Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

【シトロエンな話】シトロエン 新型C4登場!...シトロエンスパイラルへの懸念

2010-06-02 | シトロエンな話。


え!もう!?C4フルモデルチェンジなの!?

と思った方多いと思います。
先日DS4と思われるコンセプトカーが発表されたばかりのタイミングで
新型シトロエンC4が出てきました。



で、発表された新しいC4なのですが...。


ズバリ言うと、うーん...という感じです。

シトロエンは新型が登場するたびに賛否両論が起きます。
少なくともieは、どちらかといえば「出た時は否定派(汗)」なんですが、
このC4も、正直なかなか受け付けられない...。





先代のC4は、比較的平凡なスタイルだったZX→クサラ
(でも猫背で、尻あがりのスタイルはシトロエンらしさが溢れていた)の後継車として、
アーチ型ルーフを持つ彫刻的なデザインのボディにセンターメーター(しかも透過式)、
そしてセンターパッドが固定式のステアリングなど、独創的な内外装を持って登場。



本国仕様。うおお、今見ても、なんだこのプレーンな美しさは!


このときは、ie、出たばかりでも「これはいい!」と思いましたし、
いまでも、たとえばサーブルドラングリュヌ色のC4が、洗車もしない状態で
東京の冬の曇り空の下で道端に停まっているのを見ると、
その周囲の景色がパリに見えるほど(汗)、フランス車、シトロエンらしいクルマだと思っています。


虚飾のないシンプルで機能的なダッシュ。




でこの新しいC4。
うーん、どうとらえたらいいのか...。
つまんだようなサイドのキャラクターラインは分断されて、抑揚がある面構成とともに
妙にどろどろしたデザインという印象を受けます。
ルーフはとくに特徴のある形ではもはやなく、
これ、ダブルシェブロンが無かったら、シトロエンには見えないです。
ところどころのディティールはよく練り込まれてると思いますが。

内装も、デザイン的には斬新で面白いのですが、前のC4が切り開いた、
「ああ、やっぱりシトロエンはこうじゃやなきゃなあ」という、あの「期待」
も影をひそめました。センター固定式ステアリングは不評だったのかな。





乗ったら絶対にいいのでしょうね。それは、間違いない。

だけど、昔から思う、シトロエンの「迷いのスパイラル」を、このクルマに見てしまうのは
ieだけでしょうか。
デザインにしても、存在感にしても、キャラづけにしても。


90年代で一時期国際的なデザインや方向性に向き、2000年初頭では
デザインは没個性気味に(ウチのC5はその時期^^;)。
でも2CVをモチーフにした量販車としては思い切ったデザインのC3、
そして前述のC4、そして極めつけのモダンシトロエンC6が出て、シトロエン復活か!
と思ったら、ここ最近に来て、これまでのデザイン言語をばっさり捨ててしまった。
新しいC4のこのどろどろしたデザインは、実はシトロエンとしては大きな販売拠点である、
中国市場を見ているのかな?とか思ったり。



なにはともあれ。これまで、デザイン言語(シカクかったり、マルかったり)が変わっても、シトロエンは「スタイル言語」には
変化が無かった(長いフロントオーバーハング、猫背気味のスタイル、ロングホイールベース)はず。
その点で見ると、このC4は、果たしてシトロエンなのか?





レトロを否定し、未来に向かうその姿勢は好きです。前へ。シトロエンらしいです。
だけど、「らしさ」はスタイルやポリシーに残すべきなのではないかなと思うんです。
BMWやメルセデスは、デザイン言語は違えど、一目見てそれとわかる、
「スタイル言語」や「メーカーの特徴」「車種の特徴」は持ち続けているように感じます。


昔が好きな懐古主義の古いフランス車乗りの言うことなんか、ということなのかもしれませんが、
だけど...シトロエン、また迷ってないでしょうか。
「シトロエン」という存在自体への自分自身への迷い。
シトロエンのアイデンティティって何でしょう?変わることは悪い事では無い。
だけど、レトロの否定と、「らしさ」を捨てることって、違うと思うんですが。


シトロエンの言う「個性」とは、ディティールでの差別化やちょっと他とは違うプレミアムカーを目指すというものではなく、
ギミックにしても他の会社のクルマとは一線を画したようなものであって欲しいし
ブーランジェが2CVを作ったころのような思想やクルマづくりの観点であり、
人々を感嘆させるような設計であり、唯我独尊ともいえる存在感、
なのではないかなあ...。
まあ、それを突き詰めて言ったら、PSAに至る前のシトロエンまで戻ってしまうんですが(汗


まあ本国にはこのC4にも低廉グレードは必ず用意されるはずで、
それがすごく魅力的だったりするのでしょうが(汗
むしろ、シトロエンだったら、この時代に逆行して徹底的にシンプルにするとか、
そういった気概が欲しかったような気がしてなりません。
TATAナノのようなクルマは、シトロエンのようなメーカーから作ってほしいのです。






>>と手厳しいことをいいつつ、気になるのはシトロエンが好きだから。
日本に入ったら、見に行きます!

>>ひょっとして旧C4(要するにいま売っているタイプ)の人気が出るのでは?
サイズ、デザイン、価格、性能、乗り心地、使い勝手、道具感(これ大事)、
プレミアムに背伸びしていないところなど、すべてが好印象な
トータルバランスの優れた一台ですものね。

>>となると、なんだか、新型は登場すると旧型の魅力が上がるというシトロエンの法則は、
このC4でも発動してしまうかも。です...(汗

>>よくよく見ると結構鼻が長いし、おしりは短いし、シトロエンらしいといえばらしいのか...。
だけどやはりデコラティブにすぎる。VWのゴルフやポロがむしろシンプルなだけに...。
コメント (21)
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