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イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【セダン蒐集癖】Vol.272 日本では3シリーズやCクラスサイズの高級セダンは成立しない?トヨタ・プログレ

2011-07-12 | セダン蒐集癖。


トヨタのプログレです。ブレビスとともに、1998年から2007年まで、
なんと日本車としては珍しく、10年という長いライフサイクルで売られていた
「小さな(めな)高級車」でした。


ボディサイズは1.7×4.5mで、まさに一昔前のDセグに相当します。
日本ではDセグはコロナやブルーバード、ギャランなどの「ちょっと大きめの実用車」が相当し、
欧州でもプジョー405・406・407、シトロエンBX・xantia・C5、ルノー21・ラグナ、
フォードモンデオ、VWパサート、オペルベクトラ・インシグニアなどが
このエリアに属し、熾烈な販売競争を繰り広げてきたクラスになります。



でも、日本におけるDセグの代表はやはり「BMW3シリーズ」と「メルセデスベンツCクラス」
がもっともメジャーなのではないか、と思います。


まあ実際は3シリーズもCクラスも、実用セダンという意味では他のメーカーのクルマと
差異は無いのですが、
日本ではこの2社のクルマは「高級車」としての印象が強いはずです。
まあ装備面、価格面でも、日本に導入される車種は、決してチープでは無いですものね。


ところが、日本ではこのDセグに属す上級車種がなかなか無いのです。
マーク2、ローレル、クラウン、セドグロといったDセグにもEセグにも属しにくい
日本独自の「高級車マーケット」があるので、Dセグはあくまでも大きめ実用車、
という印象が強いのかもしれんです。


そんな中、トヨタは、プログレという車種を登場させました。
マーク2などよりも20センチくらい短く、全幅も1.7mしかなく、
ボディサイズ拡大路線を続けていた日本車の中では珍しい小さめのボディ。
それでいてホイールベースはマーク2よりも50mm長く、
キャビンも大きく車高も高く、居住性も優れ、内装も上位車種並みか、
それ以上の高級なものだったのです。

要するにプログレ・ブレビスは、
3シリーズもCクラスのような、「小さな高級車」を目指していたクルマだったのです。





マーク2あたりの、サイズは大きいけど中は狭く、荷物もあまり積めないクルマより、
知的な設計を感じさせるこの2車種、
デザインの善し悪しについてはあえてここで触れないでおくと
(言いたいことはたくさんあるw)、
商品的にはいい線行ってるんじゃないか、とは思ってました。
トヨタ的にもカローラ-コロナ-マーク2-クラウンというヒエラルキーとは
別の位置にある車種にしたかったようですし。


でも、10年作ったとはいえ、正式な後継車は現れず、プログレ(とブレビス)は、
消えていく事になりました。


サイズが小さいのに、高額だったため売れなかった、というのが理由らしいです。
ボディサイズの大小が値段を決めてきた、という、いかにも日本の市場らしい(哀)
理由に、ちょっとがっかり...。

ただまあ、プログレ、あまりにも「日本的」な内外装過ぎて、
欧州車を買うようなユーザには興味を示してもらえなかったうえに、
これまでの客層にも、「サイズ」の問題などで受け入れてもらえなかった、
ということもあったのでしょう。


うーん、そんなこんなで、3シリーズやCクラスサイズの「高級車」って、
なかなかわが国では成立しにくかったのでしょうかねえ。





>>スカイラインとかこのサイズにならないかなあ。Eセグに近いサイズになってしまったし。

>>まあその点レクサスISは完全にDセグサイズで、値段の高いクルマですがそこそこ出ていますねー。
なお、ハイブリッドカー「SAI」も、いちおう後継車の扱いだそうです。

>>あえてデザインの話をぶりかえすと、なぜヘッドライト四角、フォグ?ハイビーム?
が丸なんだろ、とか、
後期型プログレのリア、トランクハッチの謎の位置にあるバックランプとか、
気になるところはたくさんあります(涙
コメント (17)
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