世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●地域と収入の格差 マネーが人を支配する時代

2014年10月15日 | 日記
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
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●地域と収入の格差 マネーが人を支配する時代

 世界経済は米国覇権死守の煽りをうけ、極めて軟調な展開になっている。その死守に走る米国経済が真実堅調であるなら、現状のようなグローバル経済環境において、米国一人勝ちはあり得ないのである。その米国経済は経済指標となる統計数値が良好なものに見せるために、金融業界にと不動産を自動車に置き換えて、サブプライムローンに拍車をかけている。つまり、その証拠ではないが、金融と自動車産業が一見好調の波に乗り、ウォールストリートを賑わしている。このような怪しげない数値でも、その場凌ぎは出来るわけで、市場を賑わすネタさえ提供すれば、後は金融業界のミッションになる。まあ、創造景気が起きているのは事実だからねつ造だとは言えないあたりが、実に憎いのである。

 アメリカ政府には関わりのないところで、米国景気はつくられているが、そのような幻想的統計数値を見せかけと知りつつ、見逃しているのだから、一種未必の故意と阿吽の呼吸が合致し、利益損得で両輪が回っているのだろう。しかし、アベノミクス同様に、創造された好景気なのだから、必ずや夢は醒めることになる。日経新聞に限らず、日本のマスメディアは14日の東京株式市場が敗北的364円安をつけた事実を明確に報道していない(書いてはいるがベタ扱いだ)。にもかかわらず、明日は戻り相場になりそうだなどと、そう云う予測だけはトピック扱いになっている。

 米国景気が堅調な理由は、返済が可能かどうか考えずに、貸し手がいれば、借りるだけ借りた者の価値と云う価値観さえあるように思える。アメリカン・ドリームを夢みて、キリギリス的生き様がアメリカンなのだろう。ゆえに、高橋洋一氏のような経済学者が排出するのだが、宇沢氏が口走ったように、竹中平蔵なんてのは、経済学者でもないには、筆者も吹きだした。まあ、おしゃべりはこの位にして、以下の朝日の記事を読んでみよう。考えさせられる問題点が多数見つかる。記事の後で、筆者なりの考えを簡単に披露してみようと思う。

≪ 大学進学率の地域差、20年で2倍 大都市集中で二極化
 大都市と地方で高校生の大学進学率の差が広がっている。今春の文部科学省の調査から朝日新聞が算出すると、都道府県別で最上位と最下位の差は40ポイント。20年で2倍になった。家計状況と大学の都市集中が主因とみられる。住む場所の違いで高校生の進路が狭まりかねず、経済支援の充実などを求める意見がある。
 文科省の学校基本調査(速報値)から、4年制大学に進んだ高卒生の割合を、高校がある都道府県別に算出した。今春は全国で110万1543人が高校(全日・定時・通信制と中等教育学校)を卒業。大学には浪人生を含む59万3596人が入学(帰国子女など除く)。進学率は53・9%だった。
 都道府県別では東京の72・5%が最高で、次いで京都(65・4%)、神奈川(64・3%)、兵庫(61・7%)など。最低は鹿児島の32・1%で、低い順に岩手(38・4%)、青森(38・6%)など。40%未満は5県だった。
 大都市圏では愛知と大阪が58・1%、福岡52・8%などだった。
 進学率は20年前に比べて全都道府県で上昇し、全国平均も32・8%から21・1ポイント伸びた。一方、都道府県別の最大差は広がり、1994年の19・4ポイント(東京=40・8%と沖縄=21・4%)の約2倍になった。
 拡大の一因は大都市圏での進学率の急上昇。大学の集中が進み、20年間で東京は32ポイント、京都は27ポイント、神奈川は25ポイント伸びた。今春は南関東と京阪神の全7都府県が上位1~10位に入り、2大都市圏の高い進学率が目立つ。
 下位地域は伸びが鈍く、20年間で鹿児島8ポイント、岩手16ポイント、青森17ポイントだった。下位には従来、北海道・東北・九州の道県が並ぶ。上下位地域の固定化と差の拡大で、二極化が進んでいる形だ。
 進学率が伸び悩む地域には、県民所得の低い地域も多い。都市部の大学を選ぶ際に、下宿代などがネックとなるケースもある。
 「大学進学の機会」の著書がある小林雅之・東京大教授(教育社会学) は「選択は個人の自由だが、能力や意欲のある若者の進路が居住地の環境で限られるのは社会的損失だ。大学整備は専ら私学に依拠し、大都市集中につながった。その結果、私学の半数近くが定員割れで苦しむ一方、地方では多くの高校生が望んでも進学できないという矛盾も生じている。家計負担軽減には給付型奨学金の充実が急務。地方の短大や専門学校の活用も有効だ」と話す。 ≫(朝日新聞デジタル:岡雄一郎)


 国政に目を転じれば、国会の焦点を数え上げれば切がない。どこにどのくらいの目くじらを立てて論うように罵っても、矜持のない連中に、数の論理と権力の集中を与えてしまった以上、嵐が吹きすさぶのを傍観するしか選択肢はない。それが我々が民意を反映できる民主主義と崇めていたわけだから、如何ともしがたい。どの政党が政権を取ろうと、現在繰り広げられている安倍政権のように、恥じらいさえ捨て去れば、国会の議論など蔑ろに、妥協的産物を生むこともなく、自己陶酔の目的を官僚たちの自己目的を内在させる権利さえ認めれば、粛々と国民不在でも、政策が堂々と行える事実を知ったことは、デモクラシー的手法で選択をしても、選択された目的に合致しない政策でも、事もなげに可能だという詐欺まがいの制度であることに気づいたわけである。

 故にと云うわけでもないが、現在の安倍政権の行う政治がピリオドを打たない限り、今後起きるであろう悪夢も含め、国民の大多数が虐げられる政治は続くのである。此処まで、合法的に政権が独裁制に近似した政策が行えるのであれば、失敗の暁には、独裁者が粛清される制度の方がマシなくらいで、ただ単に、歴代総理の年表に名を連ねるだけでは、責任のせの字も負うことはない。こんなデモクラシー制度しか思い浮かばない人知の歴史こそ、だらしがないのか、そのように思わせるに充分な安倍政権の独裁である。大きな目でみれば、このような悪しき前例が、デモクラシー制度においても起きうるという事実を目撃していることは、大変に貴重な体験である。

 そういう意味では、民主主義の制度上の欠陥が明らかになったのだから、これらの強力な歯止めのきくリスク管理は早急に求められるだろう。そうしないと、どの政党、政治家が権力者に就くたびに、独裁のリスクを常にはらむ。代議制を選出する議会制民主主義の成立には、選出してくれた有権者の様々な要求をコントロールし、マネージメントすることが、属人的に成り立つものだという、代議員の性善説に依拠するわけだが、この代議員連中の昨今の為政を見る限り、性悪説に依拠したシステムへの構築がない限り、談合政治だけが跋扈するだろう。談合の対象とならない一般庶民は、なんということはない、詐欺に遭うために投票行動を起こしていることになる。

 上記参考の記事のように、教育機会均等における地域間格差もあるし、当然、就労地域間格差があり、結果的に収入の格差も生じる。少子高齢化な人口構成と、先進諸国の経済成長の自然増は極めて僅かに残るだけなのだから、領土拡張、支配地拡張、影響力の拡大といった、終わりなき争奪戦が展開するだけなのである。その争奪の過程で、武器製造や民間ダミー軍事企業など、一部の業界に利益は還元するが、彼らは再投資と云う休みないミッションに追い立てられるので、性善的行為をしている余裕がないのだ。つまり、庶民に分け与える分はない、と云うことになる。

 しかし、欺瞞性を帯びた議会制民主主義においては、選挙の洗礼があるので、集票マシーンとなり得る業界や宗教など群れている部分を持つものに厚く分配のなされる為政が行われるが、財政状況が、多くの出費を許さないとなれば、何処からか集金して、その元を作らねばならない。この分野は、官僚が最も得意とする分野で、自らの利権の拡大も見込めるので、新しいシステム導入に手揉みすることになる。かくして、群れるチャンスがなかった人々は、官僚の作り上げた集金マシーンの餌食になるだけで、ご利益は年年歳歳減じていくのである。

 面白いものだが、人間の知恵の産物だった、たかがマネーを便利に使っているうちに、気がついたら、人間がマネーに使われているという、世にも珍しい怪現象が起きているのだ。さらに面白いことは、人は、金を手にして、自分の何らかの欲望を満たしたとき、マネーの使い手だと認識してしまう点だ。その所為だろうか、自分がマネーに支配されていると気づかないのは。無機質であるべきマネーが、今や命を得て有機物になっている。人間がこの罠から逃れるためには、天変地異のような「価値観の大転換」そう云うものが必須なのだろう。少々、とりとめのないところで時間が迫ったので、本日はこの辺で。

左翼はなぜ衰退したのか (祥伝社新書)
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●日本先進国陥落 ありがたい、欧米価値観からの脱却

2014年10月14日 | 日記
資本主義はなぜ自壊したのか―「日本」再生への提言 (集英社文庫)
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●日本先進国陥落 ありがたい欧米価値観からの脱却

 筆者はマネタリスト高橋洋一氏のキャラクターは好きである。ただ、マネー増発で、先進国の経済成長を左右させようという考え方には、賛同しがたいのである。2014年4月まで経済は絶好調で伸びたというが、呆れるくらい3%の増税を嫌った、国民や企業があったから故の駆け込み絶好調であって、キリギリスの生き様を見て、素晴らしいと絶賛しているようなものだ。その先は、息絶え絶えで死期を待つばかりだったのだ。つまり、幻の繁栄だったと云うことに過ぎない。

 左翼系識者だけが、成長などない社会を標榜しているわけではない。保守論壇の佐伯啓思の「経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ」などからも判るように、経済学者の話で、哲学性があったのは宇沢弘文氏くらいのものである。無論、宇沢氏はリベラル系だったが、人間の根源に根差す経済学の範疇から逸脱はしなかった。

 高橋氏の面白いところは、『マネー伸び率は1~2年程度のラグで、経済成長に影響していることがわかる。ということは、ある意味の因果律となっていると思う。ちなみに、マネーを刷って増やすことや減らすことは金融政策で簡単にできる。このように、人為的に操作できるものが原因となるのは自然な話である。マネー以外にこうした相関関係のものを探すのはかなり難しい。』と、思いもよらぬ形で人為的操作だから自然なのだ、と言い切れる無教養があるところが、実は魅力的である。しかし、国の命を任すには大きく躊躇う(笑)。

 まあ、いずれにしても、アメリカ経済の実態は相変わらず張子の虎状態で、中身がスカスカの雇用統計だったり、車でサブプライムローンを再現しようとしたり、FRBがマネー増刷の為に溜め込んだ資産をどのように吐き出すのか、次なる手のことごとくが悪手になる可能性はかなりある。やはり、自然体で考えれば、先進諸国の文明の停滞は、それこそ見えざる手でストップさせられているわけで、筆者などは、神や仏の忠告だと受けとめている。以下に高橋氏の情熱コラムがあるので、参考掲載しておく。


≪2050年、日本は先進国でなくなっている!?「経済成長不要論」の行き着く先
  『母をたずねて三千里』というアニメをご存じだろう。130年前、イタリアからアルゼンチンに出稼ぎに出た母を訪れる物語だ。今ではアルゼンチンを先進国と思う人はいないだろうが、当時は出稼ぎを受け入れる立派な先進国だった。
 かつて筆者がプリンストン大学で学んでいたとき、クルーグマン教授が面白い話をしてくれた。クルーグマン教授は、しばしば「研究対象としては、日本とアルゼンチンが興味深いね。日本もアルゼンチンも〝病理学的見地〟から他に類を見ない面白い例なんだ」と言っていた。
 日本がアルゼンチンとなぜ同じなのかという真意については、「(経済学者の)クズネッツが言ったが、世界には先進国・途上国・日本・アルゼンチンの 4種類の国しかない。先進国と途上国も固定メンバーだ。例外として、日本は途上国から先進国に上がったが、アルゼンチンは逆に先進国から途上国に下がった。その意味で、両国ともに面白い」と。

■金融緩和の効果打ち消した消費増税の愚
  人口が減少する中で、日本は成長より成熟を目指すべきだとする論者は多い。特に左翼系の知識人がよく言う。かつて日本が高度成長の時代、成長は揺るぎないものだったので、そのアンチテーゼとして「成長は要らない」という考え方が流行ったが、今でも言っているわけだ。
 また、筆者が名目4%成長(実はこれでも控えめ)を言うと、すぐさま、日本はもう成長できないと批判される。かつて、筆者は「上げ潮派」と言われた が、先進国の最低クラスである名目4%を政権内で主張しても、ことごとくはね返されてしまった。先進国でビリラインの名目3%成長ですら、楽観的という烙 印が押されている。
 最近、4月からの消費増税で再び景気は悪くなったが、その増税前までは、金融緩和の効果によってインフレ率2%、実質2%成長で名目4%成長が手に届くところだった。まったくバカな増税をしたものだ。
  本コラムで再三述べてきたように、金融政策の効果がフルパワーになって景気が過熱するまで2年程度は待ったほうがいい。維新の党では、消費増税凍結 法案を提出するようであるが、経済状況から、消費増税の根拠になっている消費増税法の付則に書かれている経済条項を根拠として、凍結法案を出すのが筋である。
 成長できないという主張の人たちは、ここ20年間の日本はさぞかし居心地がよかっただろう。しかし、金融緩和のアベノミクスが登場して今年4月までは成長したので不愉快だった。そして、消費税増税後はまた気分がいいようだ。
 たしかに、4月までは好調だった。以下の図は、2012年10-12月期比で見た各期の実質GDPの増加額とその内訳だ。
  今年1-3月期は消費増税による駆け込み需要、4-6月期はその反動減とそれ以上に大きい消費増税による需要減になっている。これから、消費増税がなかった場合の金融緩和効果と財政政策効果をおおよそ推計できる。
 今年1-3月の民間消費と民間投資が2013年10-12月期並であったとしてみよう。その場合、2013年1-3月期から2014年1-3月期までの5四半期で実質GDPは15.4兆円増加している。そのうち、民間経済(民間消費、民間投資等、純輸出)はその65%を占め、残り35%は政府支出になっている。これは、金融政策は民間経済に効くわけなので、その効果が10兆円増となって、財政政策の効果が5兆円程度であると考えることができる。
 それ以前の、最近20年間は本当に酷かった。なにしろ日本は、名目GDP、実質GDP、一人当たりGDPのどれをとっても、世界の中でほぼビリの伸び率だった。先進国でビリではなく、世界の中でほぼビリだったのだ。そのため、その成長実績のために、何を言っても成長できないと言われたものだ。
 もし、ここ20年間の伸びのまま2050年まで行くとどうなるだろうか。今の日本の一人当たりGDPは4万ドル程度で、世界で20位程度だ。先進国とは、基本的には一人当たりGDPが1万ドル以上の国を言うので、日本は立派な先進国である。ところが、ここ20年間で日本の平均伸び率は0.8%で、世界でほぼビリ。そのまま2050年になると、日本の一人当たりGDPは5万ドル程度だ。
  アメリカは3.6%の伸びなので、一人当たりGDPは今の5万ドルが19万ドルになる。ユーロでは3.8%の伸びなので、今の4万ドルが15万ドルになる。 世界の平均の伸び率は4.3%程度である。となると、今の1万ドルは2050年には5万ドルになる、
  つまり、今のままであれば、日本は2050年には先進国とは言えないだろう。

