#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【Jun_05】「牡蠣工場」と「港町」

2018-06-06 | BOOKS&MOVIES
想田和弘監督の観察映画
第6弾『牡蠣工場』と第7弾『港町』を鑑賞。


同じ岡山は牛窓から生まれたドキュメンタリーなのだけど、セットで観ることで炙り出てくるモノがあった。
どちらも第一産業の現実を見せつけているのだが、
この国が敗戦後70年、人間の基礎となる「食」について疎かにしてきたツケが今顕れていると思った。

『牡蠣工場』では、震災の打撃を食らった南三陸の漁師ワタナベさんが、
牛窓に希望を見出し奮闘する話ではあるのだけど、
人手不足の現実を中国人を呼び寄せることで解決していく現実と、

『港町』では、過疎化の進んだ牛窓の町中で、細々と漁を営み、
競りを経て魚屋にさかなが並ぶ「流通」の担い手がすべて後期高齢者であるという現実。

人が人として生きていく上で根底となる「食」の現場が、
片や外国人労働者によって、片や後期高齢者によって支えられている。

経済発展だ、外貨獲得だ、と国力を保つためには
海外との競争社会に競り勝たなければならない…という、夜郎自大な虚勢でもって、

その大義のためなら、国民を欺こうが、税金をムダに注ごうが、
アメリカにおべっちゃらを使おうが、なりふり構わぬ体たらく。

その結果として、今この国に有るのは、
「食」というモノに意識を注がぬ、社会構造なのだ。

国に翻弄されて残った営みが、過疎化した『港町』のモノクロームな世界…というのは、
まさにシニカルだし、それをセンチメンタルだ郷愁だと切り離して考えていては、駄目なのだわ。

観察映画が炙り出したものは、まさに国として存亡の危機を迎えた、日本の現実だと思う。
だからって、この国を建て直せ…とは思わない。
むしろ、亡国のその先に、ホンモノの生き様があると、ボクは覚悟している。

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#想田和弘

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