民話 語り手と聞き手が紡ぎあげる世界

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一緒の時間、空間を過ごす。まさに一期一会。

「時そば」 斎藤 孝

2013年11月17日 00時47分59秒 | 伝統文化
 「時そば」 声に出して読みたい日本語 11 所載  斎藤 孝

 そばの代金を払うとき、途中で時間を聞いて、ごまかす奴がおりました。

「いくらだい?」
「十六文いただきます」
「小銭だぁ、間違えるといけねえな。勘定してやろう。手ぇ出してくんねえ」
「これへいただきます」
「そうかい、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、
今、何刻(なんどき)だい?」
「へえ、九刻(ここのつ)で」
「とお、じゅういち、じゅうに、じゅうさん、じゅうし、じゅうご、じゅうろく」
勘定を払って、ぷいって行ってしまう。

 一文をごまかしたのを見て、次の日の夜、
真似をしたのが与太郎。
ところが違う時間に行ったので、かえって損をしてしまいます。

「おい、いくらだい?」
「へえ、ありがとうぞんじます。十六文いだたきます」
「小銭だぁ、間違えるといけねえな。勘定してやろう。手ぇ出してくんねえ」
「これへいただきます」
「そうかい、ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、
今、何刻(なんどき)だい?」
「へえ、四刻(よっつ)で」
「いつつ、むっつ、ななつ、やっつ・・・・・」


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