 ■成長は「マネーの力」で実現できる
  経済成長は、ボウリングのセンターピンと同じだ。センターピンを第一投で倒せばスペアも容易だし、ストライクの可能性もある。センターピンを第一投 で倒さないと、ストライクはまず出ないし、スペアを取ることも格段に難しくなる。これと同様に、経済成長はすべてとは言わないが、多くの経済・社会問題の解決に有効である。
 例えば、経済成長によって、経済的理由の自殺はかなり救えるし、強盗問題も少なくなる。ちなみに、筆者は学生時代にボウリングにはまり、パーフェクト・ゲームも経験したので、この例えを好んでいる。
 また、所得再分配問題・格差問題でも、成長した上でパイを大きくしたほうがより対応が容易になる。成長なしの分配問題は、小さなパイを切り分けるように難しいものだ。もう一枚パイがあればいい。
 そこで、どうしたら経済成長できるのかという経済学で最重要問題がでてくる。これが解決すると、経済学はなくなるとも言われている最難問で、すっきりとした解はない。ただし、部分的な答えらしきものはだいたいわかる。
  人によっていろいろだと思うが、筆者はマネーの力、言い換えれば金融政策を挙げておきたい。今年4月の消費増税までは金融緩和が効いた。もちろん、そうした短期的なことから、長期の答えを出すのではないが、ヒントにはなる。
 最近20年間、世界各国の一人当たりGDPの成長率とマネー伸び率を見よう。
注:グラフ省略
 両者は相関関係になっている。相関係数0.5という数字は決して強い相関とはいえないが、こうした関係は他にまずないから、経済成長を説明しうるも のだ。もちろん、相関関係は因果関係を意味していないが、各国のデータを個別に調べると、マネー伸び率は1~2年程度のラグで、経済成長に影響していることがわかる。
 ということは、ある意味の因果律となっていると思う。ちなみに、マネーを刷って増やすことや減らすことは金融政策で簡単にできる。このように、人為的に操作できるものが原因となるのは自然な話である。
マネー以外にこうした相関関係のものを探すのはかなり難しい。
日本で人気のある「人口減少が経済成長を妨げている」という説は、世界を見る限りまったく説得力がない。下のグラフが示すように、人口減少でも成長している国は多いし、一人当たりGDPの成長率は人口増減率と相関はないのである。 注:図省略  ≫(現代ビジネス:ニュースの真相・高橋洋一)

経済学の犯罪 稀少性の経済から過剰性の経済へ (講談社現代新書)
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●朝日よ、支持するマジョリティはある 迎合で死期を早めるな

2014年10月13日 | 日記
甦る上杉慎吉 天皇主権説という名の亡霊
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●朝日よ、支持するマジョリティはある 迎合で死期を早めるな

 妥協に妥協を重ねた末だが、筆者は朝日新聞を日本の最低限の良識を維持し得るメディアとして消極的にだが支持する。現在の日本の右傾な空気の中では、識者の口も重いわけだが、そうそういつまでも右傾の空気が継続するものでもない。少々「空気」の早場米に手をつけておこうと思う。勿論、筆者個人の感情としては、アメリカ礼賛と云うポジションに大いに疑問を持つし、記者クラブメディア独特の体制翼賛的体質からの脱皮への姿勢のなさも大きな不満だが、消去法で行くならば、朝日新聞くらいはマスメディアとして生き残ることを望んでいる。到底、読売新聞や産経新聞がステータス新聞になはれないのだから。

 この、メディア全体を覆っている「朝日叩き」はイデオロギーな意志に基づくものと、トレンドゆえに売れるからと云う営業的事情もあるのだろう。「朝日叩き」を起因した「吉田証言」「吉田調書」には、誤報といわれても致し方ない部分があるのは確かだろう。だからといって、そこで伝えようとした事実の部分の多くは正しい方向に向けられていたのだから、それ程恥じ入るものではない。無論、強弁できるほどのポジションでもない。

 そもそも論で悪いのだが、朝日新聞に入社することが目的化し、新聞記者としてどうあるべきかを、忘れた人々によって引き寄せられた誤謬なのだと思う。ポーズで反政府的姿勢を標榜しても、金儲けの部分では体制に翼賛しようという腹積もりなのだから、弱みを晒して火遊びをしている、危うい塀の上を歩いていることになる。たしかに、馬鹿を相手にする方が商売はやり易い。しかし、そのような選択は読売新聞に任せてしまう勇気が必要だ。現状の高給取り体質を変えていかない限り、寄らば大樹の社員連中を抱えるだけのメディアになってしまう。逆に、それだけの高給を取るにふさわしい記事を書く気概が求められている。

 高給を一気に引き下げることは出来ないだろうが、記者クラブ発表記事重視から、調査報道重視へのシフトを本気でやれば、サイレントマジョリティな部分は充分に朝日を支持するだろう。調査報道のノウハウが不足であれば、外部者を大いに活用し、高給取りの役立たずをリストラクチャリングしていくことは可能である。出来うれば、社員の側から、霞を食べてでも正しい報道をしたいと立ち上がるのが好ましいが、今の朝日新聞の肩書だけで満足する社員を増価させてしまった以上、そういう機運が自然発生する可能性はゼロだと思う。誤報の出ないシステムを作ることではなく、誤報の少ない調査報道中心の紙面づくりが出来る体質を模索するのが、朝日新聞の立場が強くなるのだと思う。

 今回の一連の誤報問題に関して、第三者委員会を設置したわけだが、委員の顔ぶれを見て愕然とした。経産省設置のエネルギー審議会同様以下の結論ありき人選になっている。委員長には、中込秀樹。委員は岡本行夫、田原総一朗、波多野澄雄、林香里氏、保阪正康の各氏。以上の7人になのだが、どう見ても安倍官邸に阿った人選になっている。落としどころと云うか、無条件降伏の態すら見えるわけで、嵐が去るまで甲羅の中に首を引込めようと云う魂胆に思える。おそらく、政治部主導になると、メディアは常に劣化するを踏襲する好例になりそうだ。

 誤報が怖いのであれば、記者クラブ情報をかき集めた「官報」紛いの新聞を出せばいい。誤報は拙いが、誤報を恐れるあまり、角を試して牛殺すことが、最も大いなる間違いなのだと思う。たまには誤報くらいあるだろう。ただ、大切なことは、報道全体が正解に近い方向を向いていれば、誤報も誤報ではあるが、数行の訂正記事で済む。正確無比、完璧は、何もしないのと同じだ。謂わば、能力の出し惜しみであり、腐敗の温床であり、政権が変わるたびに、社論が変わるようでは、世界に日本の良心を伝えるメディアの地位を降りるしかない。しかし、日本の良心を発する媒体が読売・産経・日経では、世界における日本の地位は何処まででも落ちていくだろう。

 政府との妥協、営業上の妥協とリベラル?(モデレート)の矜持。この三つのファクターをどのように紙面構成で作り込むのか、その辺を目に見える形で、読者にアピールしていくことが必要なのだろう。朝日でなければ書けない記事、コラム。読売産経文藝春秋では書けない記事、そう云うものを官制報道と並列で、異論反論する問題点を提示し、読者に考える機会を与えることが可能なメディアになって貰いたいものだ。現状は朝日非難が空気だから、仕方ない、首をすくめて嵐が去るのを待つのではなく、このような「空気」風潮を吹き飛ばす心意気こそが求められている。

 おそらく、そのような心意気に至るためには、社の営業成績が悪化しても致し方ない。社員の給与も下げざるを得ない、不動産の一部の売却も必要かもしれない。しかし、それでも朝日新聞が日本の良識として残るのだという宣言は、世界の残り数少ない信頼されるメディアとして生き残る方法なのだと思う。ただ、サラリーマン経営者が幹部の企業が、このような大胆にして身を切るような改革が可能かどうか、少々心もとないし、第三者委員会の顔ぶれから、今後多くの期待を抱くのはかなり難しい注文のように思えてくる。筆者としては、叩き甲斐のあるメディアの一つくらいは残っていて欲しいと思うのだが、日本のメディアすべてが、笑いと嘲笑の対象でしかないのは無力感に襲われる。最後になったが、朝日の先輩記者でもある山田厚史氏のコラムも参考掲載しておく。


 ≪ メディアが朝日は「非国民」「廃刊」と叫ぶとき―― 確実に近づくマスメディアの死
  従軍慰安婦問題の検証から始まり、池上コラム不掲載が炎を煽り、福島原発事故の吉田調書報道で社長が平謝りした朝日新聞問題。新聞や週刊誌に「廃刊」「不買」の活字が躍り、轟轟たる朝日批判がメディアをにぎわせた。興奮は収まりつつあるが、一連の騒ぎからメディアを巡る危うさが見えてきた。異なる 言論を封殺しようという動きが公然化し、慰安婦報道に携わった元記者の再就職先に「辞めさせろ」と迫る脅迫文が届く時代だ。

 ■記者本人ばかりか家族まで
 「非国民」という罵声で、言論や人権を抑圧したかつてのような空気が今の日本に広がりつつある。  朝日新聞に在籍した二人の記者が実名で攻撃を受けている。元慰安婦の証言を記事にした植村隆元記者は、今年4月から神戸松蔭女子学院大学に就職す ることになっていたが、週刊文春2月6日号が「“慰安婦捏造”朝日新聞記者がお嬢様女子大教授に」と書いたことで、ネットで同大学への抗議を呼びかける運動が起こり、大学は雇用契約を取り消した。
  報道によると、植村氏の住所や電話番号、高校生の長女の写真などがネットに公開された。嫌がらせの電話や「自殺するまで追い込むしかない」などネットで中傷されている。 4月から札幌市の北星学園大の非常勤講師を務めているが、大学に「辞めさせないと学生を痛めつける」などという脅迫状が2度届いた。電話やファックスによる攻撃は後を絶たないという。 帝塚山学院大の教授だった清田治史氏も退職に追い込まれた。「慰安婦狩りをした」と証言した吉田清治氏を記事にした当事者として標的になっている。脅迫文が大学に届き、清田氏は退職。学生の被害を恐れたのかもしれないが、脅しに屈した判断は大学にふさわしい選択だったのだろうか。面倒事を避ける 「事なかれ主義」とも受け取れる結末だった。
 北星大学は筋を通している。迫害に耐え日本で布教したキリスト教というバックボーンによるものかもしれないが、脅しに屈しない姿勢は見習うべきだろう。

 ■攻撃の本当の狙いは何か
 「誤報」は報道につきまとう厄介ごとである。責任を個人に求めるあまり、周辺まで巻き込んだ中傷・暴力・脅しが公然と起こるところに、現在のメディア状況の危うさが映し出された。
  攻撃の狙いは「誤報」そのものではない。 週刊新潮10月9日号では石原慎太郎氏が「国を貶めて新聞を売った『朝日』の罪と罰」という手記を載せ、「もはや廃刊するしかない」と述べてい る。朝日批判をする論者はハンで押したように「朝日は日本と日本人を貶めた」と主張する。誤報(多くの論者は「捏造」という)の背後にある「日本を貶める」報道姿勢に集中砲火を浴びせている。
 慰安婦問題でいえば、「日本だけが酷いことをしたわけでない。朝日が大げさに騒ぎ立てて世界に悪いイメージをふりまいた」という理屈で「朝日は反日」「中国・韓国のお先棒担ぎ」「売国奴」となる。
 底流に「日本は悪くない」という思いがあり、敗戦後の占領政策で植え付けられた「自虐史観」への失地回復という意図が読み取れる。 安倍首相らが掲げてきた「戦後レジームからの脱却」や「東京裁判史観の否定」など、歴史認識の修正を求める人たちが朝日の慰安婦報道を問題にしてきた。彼らが非難するのはメディアにありがちな「誤報」そのものではなく、朝日の論調である。
 日本を貶める→売国奴→廃刊にせよ、という論理。気に入らないメディアは消えてなくなれ、という主張で「不買運動」を応援する。こうした「排除の論理」が脅迫やネット上で家族までさらし者にする言葉の暴力の温床になっている。 こうした動きは、戦前の「非国民」を彷彿させる。本人だけでなく家族も責められ、家に石が投げられた。「日本を貶める」は「非国民」のリメークではないか。

 ■慰安婦問題に対する内外格差
 6日の国会で菅官房長官は「吉田証言は河野談話に影響していない」と答弁した。談話を作成する過程で吉田証言の信ぴょう性を吟味したが「使えない」と判断し、談話には取り入れなかったと明言した。
 吉田証言の記事が取り消されたことで「河野談話は骨格が崩れた」と快哉を叫んでいた人たちは「現実の壁」を思い知っただろう。
 河野談話は元慰安婦からの聞き取りや旧日本軍の資料などをもとに作成されたもので、安倍さんが首相になったからといって塗り替えらえるものではない。吉田証言があろうと無かろうと、慰安婦問題は歴史的事実として存在する。
 海外でもオランダのティマーマンス外相が「従軍慰安婦は強制売春そのものであることは疑いない。河野談話を支持する」と先日語った。直後に安倍首相の側近である荻生田光一衆議院議員(自民党)は「河野談話は取り消さなければならない。安倍首相が来年の終戦70周年で新たな談話を発表すれば河野談話は取り消される」と7日のテレビで語った。
 この内外格差がことの本質である。戦場で自由を奪われ強制的に兵隊の相手をさせられ、命まで失っていった慰安婦の過酷な事実は、韓国だけでなくオランダや米国でも問題にされている。「吉田証言がウソだったから性奴隷はなかった」という歴史修正主義の論理は、政府内部でさえ通用しない。
 ニューヨークで開かれた国連総会での演説でも、安倍首相は慰安婦問題の見直しには一切触れなかった。「日本が国ぐるみで性奴隷にした、といういわ れなき中傷が世界で行われている。誤報でそういう状況が生み出されたのも事実だ」と国会で息巻いた安倍さんも、外国では口を閉ざす。日本で力を増す「歴史の否定」が世界の非常識であることは安倍さんでも分かっている。
  だからこそ怒りの矛先は朝日新聞に向かう。「影響力の大きい朝日新聞がウソをふりまいたから世界は誤解した」「各国語で訂正記事を出せ」という大合唱だ。だが日本が歴史修正を声高にすればするほど、国際的な信用は低下する。

