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手から手へと伝わってきたおなごの仕事 近藤 陽絽子

2016年11月05日 00時08分46秒 | 伝統文化
 秋田に伝わる祝いの針仕事 「嫁入り道具の花ふきん」 近藤 陽絽子 暮しの手帳社 2013年

 手から手へと伝わってきたおなごの仕事 P-48

 仕立てを生業としていた人は別として、針仕事は昼間からすることではなく、余った時間をやりくりしておこなうものでした。
 夜、家事を終えると、それぞれのオボキ(裁縫道具入れ。大切な私物も入れていた)を持って集まり、裸電球を目の高さまで下ろします。娘も縫い物を手にその輪に加わり、姑や小姑と膝をつきあわせます。女同士、会話が弾むこともあれば、しんと静まりかえったなか、ただただ縫い物をしていることもあります。いずれにしましても、婚家に来て年月の浅い娘はなんとも所在なく、ただ黙って下を向きます。うつむいて手元の着物のほころびを見つめれば、そこには健やかに遊ぶ子どもの姿や、勤勉に働く夫の姿が浮かびます。夫の着物がすりきれているのは、働き者のしるしです。子どもの服に穴があくのは、健康でよく遊んでいる証拠です。薄くなった生地に布をあて、補強をしよう。あたたかい着物をこしらえてやろう。そんなとき、母のもたせた花ふきんは心強い手本となりました。

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