ジャパン・イズ・バック――安倍政権にみる近代日本「立場主義」の矛盾 | |
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●政府は米国の正体見極め行動しているのか 承知の上なら構わんが
今日は、このような見出しを考える上で重要な世界の常識のようなものを知って貰うつもりで、書いている。ロシアや中国の言い分を代弁する気はさらさらないが、意外にロシアのジャーナリズムは、少なくとも日本のマスメディア中心のジャーナリズムに比べれば、雲泥の差を見せつけられる力量を持っている。流石に哲学や宗教に裏打ちされた国民性が出ている。必ずしも賢い民族ではないが、賢い日本人よりも、数段哲学的思考経路があるし、国益の何たるかを理解している。ある意味で、最近まで混乱が続いていた国だから、自分たちのアイデンティティに、まだまだ敏感なのかもしれない。ファットな豚どもの場合、このアイデンティティへの感受性がゼロ乃至マイナスな点が、自由主義世界の難点なのだろう。
欧米の自由と民主主義には欺瞞はなく、正義限りを尽くしているという嘘の構図を、仮にそれが「嘘」でもあっても真実として貫くことは、その「嘘」を「真実」に突然変異させられると、西側諸国の秩序の安定勢力は考えている。国際外交においては、このような欺瞞に満ちた「信じ合いゴッコ」が重要な期間もあるだろう。しかし、そういう場合の期間は、具体的リスクが、世界各地で潜在的にある場合に有効であり、そのリスクが顕在化した時には、その「信じ合いゴッコ」のいくつかを誠実に吟味し、「真実に」近づけていく努力が、主たる国家の外交当事者に求まれるわけである。
現在、シリア・イラク領土にまたがり勢力を伸ばしている「イスラム国」は、その勢力範囲はシリア・イラク全体の30%以上を占めているわけで、単に逃げ隠れしている、卑劣なテロ集団の姿から、国家体制に向けた組織整備に着手しており、イスラム原理主義の烏合のテロ集団の段階は一気に加速度的に解消され、国家的センスある集団になりつつある。これを阻止しようと、アメリカは外交上の体裁を整えるために、トルコ、サウジアラビア、UAEの3カ国連合にような仮面を用意して、中東の問題は中東勢でという、いやに礼儀正しい選択をしたようだが、アメリカの本心としては上記3カ国が、思い通りの軍事的成果を上げるかにつては、相当懐疑的になっている。
以上は「イスラム国」に関してだけの話だが、この中のは同時的に解決余儀なく去る、イラク問題、シリア問題、イラン問題、イスラエル・パレスチナ問題が絡み合うので、解決方向に向かう可能性よりも、一層の混沌が惹起されるリスクの方が優勢だろう。それでも、アメリカは、覇権者のプライドもあるだろうし、経済的権益も大きいだけに、明確にオバマ政権の行動に「待った」をかけられるのはアメリカ国民の力量だろう。しかし、彼らの多くは好調だといわれている国内経済の波に乗り損ねないことに興味の殆どを費消している。
そのような、アメリカの覇権国家としてのメンツは、アメリカ国民の意思に基づく世界秩序維持行動なのかどうか、あなり不透明だ。以上のような、アメリカの一連の動きを、ロシアは口少なく、分析に余念がなく、多くの思考に必要な情報を提供している。少なくとも、日本のマスメディアの球体の一面を見て、平面だと説明するような稚拙さはないから、ロシアのプロパガンダを排除しながら読み理解しておくと」、かなり中立的状況分析に役立つ。以下にロシア初の幾つかの情報を羅列するので、読む人の器量次第で、味の変わる文章というものは、やはり大人な外交においては、重みが増す。
≪ 米国の見つけた中東混乱の「犯人」
【中東における原理主義思想の急速な拡大は何故起こっているのか。「イスラム国」と戦う国際戦線が犯人探しに躍起となっている。】
事の発端は米国のジョゼフ・バイデン副大統領によるハーバード大講演。副大統領は、「この戦いは長くかつ困難なものとなる。この問題を作り出したのは中東における米国の同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、UAEである」と述べた。バイデン副大統領によれば、この国々はシリアのアサド大統領を追い落とすことに性急なあまり、シリア政府軍に反抗する者であれば誰であれ見境なく、何万トンもの武器、何億ドルもの資金を供給した。それが中東の混乱を引き起こした、というのである。またバイデン大統領は、トルコのエルドアン大統領との協議の「内幕」も明かしてしまった。「エルドアン氏はあまりにも多くの戦闘員 に国境通過を許してしまい、いたずらに「イスラム国」を増強させてしまったことを後悔していた」と、バイデン副大統領は語った。
