手して、

 コンクールへ!

 

「けんとうゥ、いのりィまスゥ!」

「ぐるる~!」(←訳:幸あれ~!)

 

 レイさんのストラディヴァリウスは、

 はたして何処に?

 そしてコンクールの結果は?

 

 御自身も音楽家であり、黒人である

 著者・ブレンダンさんのデビュー作は、

 ミステリ好きな方々に、

 音楽好きな方々にもおすすめです。

 レイさんが奏でる数奇な物語に、

 ぜひ、耳を傾けてみてくださいね~♪

 

 

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~ 散歩を、ここで ~

2023-10-24 22:07:52 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 むむむッ! これはァ~…!」

「がるる!ぐるがる~る!」(←訳:虎です!絵画みた~い!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 これは絵画なのか、それとも写真なのか……?

 本日の読書タイムは、

 見る者を惑わせるほど美麗な表紙の↓こちらの御本を、

 さあ、どうぞ~♪

  

 

 

       ―― フランスの小さな村だより12ヵ月 ――

 

 

 写真&文は木蓮(もくれん)さん、2023年9月に発行されました。

 一面の花畑と、その向こうに佇む古びた小屋、

 淡く霞む遠くの稜線……

 著者・木蓮さんが写し取ったこの表紙の写真の風景は、

 南フランスのどこか、でしょうか。

 

「しんこきゅうゥ、したくなるゥのでス!」

「ぐっるがるぐるるがるる!」(←訳:きっと良い香りがするよ!)

 

 フランス中央部の、オーベルニュ地方にある

 人口200人に満たない小さな村に暮らしている木蓮さん。

 

 この御本では、

 オーベルニュ・ローヌ・アルプ地方をはじめ、

 北はオー・ド・フランス地方から、

 南はプロヴァンス・アルプ・コート・ダジュール地方、

 西はブルターニュ地方、

 ちょっと海を越えてコルス(コルシカ)地方、と

 フランス各地の“小さな村“の12ヵ月の様子が

 文章&写真で紹介されています。

 

「たびごころォ、うずうずゥ!」

「がるるるぅるるる~」(←訳:煽られちゃうよね~)

 

 旅心がふつふつ沸き立つ写真の数々は、

 しかし、お城や花といった

 観光要素を優先させたものばかりではありません。

 

 アスパラガス畑の、土塊(つちくれ)。

 夏も過ぎて、枯れはてたヒマワリの群。

 全身を防護服に包んで、蜂の巣箱を分解して。

 

「わきゃきゃッ、はちみつゥ!!」

「ぐっるる……!」(←訳:光ってる……!)

 

 観光国、というより、

 農業国フランスの底力を感じさせる写真は、

 逞しく、生き生きとしています。

 

 秋も深まる今頃は、

 リンゴが収穫されて、

 お菓子になったり、

 シードルの原料にすべく

 加工所へ運ばれたりしている頃合いでしょうか。

 クリスマス市の準備も、そろそろ始まる、のかな?

 

「ゆうぐれェ、はやくゥ~なりまス!」

「がるるぐるるるがる~!」(←訳:欧州の冬の夜は長い~!)

 

 高緯度地方の寒い冬をものともしない

 “枯れることのない花“を造り出したのは、

 エミール・ガレさん、

 オーギュストさん&アントナンさんのドーム兄弟ら

 19世紀後半から20世紀初めに活躍したアーティストさんたち。

 

 ガレさんの故郷ナンシーにあるナンシー美術館と、

 アールヌーヴォー美術についての解説は、

 176~179ページに載っていますよ。

 

 タピスリー(タペストリー)で有名な町、

 オービュッソンも

 242~245ページで取材されていますので、

 アート好きな御方はチェックされたし!

 

「ちいさなァまちのォ、いちねんかんッ!」

「ぐるがるるぐる!」(←訳:その豊かな実り!)

 

 一期一会の情景は、

 人影もまばらな、小さな村で。

 

 花と樹木の旅が好きな方々に、

 写真好きさんにもおすすめの

 フォトエッセイ作品です。

 ぜひ、一読してみてくださいね~♪

 

 

 

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~ 狆穴子くんが、世界を拓く(その2) ~

2023-10-23 22:08:36 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 はじまりまスよゥ~、どくしょォしゅうかんッ!」

「がるる!ぐるるがる!」(←訳:虎です!今週末から!)

 

 こんにちは、ネーさです。

 2023年の読書週間は、10月27日~11月9日!

 また、10月27日は『文字・活字文化の日』でもありますよ。

 私たちを力付けてくれる書物と文字・活字に感謝しつつ、

 本日の読書タイムは、こちらの御本を、どうぞ~♪

  

 

 

          ―― 爛漫ドレスコードレス 2 ――

 

 

 著者は佐悠(さゆう)さん、2023年8月に発行されました。

 前回記事に続いて、さあ、“着物の世界”の冒険ですよ。

 

「あなごちゃんッ、でスねッ!」

「ぐるるがる!」(←訳:狆穴子だよ!)

