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ごまめの歯ぎしり・まぐろのおなら

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ムツゴロウの恨みを晴らそう

2008-07-03 | 環境
 有明海を死に追いやった諫早湾の干拓事業で、国(農水省)に、閉め切り堤防の撤去と漁業補償を求めた1500人以上の原告にたいして、佐賀地方裁判所は閉め切り堤防の撤去は認めなかったが、有明海の水産資源の減少や環境悪化について、排水門を5年間開放して中長期の影響調査をするように国に命令した。判決は、この事業が環境に悪い影響がないかどうかを証明するのは国の義務であること、排水門の長期開放を認めない国の政策は立証妨害に等しいと厳しく断じた。

 排水門の開放を求めた佐賀地裁の判決はこれで2度目となる。第三者委員会としての専門家会議などでも中長期の排水門開放による調査を何度も求められていながら、農水省はガンとして応じようとしない。わずか半年の一部開放を行ったが、それだけでも海の環境には回復の兆しが見られたと専門家は言っている。なぜ農水省は認めようとしないのか。それは、この事業が明らかに無駄な公共事業であった、失敗した公共事業であったということが、誰の目にも明らかになるからであろう。

 有明海の環境が今のように悪くなったのは、諫早干拓だけが悪いのじゃない、というのが農水省の言い分だ。それはそうだろう。だから諫早干拓が悪くないという論理の飛躍は、頭の良い農水省の幹部はわかっているはずだ。それでもシラを切り続ける。3年すれば自分は別の部署に回るから、それまでシラを切っていれば何とか凌げると思っているからだろう。彼らに良心というものはないのだろうか。

 長崎県知事なんかは、排水門を開けたら高潮被害が起こるだの、すでに農業を始めている人たちがいるから、いまさら海水を入れるわけにはいかないなどと言いつのっているようだが、それは論理のすり替えというもの。そもそも干拓事業が本当に必要な事業だったかどうかを、いまこそ検証するべきではないか。3000億円もの事業で作った農地をわずか51億円で売り払った農水省。その損は結局税金を納めているわれわれが被るのだ。役人たちは一銭も損しない。むしろ裏で良い思いをしているに違いない。

 それだけでも失敗の事業であるのは明らかなのに、さらにもっと大きい悪影響がある。それが有明海を死の海にしてしまったことだ。地裁の判決は有明海全体の環境悪化と諫早干拓の直接の因果関係は不明とし、諫早湾周辺の環境悪化にだけ影響を認めた。しかし、研究者には諫早湾の干拓が有明海に決定的な死の宣告をしたことは、もはや当たり前という認識と聞く。

 多くの漁民の生活を失わせただけでなく、海の生き物たちの命も奪っていった諫早湾の干拓事業。農水省の役人やそれでうまい汁を吸った議員、知事、市長などの政治家たちには、将来きっちりとこの「落とし前」はつけてもらわねばならない。海水が来なくなった干潟で苦しみのたうちながら死んでいったムツゴロウたちに代わって、誰かが決着をつけなければならない。農水大臣は、まず控訴を断念し、諫早干拓の罪をわびて欲しい。

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