#photobybozzo

沖縄→東京→竹野と流転する、bozzoの日々。

大道の9年間 その3 ~栄町りうぼう~

2006-07-19 | memories
森山大道の写真展に行った時、
芳名帳に住所を記入していて、ひとりほくそ笑んだ記憶がある。

「大道」

この響きには、胸騒ぎがする。
社会をProvokeする、Agitateする勢いがある。

「プロヴォーク」といえば、中平卓馬だが、
写真家とは、写真行為で現実を捉えながら、
現実を転覆させるアジテーターな存在なのだ。

ここ「大道」は占領下のアメリカ世の時代から、
特殊飲食街いわゆるアカセン「栄町(さかえまち)」として栄えた。
今も、「旅館」を掲げた特飲店が数多く点在する。

その光景は新宿ゴールデン街の森山大道そのものだ。

栄町市場といい、アカセン「栄町」といい、
「大道」の名にふさわしい混濁した欲望が浮遊している。

9年前のボクは、そんな雰囲気にノックアウトされ、住み着いたのだった。

       ●

ここ「栄町りうぼう」は「栄町」を背後に
24時間オープンしているスーパーマーケット。

タイムサービスやワゴンセールスに出くわすと
スーパーの照度では、ちょっと濃すぎる
往年の女性たちが列をなしていたりする。

黒づくめのゴージャスな衣装に、
ゴージャスなつくりの顔(眉、眼、唇…)。
強烈なパフュームを漂わせながらも、
足許は、素足にサンダルの出で立ち。

妖しげな赤い照明の下では、
年齢不詳な魅惑の女性たちも、
スーパーの中では、ただの厚化粧女だ。

アメリカ世の世界観を引きずった女版「浦島太郎」…。

「栄町」のいつまでも変わらない
そんな取り残された感が…ボクは好きだった。
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山積みになった、記憶たち。

2006-07-19 | Photo-diary
「転勤族」であった父の影響で、
学生時代に4回、社会人時代に4回、
引っ越しを経験しているボクだが、

今回の引っ越しには骨を折った。

過去の引っ越しで身の回りの取捨選択は
その都度されてきたか…と思っていたのだが、
今回、あらためて自分の荷物を確認してみると…

妙に小物や雑貨が多いことに気づく。

40年近い歳月で人生も上流から下流へ。
川の水も、淀み滞り沈殿するように、
知らぬ間にいろんなものをストックしてきてしまったようだ。

「そんなもの携えて、死ぬことなんかできないのよ」

物にあふれた新居で、苛立ちを隠さず妻が吐き捨てる。
言われてみれば、…その通り。

大切に大切に、「秘密基地」にガラクタを貯め込んで
時折、眺めてみたところで、過去は戻ってこないし、
アルジがいなくなれば、ガラクタはガラクタでしかなくなるのだ。

貯まりに貯まった書籍群を眺めながら、思う。

「こいつらを再読するほどの時間も、もはや持ち合わせてないんだ」

…それでも物に執着する自分。
薄皮が剥がれるように、記憶の襞もディテールが失われていく。
摩耗してすり減る自分自身を、引き止める手だてはない。



だから、写真を撮る。

収めることで…、
        勝手に…、
             なにを納得しているんだろう…。



           


                  積
                  み
                  上
                  が
                  っ
                  て
                  い
                  く
                  ば
                  か
結局、               り
                  な
   撮り貯めた写真の       の
                  だ
        ネガフィルムが、  |。


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