青年団第76回公演
『さよならだけが人生か』@吉祥寺シアター
作・演出:平田オリザ
2017年6月22日(木)-7月2日(日) 16ステージ
初日観劇。25年前の作品の3度目の再演。
当時は相当前衛的な試みだらけだったのだろうな…と思わせる
「反」演劇的演出の数々。
「反」演劇的というと、
「じゃあ、なにが演劇的なのか?」と突っ込まれそうだけど、
およそ演出というモノがとことん排除された舞台…で、
照明の効果をまったく排除した全点灯、
光燦々照明。
音楽による「印象操作」をまったく排除した、
NO_BGM。
ここまでは青年団としてはスタンダードな話だけど、
驚いたのが、
会話を聞かせようとさえ思っていない_
3話者同時進行の脚本。
これも今作に限った演出ではないけど、今回はその傾向が強かった。
とにかく工事現場の
飯場を舞台に関係者が出入りするだけ…という、
究極の
「日常生活トリミング作品」。
どこまでも自然で、どこまでも普通なことが、
極めて不自然なワケで、
その切り取られた日常が、舞台で垣間見られる…っつうシチュエーションを
「演劇」と称して見せている平田オリザのスゴさ。
どこまでも自然で、どこにも行き着かない
会話劇がだらだらと続くだけの舞台なのだけど、
そこかしこに
オリザ節が隠れていて、
人間の
多様性やコミュニケーションの
多層性を考えてしまう。
何度観ても楽しめる作品だし、どこまでも
牧歌的喜劇なのだけど、
このような切り取りを舞台にまでUPしなければならない…
現代社会の歪みと窮屈さが、
逆に浮き上がって見えて、
相変わらずオリザは攻めてるな…と思わせた。