 ■朝日もまた「排除の論理」に陥った
 では朝日批判は「保守派のから騒ぎ」かといえば、そんな軽い話ではない。  朝日のブランドイメージ、読者の信頼に大きな打撃を与えた。メディア業界が不信の目にさらされる中で、比較的信頼できる新聞とされていた朝日まで「筋書に沿った都合のいい情報を集めて記事を書いている」という認定がなされたことは極めて重大だ。
  慰安婦を強制連行したという吉田証言は、分かりやすい話で、疑いもなく飛びついてしまった。怪しい、と疑いが出ても「決定的な証拠はない」と目をつむった。どうやらウソだ、と分かっても、訂正せず放置した。少ない当事者の間で隠密裏に処理され、社内でも一握りの当事者しか知らなかった。はじめは 「騙された」だったが、最後は「隠ぺい」である。
  隠ぺい」から17年経ち、この8月に記事取り下げが決まった。この時の検証記事を池上彰さんがコラムで批判した。面白く思わなかった経営陣が掲載拒否を命じ大問題に発展する。
  私はこの一件が朝日の失態の中で一番罪深いと思う。「排除の論理」だからだ。気に入らない論調は消えてもらいたい、という反応は「日本と日本人を貶める」という理由で不買や廃刊を求める側と共通する。「独善」ともいえる。批判者も同じ土俵で、という民主主義のルールから外れてしまった。

■「吉田調書」問題も深刻な後遺症を残す
 一方、福島原発事故に関する「吉田調書」も深刻な後遺症を残した。記事そのもののは「取り消し」に値するような誤りはない。「命令違反で撤退」という見出しは誤解を招いたが、内容は事故で指揮系統が乱れ所長の指示に反する集団行動が起きてしまった、という事実を書いたものだ。「逃げた」という見立ては記事でなされていないが、多くの読者が「所員が逃げた」と受け取るような書き方がミスリーディングだった。
 しかし社長が記者会見して詫びる話ではない。本来なら慰安婦報道で謝罪し、池上問題で責任を取るべき社長が、不手際を認めたくないあまり、関与が少ない吉田調書の記事を口実に謝罪した、という顛末ではないのか。この不誠実な態度が傷口を大きくした。
  「記事の誤りは、事態の解釈に問題があったのか、事実に誤りがあったのか」と聞かれ杉浦編集担当は「事実の誤りがあった」と認めた。命令違反とは命令が伝わっていたのにこれに逆らう行動を指すもので、命令が伝わっていなかったのだから「命令違反とはいえない」という説明だった。
  記事は結果として「命令に反する行動」があったことを書いたもので、解釈の問題である。普通だったら記者を擁護する経営陣が、謝罪する口実に使ったため、ことさら記事の不備を強調した。
  「記者が思い込みで筋書を描き、都合のいい事実や発言を並べて東電を批判する記事に仕立てた」という朝日攻撃に経営者が同調したのである。読者は「ああ、やっぱり朝日もそういう新聞なんだ」と思うだろう。
  「我々はそのような姿勢で紙面づくりはしていません。そう受け取られのは遺憾です」というのが、ぎりぎりの対応ではなかったか。社長が攻撃側についたのでは一線はやっていられない。メディアの自殺に等しい態度だった。 充満するメディア不信が背景にある。「はじめにシナリオありで、取ってつけた取材で記事なんて書かれているんだろう」というような印象を抱いている読者は少なくない。

■マスメディアが死を迎える時
 新聞より危ういのは週刊誌やテレビのニュースショーだ。読者が飛びつきそうな筋書が先にある。週刊誌ではデスクが見出しを決め、都合いい素材を集めるライターが重宝がられる。テレビでは放送局の正社員が企画を選び、制作会社が視聴率を稼げる演出を任される。 ヤラセとかメディアスクラムなど報道不信を招く事態が進んでいた。どうせいい加減な取材だろう、と読者が疑いの目を向けていると時に朝日問題が起きた。
  誤解を恐れずに言えば、取材に筋書、言い換えれば仮説は欠かせない。情報は天から降っては来ない。事実を発掘する調査報道は「こういうことが構図ではないだろうか」と記者はアウトラインを描いて事実を集める。「都合にいい情報を探す」のは確かだ。しかし、実際はそう簡単ではない。筋書に合わない事実や発言が出てくる。描いていた話とは違うようだ、と思ったとき筋書を変えられるか。そこで記者の力量が問われる。
 はじめに描く筋書は、すでに出回っている情報や見立てを材料に組み立てる仮説に過ぎない。取材で掘り出した事実と向き合うことで新たな構図が見えてくる。そこにニュースがあり、取材の醍醐味がある。必要なのは取材力・柔軟な頭・時間である。ゆとりがないとできない。締め切りぎりぎりで、シナリオを変えたくても取材時間がない。テレビでは、もう一度撮り直しなどできない、という事情も働く。
 メディア業界が地盤沈下し、人繰りや予算が窮屈になっている。人員と時間の制約で柔軟な取材はできにくくなっていることが、お手軽な筋書先行の記事や番組を生んでいる。
 朝日は比較的「ゆとり」があり、良質な情報が期待されていた。スクープを連発してきた特別取材班は、社内でも自由な取材ができる体制にあった。それだけにプレッシャーもあったと思われるが、経営陣が現場を切り捨てるような発言をするのでは、報道不信に火をつける結果になるのは明らかだ。
 それを叩く雑誌や新聞も他人事ではないはずだが、朝日批判を書くと販売部数が伸びる。今度の騒動は干天の慈雨だそうだ。 「信用していた朝日までも」という驚きが好調な部数につながる。「そんなことは分かっているよ」と誰も見向きもしなくなった時、マスメディアはいよいよ死を迎える。 ≫(ダイアモンドオンライン:山田厚史・世界かわら版)

日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 (下)
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●正恩、ホントに統治? イラク、ウクライナは誰が統治者?

2014年10月12日 | 日記
日本‐喪失と再起の物語:黒船、敗戦、そして3・11 (上)
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●正恩、ホントに統治? イラク、ウクライナは誰が統治者?

 以下は産経の記事だが、共同通信社発信のものらしい。シュルツ米大統領副報道官が真顔で、「北朝鮮の政権は、地球上で最も不可解なものの一つ」と表現し、米国メディアに至っては「金第1書記が今の北朝鮮を統治しているのか」と疑問符つきの報道をしているという。

≪正恩氏、ホントに今も統治? 米で関心…報道官「地球上で最も不可解」
  シュルツ米大統領副報道官は10日、北朝鮮の朝鮮労働党の創建記念日に金正恩第1書記の動静が伝えられなかったことについて「北朝鮮の政権は、地球上で最も不可解なものの一つ」だと述べ、米政権内の当惑をうかがわせた。
 オバマ大統領が訪問中の西部ロサンゼルスで、記者の質問に答えた。北朝鮮に関しては「信頼できる公の情報がほんのわずかしかない」として、金第1書記に関する具体的な情報はないと強調した。
 米国内では、金第1書記の動静が1カ月以上も途絶えていることについて、CNNテレビをはじめ各メディアが「金第1書記はどこに」「今も北朝鮮を統治しているのか」などと関心を示して連日報道している。 ≫(産経・共同)

 たしかに、そのような観測も可能なほど、北朝鮮の統治機能が正常に機能しているのか、はっきりしないのは事実だ。しかし、一歩下がって、現在の世界を眺めれば、イラクもウクライナ、エジプト、シリアも、誰が統治者として振る舞っているのか判らないのが実態だ。EUの統治者だって、相当不可解なパワーバランスの渦中にあり、EU各国よりもNATOを牛耳るアメリカの意志の方が優先されているように見える。このような視点に立てば、日本の統治者も大和民族か朝鮮半島民族か、そのこと自体が怪しいうえに、その上にアメリカと云う司令塔が存在するのだから、北朝鮮の真の統治者ことを不可解だと言い切れる国家などありはしないのだ。

 チョッとだけ、一般人や通俗的識者、政治家の目は誤魔化せても、幾つかの視点で物事を観察する訓練を受けた数少ない人々にとって、目くそ鼻くその統治者の確認なのである。具体的に見えるから、彼が統治者だというわけだが、安倍晋三が日本の統治者かと聞かれたら、筆者などは即座に「違う」と答える。国民だと答える人もいるだろう。自民党だと答える人もいるだろう。官僚だと答えるのも正解のようだ。いやいや、絶対にアメリカだと答える筆者のような奴もいる。すべてが正解の一部だが、絶対的正解ではない。足元だけでも、こういう見方が出来るのだから、北朝鮮のことどころか、イラクもウクライナもイスラム国も同様に判らない。

 ウクライナの統治者がポロシェンコ大統領だって思える人は、大変長生きの出来る人だと思う。オバマ大統領がアメリカ合衆国の統治者だと思い込めること自体、すごくピュアな考えである。小学校の定期テストでは丸印がつくだろうが、リアルな世界において、素直にマルな点数が通用する世界など存在すること自体、それが不可解なのだ。戦後の世界史の不幸。ある意味で、戦後の世界史における不幸は、すべてがアメリカ統治と云う括りで読み取るのも面白い試みだ。

 イギリスの植民地から独立を宣言した1776年から数えても、240年しか経っていない国家が、世界の覇権国として君臨したことが、不幸のすべてのはじまりだと思う。ゲームの世界よろしく、何度でもリセットすることが平気な国家が統治権を持っていること自体が不条理なのである。理屈で説明する部分には甚だ強く、金儲けの方法や理論や論理、所謂科学的原理を具体的人間の営みにブレークダウンする能力には長けている。しかし、歴史的慣習や伝統文化、時には魂の問題。時には迷信まで含めて、世界中には彼らの十倍、百倍の歴史における、人知によって築かれたありとあらゆる文化があるわけで、このような目に見えないもののへの理解や造詣に至れない国家であることは、世界の不幸なのだろう。

 歴史の浅い国家が世界のリーダーになるために、きっと彼らは努力をしたのだろう。そして、マネー戦争に勝利するだけの戦略にも長けていたし、マネーが魅力を感じる国家たらんとしたのだと思う。そのためには、世界中の英知を移民と云う形で受け入れ、各国や各民族との融和にも努めたであろう。しかし、あくまでそれは方法論であり、頭で考えたものであり、自然発生したものではない。また、独立宣言後、侵略された経験のない人工国家なのだから、弱者の痛みへの感性が存在しない。そのような人々により構成される国家では、土着性や宗教性に裏打ちされた人間の共同体意識への敬意が希薄になり、上滑りした価値観がすべてとなる。それがアメリカン・デモクラシーと云う観念なのだが、この底の浅い観念を「普遍的価値」として、神格化させようと無意識に思い込んでいる点が最悪なのである。

 それらの長所と欠点を補うために、世界一マネーが集まる国家であり、そのマネーを使って軍備を桁外れに増強して、マネーと暴力装置と云う2大パワーを身に着けたのだから、世界制覇の欲望も湧くに違いない。無意識でも、そういう潜在的なものはあるわけだ。しかし、最後の支配行使において、彼らは現時点で半分ばかりドジを踏んでいる。なにせ、この人口国家は、マネーと暴力装置で、常に桁違いの力量を堅持していないと、怖くて怖くて夜も寝られない国家なのである。そして、彼らの躓きの要因の中に、マネーも暴力も怖くないという勢力を目の当たりにし、力の限界を知ると同時に、歴史の浅さをハンデキャップとして受け止めている賢明なアメリカ人もいるのだと思う。しかし、流れとしては、今さら引き返せないアメリカかもしれない。

世界陰謀全史
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●某評論家 アベノミクス失敗の責任を中韓欧へ押しつける 

2014年10月11日 | 日記
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
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●某評論家 アベノミクス失敗の責任を中韓欧へ押しつける 

 見出しの評論家だか、コメンテータだか、臨時論説員だか知らないが、長谷川幸洋と云う安倍自民政権以降、稼ぎ頭の一番手などと噂のある人物のことである。以下の現代ビジネス掲載のコラムは、如何にも、自分はアベノミクスに距離を置く立場であった風味の現ポジションを匂わしているが、アベノミクス全盛期には、我が意を得たりのコラム等々を書き、語っていた。またまた、再再変節したのかもしれない?どうも筆者の目からは、この人物は、ネオコンと世界金融勢力からの後押しを受けている感じがする。まあ、その辺は、じっくり件のコラムを読んで、各自分析していただきたい。

 同氏は日本の評論家として、歪曲や我田引水においても巧妙に言い逃れ、論理のすげ替えにおいて「洗練度」は中々高度である(笑)。コラムでは、日銀黒田の金融の追加緩和先送りの理由をメインに書いているが、おそらく、アベノミクスの失敗が濃厚なのを感じ取り、早々と身をかわす準備モードに入ったことが窺える。一挙両得と云う表現が良いかどうかわからんが、アベノミクスの失速も、自分の読み間違いも、EU、中国、そして韓国等々の所為で、奈落の日本経済もあり得ると言い出している(笑)。この人が、転ばぬ先の杖をつきだし、先手必勝の「逃げ」を打ったと云うことは、日本経済は、消費増税で、今現在すでに、沈没していることを予感させるわけである。

 この点は、日経新聞なども似たような傾向があり、見込み違いの言い訳探しに奔走する記事や解説が増えている。東証株価も、大幅な落ち込みが見込める段階で、常に引け間際に「正体不明の買い資金が注入される」。この資金が、海外ファンドであるわけがない。個人株主の思惑買いと云うのも無理だろう。そうなると、その正体は、おのずと限定されるのである。特別会計の積立枠が援用され、GPIFが引くに引けずに突っ込んでいるか、そういう想像しか浮かばない。さてさて、真実は何処にあるのだろう?

