Retrospective...

イラストレーター/ライター遠藤イヅルの困った嗜好をばらす場所

月の話(1)

2005-07-20 | ズバリその他のこと。
子供の頃、満月が大嫌いでした。

怖かったんです。

だって、夜空にぽっかり、青白く光る物体が、得も言われぬ位置に
煌々と光っているんですよ、コワイですって(笑

怖かったのは満月だけでした。月が怖かったのではありません。
ただ、とにかくその「完全な円」の物体が怖かった
(そう思うと、今でも「完全なモノ」「完璧なモノ」よりは、そうでないものが
好きな今の自分が説明できる気がするのです)。



満月。といえば思い出す事があります。

高校生の修学旅行は、長崎でした。
その行程の中に、福江島が入っていたのです。
僕らの班は、三井楽町という場所にある民宿に泊まりました。
大変失礼な言い方ですが、ほんとに「何もない」ところでした。
夜、あまり記憶が定かではないのですが僕らは散歩に出かけようと
いうことになったのだと思います、宿から出かけました。歩いて。

海を見下ろす高台の草原。夜。歩きながら僕はふと気が付いた。
...自分の影...街灯がないのに、影。
それだけではない、街灯がないのに遠くまで見える。
向こうにいる友人の姿も見える。



!...満月!

そうなのです。月の明かりだけで、僕は歩いていたのです。
...恥ずかしながら、初めて知った「月明かり」でした。
いままでもきっと、薄くらい自分の実家の周囲では満月は僕に影を
作ってくれていたに違いない。だけど、気が付かなかったんだ。
それは、まわりが「まったく灯りがない」という場所では無かったから。

それからも僕はずんずん歩きました。
月明かりが嬉しくて、月の明るさに畏敬の念すら抱いて。



>>今では、明るい東京の夜空の下でも、暗がりでは満月が影を作っていることを見逃しません。
ちなみに今は満月も見ることが出来ます(ちょっとまだコワイけど)。

>>満月は俗に「十五夜」。では、その翌日は?
それは「十六夜(いざよい)」。
十五夜より月の出が遅く、月がためらいながら(=いざよいながら)登ってくるから、
と言われています。あ、これネタになる!ということで、十七夜以降は次回にて(^^
コメント (6)
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