世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「保守・右翼」と「リベラル」 メディアの力量差に愕然

2014年10月05日 | 日記
(043)もう国家はいらない (ポプラ新書)
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●「保守・右翼」と「リベラル」 メディアの力量差に愕然

 そこそこの規模の書店・雑誌コーナーに立ち寄ってみて判ることだが、「90%対10%」の世界が、此処にもあったと云う印象を持つ。何のことかといえば、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌と「ニュートラル・リベラル」系雑誌との、出版物の数の差である。積み上げられている展示スペースの差でもある。意地悪に観察していると、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌を手にする客の多くが、中身を確かめることもなく手に取り、レジに向かい購入している。しかし、「ニュートラル・リベラル」系雑誌は手に取られ、パラパラとめくられるが、購入行動に直接結びついていない。つまり、その雑誌を買おうと書店に訪れたわけではなく、内容が読む価値あれば、と云う吟味が入っているように見える。

 ニュートラル、リベラル系な人々の場合、筆者も多くの体験を持つが、細かい部分まで拘る傾向が強い。“あばたもエクボ”の心境にならず、原理的部分にも拘るし、“糞味噌”を絶対的に分別する傾向があるようだ。おそらく、リベラルやニュートラル系な政治活動が手を繋ぐことの困難さは、この傾向の人々の性癖にも由来するだろう。その点で、「保守・右翼・国家主義」系の人々はよく言えば大らかだ。糞味噌一緒に食べても平気だし、“あばたもエクボ”は年がら年中で、常に一定の方向で酔いしれていたい性癖を持つ。謂わば、酩酊状態でいたいのだから、目を覚ませと言われるのを最も嫌う。

 大変大雑把な括りで話を進めるが、この両派の属する、どちらの人を対象に「商売」する方が得か問題で考えると、大変に判りやすい。誰が考えても、「ニュートラル、リベラル」系雑誌の読者は“七面倒くさい”に違いない。買わずに文句垂れる。「保守・右翼・国家主義」系雑誌では、敵国叩きとか、政敵叩きとか、他メディア叩き、ゴシップ等々、感情的な“酩酊”を誘うし、惚れているわけだから、どれ程粗雑に編集しても売れるのだから堪らない。つまり、商売上、「ニュートラル、リベラル」は金にならん層であり、商業雑誌の根幹を揺るがす。その点、商業雑誌に「保守・右翼・国家主義」はピッタリなのである。オマケで言えば、既存システム的だから、既存企業の広告も取りやすい。

 かくして、売ることが目的の書店においても、「保守・右翼・国家主義」が多く置かれるし、よく売れる。無論、販売力の差もあるだろう。複雑系な人間達より、単純系人間の方が、人口構成上も多いだろうし、純朴でもある。そうして、優れたマーケッティングから考えても、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌が重用される。無論、イデオロギー的色彩も存在するのだが、市場原理に沿った発行は、「保守・右翼・国家主義」と云う点で一致してしまったのだろう。このような傾向は、日本人が「総中流意識」を形成した、時期と重なっているようだ。そして、日本では労働運動も下火になり、学生運動も下火になって行く。

 このような傾向は相乗性もあり、加速度的傾向もあるようで、リベラルな人々が読む雑誌類が、殆どボランティア的精神に委ねられているので、いつの日か、書店で一切目にすることが出来ない出来事まで想定できる。いまでは、一世を風靡した岩波の「世界」にしても、「文芸春秋」の30センチ平積みの中で、2センチの背丈では、ちょぃと「世界」の上に「文芸春秋」が置かれれば、永遠に顧客の目にはつかない運命になる(笑)。 *「ニュートラル、リベラル」な雑誌としては、上述の「世界」がどうにか生き残っているが、「改造」(1955年廃刊)、「展望」(1978年廃刊)、「月刊現代」(休刊)、「論座」(2008年廃刊?)の惨状だ。その他の「ニュートラル、リベラル」の月刊誌の多くは、書店での販売に見切りをつけたのだろう、定期購読方式になって生き残りに掛けている。(例示:「選択」、「創」、「FACTA」、「月刊日本」、「紙の爆弾」など)。今後は、ネット上における「ニュートラル、リベラル」系論壇に期待するしかない現状のようだ。「リテラ」の試みが成功するかどうか、注目に値する。

