世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●「税金を払わない巨大企業」、そして跋扈するタックスヘイブン

2014年10月03日 | 日記
最貧困女子 (幻冬舎新書)
クリエーター情報なし
幻冬舎


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●「税金を払わない巨大企業」、そして跋扈するタックスヘイブン

 以下の“リテラ”のコラムの見出しで、“ソフトバンク”が冒頭導入部に名指しされているが、このコラムニストは、なぜ三井住友フィナンシャルグループではなく、ソフトバンクだったのか?その辺は謎である。まあそれはさておき、大企業の多くは、租税特別措置による優遇税制や国際的な節税スキーム、時にはタックスヘイブンを繰り出して、兎に角税金を取られないよう工夫する。おそらく、税引前純利益の20%以上の実効税負担率を支払うような財務担当役員は即刻馘首を言い渡されるだろう。これは、日本の常識であり、今さらながら出版された本を参考に語る問題ではないのだが、安倍政権の法人税減税政策の悪辣さや、経団連幹部たちの厚顔無恥を敢えて世間に晒すと云う意味では、それなりに有効だろう。

 しかし、NHKや朝日等マスメディア全体が、この不都合な真実をスルーするには、それなりの思惑があるのだろう。赤旗などは、年がら年中、この件で怒っているが、全体の有権者層にまで浸透しているとは言い難い。おそらく、有権者の半分程度が、このような理不尽なことがまかり通っていても、それが、どのように理不尽か、意味を解する能力自体が欠如しているのだろう。このような人々にも、選挙に具現化された「主権」が存在する原則を変えないのであれば、日本のデモクラシーに一定の「歯止め機能」を付加する、「ジャパニーズ・デモクラシー」を検討しないと、曲がった道、間違った道標に突き進み、なぜ豊かになれないのだ、と狐に抓まれたままの国民で一生を終えることになるだろう。