 本来であれば、マスメディアの報道から消え去ったような「ウクライナ内戦」の情報分析が喫緊の興味だが、情報だけを収集した段階なので、書き込む段階ではない。ゆえに、このような皮肉コラムになったわけだが、どうもアメリカは本気でロシア潰し、否、プーチン潰しにご執心のようだ。たしかに、長谷川幸洋が指摘するように、中国経済はやばいだろうし、プーチン支援に全面バックアップとはいかない情勢だけに、ここがプーチン潰しの本丸と狙いをつけたかもしれない。数日中に、ウクライナ・ロシア問題は取り上げる。

 ≪ 政府もIMFも弱気なのに、日銀だけはなぜ強気なのか? 現状維持政策の読み方
  日銀が10月7日に開いた金融政策決定会合で、景気は「緩やかな回復を続けている」という基調判断を据え置いた。

■日銀の強気は突出して異様
 一方、内閣府は同日に発表した景気の現状を示す指数の低下を受けて、基調判断を「下方への局面変化を示している」と引き下げた。政府が弱気なのに、日銀はなぜ強気なのか。

 弱気なのは日本政府だけではない。国際通貨基金(IMF)も2014年の日本を0.9%成長と予想し、7月時点の見通しから0.7%ポイントも引き下げ た。4月の消費税引き上げで4~6月期の成長率が予想以上に落ち込んだためだ。さらに言えば、15年についても0.8%成長と同じく0.2%ポイント引き 下げた。

 私はよく各地の中小、零細企業経営者たちと話をする機会がある。8日には兵庫県姫路市で税理士たちの話を聞いたが、彼らは異口同音に「私たちの顧客である中小、零細企業には景気回復の実感がありません。厳しい状況ですね」と言っていた。

 田園風景が広がる田舎に行けば、道を走っているのは軽自動車ばかりだ。生活の足になっている軽自動車のガソリン代値上がりが可処分所得を直撃している。家族数にもよるが、一世帯当たりでトータルの所得減は1万円を超える場合もあるという。これは物価上昇を加味した実質ではなく名目の話である。目の前で現金が消えていくのだ。

 そういう肌感覚や政府、IMFの発表と比べると、日銀の強気は突出していて、やや異様な感じさえある。

■10%消費増税がどちらに転んでも「いま緩和する必要はない」
  日銀内の事情に詳しいウォッチャーに話を聞くと、実は日銀の中でも意見が割れているらしい。それはそうだろう。「景気の先行きについて、事務方では この数週間で急速に弱気派が増えました。日銀は上司の顔色をうかがう“ヒラメ集団”でもあるので、トップの黒田東彦総裁が強気だと、あえて表で異論を唱える人はいませんが…」という。

 事務方だけではない。岩田規久男副総裁と黒田総裁の間でも意見が割れている、という説もある。岩田本人に確かめたわけではないから、それはひとまず措くとしよう。

 私は金融政策決定会合がまだ続いていた7日午後、テレビの生番組(BSスカパーの『チャンネル生回転TV Newsザップ!』)に出演していた。景気判断と金融政策の据え置き決定を聞いて「あ、これはタマを出し惜しみしたな」と直感し、番組でそう解説した。

 黒田総裁はこの先に控えている消費税増税問題をにらんで景気判断の変更と追加緩和を先送りした。私はそう思う。本来なら、ここで追加緩和に踏み切ってもおかしくない局面なのに、緩和どころか景気判断も現状維持にしてしまったのだ。

 ご承知のように、安倍晋三政権は消費税を10%に引き上げるかどうか、7~9月期の国内総生産(GDP)の数字をみて12月に判断する方針だ。ここで増税 断行を決断すれば、政権は増税による一段の景気悪化を防ぐために、政策でテコ入れしなければならない。本当は増税しなくてもテコ入れが必要なくらいの局面だ。補正予算の編成と追加金融緩和である。

 補正予算編成は政府の裁量で可能だが、金融緩和は日銀の仕事である。建前はそうだが、政府は日銀に意見を述べることができる。当然、日銀に緩和圧力がかかる。黒田総裁とすれば、それはいまから十分に予想できるから、そのときに備えていまは緩和に踏み切らない。つまりタマをとっておいた。

 逆に増税を先送りした場合、露骨な緩和圧力はなくなるので、日銀には裁量の余地が広がる。そうであれば、緩和を急ぐ必要はない。増税先送りは前向きなサプライズになって、景気にプラス効果さえ生むかもしれない。それなら、なおさらいま緩和する必要はない、という話になる。

■日銀と朝日新聞の発想は同じ!?
 政府やIMFが言うように、景気が下向いているのは間違いないので、本来なら日銀は7日の金融政策決定会合で追加緩和してもおかしくなかった。景気が本当に落ち込んでしまってから緩和しても遅い。むしろ、景気の方向を先取りして緩和するくらいでちょうどいいのだ。

 それなのに、緩和どころか日銀の景況感は「緩やかな回復を続けている」だった。これはおかしくないか。なぜそうなったかといえば「増税に備えて追加緩和を 先送りしたい」という政策判断が先にあって、それに合わせて「景気は大丈夫」と言っているのではないか。そうだとしたら、話が逆だ。

 黒田総裁はかねて「消費税は10%に増税すべき」という立場である。だから黒田にしてみれば、増税実施を前提に金融政策を考えるのは当然である。そうすると、いずれ増税になる(すべきだ)→そのときは追加緩和で後押しが必要になる→だから緩和ダマはとっておく→むしろ、いま緩和したら景気悪化を認める結果になって、増税が先送りされかねない→だから景気判断は現状維持で当然、緩和もしない。そういう話ではないか。

 本来は現状認識に基づいて政策を判断すべきなのに、政策判断が増税優先だから現状は大丈夫と強弁しているように聞こえる。判断が先にありきという話だとすると、朝日新聞問題とそっくりである。自分たちのスタンスが先にありきで、肝心の事実をつまみ食いして報道したのが朝日新聞だった。日銀も同じ発想なのか。

■中国発で経済が動く局面
 もう1つ、消費税以外でも景気への懸念材料がある。それは中国だ。中国は7%成長とか言っているが、実はそんな高成長はとっくに幻になっていて、い まやゼロ%成長くらいに落ち込んでいるのではないか。信頼できない公式のGDP統計ではなく、石炭の生産や販売量を基に、そういう観測が中国専門家から出ている。

 ゴーストタウン化した各地のマンション街やショッピングセンターが雄弁に物語るように、中国ではすでに不動産バブルが弾けた。不動産投資はシャドーバンキ ングで集めた資金が高利回りを生み出す「金の卵」だった。卵が壊れてしまったから、もう高利回りは実現しない。つまりシャドーバンキングの破綻は必至である。

 そういうプロセスが足元で始まっている可能性が高い。11月には北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC)を控えているから、それまでは何がなんでも経済破綻を抑えこむだろうが、その後は何が起きるか分からない。中国が沈めば、対中輸出で持ちこたえている韓国も沈む。

 先の日銀ウォッチャーも「黒田総裁の頭には消費税だけでなく、中国の景気後退懸念もあるでしょう。ゼロ成長に落ち込んだ欧州に加えて中国まで沈んでしまったら、日本は大打撃です。日銀は否応なく緩和せざるをえなくなります。それを見越して緩和ダマは残しておく、という判断もあるでしょう」と言った。 
 ここから先は経済が動く可能性が高い局面だ。残念ながら下向きに。 *一部敬称略 ≫(現代ビジネス:ニュースの真相・長谷川幸洋)

大人のひきこもり 本当は「外に出る理由」を探している人たち (講談社現代新書)
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●どのツラ下げて?官房長官 「民主国家としてあるまじき…」

2014年10月10日 | 日記
「健康第一」は間違っている (筑摩選書)
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●どのツラ下げて?官房長官 「民主国家としてあるまじき…」

 たしかに、たしかに、韓国司法の暴挙だと言える。それは、その通り、なんら異存はないのだが、日本政府が韓国の民主主義に疑問を呈する資格があるのだろうか?我々は、その点をじっくり検討する必要があるのではないのか?まあ、起訴するのはお隣さんの勝手といえば勝手。無罪でも起訴されるし、真っ白でも起訴される。他の民主国家でも検察の起訴は、多くの政治利用が行われるのだ。ある意味で民主国家らしい警鐘の手口の典型だろう。判決が出たのなら、現在の産経読売が怒るのはいいとして、政治家や政権がギャーギャー言うレベルではない。

 しかし、この時点でも、頭にきて当然というならば、自分たちも胸に手当てて、一歩立ち止まる慎重さが求められる。“人のふり見て、我がふり直す”と云う感覚で直接的に見直してもいいだろう。それだけでも、充分に他国を非難できるほど、我が国の民主主義が潔癖に実行されているか、その点を考えただけでも、資格の有無から論ずる問題だ。筆者のコラムを読んでいる方々であれば、日本民族にデモクラシーが相応しい政治体制でないことを主張しているのはご存じだろう。

 デモクラシーの3原則、立法・行政・司法の三権分立が象徴的イメージである。この分立が几帳面に隔離されて実行されている民主国家だと主張する国々はあるのか、と問われれば、そんな国はおそらく一国としても存在していないだろう。あり得る違いは、その国家にとっての共通の利益の為に、この三権には共通の認識があるべきという認識論は必ずある。その精神棒なしに、三権がバラバラに意志を貫徹することは、トータルすると、その国家に不測の損失をもたらすリスクを常に包含することになる。

 これじゃあ怖くて、国など云うものを動かすことは不可能だ。日本の場合を眺めれば、どれ程三権が共通の認識によって動かされているかは、皆さん既にご承知の通りだ。わざわざ幾度となく繰り返されている国策捜査然り、立法行政の隔壁は取り払われ、“ご説明漬け”になる行政の長達。この行政の長達を決定するのは立法(国会)だが、立法府と行政府の垣根はあって無きが現実である。つまり、日本であれば、立法・行政は、ほとんど相似的な意志で動いているので、二権は混在している。

 まして我が国の場合などは、立法と行政に責任を持つ、政治家や政党は、日常的業務の大半を官僚機構に依存している。立法府でふんぞり返る政治家達は、官僚なくして一日として暮らせない仕組みに嵌め込まれた囚われ人同然なのだから、極論を言うならば、昨日のコラムでも言及したように、官僚だけで事の殆どはなし得るのである。国益に沿う決定がなされるのであれば、政治家や政党や官邸などは不在で良いのだ。官僚組織に、全責権限を委託する手もあるのだ。実態は、その通りなのだから。ただ、猿真似ジャップ!デモクラシーのフリがしたいだけなのだ(笑)。ゆえに、我が主張のような、君主民主制なんてアイディアが浮かぶのである。

 この立法行政が一体化している中で、唯一残された最後の権力、「司法」が独立していれば、これはこれで期待が持てる。しかし、残念ながら、この司法も、法務官僚の支配下にあり、すべからく裁判官たちは官僚化し、一生の待遇が差別の権化のような人事体制の囚われ人化しているのだから、霞が関官僚組織のアウトソーシングのような立場にある。まして、刑事司法ともなれば、たいして真っ当な民主国家でもない自称民主国家から、中世の司法だ、と非難されているのだ。

 韓国の刑事司法などは、少なくとも我が国の警察検察の刑事司法に比べれば、表向きかどうか別にして、牢屋に容疑があるだけで、2か月近く勾留するような「自白司法」が犯罪の有無の決め手なんて馬鹿馬鹿しい話はないのである。このような我が国の政府の人間が、他国の司法を批判するなど、金輪際出来るはずはない。出来るとすれば、中世司法の共犯者として確信的な人間か、まったくの無教養である。韓国司法の暴挙も呆れるが、それを我が国政府が批判するとは、どのツラ下げて口にしたのか、国民は恥じるべきである(笑)。

 まあ、厳しいことを我が国に向かっていうわけだが、筆者が日本国民であるからに他ならない。他の歴史的にわが日本よりデモクラシー先進国は、どこ優れているのか考えてみると良い。それは、筆者の目が曇っていない限り、欺瞞や詭弁の「洗練度」に依拠している点だ。お洒落に、巧妙に、正義の証明をするが如く流麗に、ノーベル平和賞まで手にするわけである。要するに、あそこまで洗練された欺瞞や詭弁を弄することは日本民族には、永遠にできない。そのことを踏まえて、我々は今の日本を考えても良さそうなものだが、一向にその気配はない(笑)。

≪ 外務省、韓国公使呼び「極めて遺憾」 産経記者在宅起訴
  産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長(48)が、同紙のウェブサイトに掲載した記事で韓国の朴槿恵(パククネ)大統領の名誉を毀損(きそん)したとして在宅起訴された問題をめぐり、菅義偉官房長官は9日午後の会見で、「報道の自由、及び日韓関係の観点から極めて遺憾。民主国家としてはあるまじき行為だ」と韓国検察当局による起訴を強く批判した。
 ただ、菅氏は「内政干渉になる部分は控えるのが常識だ」とし、起訴の取り下げなどは求めない考えも示した。
 外務省は9日、韓国の金元辰・駐日公使を同省に呼び、伊原純一アジア大洋州局長から「報道の自由、日韓関係の観点から極めて遺憾だ。事態を深く憂慮している」と申し入れた。
 韓国政府は「あくまで司法の問題であり、外交問題ではない」(政府関係者)との立場だ。韓国側は「法と原則に基づき捜査を進めたうえでとった措置であり、二国間関係全体とは無関係」と応じたという。
 報道の自由を脅かすとの国際的な非難も広がっている。国際NGO「国境なき記者団」(本部・パリ)は同日、朝日新聞の取材に答え、起訴を「強く非難する」として撤回を要求。「メディアの行動を重罪として扱うことに反対する。自己規制を招きかねず、当局の批判を試みる報道陣への有害なメッセージとなりかねない」と訴えた。
 米国務省のサキ報道官も8日、「我々は広く言論や表現の自由を支持しているし、韓国の法律への懸念もこれまで示してきた」などと憂慮を表明した。同省は2013年版の人権報告書の中で、韓国について「法律が名誉毀損を幅広く定義して刑事罰の対象としており、取材活動を萎縮させる恐れがある」と指摘していた。 ≫(朝日新聞デジタル)

