#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【KINGSTON】STINGの夜 その4

2009-01-27 | JAMAICA
12月27日、午前5時。
日の出にはまだ早い。
しかし、会場はものすごい熱気。

爆音と怒号と嬌声と、
スプレー缶とロケット花火とフラッグと。

会場に詰めかけるジャマイカ人の群衆に
押しつぶされそうになりながらゲート前まで戻る。

   ああ、ここからは無音状態。

あまりのサプライズに、周囲の音が記憶にないのだ。

   5時から7時までの音の記憶がない。

あるのは、心臓の高鳴りと、こめかみに脈打つ怒りのシグナルだけ。

         
       「 ………!!!!」
       とにかく、驚いたのだ。
      なんといっても、驚いたのだ。

ゲート前の約束の時間に、
事務所を訪ねてみると…
そこには、誰もいなかった。

      それはもう、サプライズなのだ!

その瞬間、「やられた!」と悟った。(もう遅いのだけどね)
預けたカメラの一切合切が盗まれたと合点した。
ああ、なんという過ちを犯した!!!!と
何度も何度も自分を悔いた。

しかし、このまま引き下がっても仕方がない。
まずは、やれることだけ、とにかくやろう。

ゲート前で幸いにして、入場時に難癖をつけてきたデブッチョがいた。
「ヘイ!事務所の連中がいないんだけど、オレのカメラ返してもらおうか!」

気持ちとは裏腹に、英語ではどのように伝わったのか…。
そのデブッチョは、面倒臭そうにボクをバックステージまで連れて行く。


     とにかく、カメラだ。
     沖縄からわざわざプロ仕様のNikonを借りてきたのだ。
     なくすわけには、いかない。
     キズひとつなく菓子折といっしょに、返す手はずなのだ。

血潮が脳みそを掻き回した。
真っ赤な顔をしていたに違いない。
他のスタッフも、目を背けて相手にしない。

そりゃそうだ。

ステージは最高のクライマックスを迎えている。
観客はもちろん出演者たちも総出で
ステージの行く末を見守っている、まさにその時なのだ。

何万というオーディエンスの彼方からは
日輪が今まさに昇天しようとしている。

そのなんと美しいこと。

      あああああ、カメラ!!

この時ほど、カメラの不在を嘆いたことはない。
なぜ、この決定的な瞬間をボクはみすみす見逃しているのだ。



   


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