 ≪ ソフトバンクの税負担は利益の0.006%! 大企業は法人税を払ってなかった
  1位:三井住友フィナンシャルグループ、2位:ソフトバンク、3位:みずほフィナンシャルグループ、4位:三菱UFJフィナンシャル・グループ、5位:みずほコーポレート銀行。 これらは、2013年3月期の税金の負担率が低かった大企業の上位5社だ。通常、企業の所得に対してかかる法人税、法人住民税、法人事業税の合計の割合「法定実効税率」は決まっており、2013年事業年度は一律38.01%(資本金1億円超の場合)だった。
 しかし、すべての企業が単純に利益の38.01%の税金を払うわけではない。各社は租税特別措置による優遇税制や国際的な節税スキームを駆使する ことなどにより、課税べースである課税所得を大幅に縮減させている。このため、実際に払っている税金は想像以上に少なく、その実際の負担割合である「実効税負担率」は名目の「法定実効税率」38.01%の何分の一、何十分の一という企業も少なくない。
 たとえば、税負担率の低い大企業1位の三井住友フィナンシャルグループは税引前純利益1479億8500万円であるにもかかわらず、法人税等支払額はなんと300万円。実効税負担率は0.002%にすぎない。
 また、税負担率の低い大企業2位のソフトバンクは税引前純利益788億8500万円をあげながら、法人税等支払額は500万円。実効税負担率は0.006%。
 他にも、税負担率の低い企業は有名企業が目白押しだ。冒頭であげた三井住友やみずほ、三菱UFJといった金融系の大企業のほかに、7位にはカジュアル衣料品のユニクロを手掛けるファーストリテイリングが名をつらねているが、同社の税引前純利益756億5300万円に対して、法人税等支払額は52億 3300万円で実効税負担率は6.92%。8位はプロ野球チームも所有する金融サービス会社・オリックスだが、税引前純利益1725億1800万円である にもかかわらず、法人税等支払額は210億100万円で実効税負担率は12.17%である。
 こうした事実を明らかにしたのは『税金を払わない巨大企業』(富岡幸雄/文春新書)。中央大学名誉教授である著者は「税の専門家」として、企業負担が軽すぎる日本の税制の不公平さを指摘してきた。
 「大企業がこれらの税金を支払っていれば、消費税を増税するどころか、そもそも消費税の導入さえ必要なかったでしょう。日本の財政赤字もこれほど巨額にならなかったと私は考えています」(同書より)
 こうした優遇を受けているにもかかわらず、さらに、経済界や大企業の経営者たちは「国際競争に打ち勝つために法人税減税が必要不可欠」と引き下げ要求をしている。
  たとえば、「法人税を下げ、国内雇用につなげる政策が必要だ」(みずほフィナンシャルグループの佐藤康博執行役社長、13年1月の産業競争力会議 で)、「企業の競争力をそぐような議論さえある。日本では法人税の実効税率は40%にもなる。ドイツ、イギリス、中国や韓国は20%台。(略)企業に『日本から出ていけ』といっているのと同じだ」(ファーストリテイリングの柳井正代表取締役会長兼社長、10年5月「朝日新聞 be」)などといった声だ。
 しかし、みずほフィナンシャルグループは実効税負担率の低い大企業3位で、税引前純利益2418億9700万円であるにもかかわらず、法人税等支払額は2億2600万円で実効税負担率は0.09%にすぎない。 「(ファーストリテイリングも実効負担率は)柳井氏が例としてあげた『ドイツ、イギリス、中国や韓国』の法人税率(20%台)の3分の1以下なのです。 『競争できるはずがない』とおっしゃるわりには、(略)柳井氏は日本でトップの大富豪です。一般の人は、今の法人税でも、『充分すぎるほど競争できている』から、大富豪になれたと考えるでしょう」(同書より)
 ところが、こうした財界の声を受けて、安倍政権はさらに法人税を引き下げるらしい。経済財政運営の基本方針「骨太の方針」(14年6月)に「法定実効税率」を15年度から数年以内に20%台に引き下げることを盛り込んでいる。そして、一方では消費税を10%に引き上げるべく着々と準備を進めてい る。
 つまり、政府はこれから先、さらに大企業を優遇する一方で、そのしわ寄せを消費税という形で消費者に負担させようとしているのだ。そして、大企業やその経営者たちはそれが当然という認識で、自分たちに納税の社会的責任があるという自覚をまったくもたなくなってしまった。
 こうした傾向に危機感をもつ著者の富岡氏は、企業の納税行動の透明化を提案する。
 「『法人企業の申告所得金額の公示制度』(企業長者番付)を復活させ、あわせて納税額を開示する制度を設けることを提案します。企業長者番付は、2006年、個人情報保護を口実になくされた高額納税者番付とともに廃止されてしまったからです(略)そうすれば、大企業の経営者も、社会的責任について自覚するでしょう。大企業の経営者には、今一度、国家とは何か、企業の社会的責任とは何か、ということを考え直してもらいたいと思います」(同書より)
 9月9日には、日本経団連が自民党への「政治献金再開」を表明しているが、政治献金の前に税務署に法人税(法定実効税率)を納めるのがスジだろう。 ≫(リテラ:「 大企業は法人税を払っていない!」 :小石川シンイチ)

*PS:円安が反転、円高傾向をみせている。NY市場も下げ傾向を見せているが、最終的にどうなるのか。安倍官邸は、金曜日は買い出動を命じるのだろうか?420円の下落が、単なる円高による連想相場としては下げ過ぎだ。おそらく、もやもやしている実体経済の悪化という現実的状況の下地と安倍首相の答弁への落胆等々が複合的に判断されているのだろう。性懲りもなく、300万の損を、再び下げ相場に掛けることにした筆者に、相場の神が微笑むか?年内清算日だが、如何なることやら、ハラハラドキドキ、結構刺激的だ(笑)。それにしても、此処まで法人税を優遇されている日本企業が、本社を海外に持って行く意味合いは殆どない。経団連と云うところは、利権的たかり集団に過ぎない。このような財界の横暴を野放しにしている国に、未来などあるわけはないし、国民が棄民に晒されるのは確定的だ。

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