巨泉の遺言撤回 「今回の人生では○○しない」
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●日本の政治 まる三日間の項目読むだけで “吐き気”

2014年10月09日 | 日記
文明と文化の思想
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●日本の政治 まる三日間の項目読むだけで “吐き気”

  今夜は呆れるような国内政治関連の項目を並べるだけのコラムとあいなる(笑)。日本という国の劣化度は、三日間の政治的話題を眺めるだけで充分理解可能。特に、解説の必要もないだろう。こんなことなら、国会なんていらないのではないか?無論、政治家も政党もいらない。霞が関官僚たちに全部やらせても変わらんだろう。
 すべてを官僚に任せ、結果責任法廷を開設したら如何か。北朝鮮に学ぼう(笑)。裁判官弾劾裁判所を強化し、更に、官僚弾劾裁判所も併設する。
 判事は、司法から3割、学界から3割、民間人抽選4割で構成し、経過手続責任ではなく、結果責任論をもって裁く。きわめて非民主的だが、問題あるかね?(笑)。

10月8日(水曜)
*維新・橋下、民主党との連携否定発言
*大臣就任後も松島みどり「団扇」を資料として制作
*日米防衛協力小委員会、米軍共同作戦、地域枠削除
*野田田吾作前首相、消費増税粛々と

10月7日(火曜)
*懇ろ野次で鬼の首、首相、官房長官揃い踏みで非難
*団扇配布は公選法違反?あの団扇で風送る奴はだれ?
*脱デフレ、景気配慮は増税見送り、さにあらず安倍
*自民・人口減少議連発足、やっているフリする議員連中
*人勧受け入れ地方公務員にも波及 高市鼻の下
*官房長官、テロ防止取組 テロを受けるようなことしている
*萩生田総裁特別補佐発言は個人的 側近だろうが
*公務員給与は天井知らず 天まで登れタカリ軍団

10月6日(月曜)
*萩生田総裁補佐、河野談話なんて、新談話でオジャン
*首相、円安に適切に対応 円高は財界うるさい、財政赤字増やす
*オスプレイ、予定通り日本全体に危険ばら撒く
*首相、秘密保護法恣意的運用私はしない 官僚に聞いてくれ 
*金沢市長選、既存政党候補全員討死
 以上(筆者ねつ造部分有)

 愉快な国内政治の項目は、最後の最後の金沢市長選の結果のみ(笑)。

今の日本がここから見える! 「米中韓」と日本の歴史
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●ワシントン曰く ”分際を弁えろ欧中露日韓、世界のものども”

2014年10月08日 | 日記
世界を操る支配者の正体
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●ワシントン曰く ”分際を弁えろ欧中露日韓、世界のものども” 

 以下は、「ロシアの声」掲載のコラムだが、“なるほど”と感心する。的を射た意見だ。日本人の多くには、終戦時の遺恨で「ロシア嫌い」の「空気」が存在するわけだが、アメリカ一国主義は、明らかに限界点に達しているわけで、現在のような無理な踏ん張りは、物事を一層複雑にするし、カオスの中に、もう一つのカオスを創造する努力であり、遺恨の歴史が層状化するばかりで、人類の益になる部分は限定的になる。この益を独り占めしようというのがアメリカなのだから、人類の益になる筈はない。賢い巨象は、死期を知り、死に場所、死に方まで、生まれながらに心得ている。

 故宇沢弘文氏の「社会的共通資本論」の主張が、幾分古臭く感じるのは、今現在を生きている多くの人々が「都市文化」の中に暮らしているせいだろう。土が身近にないし、手で触れることが一生ない人々もいるくらいだ。人間は進化する動物だから、進化を咎めるわけにはいかない。しかし、今の世界、特に「都市文化」の中には、人間の進化の前に、生命を維持している「食」という観念が消え失せている。「食」が美味しいとか、不味いとか、そういう次元でしか「食」を感じることが出来ない生存空間にいることも不幸なのだろう。無論、筆者も「都市文化」を享受している人間だが、合理性よりも、効率性よりも、人間の原点を感じて生きようと思っている。

 筆者が、アメリカの覇権維持手法に嫌悪を憶えるのは、合理性や効率性の追求が「善」として前面に打ち出され、且つ、それがすべてのような生き様を見せつけられる所為である。自然と共に生き、自然の恵みと猛威に晒され生きているのが我々であり、この生命維持基盤との関連を通じて、人は生きる意味合いを体感していくのだと思う。その過程を通じて、人と人が、最低限幾つかの範囲で、協力や協調が求められ共同体の原型が生まれる。オバマやバイデンやヌーランドは、それも承知の上で、しかし、それ以上にアメリカ一国主義が強力でないことには、世界のカオスは、更なる混沌を招く、と考えているのだろう。そのためには、合理と効率の思考の徹底だと言いたいのだろう。その象徴が「アメリカン・デモクラシー」だと言いたいのは判っているが、それは絶対に違う。まあ、そんなこと言っても「都市」で生きているから、言いたいことも判らんではないのだが(笑)。

 ≪ バイデンのレシピあるいは欧州属国論
【米国のジョゼフ・バイデン副大統領が各方面に頭を垂れている。ハーバード大の講演でトルコとUAEを「イスラム国」支援国と名指したことにつき、「誤解だ」うんぬんの苦しい弁解を並べた。ところで、同じ講演で、EUに関する問題発言があった。「EUは対ロシア制裁を望んでいなかったが、米国が強要し た」。しかしEUは米国に謝罪を求めないのだ。】
  EUは自らの窮状についてあまり語りたくない。だから沈黙しているのだ。このような反応も驚くには当たらない。このようなことはEUには繰り返し起こっているのである。政治学者セルゲイ・ミヘーエフ氏。
  「分際を弁えろよということだから、EUに対するシニカルな侮辱である。しかし本質において、今回のバイデン発言は、メディアに流出したヴィクトリア・ ヌーランド(国務次官補)のEU侮辱発言を、より洗練された言葉で言い直したものであるに過ぎない。
本質的には単純なことを言っている。ヨーロッパはアメリカの言うことをただ実行すればよいのだ、と。
 EUは自分の意思では何も決められない。ホワイトハウスこそがあらゆることを決めるのだ。ホワイトハウスが望めば、その望んだ通り になる。たとえその結果、EUが損を被ってもだ」
 エドワード・スノーデンの暴露によって、NSAが失敬千万にもEU諸国首脳の通信を傍受していたことが判明したときも、さしたる反応は見られなかった。なるほど、少しは怒っても見せたが、ほとぼり冷めれば唯々としてビッグブラザー・ワシントンのすること為すことに雷同し出した。
  米国の著名なエコノミストでレーガン政権で財務次官補を務めたポール・クレイグ・ロバーツ氏は、「バイデン発言は有体に言って『欧州諸国は米国の属国である』という米側の認識を示したものだ」と語っている。
 またロシアについては、「制裁はロシアを利するものでしかない」と語っている。
 「制裁による負の経済効果はロシアより欧州で大である。ロシアには代替輸入先も代替輸出先もある。エネルギー資源はアジアに向け変え、農業は中南米から輸入すればよい。ロシアはより慎重に考えかつ行動するようになり、欧州からの経済的離脱を図っている。そうする必要があったのだ。欧州諸国の「ワシントンの傀儡」化はひどくなる一方なのだから」
  バイデン講演のあるフレーズが耳を引く。「ロシアの崩壊は望まない。ロシアの成功を望んでいる」というもの。米大統領府や国務省では最近よく聞かれるフレーズだ。一方では第二次冷戦を準備しながら、ロシアのいかなる「成功」を望んでいるというのか。ロシアに再び1990年代の惨状を繰り返してほしいと言うのか?そんなことは実現しえない。あたかも「一極支配体制」が存続し得ないのと同様に。 ≫(ロシアの声)

日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか
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●政府は米国の正体見極め行動しているのか 承知の上なら構わんが

2014年10月07日 | 日記
ジャパン・イズ・バック――安倍政権にみる近代日本「立場主義」の矛盾
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●政府は米国の正体見極め行動しているのか 承知の上なら構わんが

 今日は、このような見出しを考える上で重要な世界の常識のようなものを知って貰うつもりで、書いている。ロシアや中国の言い分を代弁する気はさらさらないが、意外にロシアのジャーナリズムは、少なくとも日本のマスメディア中心のジャーナリズムに比べれば、雲泥の差を見せつけられる力量を持っている。流石に哲学や宗教に裏打ちされた国民性が出ている。必ずしも賢い民族ではないが、賢い日本人よりも、数段哲学的思考経路があるし、国益の何たるかを理解している。ある意味で、最近まで混乱が続いていた国だから、自分たちのアイデンティティに、まだまだ敏感なのかもしれない。ファットな豚どもの場合、このアイデンティティへの感受性がゼロ乃至マイナスな点が、自由主義世界の難点なのだろう。

 欧米の自由と民主主義には欺瞞はなく、正義限りを尽くしているという嘘の構図を、仮にそれが「嘘」でもあっても真実として貫くことは、その「嘘」を「真実」に突然変異させられると、西側諸国の秩序の安定勢力は考えている。国際外交においては、このような欺瞞に満ちた「信じ合いゴッコ」が重要な期間もあるだろう。しかし、そういう場合の期間は、具体的リスクが、世界各地で潜在的にある場合に有効であり、そのリスクが顕在化した時には、その「信じ合いゴッコ」のいくつかを誠実に吟味し、「真実に」近づけていく努力が、主たる国家の外交当事者に求まれるわけである。

 現在、シリア・イラク領土にまたがり勢力を伸ばしている「イスラム国」は、その勢力範囲はシリア・イラク全体の30%以上を占めているわけで、単に逃げ隠れしている、卑劣なテロ集団の姿から、国家体制に向けた組織整備に着手しており、イスラム原理主義の烏合のテロ集団の段階は一気に加速度的に解消され、国家的センスある集団になりつつある。これを阻止しようと、アメリカは外交上の体裁を整えるために、トルコ、サウジアラビア、UAEの3カ国連合にような仮面を用意して、中東の問題は中東勢でという、いやに礼儀正しい選択をしたようだが、アメリカの本心としては上記3カ国が、思い通りの軍事的成果を上げるかにつては、相当懐疑的になっている。

 以上は「イスラム国」に関してだけの話だが、この中のは同時的に解決余儀なく去る、イラク問題、シリア問題、イラン問題、イスラエル・パレスチナ問題が絡み合うので、解決方向に向かう可能性よりも、一層の混沌が惹起されるリスクの方が優勢だろう。それでも、アメリカは、覇権者のプライドもあるだろうし、経済的権益も大きいだけに、明確にオバマ政権の行動に「待った」をかけられるのはアメリカ国民の力量だろう。しかし、彼らの多くは好調だといわれている国内経済の波に乗り損ねないことに興味の殆どを費消している。

 そのような、アメリカの覇権国家としてのメンツは、アメリカ国民の意思に基づく世界秩序維持行動なのかどうか、あなり不透明だ。以上のような、アメリカの一連の動きを、ロシアは口少なく、分析に余念がなく、多くの思考に必要な情報を提供している。少なくとも、日本のマスメディアの球体の一面を見て、平面だと説明するような稚拙さはないから、ロシアのプロパガンダを排除しながら読み理解しておくと」、かなり中立的状況分析に役立つ。以下にロシア初の幾つかの情報を羅列するので、読む人の器量次第で、味の変わる文章というものは、やはり大人な外交においては、重みが増す。

≪ 米国の見つけた中東混乱の「犯人」
【中東における原理主義思想の急速な拡大は何故起こっているのか。「イスラム国」と戦う国際戦線が犯人探しに躍起となっている。】
  事の発端は米国のジョゼフ・バイデン副大統領によるハーバード大講演。副大統領は、「この戦いは長くかつ困難なものとなる。この問題を作り出したのは中東における米国の同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、UAEである」と述べた。バイデン副大統領によれば、この国々はシリアのアサド大統領を追い落とすことに性急なあまり、シリア政府軍に反抗する者であれば誰であれ見境なく、何万トンもの武器、何億ドルもの資金を供給した。それが中東の混乱を引き起こした、というのである。またバイデン大統領は、トルコのエルドアン大統領との協議の「内幕」も明かしてしまった。「エルドアン氏はあまりにも多くの戦闘員 に国境通過を許してしまい、いたずらに「イスラム国」を増強させてしまったことを後悔していた」と、バイデン副大統領は語った。
  のち、バイデン副大統領は、トルコとUAEに謝罪した。同盟国にテロ支援の疑いをかけているわけでは全くない、と釈明した。
 しかし、電話で伝えたごめんなさいよりも、世界の何千というメディアによる報道、またインターネットによる情報拡散の方が、はるかに強い影響力を持つ。ジョゼフ・バイデンほどの老練な 政治家がさしたる考えもなしにあのような発言をしうるなどと考えることはナイーヴに過ぎる。ハーバードで彼が行った発言はことごとく入念に計算され、具体的な狙いをもったものだった。その狙いとは、イスラム過激派への資金供給について米国政府に向けられた非難の、その矛先を変えることだ。政治学者のレオ ニード・イサーエフ氏はこのように見ている。
  「記憶に新しいことだが、国連安保理および国連総会で、中東諸国や中南米諸国がこんな疑問を提出した。いったい誰が、何の目的で、「イスラム国」に資金を供給したのか、と。米国政府はこの疑問を逃れるために、同盟諸国に責任を転嫁する必要があったのである」
 それには特別な工作など何も要らない。ただ真実を言えばよいのである。そこで重要なのは、自分に有利なようにアクセントを打つことだった、と戦略研究所のアジダル・クルトフ氏は指摘する。
  「米国は手広く外交代表部、諜報機関、諜報に携わっている非政府組織を展開し、ネットワークを築いている。同盟国が何をやっているかくらいは知悉していよう。アラブ諸国やトルコに対する非難は、米国自身のミステイクをカバーするためのものだったと見るべきだ。シリア反体制派に武器や資金をみだりにつぎ込んでいたのは米国も同じなのだから。これら支援はある部隊に注入されたのち、ほかの部隊に回された可能性も十分にあるのである。米国もトルコやUAEと同罪なのだ」
 犯人が多すぎると取り調べもままならない。トルコもUAEも米国に立腹する閑などない。「イスラム国」戦線が荒れ狂っている。 ≫(ロシアの声:ナタリーヤ・コワレンコ)

