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やすらぎの刻・道

2020-03-10 21:29:52 | 身辺のこと・自然
 テレビ朝日の倉本聰「やすらぎの刻・道」は、いよいよ今月いっぱいで終了となる。テレビ朝日開局60周年記念として、放送開始から1年がたつ。テレビドラマを日頃見たことのないぼくが、めずらしく最初から見ている。
 その作りは、老人ホームを舞台にしたものと、山梨県のおのがさわという架空の集落の人々と暮らしの歴史である。まったく異なる内容が2~3週間ごと交互に放送される。
 異質な内容であり、しかも出演者がダブったりしても、相互が峻別されながらどこか親和性がある。

 老人ホームは、入居条件がテレビ関係者等とされている。過去に輝いていた老人たちの暮らしで起きるエピソードで展開された。万引き癖、関係が不通になっていた孫との再会、認知症になる人、死との向きあい、若いからだづくりのインストラクターとの個人的関係等巷で起きているだろうことが、次々展開される。いわば短編連作といったところだろうか。
 出演者は名だたる俳優たちで、70歳代から80歳代と高齢である。ぼくは芸能関係に疎いが、何人かは思い出せる人がいる。
 ミッキー・カーチスは歌う人だっただろうが、セリフも多くひょうひょうとした人柄をなかなかいい演技でこなし、最後は死を迎えた。
 とにかくみんなが演技がうまい。というか悲しみ、愁い等の感情表現は見事と言うしかない。絶妙な間の取り方、顔の表情だけでなく体全体で表現される。べテランのなせる業と感心して見いるのだ。

 おのがさわという集落の暮らしは、戦前の国上げて戦争に向かっているとき、それに翻弄されている庶民の暮らしぶりがよく描かれていた。満蒙開拓団、山間部の自然との関わる山の暮らし、養蚕、出兵や戦死、戦争との様々なかかわり。それに戦後まもなくの暮らしぶり、やがて集落の空き家が増え開発の足音、そして今日の放送では東電の仕事をしている娘家族が原発事故にあう、と現在へと続いた。
 歴史をリアルに踏まえながら、庶民が時代の変化に翻弄されるのが描かれている。主人公家族の息子や孫の暮らしを通して人間と時代の変化がよくわかる。
 主人公は80歳を超えて(11年で83歳、84歳)なお、機織りや紐づくりなど昔の暮らしを守っている。それが基点として時代の変化を感じさせている。ぼくは主人公を演じる老夫婦が若い時どのような仕事をしたのかわからないが、とにかく安心感を持って物語にいざなってくれるのが、すごいと思って満足しているのだ。

 間もなく終わりとなるが、録画をして落ち着いた条件で見るのが楽しみの時間になっている。

 それに主題歌(このドラマでは3曲)をつくって歌っている中島みゆきの歌にも心惹かれる。彼女は詩がいいし曲も優れている。今は曲が中島みゆきという歌手と切り離せないのでなかなか歌いにくいが、将来はクラッシックの歌手が歌ってもよいのではないかと、改めて思っている。

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