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検察は勝ったのか

2010-02-07 | 政治
「大山鳴動してネズミ一匹」だったのだろうか。小沢一郎民主党幹事長をめぐる不法献金事件という東京地検特捜部の作りだした筋書きは、結局のところ小沢一郎氏の「事件」への関与を証明できず、不起訴になった。検察の思惑は外れ、あれだけ力を入れた小沢氏への捜査でも、犯罪となる証拠は何も見つからなかったということだ。マスコミに漏らした検察官の言葉は「小沢は限りなく黒だが、立件できる十分な証拠がなかった」としている。しかし、「限りなく黒」ということは、あくまで検察の思いこみであり、検察の筋書きであった。立件できる十分な証拠がなかったということは、結局のところ検察の考えた筋書きが真実ではなかったと言うことではないのか。

 そう言う意味では、あきらかに検察は小沢を狙って三度目の敗北をしたと言えるだろう。検察批判を田中ロッキード事件以来繰り広げてきた小沢憎しの検察が、小沢を立件したがっていたことは明らかだったからだ。今回の「小沢事件」は、あきらかに検察の報復であり、自民党政権と長い間蜜月関係を作り、自民党政権の思いを事前に察知し、先駆けて国策捜査を行ってきた検察が、野に下った自民党といっしょになって民主党政権に打撃を与えるために仕組んだ「国策捜査」であったのだろう。

 民主党にもいろんな人がいるが、検察を批判している議員は自民党とは桁違いに多いことを検察はもちろんよく知っている。捜査の可視化を民主党政権は推進している。検察は冤罪を生む温床でもある今の捜査方法をなんとか維持したいと必死に自民党や国民新党に働きかけている。なんとか民主党政権に可視化法案を出させないためにできることは何でもやろうとしているし、できれば民主党政権をもとの自民党政権に戻したいと考えている。「検察は正義」という仮面をはぎ取られないために、彼らはなんでもやるだろう。

 小沢不起訴で検察は負けたが、その代償に石川議員や秘書らを起訴した。しかし、彼らの起訴内容は、政治資金規正法の「不実記載」という微罪なのだ。収支報告書に4億円の収入を記載しなかったと言うだけの形式犯にすぎない。多くの国会議員がしばしば記載もれを指摘されて、あわてて「ミスでした」として訂正報告を行っていることは周知の事実である。石川議員の容疑もその程度のことでしかない。ところが、国民の投票で衆議院議員に当選した石川議員を、国会開会直前に形式犯で逮捕するという選挙民を無視したような強引なやり方を検察は行った。おそらくこれは、形式犯で逮捕して強制捜査で不法献金や脱税の証拠を固めて、小沢逮捕に結びつけようとした検察の別件逮捕であったのだろう。それが検察の筋書きは崩れてしまった。しかし、検察としては別件逮捕で国会議員を逮捕したとはとても言えない。言えば、検察官の首が飛ぶだろう。そこで無理を承知で石川議員や秘書らを形式犯で起訴せざるを得なかったのだ。元特捜部検事だった郷原弁護士は、こんなことで国会議員を逮捕することは検察として許されないと語っている。

 敗北した検察が頼みにしたのが、マスコミであった。政治資金規正法の不実記載などという近所のガキが柿の実を盗んだ程度のことを起訴した検察の悪あがきを、テレビや新聞は大きく扱って、助けた。マスコミは、起訴内容が適当かどうかを無視し、検察が起訴したからには、頭から石川議員や秘書たちは悪者で、それを知ってか知らずか管理する立場にいた小沢は悪人だという構図を振りまいた。検察の悪あがきをマスコミが助けたことによって、マスコミを疑うことを知らない馬鹿な国民が民主党政権の不支持率を支持率よりも上にしてしまった。喜んだのは検察だろう。これで夏の参議院で民主党が勝てない可能性が出てきたからだ。ひょっとしたら、自民党が勝って、捜査の可視化法案をぶっつぶすこともできるかもしれないと。

 どうせ、石川議員や秘書たちの判決は夏前にはない。参議院選挙の前に裁判を始め、検察の冒頭陳述で小沢の悪口を言いつのっておけば、マスコミは喜んで小沢批判、民主党批判を書いてくれるだろうと踏んでいるのだ。捜査には敗北したが、民主党批判に火を付けて、昔から権力を分け合ってきた自民党といっしょになって、再び自民党政権を取り戻し、「検察は正義」という認識を国民に植え付けて、やりたいようにやる検察、検察の言うことは裁判所は99%信じるという検察の天国を再び取り戻したいと思っているのだろう。踊らされていることも知らない、いや知らない振りをするマスコミの罪は大きい。

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