 ≪米国務省補佐官、キエフ訪問
米国務省のヴィクトリア・ヌーランド補佐官が日曜、キエフに出発した。米国のウクライナへの支援について協議を行う。国務省が発表した。 ウクライナ危機の勃発以降、米国はウクライナに対し2億9000万ドルの支援を行っている。うち1億1600万ドルは軍事的な支援。ただし、武器は供給されていない。 ≫ (リア・ノーヴォスチ)
注:ヌーランド国務省補佐官、ウクライナクーデターの米国側指導者と言われている


≪ ロシアNOWの10月6日報道まとめも分析に役立つ。
「ガゼータ・ル」紙は、ウクライナのガス問題について伝えている。
 ウクライナはロシアへの依存を減らせるような、新たなガスの供給者を見つけた。ウクライナの国営ガス会社「ナフトガス」は、ノルウェーの石油・ガス会社「スタトイル」と契約を締結。
 非公式な情報によると、スタトイルのウクライナへのガス供給量は年間最大55億立法メートルになる見込み。ウクライナのガス需要は年間500億立法メートルであるため、10%の確保にすぎない。それでもナフトガスの幹部は画期的な契約だと言っている。
 専門家は、確かにノルウェーとの契約は画期的であるが、それほど大きな変化をもたらさないと考える。「とどのつまり、スタトイルはウクライナにロシア産ガスを供給する可能性がある」 

「アガニョーク」誌は、香港の”オレンジ革命”について書いている。
 中国政府はこのデモを違法とし、香港特別行政区政府が現状のコントロールを取り戻すべきだと言っている。しかしながらデモの参加者は、対話相手は あくまでも中国政府であり、梁振英行政長官の辞任を求めると言っている。梁行政長官自身はデモ参加者とは対話しないし、また辞任する意向もない。結果的に、対話がほとんど成立していない。
 今回香港で起きているできごととウクライナの抗議運動には共通点が多い。モバイル機器で容易に統制される数万人の市民は家に戻らず、政府は警察以外の何で対抗すればいいかわからない。このデモの波は外国から操作されていると指摘する人もいる。外国の影響の度合いは測りにくいが、アメリカのマスメディアはデモ隊に同情的な報道を行っている。 ≫

「独立新聞」は、香港の対立が終わりに近づいていると書いている。
 梁行政長官は4日、テレビ演説を行い、6日朝までにデモ隊が政府庁舎の封鎖を解除しない場合は、政府が社会秩序を回復させると述べた。西側のマス メディアが最後通牒と呼んでいるこの演説は、香港でデモ隊と、デモの波によって商売に支障が出ている地元のデモ反対派市民との間で衝突が続いていた時に行われた。
 専門家は、デモ隊排除を行うのは警察で、軍ではないと考える。中国にとって香港は金の卵を産むニワトリ。投資家に衝撃を与えないように、法的手段で対抗する。
 ロシア科学アカデミー極東研究所のアレクサンドル・ラリン上級研究員はこう話す。「北京はほとんど譲歩せずに混乱を阻止できるだろう。北京にとっては、堅牢さを示すことが極めて重要。香港が中国の他の都市の”お手本”になるようなことがあってはならない」
 中国の報道では、アメリカ人とイギリス人が香港の混乱を挑発しているという意見が、多く見受けられるという。このような陰謀説は現在流行している。だ が、アメリカの影響は最小限だという。「香港が民主運動の砦になり、国中を揺り動かすことを、アメリカ人は望んでいない。アメリカにとっては、中国との関係を悪化させないことの方がはるかに重要」とラリン上級研究員。

 以上の記事を読んでもお分かりの通り、ロシアのジャーナリストや学者には、自分の意見に対する責任や自尊が基礎的にあるらしく、抑制と中立の姿勢を守ろという矜持の雰囲気を感じる。その点では、日本のマスメディアのジャーナリズム精神など、皆無なものに思えてくる。悪い意味で「空気」に条件的に反射する体制翼賛資質の国が、口先建前だけが先行している点で救いはあるが、本気で、その口先を実行し始めたときは、えらく大変なことになりそうだ。

「学歴エリート」は暴走する 「東大話法」が蝕む日本人の魂 (講談社+α新書)
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●金沢市長選の結果報道から見る マスメディアの政党隠し

2014年10月06日 | 日記
宮崎駿の平和論: ジブリアニメから学ぶ (小学館新書 223)
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●金沢市長選の結果報道から見る マスメディアの政党隠し

 どうも、日本各地で政治不信が蔓延化している模様だ。何といっても、あの「1強5弱」だか6弱状態の国会を見ていたら、国会議員に政治を任せていたら、“我々は何処に連れていかれるか判らんぞ!”の「空気」がかなりハッキリした形で見えてきている。今後、重要な地方選が続々行われるわけだが、有権者が、既存の政治家に“NO”を突きつけてくる雰囲気が強くなってきた。たしかに、口先では色々言うが、結局は官僚の手綱さばきに操られる政治家なのだから、そろそろ、色んな形で、政治家や政党に鉄槌が下りても良いころ合いである。

 これはなにも、国会議員に限ることではなく、地方首長選や地方議員にも累が及ぶ傾向を見せている。このような既存の政治家らへの“NO”は、既存の政治家の“群れ”であるところの「政党」への“NO”と云う象徴的現象として、全体は流れている。その中でも、大変面白いのは、国政レベルで、盤石そうな顔で、国内には美辞麗句の限りを尽くし、実際は何もしない男。海外に出ては、バカンス気分で保養外遊豪遊、挙句に我々の税金をばら撒き、悦に入っている首相の状況を、批判の目を持つことなく、ターボチャージャー付の提灯記事で捲し立てるのだから、地方の反乱が起きていることなど露知らずなのか、実は戦々恐々なのか定かではない。

 国政と地方政治は別だから、と云う穿った意見もあるが、ことは、そんなに割り切れる事態とは思えない。全体として、「政党不信」が露わになりつつあるわけだが、特に、上述安倍晋三率いる「自民党」への批判票が最近富に増えている。まあ、常人であれば、あの安倍晋三の「生活者視点ゼロ政策」の連発には、反意の一つも表したいだろうから、このような選挙結果が地方の反乱として起こっても不思議ではない。時の政権に楯突く、最も安全な方法が「選挙の投票行動」なのは自明だ。デモに参加、ブログやTwitter発信よりも、安全確実な権力への抵抗反乱なのである。そういう意味で、これから来年の統一地方選までの期間は、自民党推薦とか、○○党推薦候補者が、大きな取りこぼしをする可能性はかなりあるのだろう。

 以上、まとまりの悪い事をゴチャゴチャ書いたが、この政治家不信から「政党不信」へと成長した「空気」は当面続く。今回の金沢市長選がどの程度重要な選挙かどうか別にして、各マスメディアの報道の仕方が面白い。時事通信は、自民公明推薦候補が負けた点にスポットを当てた。読売は届け出順を守ることで、自民公明推薦を最後に持ってこれた。朝日に至っては、“政党色”そのものがなかったような記事にしている。意地悪な記事の見方だが、こういう読み方をすると、政治の世界や、マスメディアの世界でも、推理小説のようで面白い。他の新聞社も、何らかの報道はするだろうから、すべてを並べて読むだけでも、何か気づくものがあるに違いない。今夜は、些細なことから日本の「政党不信」まで、勝手に類推してみた。

PS:それにしても、3か月任期の市長選が全開投票より、投票率が上がるというのも不思議なことだが、おそらく話題性があったのだろう。そして、自民公明民主の推薦候補だけは落選させたい意志が働いたのだろうか?


≪ 金沢市長に山野氏再選=出直し選、新人3氏退ける
 山野之義前市長(52)の辞職に伴い、出直し選挙となった金沢市長選は5日投開票され、無所属で前市長の山野氏が、前石川県議の下沢佳充氏(53)=自 民、公明推薦=、前県議の石坂修一氏(61)=民主、社民推薦=、前市議の升きよみ氏(71)=共産推薦=の無所属新人3氏を破り、再選を確実にした。投票率は47.03%(前回35.93%)。
 山野氏は競輪の場外車券売り場やリサイクル施設の設置をめぐり、特定の業者に便宜を図ろうとしたとの 批判を受け、8月に辞任した。「市民の審判を仰ぐ」と立候補した山野氏は、来年3月の北陸新幹線長野-金沢間開業を見据えた公共交通網の整備などを重点的 に訴え、無党派層を中心に支持を集めた。 
 新人3氏は、山野氏の対応や出馬を批判。下沢氏は、新幹線開業に併せたコンベンションホール建設を主張したが及ばなかった。石坂氏は新幹線開業効果を生かしたまちづくりによる定住人口増加を掲げ、升氏は子育て支援など福祉の充実を唱えたが、浸透しなかった。
 再選した山野氏の任期満了日は、公職選挙法の規定により1期目の12月9日となり、同日までに再び市長選が行われる。
 ◇金沢市長選当選者略歴  山野 之義氏(やまの・ゆきよし)慶大文卒。ソフトバンク社員、金沢市議を経て、10年11月金沢市長に初当選。52歳。金沢市出身。当選2回。 ≫(時事通信)

 ≪ 山野・前市長が再選…出直し金沢市長選
  前市長の山野之義氏(52)の辞職に伴う金沢市長選は5日、投開票が行われ、山野氏(無所属)が、前市議の升きよみ氏(71)(無所属=共産推薦)、前県 議の石坂修一氏(61)(無所属=民主、社民推薦)、前県議の下沢佳充氏(53)(無所属=自民、公明推薦)の新人3人を破り、再選を果たした。 山野氏は競輪の場外車券売り場の開設計画への協力を支援者に約束した問題で今年8月に引責辞職し、この問題やこれまでの実績について「市民の審判を仰ぐ」とし、出馬した。新人3人は、山野氏への批判票を集めきれなかった。 山野氏の任期は、公職選挙法の規定により、1期目の残り期間の12月9日まで。任期満了の前日から30日以内に再び選挙が行われる。
 投票率は47・03%(前回2010年は35・93%)。 ≫(読売新聞)

 ≪ 金沢市長に山野氏が再選確実 引責辞任後の出直し選挙で 
 山野之義(ゆきよし)・前金沢市長(52)の辞職に伴う出直し市長選は5日投開票され、山野氏が前市議の升きよみ氏(71)、前県議の石坂修一氏(61)、前県議の下沢佳充氏(53)の新顔3人を破り、再選を確実にした。任期満了は辞職前と同じ12月9日で、この日までに再び市長選が実施される。 山野氏は今年6月、任期満了に伴う市長選に出馬する意向を表明した。だが、競輪の場外車券売り場の誘致を進めていた市内の業者に対し、計画に同意するかのような書面を独断で交わしたり、計画の代替案を提示したりしていたことが判明。議会などから批判を浴び、8月に引責辞任した。 山野氏は選挙中に「この問題について信を問いたい」と訴え、東京五輪のキャンプ地誘致や新交通システムの導入なども掲げた。 ≫(朝日新聞)

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●「保守・右翼」と「リベラル」 メディアの力量差に愕然

2014年10月05日 | 日記
(043)もう国家はいらない (ポプラ新書)
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●「保守・右翼」と「リベラル」 メディアの力量差に愕然

 そこそこの規模の書店・雑誌コーナーに立ち寄ってみて判ることだが、「90%対10%」の世界が、此処にもあったと云う印象を持つ。何のことかといえば、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌と「ニュートラル・リベラル」系雑誌との、出版物の数の差である。積み上げられている展示スペースの差でもある。意地悪に観察していると、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌を手にする客の多くが、中身を確かめることもなく手に取り、レジに向かい購入している。しかし、「ニュートラル・リベラル」系雑誌は手に取られ、パラパラとめくられるが、購入行動に直接結びついていない。つまり、その雑誌を買おうと書店に訪れたわけではなく、内容が読む価値あれば、と云う吟味が入っているように見える。

 ニュートラル、リベラル系な人々の場合、筆者も多くの体験を持つが、細かい部分まで拘る傾向が強い。“あばたもエクボ”の心境にならず、原理的部分にも拘るし、“糞味噌”を絶対的に分別する傾向があるようだ。おそらく、リベラルやニュートラル系な政治活動が手を繋ぐことの困難さは、この傾向の人々の性癖にも由来するだろう。その点で、「保守・右翼・国家主義」系の人々はよく言えば大らかだ。糞味噌一緒に食べても平気だし、“あばたもエクボ”は年がら年中で、常に一定の方向で酔いしれていたい性癖を持つ。謂わば、酩酊状態でいたいのだから、目を覚ませと言われるのを最も嫌う。

 大変大雑把な括りで話を進めるが、この両派の属する、どちらの人を対象に「商売」する方が得か問題で考えると、大変に判りやすい。誰が考えても、「ニュートラル、リベラル」系雑誌の読者は“七面倒くさい”に違いない。買わずに文句垂れる。「保守・右翼・国家主義」系雑誌では、敵国叩きとか、政敵叩きとか、他メディア叩き、ゴシップ等々、感情的な“酩酊”を誘うし、惚れているわけだから、どれ程粗雑に編集しても売れるのだから堪らない。つまり、商売上、「ニュートラル、リベラル」は金にならん層であり、商業雑誌の根幹を揺るがす。その点、商業雑誌に「保守・右翼・国家主義」はピッタリなのである。オマケで言えば、既存システム的だから、既存企業の広告も取りやすい。

 かくして、売ることが目的の書店においても、「保守・右翼・国家主義」が多く置かれるし、よく売れる。無論、販売力の差もあるだろう。複雑系な人間達より、単純系人間の方が、人口構成上も多いだろうし、純朴でもある。そうして、優れたマーケッティングから考えても、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌が重用される。無論、イデオロギー的色彩も存在するのだが、市場原理に沿った発行は、「保守・右翼・国家主義」と云う点で一致してしまったのだろう。このような傾向は、日本人が「総中流意識」を形成した、時期と重なっているようだ。そして、日本では労働運動も下火になり、学生運動も下火になって行く。

