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沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

楠葉センチュリータウン

2006-01-19 | memories
大阪府枚方市楠葉花園町5-5-301。
楠葉センチュリータウン。

小学校2年生から中学2年生の夏までの6年間、
ボクはこの6棟もある15階建ての集合マンションで暮らしていた。

もう25年も前の話である。

当時としては、かなり画期的な集合住宅だった…と
今改めて、思う。

1棟に300世帯。それが6棟。
なんと1800世帯以上の家族が
限定された地域に住んでいたのだ。

各棟には集会所が設けられ、
各世帯ごとの駐車スペースと物置スペースが確保されていた。
6棟間の中央には時計台があり、
野球やサッカーを楽しむ運動場が配され、
その公園を囲むようなカタチで水路が巡っていた。

…見事な集合住宅だ。

このマンションのおかげで、
近くには小学校と中学校が建立された。

楠葉西小学校と楠葉西中学校。

マンションに住まった家族のその多くが、
社宅として借り受けた転勤族であり、
さもなければ、パイロットや医者、弁護士などの
高給取りであった。

1800世帯の多くは、
当時を象徴する中流階級であったように思う。

子供たちは連れだって同じ小学校に通った。
同じような境遇だから、すぐさま仲良くもなった。

同じ通学路を行き帰り、
同じ遊び場で野球をし、
同じような習い事で席を並べた。

箱庭のようなタテに密集した空間。
15階から見下ろす情景は、子供心に異様さを覚えた。

向かいの棟に並ぶ300世帯の窓、窓、窓。
思い思いのカーテンが、それぞれの個性を演出している。
300世帯それぞれの独立した人生模様が描かれ、
それぞれが確立した世界を形成している…はずだった。

しかし、ハチの巣穴のように並列した300もの世帯を
向かいの棟から眺めていると、違った感慨を覚えた。

…ブロイラー飼育のニワトリたち。

高層マンションにツキモノの飛び降り自殺が、
この場所でも後を絶たなかった。
ひどいときには、日を重ねて起きることもあった。

集会所脇の茂みに、
自殺者と思われる人型のカタマリが
しばらく放置されていることも、しばしばあった。



高度成長期後に建てられた集合型マンション、楠葉センチュリータウン。



ブロイラーのように集約され、囲われた1800世帯の家族は、
成長を約束された経済社会のなかで、明日を夢見て、
それぞれが楽しく生活していた…はずだ。

…25年も前の話である。

現在の1800世帯の家族は、この箱庭の中で、
何を思い、何を掴んだのだろう。









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