 

 山田撫子(やまだ・なでしこ)さんが

 或る日、一目惚れしてしまったのは、そう、

 

 チンアナゴの帯。

 

 正確には、チンアナゴの絵柄の半幅帯、でした。

 それは確かに運命の出逢いで、

 撫子さんの日常に大いなる変化をもたらします。

 

 着崩れと靴擦れでピンチ!なところを、

 浴衣美人さんに救ってもらって、

 後日その美人さんと友達になったり。

 

 呉服店さんで冷や汗をかくような目に遭ったり、

 アンティーク着物のお店でホッコリしたり、

 ミステリアスな着物マニア美女と知り合ったり、と

 “知らなかった世界”へ

 どんどん踏み込んでゆくことに。

 

「きものでェ、ぼうけんッなのでス!」

「がるるぐぅーるるる!」(←訳:銀座でティータイム!)

 

 この第2巻では、

 撫子さんが着物を着ることで得たネットワークの、

 “内側“が描かれます。

 

 観劇のために上京してきた若い女性の、

 着物は大好きだけど

 地元では着て行ける場所もなくて……というボヤキ。

 

 中でも、

 第1巻では、憎まれ役なのか?悪人なのか?と思われた

 呉服店の若旦那さんの、

 着物を愛するがゆえの葛藤はズシリと重く。

 

「おとこもののォ、きものッ?」

「ぐっるるるる!」(←訳:カッコいいね!)

 

 撫子さんが運命のチンアナゴ帯と巡り会って、半年。

 楽しいことや面白いこと、

 切なさや嘆き、

 いろんな感情が押し寄せてくる、新しい世界で。

 

 今日もまた、

 かわいい!

 これいい!

 と感激感動する一瞬を、生きるチカラに。

  

 第1巻と第2巻、

 続けて読むと愉しさもひとしおです。

 読書週間のリストに、

 ぜひ、加えてみてくださいね~♪

 

 

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~ 狆穴子くんが、世界を拓く ~

2023-10-22 22:06:32 | ブックス

「こんにちわッ、テディちゃでス!

 もふふッ! おでかけびよりィ~なのでスゥ!」

「がるる!ぐるるるるるがる~?」(←訳:虎です!何着てゆこうかな~?)

 

 こんにちは、ネーさです。

 寒過ぎず、暑過ぎず、の秋の日……

 どんなものを着たらいいんだろう?と悩んでしまいますよね。

 そんな季節の狭間の読書タイムは、

 さあ、こちらのコミック作品を、どうぞ~♪

  

 

 

         ―― 爛漫ドレスコードレス 1 ――

 

 

 著者は佐悠(さゆう)さん、2023年8月に発行されました。

 Webで発表されていた作品が、待望の書籍化!

 キラキラな表紙を捲って、

 いざ!と飛び込んだその世界は――

 

 チンアナゴから始まった?!?

 

「ふァ?」

「……ぐるるるる?」(←訳:……チンアナゴ?)

 

 チンアナゴ。

 狆穴子と表記されることもあるその生物は、

 ウナギ目アナゴ科に属する海水魚の一種です。

 最近は水族館でも人気者となっていて……

 いや失礼、脱線しかけました。話を戻しますと。

 

 チンアナゴ模様の、帯。

 

 遠目にはシマシマに見えるその帯に、

 ぐぐぐぐいっと惹き付けられてしまったのは、

 山田撫子(やまだ・なでしこ)さん、23歳。

 

 コーヒーショップで働く撫子さん、

 いつもはお洋服で生活していますから、

 ゆかた売場など素通り……する筈だったんですけど、

 チンアナゴの帯に出逢ってしまっては、もういけません。

 

 おまけに、というか、トドメにというべきか、

 この帯ならこれだ!な浴衣まで見つけてしまった……。

 

「ああァ~それはァもうゥ~!」

「がるっるぅぐるる!」(←訳:やるっきゃないね!)

 

 こんどの花火大会はこの浴衣+帯で!

 と決意して、友人にメールもして、

 しかし。

 

 花火大会当日、

 思ってもみなかったアクシデントが

 撫子さんの身の上に。

 

 浴衣……暑い、非常にあっついです。

 下駄……苦しい、痛い、靴擦れで足はズタボロ。

 帯……ぐらぐらして、ほどけそう。

 

「うむむッ、わきゃりまスゥ!」

「ぐるるがるるぐるるるる!」(←訳:キモノ初心者あるあるだ!)

 

 泣きたくなるようなピンチを救ってくれたのは、

 通りすがりのカッコよすぎる浴衣美人さんでした。

 

 絆創膏を足の傷に貼り、

 全体の着付けを直し、

 帯も結び直し。

 撫子さんを励まして、花火大会へ送り出してくれたのです。

 

「よかッたでスねッ!」

「がるるぐる!」(←訳:玉屋に鍵屋!)

 

 浴衣美人さんの言葉が、笑顔が、

 撫子さんの背を押します。

 

 もっとキモノの世界へ。

 浴衣も帯も着物も履物も小物も、

 全部ひっくるめて、もっと大きくて豊かな、

 服飾規定(ドレスコード)を超えた世界へ。

 

 いろいろ苦労もあるけれど、

 これかわいい!

 と感動できる一瞬を探す撫子さんの着物世界探訪記は、

 マンガ好きさんに、

 いえいえ、全活字マニアさんに激おすすめですので、

 ぜひ、手に取ってみてくださいね~♪

 

 

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