 それに引き替え、マーケットを独占状態で、そもそも有利な戦いにあって、「保守・右翼・国家主義」系の雑誌は、安倍晋三政権の右寄り思考と相乗的に、我が世の春を満喫している。書きだすのも腹立たしいが、取りあえず、中身もたしかめず購入してくれるファンによって、美味しい商売をしているのだろう。益々、政府にとって都合の良い人々が増えるのだが、到底“麻疹のようなもの”と言うだけでは済まないのだが、現状では打つ手なしである。まあ、安倍政権がコケタ時どうなるかだが、あまり期待が持てるとは思えない。ちなみに、「保守・右翼・国家主義」雑誌は、元気溌剌である。

 国内の宿敵たちの粗探しバッシング、隣国の粗探しと憐れみ、そして崩壊する運命予測。これだけで充分、感情を高揚させてくれる。これが、現状のシステム維持に親和的なのだから、広告面でも有利に作用する。そもそも保守的地盤のある“お上”の国だから、同じようなテーマを、論者を代えて、数回繰り返せるので、編集も楽である。政権自体が、「保守・右翼・国家主義」なのだから、基盤が堅牢な上に、追い風まで吹いているのだから、元気が悪くなる要素ゼロである。もっと面白いことは、叩かれている側も、それなりのリアクションで対決してくるから、いつまでも同一テーマで商売が可能になる。そして、その上、購買者が、内容に関わらず、“この雑誌は買うのだ”と云うバイブル化している点も強みである。ちなみに、あれれ?と思う「保守・右翼・国家主義」系雑誌を羅列して、終わりにする。

 「文藝春秋」、「諸君」(2009年休刊、文藝春秋内での諸君化現象)、「正論」(産経新聞)、「中央公論」(読売新聞)、「WILL」(悪名高き花田紀凱編集長・『週刊文春』の編集長に就任した後は、タカ派の論調を展開)、「Voice」(PHP)、「新潮45」(新潮社)、「SAPIO」(小学館)等々。これらに強力にタッグを組んで、ビジネス関連雑誌が刊行されている。書店において、雑誌棚で目にするものは、殆どこちらの属性にあるようだ。尚、週刊誌関連は時間の関係上省略したが、傾向は月刊誌と同じだ。

僕たちは就職しなくてもいいのかもしれない (PHP新書)
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●青息吐息の世界経済尻目の一人勝ち 米国経済の真偽

2014年10月05日 | 日記
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●青息吐息の世界経済尻目の一人勝ち 米国経済の真偽

 以下の日経の記事を読みながら考えている。横目で9月3日のNY株式市場の活況数値も眺めている。日本時間3:30現在、プラス214ドルをつけている。雇用統計が、殊のほか好かったらしいのだが、この程度の雇用数値で、消費が増えると云う理屈も、冷静に考えると、馬鹿げている。

 米国の経済が、これだけのグローバル経済の中で、一人勝ちしているとすれば、このグローバル経済とは、アメリカが仕掛けた世界の経済システムだと推認出来る。世界最大の暴力装置を背景に、その暴力装置の稼働率を高めるために、世界中の至るところで、思いつく多種多様な難癖をつけ、各地域のNGO、NPOなどを資金面で援助することで、該当地域の反政府勢力を育成、時には軍事訓練を施し、また時には民間軍事支援企業を反政府運動の顧問団として送る。時には、当該地域の経済状態を悪化させる目的で、IMFや世界銀行をも動員する。

 まあ、たしかに米国政府等の統計数値が正しいと仮定するなら、グローバル経済などに、いつまでもつき合っていたら、世界中の国々は疲弊し、アメリカ一国だけが栄えると云う展望が、善意に見積もっても起きるわけである。 この観点からいけば、グローバル経済で一番機能的に動けるのがアメリカであり、その答えが出ているに過ぎないと云うことになる。

 グローバル経済のシステム上の意味合いから考えると、現在のような世界経済のアメリカ一人勝ちは起きない筈なのだから、実は公表されている数値に瑕疵乃至は錯誤を生じさせるトリックが加味されていると云う結論になる。

本来であれば、グローバル経済システム全体が間違いだったのに、アメリカ人の多くは無知蒙昧な故に、浪費癖、ローン地獄国民だったために、結果オーライが起きている、ともいえる。ただ、間尺に合わないのは、挙句に、この無知蒙昧国民のツケを、他の世界の国や企業や人々が、巡り巡って引き受ける、と云う皮肉な結末を迎えることである。