 このような傾向は相乗性もあり、加速度的傾向もあるようで、リベラルな人々が読む雑誌類が、殆どボランティア的精神に委ねられているので、いつの日か、書店で一切目にすることが出来ない出来事まで想定できる。いまでは、一世を風靡した岩波の「世界」にしても、「文芸春秋」の30センチ平積みの中で、2センチの背丈では、ちょぃと「世界」の上に「文芸春秋」が置かれれば、永遠に顧客の目にはつかない運命になる(笑)。 *「ニュートラル、リベラル」な雑誌としては、上述の「世界」がどうにか生き残っているが、「改造」(1955年廃刊)、「展望」(1978年廃刊)、「月刊現代」(休刊)、「論座」(2008年廃刊?)の惨状だ。その他の「ニュートラル、リベラル」の月刊誌の多くは、書店での販売に見切りをつけたのだろう、定期購読方式になって生き残りに掛けている。(例示:「選択」、「創」、「FACTA」、「月刊日本」、「紙の爆弾」など)。今後は、ネット上における「ニュートラル、リベラル」系論壇に期待するしかない現状のようだ。「リテラ」の試みが成功するかどうか、注目に値する。

 それに引き替え、マーケットを独占状態で、そもそも有利な戦いにあって、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌は、安倍晋三政権の右寄り思考と相乗的に、我が世の春を満喫している。書きだすのも腹立たしいが、取りあえず、中身もたしかめず購入してくれるファンによって、美味しい商売をしているのだろう。益々、政府にとって都合の良い人々が増えるのだが、到底“麻疹のようなもの”と言うだけでは済まないのだが、現状では打つ手なしである。まあ、安倍政権がコケタ時どうなるかだが、あまり期待が持てるとは思えない。ちなみに、「保守・右翼・国家主義」雑誌は、元気溌剌である。

 国内の宿敵たちの粗探しバッシング、隣国の粗探しと憐れみ、そして崩壊する運命予測。これだけで充分、感情を高揚させてくれる。これが、現状のシステム維持に親和的なのだから、広告面でも有利に作用する。そもそも保守的地盤のある“お上”の国だから、同じようなテーマを、論者を代えて、数回繰り返せるので、編集も楽である。政権自体が、「保守・右翼・国家主義」なのだから、基盤が堅牢な上に、追い風まで吹いているのだから、元気が悪くなる要素ゼロである。もっと面白いことは、叩かれている側も、それなりのリアクションで対決してくるから、いつまでも同一テーマで商売が可能になる。そして、その上、購買者が、内容に関わらず、“この雑誌は買うのだ”と云うバイブル化している点も強みである。ちなみに、あれれ?と思う「保守・右翼・国家主義」系雑誌を羅列して、終わりにする。

 「文藝春秋」、「諸君」(2009年休刊、文藝春秋内での諸君化現象)、「正論」(産経新聞)、「中央公論」(読売新聞)、「WILL」(悪名高き花田紀凱編集長・『週刊文春』の編集長に就任した後は、タカ派の論調を展開)、「Voice」(PHP)、「新潮45」(新潮社)、「SAPIO」(小学館)等々。これらに強力にタッグを組んで、ビジネス関連雑誌が刊行されている。書店において、雑誌棚で目にするものは、殆どこちらの属性にあるようだ。尚、週刊誌関連は時間の関係上省略したが、傾向は月刊誌と同じだ。

僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない (PHP新書)
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●青息吐息の世界経済尻目の一人勝ち 米国経済の真偽

2014年10月05日 | 日記
「健康第一」は間違っている (筑摩選書)
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●青息吐息の世界経済尻目の一人勝ち 米国経済の真偽

 以下の日経の記事を読みながら考えている。横目で9月3日のNY株式市場の活況数値も眺めている。日本時間3:30現在、プラス214ドルをつけている。雇用統計が、殊のほか好かったらしいのだが、この程度の雇用数値で、消費が増えると云う理屈も、冷静に考えると、馬鹿げている。

 米国の経済が、これだけのグローバル経済の中で、一人勝ちしているとすれば、このグローバル経済とは、アメリカが仕掛けた世界の経済システムだと推認出来る。世界最大の暴力装置を背景に、その暴力装置の稼働率を高めるために、世界中の至るところで、思いつく多種多様な難癖をつけ、各地域のNGO、NPOなどを資金面で援助することで、該当地域の反政府勢力を育成、時には軍事訓練を施し、また時には民間軍事支援企業を反政府運動の顧問団として送る。時には、当該地域の経済状態を悪化させる目的で、IMFや世界銀行をも動員する。

 まあ、たしかに米国政府等の統計数値が正しいと仮定するなら、グローバル経済などに、いつまでもつき合っていたら、世界中の国々は疲弊し、アメリカ一国だけが栄えると云う展望が、善意に見積もっても起きるわけである。 この観点からいけば、グローバル経済で一番機能的に動けるのがアメリカであり、その答えが出ているに過ぎないと云うことになる。

 グローバル経済のシステム上の意味合いから考えると、現在のような世界経済のアメリカ一人勝ちは起きない筈なのだから、実は公表されている数値に瑕疵乃至は錯誤を生じさせるトリックが加味されていると云う結論になる。

本来であれば、グローバル経済システム全体が間違いだったのに、アメリカ人の多くは無知蒙昧な故に、浪費癖、ローン地獄国民だったために、結果オーライが起きている、ともいえる。ただ、間尺に合わないのは、挙句に、この無知蒙昧国民のツケを、他の世界の国や企業や人々が、巡り巡って引き受ける、と云う皮肉な結末を迎えることである。

 日本人の場合など、自己責任の範囲で自分の20~30年先に不安を感じれば、自助に苦悩する。社会保障が悪化の一途を辿ると察すれば、今、目の前に消費する金があっても、それは将来に取っておこうと考える。その点では、扱い難い国民性である。それに比べ、アメリカ国民は、到底払えそうもない借金でも、金融機関が貸し付けてくれるのなら、幾らでも借りて、バンバン使っちゃえ精神があるようだから、これはたしかに経済をコントロールしやすい(笑)。こんな短絡的原因で、グローバル経済の理念が狂うものなのだろうか、なんだか浪費しないと損をする世界と言われても、気分的に納得がいかない。 最近のアメリカでは、サブプライムローン方式で、家に変わって、車が売れているという。

 いずれにしても、米国経済の好況という現実には、どちらに転んでも、アメリカが世界のことなど、何ひとつ考えず、哲学も倫理道徳、人類相互依存の精神もなく、ただひたすら我欲に突っ走り、人類を破壊しているように思えてならない。しかし、実際問題はアメリカの国民なら、全員が救われ、豊かさを満喫しているのというわけでもない。オキュパイ・ウォール・ストリートが主張するように、99%対1%の世界があるわけだから、自国民にも、充分に辛さを味あわせているのだから、文句あるまい、という主張まで生まれてきそうだ。

 ≪ 米雇用、消費増と好循環 利上げ時期見極めへ
 【ワシントン=矢沢俊樹】世界景気の減速懸念が広がるなか、米経済が安定成長を続けている。堅調な個人消費が労働市場の改善を促し、雇用増が消費増につながる好循環が生まれている。10月で量的金融緩和を終える米連邦準備理事会(FRB)は利上げ時期を巡る議論を本格化するが、低迷する欧州景気や中東情勢などがリスクになる。 歴史的な寒波で2014年1~3月期にマイナス成長に沈んだ米経済だが、4~6月期は実質国内総生産(GDP)が前期比年率で4.6%増とプラス成長に回帰した。市場では7~9月期も3%程度の安定成長を見込む向きが多い。
 株高による資産効果と消費者心理の改善を追い風に、米GDPの約7割を占める個人消費は堅調だ。米労働省が3日発表した9月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が24万8千人増と市場予想を上回った。失業率も5.9%と6年2カ月ぶりに5%台まで改善した。
 8月の個人消費支出が0.5%増と底堅く推移するなど、ネット販売や自動車関連を中心に小売り部門の売り上げは増加基調にある。消費増→雇用増→消費増の循環が景気回復をけん引する構図は続きそうだ。
 住宅市場には一時、利上げ観測と住宅ローン金利の上昇で黄信号がともった。だが「初夏から買い手の意欲が増しつつある」(米デラウェア州を本拠とする住宅会社のケビン・ケリー社長)。物件価格の上昇が続くなかでも顧客の購入意欲は衰えていないという。
 住宅着工件数の伸びは緩やかだが、徐々に水準を切り上げている。FRBは米経済成長率が14年の2%台前半から、15年には最大3%に加速するとみる。景気回復が続けば、15年半ばまでにFRBが利上げに転じる支援材料になる。
 ただここへ来て、米景気には下振れリスクも目立ち始めた。「世界経済の回復は6月時点の予想よりも弱い」。2日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は近く世界経済見通しを引き下げる考えを示唆した。
 ラガルド氏は米英の経済を「先進国の中で最も強い」と評価したが、デフレ懸念が広がるユーロ圏や中東などでの地政学リスク、中国など新興国の景気減速の影が強まりつつあると説明した。「ユーロ圏経済の行方は当局者間の最大の懸案」(米財務省高官)とされ、欧州の需要不足が輸出減を通じて米経済の重荷になる恐れがある。
 FRBは28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の終了を決め、雇用情勢などを勘案しながら利上げのタイミングをはかる。米景気と雇用はおおむね安定基調にあるが、欧州景気のほかにもエボラ出血熱の感染拡大や香港の民主派デモなどリスクは足元でやや増えている。 ≫(日経新聞電子版)

『諸君!』『正論』の研究――保守言論はどう変容してきたか
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●「税金を払わない巨大企業」、そして跋扈するタックスヘイブン

2014年10月03日 | 日記
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●「税金を払わない巨大企業」、そして跋扈するタックスヘイブン

 以下の“リテラ”のコラムの見出しで、“ソフトバンク”が冒頭導入部に名指しされているが、このコラムニストは、なぜ三井住友フィナンシャルグループではなく、ソフトバンクだったのか?その辺は謎である。まあそれはさておき、大企業の多くは、租税特別措置による優遇税制や国際的な節税スキーム、時にはタックスヘイブンを繰り出して、兎に角税金を取られないよう工夫する。おそらく、税引前純利益の20%以上の実効税負担率を支払うような財務担当役員は即刻馘首を言い渡されるだろう。これは、日本の常識であり、今さらながら出版された本を参考に語る問題ではないのだが、安倍政権の法人税減税政策の悪辣さや、経団連幹部たちの厚顔無恥を敢えて世間に晒すと云う意味では、それなりに有効だろう。

 しかし、NHKや朝日等マスメディア全体が、この不都合な真実をスルーするには、それなりの思惑があるのだろう。赤旗などは、年がら年中、この件で怒っているが、全体の有権者層にまで浸透しているとは言い難い。おそらく、有権者の半分程度が、このような理不尽なことがまかり通っていても、それが、どのように理不尽か、意味を解する能力自体が欠如しているのだろう。このような人々にも、選挙に具現化された「主権」が存在する原則を変えないのであれば、日本のデモクラシーに一定の「歯止め機能」を付加する、「ジャパニーズ・デモクラシー」を検討しないと、曲がった道、間違った道標に突き進み、なぜ豊かになれないのだ、と狐に抓まれたままの国民で一生を終えることになるだろう。

 ≪ ソフトバンクの税負担は利益の0.006%! 大企業は法人税を払ってなかった
  1位:三井住友フィナンシャルグループ、2位:ソフトバンク、3位:みずほフィナンシャルグループ、4位:三菱UFJフィナンシャル・グループ、5位:みずほコーポレート銀行。 これらは、2013年3月期の税金の負担率が低かった大企業の上位5社だ。通常、企業の所得に対してかかる法人税、法人住民税、法人事業税の合計の割合「法定実効税率」は決まっており、2013年事業年度は一律38.01%(資本金1億円超の場合)だった。
 しかし、すべての企業が単純に利益の38.01%の税金を払うわけではない。各社は租税特別措置による優遇税制や国際的な節税スキームを駆使する ことなどにより、課税べースである課税所得を大幅に縮減させている。このため、実際に払っている税金は想像以上に少なく、その実際の負担割合である「実効税負担率」は名目の「法定実効税率」38.01%の何分の一、何十分の一という企業も少なくない。
 たとえば、税負担率の低い大企業1位の三井住友フィナンシャルグループは税引前純利益1479億8500万円であるにもかかわらず、法人税等支払額はなんと300万円。実効税負担率は0.002%にすぎない。
 また、税負担率の低い大企業2位のソフトバンクは税引前純利益788億8500万円をあげながら、法人税等支払額は500万円。実効税負担率は0.006%。
 他にも、税負担率の低い企業は有名企業が目白押しだ。冒頭であげた三井住友やみずほ、三菱UFJといった金融系の大企業のほかに、7位にはカジュアル衣料品のユニクロを手掛けるファーストリテイリングが名をつらねているが、同社の税引前純利益756億5300万円に対して、法人税等支払額は52億 3300万円で実効税負担率は6.92%。8位はプロ野球チームも所有する金融サービス会社・オリックスだが、税引前純利益1725億1800万円である にもかかわらず、法人税等支払額は210億100万円で実効税負担率は12.17%である。
 こうした事実を明らかにしたのは『税金を払わない巨大企業』(富岡幸雄/文春新書)。中央大学名誉教授である著者は「税の専門家」として、企業負担が軽すぎる日本の税制の不公平さを指摘してきた。
 「大企業がこれらの税金を支払っていれば、消費税を増税するどころか、そもそも消費税の導入さえ必要なかったでしょう。日本の財政赤字もこれほど巨額にならなかったと私は考えています」(同書より)
 こうした優遇を受けているにもかかわらず、さらに、経済界や大企業の経営者たちは「国際競争に打ち勝つために法人税減税が必要不可欠」と引き下げ要求をしている。
  たとえば、「法人税を下げ、国内雇用につなげる政策が必要だ」(みずほフィナンシャルグループの佐藤康博執行役社長、13年1月の産業競争力会議 で)、「企業の競争力をそぐような議論さえある。日本では法人税の実効税率は40%にもなる。ドイツ、イギリス、中国や韓国は20%台。(略)企業に『日本から出ていけ』といっているのと同じだ」(ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長、10年5月「朝日新聞 be」)などといった声だ。
 しかし、みずほフィナンシャルグループは実効税負担率の低い大企業3位で、税引前純利益2418億9700万円であるにもかかわらず、法人税等支払額は2億2600万円で実効税負担率は0.09%にすぎない。 「(ファーストリテイリングも実効負担率は)柳井氏が例としてあげた『ドイツ、イギリス、中国や韓国』の法人税率(20%台)の3分の1以下なのです。 『競争できるはずがない』とおっしゃるわりには、(略)柳井氏は日本でトップの大富豪です。一般の人は、今の法人税でも、『充分すぎるほど競争できている』から、大富豪になれたと考えるでしょう」(同書より)
 ところが、こうした財界の声を受けて、安倍政権はさらに法人税を引き下げるらしい。経済財政運営の基本方針「骨太の方針」(14年6月)に「法定実効税率」を15年度から数年以内に20%台に引き下げることを盛り込んでいる。そして、一方では消費税を10%に引き上げるべく着々と準備を進めてい る。
 つまり、政府はこれから先、さらに大企業を優遇する一方で、そのしわ寄せを消費税という形で消費者に負担させようとしているのだ。そして、大企業やその経営者たちはそれが当然という認識で、自分たちに納税の社会的責任があるという自覚をまったくもたなくなってしまった。
 こうした傾向に危機感をもつ著者の富岡氏は、企業の納税行動の透明化を提案する。
 「『法人企業の申告所得金額の公示制度』(企業長者番付)を復活させ、あわせて納税額を開示する制度を設けることを提案します。企業長者番付は、2006年、個人情報保護を口実になくされた高額納税者番付とともに廃止されてしまったからです(略)そうすれば、大企業の経営者も、社会的責任について自覚するでしょう。大企業の経営者には、今一度、国家とは何か、企業の社会的責任とは何か、ということを考え直してもらいたいと思います」(同書より)
 9月9日には、日本経団連が自民党への「政治献金再開」を表明しているが、政治献金の前に税務署に法人税(法定実効税率)を納めるのがスジだろう。 ≫(リテラ:「 大企業は法人税を払っていない!」 :小石川シンイチ)

