昨日は、本宮で1階喫茶店・2階B&Bの現場でした。
この建物は、着工前に地元の教育委員会から呼び出されるという珍しい(?)出来事のあった建物で、その理由は
「熊野本宮大社のすぐ前に建つ建物として、世界遺産にも指定された熊野古道のことを考えてもふさわしくない」
とのことでした。
教育委員会の担当者5名が並ぶ会議室で説明を求められた席で、
・この建物のプランに入る前に、何度も現場を訪れて周囲を歩き、この土地の本来の様 式はどうであったかを感じようとしたこと。
・その結果「これがこの土地の本来の建物であろう」と感じた建物があり、その建物の位置を説明。
・平行して、本宮という土地がどういう文化的・経済的な背景の歴史であったかを自分で調べられる範囲で勉強したこと。
などを説明して、その結果をモチーフにして現代に置き換えてプランしたのが今回の建物で、
熊野本宮大社 = 熊野古道 ⇒ 教科書どおりの和風の建物
という考えでは、この土地の歴史を大切にしているとは思えない(どこの観光地でも見かける、おかしな和風モドキの町並みになてしまう)ということを完成模型を使いながらお話させてもらいました。
教育委員会の方々にも非常に冷静な判断をしていただけ、規制の概念ではなく歴史を踏まえた街づくりの意味を考えていただけて、この建物は奇をてらったモノでも、誰かのエゴによる勝手なデザインでもない事を理解していただきました。
その後、民間のメンバー13名による街づくりの会議でも私の説明した内容をお話いただいて、無事に地元の理解を得た建物になりました。(認定書が発行されています)
今、工程は建物のプロポーションがわかる程度の段階になっていますが、オーナーのお話では周囲の評価も上々とのこと、気のヨワ~イ私ですが、勇気を持って「この土地に建つ建物の本当の意味はなんなの?」という事をシッカリと持つ事を意識して、周囲の理解を求める活動をした事は正解だったようです。
(写真を掲載していないのは、現場で手違いがあり手直しをお願いしているので)