 日本人の場合など、自己責任の範囲で自分の20~30年先に不安を感じれば、自助に苦悩する。社会保障が悪化の一途を辿ると察すれば、今、目の前に消費する金があっても、それは将来に取っておこうと考える。その点では、扱い難い国民性である。それに比べ、アメリカ国民は、到底払えそうもない借金でも、金融機関が貸し付けてくれるのなら、幾らでも借りて、バンバン使っちゃえ精神があるようだから、これはたしかに経済をコントロールしやすい(笑)。こんな短絡的原因で、グローバル経済の理念が狂うものなのだろうか、なんだか浪費しないと損をする世界と言われても、気分的に納得がいかない。 最近のアメリカでは、サブプライムローン方式で、家に変わって、車が売れているという。

 いずれにしても、米国経済の好況という現実には、どちらに転んでも、アメリカが世界のことなど、何ひとつ考えず、哲学も倫理道徳、人類相互依存の精神もなく、ただひたすら我欲に突っ走り、人類を破壊しているように思えてならない。しかし、実際問題はアメリカの国民なら、全員が救われ、豊かさを満喫しているのというわけでもない。オキュパイ・ウォール・ストリートが主張するように、99%対1%の世界があるわけだから、自国民にも、充分に辛さを味あわせているのだから、文句あるまい、という主張まで生まれてきそうだ。

 ≪ 米雇用、消費増と好循環 利上げ時期見極めへ
 【ワシントン=矢沢俊樹】世界景気の減速懸念が広がるなか、米経済が安定成長を続けている。堅調な個人消費が労働市場の改善を促し、雇用増が消費増につながる好循環が生まれている。10月で量的金融緩和を終える米連邦準備理事会(FRB)は利上げ時期を巡る議論を本格化するが、低迷する欧州景気や中東情勢などがリスクになる。 歴史的な寒波で2014年1~3月期にマイナス成長に沈んだ米経済だが、4~6月期は実質国内総生産(GDP)が前期比年率で4.6%増とプラス成長に回帰した。市場では7~9月期も3%程度の安定成長を見込む向きが多い。
 株高による資産効果と消費者心理の改善を追い風に、米GDPの約7割を占める個人消費は堅調だ。米労働省が3日発表した9月の雇用統計では、景気動向を敏感に映す非農業部門の雇用者数が24万8千人増と市場予想を上回った。失業率も5.9%と6年2カ月ぶりに5%台まで改善した。
 8月の個人消費支出が0.5%増と底堅く推移するなど、ネット販売や自動車関連を中心に小売り部門の売り上げは増加基調にある。消費増→雇用増→消費増の循環が景気回復をけん引する構図は続きそうだ。
 住宅市場には一時、利上げ観測と住宅ローン金利の上昇で黄信号がともった。だが「初夏から買い手の意欲が増しつつある」(米デラウェア州を本拠とする住宅会社のケビン・ケリー社長)。物件価格の上昇が続くなかでも顧客の購入意欲は衰えていないという。
 住宅着工件数の伸びは緩やかだが、徐々に水準を切り上げている。FRBは米経済成長率が14年の2%台前半から、15年には最大3%に加速するとみる。景気回復が続けば、15年半ばまでにFRBが利上げに転じる支援材料になる。
 ただここへ来て、米景気には下振れリスクも目立ち始めた。「世界経済の回復は6月時点の予想よりも弱い」。2日、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は近く世界経済見通しを引き下げる考えを示唆した。
 ラガルド氏は米英の経済を「先進国の中で最も強い」と評価したが、デフレ懸念が広がるユーロ圏や中東などでの地政学リスク、中国など新興国の景気減速の影が強まりつつあると説明した。「ユーロ圏経済の行方は当局者間の最大の懸案」(米財務省高官)とされ、欧州の需要不足が輸出減を通じて米経済の重荷になる恐れがある。
 FRBは28~29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の終了を決め、雇用情勢などを勘案しながら利上げのタイミングをはかる。米景気と雇用はおおむね安定基調にあるが、欧州景気のほかにもエボラ出血熱の感染拡大や香港の民主派デモなどリスクは足元でやや増えている。 ≫(日経新聞電子版)

『諸君!』『正論』の研究――保守言論はどう変容してきたか
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