*PS:円安が反転、円高傾向をみせている。NY市場も下げ傾向を見せているが、最終的にどうなるのか。安倍官邸は、金曜日は買い出動を命じるのだろうか?420円の下落が、単なる円高による連想相場としては下げ過ぎだ。おそらく、もやもやしている実体経済の悪化という現実的状況の下地と安倍首相の答弁への落胆等々が複合的に判断されているのだろう。性懲りもなく、300万の損を、再び下げ相場に掛けることにした筆者に、相場の神が微笑むか?年内清算日だが、如何なることやら、ハラハラドキドキ、結構刺激的だ(笑)。それにしても、此処まで法人税を優遇されている日本企業が、本社を海外に持って行く意味合いは殆どない。経団連と云うところは、利権的たかり集団に過ぎない。このような財界の横暴を野放しにしている国に、未来などあるわけはないし、国民が棄民に晒されるのは確定的だ。

税金を払わない巨大企業 (文春新書)
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●衣食住を蔑ろに、派生的産業しか成長を語れなくなった世界

2014年10月01日 | 日記
権力と支配 (講談社学術文庫)
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●衣食住を蔑ろに、派生的産業しか成長を語れなくなった世界 

 以下は若林資典・みずほ銀行産業調査部部長に宮澤徹がインタビューした記事である。なぜこのようなインタビュー記事が出てくるか、そういう点が日本経済を占う重要なポイントなのである。29日に開かれた臨時国会においても、経済が良いのか悪いのかの判断基準自体、与党と野党が双方自分たちに都合の良い統計数値を持ちだし、論戦とは程遠い「論戦」なるものをしているわけだが、野党が首相が右方向を向いている、と批判すれば、首相は、いや、俺は左を向いているじゃないか、と答えるような有様で、議論は完璧にかみ合っていない。

 景気が好いか悪いか、この点は理屈上、どこの誰にとっての景気なのかによって、受けとめ方は大きく異なる。国家全体の景気を判断するマクロな見方と、生活者視点のミクロな見方では、まったく異なる絵図が表れるのが、最近の経済指標等々の問題点だ。彼らは、どちらも嘘は言っていないのだが、立場主義により、異なる土俵に乗ったうえで、議論をしているのだから、かみ合うはずはない。

 この辺はGDPに占める、内需・外需の依存度のどちらに立脚するかでも変わってくる。また、内需の中には外需の影響をもろに受ける部分もあるので、一概な色分けも、正確には数字で把握するのは相当難しい。現実問題としては、「国豊かになり民滅びる」こともあるわけで、国際的基準で豊かだから、民も豊かに違いないと云う構図は、現在の社会構成上あり得ない話になってきた。つまり、統計上の数値は、多くは平均値を表すので、ピンキリが含まれる。このピンキリが、巷で言われるように99%対1%という構成になっている場合はなおさらである。

 経済学者やエコノミストらの話は、概ね国家の経済に基軸をおいている。まあ、個人に基軸を置くことは、現実的に不可能なので、個人別は、その人や家庭の事情が大きく左右するので、基軸の置きようがない、となる。しかし、“ぶっちゃけ”俺たち私たちの生活は楽になるのか、もっと酷くなるのか、人々は、それを知りたいわけだ。極論すれば、国家が倒産しかけても、生活費の面で、日々支障がなければ、経済的には国民はハッピーなわけである。気がついたら、国家が破綻すると云うこともあるわけだが、だからといって、国土が無くなることもないし、国民が消滅するわけではない。自然は概ね残るのだら、ゼロから始めるだけのことだ。

 このような考えを「亡国論」等と云う人もいるが、死後に、金を抱えて閻魔さまの裁きを受けても意味はないわけで、生きているときがすべてだ。無論例外な人はいるだろうが、多くの人は、死ぬまでの金が続くか、子供は生きていけるか、孫は生きていけるか、その辺までしか思いは至らない。そうなると、国民にとって重要なことは、生活費が継続的にあり、出来れば、残された家族も生活に困らない基盤を整備できていたら良いと思うわけである。まだ見ぬ曾孫や玄孫のことにまで思いが至る人は少ないだろう。

 このように、立脚すべきポジションの違いで、好不況が決まる。その上で経済政策が決まるのだとなると、政治は何をするのか、という問いになる。国を富ませることなのか、民を富ませることなのか。経済学に拘れば、国が富まずに、民が富む理屈はない。しかし、国乃至は企業群が利益を抱え、民に分配する行為をネグレクトしている最近の傾向を眺めていると、国家や企業単位の統計数値が、民にとっての生活に波及すると云う理屈を信用するのは愚かだろう。安倍首相は、それを信じろとご託宣を強弁しているが、信じられる人は幸せな人である。

 おそらく、いま国民に提示して理解できる経済事情は、単身独身者、両親子供二人の4人核家族、夫婦だけの年金生活者。この三通りのモデルにおいて、幾らの生活費で暮らせるか。現在の暮らしは可能か、今後30年持続性はあるかなど、具体的に、実態に基づいた検証が、経済理論とは別次元で必要なのだと思う。正直、筆者などは、未だに、生活に必要なものは衣食住に大きな比重を置くべきと心得ている。そのエンゲル係数に関わる数値に関与する産業が本来の産業であり、その関連から派生する産業は、やはり枝葉産業なのだと思う。

 以下に引用掲載しているインタビュー記事でも判る通り、根源的生活基盤の話ではなく、枝葉産業に目線が向いている。最近元気が良い産業として、軍事、金融、IT関連とか通信、ソフト関連産業が、新たな産業だと言われているわけだが、哲学や人間の生命の維持や尊厳において、これらの産業が、根源的産業であり、衣食住関連企業にとって代わるなどと云う論議は、そもそも、先進国の産業が殆ど終わったことを示している。しかし、産業として終わっても、生産は続くわけで、成長がないものは、基盤的物でも興味を抱かないような経済の目線は、明らかに間違いだ。人間的・社会的共有の財産あっての些末産業の抬頭であり、土台が無くなれば、派生産業は成り立たない事実に、もっと目を向ける思考経路こそ、我々は考えるべきである。先日も紹介したが宇沢弘文氏の「社会的共通資本論」は幾分過激だが、まさに正鵠を得ている。もう一度アドレスを紹介しておこう。

URL: http://www.videonews.com/marugeki-talk/515/


≪ 今こそ米国流を学び直そう 「成長の壁」突破の条件とは
 【 みずほ銀行は「米国の競争力の源泉を探る -今、米国の持続的成長から学ぶべきことは何か-」という報告書をまとめた。日本が成長の壁を突破するには、今こそ米国ノウハウを学びなおすことが必要だと力説している。若林資典・産業調査部部長に、米国経済がなぜ強さを維持し続けられるのかを聞いた。(聞き手は宮澤徹)】

 ――米国の競争力の強さについてレポートをまとめました。今、米国に目をつけた理由はなんでしょう。

若林:安倍政権が打ち出している成長戦略の目標をより確実に実現するためには、活力を維持し続けている米国の長所を学ぶことが必要であると考えたからです。  日本の成長戦略の数値目標の集大成は、実質成長率で年2%、名目でいえば3%、向こう10年伸ばすということです。これは実額で言うと、10年間で累計100兆円を上回る経済成長を遂げなければならないことになります。お隣の韓国のGDPに相当する数字です。
 我々のざっくりしたシミュレーションによると、目標の成長を遂げる上でネックになるのは、その担い手が十分にいるかということです。追加労働力が 累積でどれだけ必要か試算してみたところ、だいたい1200万人になりました。これを実現するのは、移民受け入れなどの手法もありますが、相当思い切った 方向転換をしたとしても、簡単ではありません。

 ――人手を簡単に増やせないとしたら、どうすればいいのでしょうか。

若林:飛躍的で、かつ非連続的な 生産性の改善です。そのために必要なのは、まず1つにイノベーションです。それに加えて重要なのが、いわゆるプラットフォームの構築です。企業でいうプ ラットフォームとは、ゼネラル・エレクトリック(GE)、グーグル、アマゾンなどに代表されるように、自分たちのエコシステムの中でさまざまな工夫や仕掛けを凝らして、そこで市場支配力を発揮し、高い収益率を享受する仕組みのことです。
 イノベーションとプラットフォームの掛け合わせが、経済成長を実現していくために必須の手段だと考えたときに、世界を見渡すと、それができているのはやっぱり米国なんです。
 そこで、米国の競争力の源泉を、企業や、場合によっては国家の競争力まで踏み込んで分析し、そこから今後日本の進むべき道を導き出せないかという思いで始めたのが今回の調査です。

 ――では、米国企業の強さはどこにあるのでしょうか。

若林:時価総額で見ると、世界トップ10のうち9社までが米国のプレーヤーであり、その多くは先ほど触れたプラットフォーマーと言われる企業です。ROE、株価、一人当たりGDPで見ても、日米の差は大きい。いろいろな指標で米国は上位を維持しています。
 例えばGEです。製造業と金融業の融合というユニークなビジネスモデルを採用しています。航空機事業では専門の金融カンパニーを持っています。 リースを通じてGE自ら飛行機を1700機持っています。日本航空、全日本空輸を合わせても、たぶん400機とか500機ですから、それらをはるかに上回 る、世界最大の航空機ホルダーなのです。
 世界最大の航空機の買い手でもあるので、米ボーイング、欧州エアバスに対し、影響力を持つことができるのです。GEは本来であればサプライヤーだ から、ボーイングのような最終アセンブラーが食物連鎖の頂点にいて、従属的な立場になりがちですが、GEはアセンブラーに対しても、金融供与を通じてエアラインに対しても、強い立場でいられる枠組みをつくったんです。
 一方、テクノロジー面でもメリハリをつけた取り組みをやっています。素材メーカーとうまく連携し、素材の基礎技術開発は素材メーカーに任せつつ、 自分たちは加工などの技術を磨き上げています。こうやって築いた航空機エンジンの高い地位を、発電所などに使われるガスタービン事業にも転用し、成長に生かしています。
 また、最近の仏アルストム買収についても言えますが、他社に渡すべきところと、自社で囲い込むところをうまく見極めている。オープンとクローズの 組み合わせは、IT(情報技術)の世界でもよくありますが、こういった非常に伝統的な産業分野において早くから進めていたのがGEです。
 一方、モンサントも大規模な事業転換を経てきた企業です。1960年代はデュポンに次ぐくらいの石油化学大手でした。ところが70年代以降、オイルショックもあり、石油価格が非常に高くなりました。すると、石化事業の衣を脱ぎ捨て、食と農に着目して大きく事業を転換していった。今では遺伝子組み換 え(GM)種子で、世界最大のプレーヤーになっています。
 農業の生産性を飛躍的に改善し、大規模化を促す支えになっているということで、圧倒的な地位を得てきた歴史です。自分がこれまで手がけてきたコア事業を、時代の環境変化とともに巧みに捨て、次に移っていったのです。

 ――日本はどういった点を学べばよいのでしょう。

若林:80年代までに米国や米国企業が直面した課題は、今の日本の課題と似ています。マクロで見ると、今の日本は大幅な財政赤字であり、経常収支も結構厳しくなってきています。
 70年代、ドル高や米国製造業の競争力低下がよく言われていました。当時、GEはオイルショックを経て、より高効率の製品を作らなければならなく なっていました。モンサントも伝統的な石化産業が斜陽になり、それを乗り越えていった。それが今の活力につながっています。これらの経緯を学び、手を打てば、今の日本だって、もう一花咲かせられるかもしれません。
 米国企業はなぜこうした改革を果たせたのか。一つにはしっかりした未来像を示して、そこに向かって着実に事業を進めていったからです。わかりやす いビジョンを経営者が示し、そこにあらゆるリソースを積み上げていったのです。そして、重要なのが、時代を先取りする選択と集中です。時代の後追いではありません。大胆に衣を脱いで、着替えていく戦略を、日本企業はもっと参考にすべきです。

――日本企業の海外戦略はアジアなど新興国にシフトしてきました。
 海外といっても、ここのところ日本企業はみんなアジアを見ていました。先進国は成熟し、成長するのはアジア。しかし、中国が今のような状態になっ てきて、むしろリスクを考えなければならなくなった。インドだって、長い目で見ればポテンシャルはあると思いますが、相当長い物差しで付き合わないといけない。
 もちろん、市場を求めるなら新興国かもしれないですが、供給側の政策や企業戦略を考えるなら、先進国ではないでしょうか。それには、欧米の優れた 例をもう1回見直すことが必要です。何だかんだ言っても、世界の中心は、悔しいけど米国なわけですから。そこを学び直そうということです。  ≫(日経BP Net:国際・キーパーソンに聞こう)

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