#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

【浅川マキ】裏窓/赤い橋

2010-01-18 | MUSIC
裏窓からは 夕陽が見える
洗濯干場の梯子が見える
裏窓からは
より添っている ふたりが見える

裏窓からは 川が見える
暗いはしけの音が聞こえる
裏窓からは
ときどきひとの別れが見える

裏窓からは あしたが見える
三年前はまだ若かった
裏窓からは
しあわせそうな ふたりが見える

だけど 夜風がバタン
扉を閉じるよ バタン
また開くよ バタン
もうまぼろしは 消えていた

裏窓からは 川が見える
あかりを消せば未練も消える
裏窓からは
別れたあとの 女が見える

   (【youtube】裏窓/寺山修司・詩)

      ●

また寺山修司の薫陶を受けた人が亡くなった。
浅川マキらしい逝き方だった。

うだうだしないで、さっぱりとこの世からいなくなった。

   「さよなら、あばよ」

      ●

浅川マキの沖縄公演があったとき、
迷わずボクはチケットを買って、
目と鼻の先で彼女の歌声を堪能した。

存在自体が、湿っていた。
その湿り気が魅力的だった。

ステージ上でもサングラスを外さず、
語りかけるように、詩を紡いでいた。
濡れガラスのような出で立ちで。

揺るがぬ世界観を
頑なに表出しつづけた。

聴いてるうちに
こちらのハートもずぶ濡れになった。

      ●

ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない
むかしむかしから橋はかわらない
水は流れないいつの日も
ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない

いろんな人がこの橋を渡る
渡った人はかえらない
赤く赤くぬった橋のたもとには
紅い紅い花が咲いている
ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない

ふしぎな橋がこのまちにある
渡った人はかえらない
みんなどこへ行った橋を渡ってから
いつかきっと私も渡るのさ
いろんな人がこの橋を渡る
渡った人はかえらない

    (【youtube】赤い橋/北山修・詩)

      ●

昭和の徒花が、またひとつ、摘み取られた。

    合掌。



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