のち、バイデン副大統領は、トルコとUAEに謝罪した。同盟国にテロ支援の疑いをかけているわけでは全くない、と釈明した。
しかし、電話で伝えたごめんなさいよりも、世界の何千というメディアによる報道、またインターネットによる情報拡散の方が、はるかに強い影響力を持つ。ジョゼフ・バイデンほどの老練な 政治家がさしたる考えもなしにあのような発言をしうるなどと考えることはナイーヴに過ぎる。ハーバードで彼が行った発言はことごとく入念に計算され、具体的な狙いをもったものだった。その狙いとは、イスラム過激派への資金供給について米国政府に向けられた非難の、その矛先を変えることだ。政治学者のレオ ニード・イサーエフ氏はこのように見ている。
「記憶に新しいことだが、国連安保理および国連総会で、中東諸国や中南米諸国がこんな疑問を提出した。いったい誰が、何の目的で、「イスラム国」に資金を供給したのか、と。米国政府はこの疑問を逃れるために、同盟諸国に責任を転嫁する必要があったのである」
それには特別な工作など何も要らない。ただ真実を言えばよいのである。そこで重要なのは、自分に有利なようにアクセントを打つことだった、と戦略研究所のアジダル・クルトフ氏は指摘する。
「米国は手広く外交代表部、諜報機関、諜報に携わっている非政府組織を展開し、ネットワークを築いている。同盟国が何をやっているかくらいは知悉していよう。アラブ諸国やトルコに対する非難は、米国自身のミステイクをカバーするためのものだったと見るべきだ。シリア反体制派に武器や資金をみだりにつぎ込んでいたのは米国も同じなのだから。これら支援はある部隊に注入されたのち、ほかの部隊に回された可能性も十分にあるのである。米国もトルコやUAEと同罪なのだ」
犯人が多すぎると取り調べもままならない。トルコもUAEも米国に立腹する閑などない。「イスラム国」戦線が荒れ狂っている。 ≫(ロシアの声:ナタリーヤ・コワレンコ)
≪米国務省補佐官、キエフ訪問
米国務省のヴィクトリア・ヌーランド補佐官が日曜、キエフに出発した。米国のウクライナへの支援について協議を行う。国務省が発表した。 ウクライナ危機の勃発以降、米国はウクライナに対し2億9000万ドルの支援を行っている。うち1億1600万ドルは軍事的な支援。ただし、武器は供給されていない。 ≫ (リア・ノーヴォスチ)
注:ヌーランド国務省補佐官、ウクライナクーデターの米国側指導者と言われている
≪ ロシアNOWの10月6日報道まとめも分析に役立つ。
「ガゼータ・ル」紙は、ウクライナのガス問題について伝えている。
ウクライナはロシアへの依存を減らせるような、新たなガスの供給者を見つけた。ウクライナの国営ガス会社「ナフトガス」は、ノルウェーの石油・ガス会社「スタトイル」と契約を締結。
非公式な情報によると、スタトイルのウクライナへのガス供給量は年間最大55億立法メートルになる見込み。ウクライナのガス需要は年間500億立法メートルであるため、10%の確保にすぎない。それでもナフトガスの幹部は画期的な契約だと言っている。
専門家は、確かにノルウェーとの契約は画期的であるが、それほど大きな変化をもたらさないと考える。「とどのつまり、スタトイルはウクライナにロシア産ガスを供給する可能性がある」 ≫
「アガニョーク」誌は、香港の”オレンジ革命”について書いている。
中国政府はこのデモを違法とし、香港特別行政区政府が現状のコントロールを取り戻すべきだと言っている。しかしながらデモの参加者は、対話相手は あくまでも中国政府であり、梁振英行政長官の辞任を求めると言っている。梁行政長官自身はデモ参加者とは対話しないし、また辞任する意向もない。結果的に、対話がほとんど成立していない。
今回香港で起きているできごととウクライナの抗議運動には共通点が多い。モバイル機器で容易に統制される数万人の市民は家に戻らず、政府は警察以外の何で対抗すればいいかわからない。このデモの波は外国から操作されていると指摘する人もいる。外国の影響の度合いは測りにくいが、アメリカのマスメディアはデモ隊に同情的な報道を行っている。 ≫
「独立新聞」は、香港の対立が終わりに近づいていると書いている。
梁行政長官は4日、テレビ演説を行い、6日朝までにデモ隊が政府庁舎の封鎖を解除しない場合は、政府が社会秩序を回復させると述べた。西側のマス メディアが最後通牒と呼んでいるこの演説は、香港でデモ隊と、デモの波によって商売に支障が出ている地元のデモ反対派市民との間で衝突が続いていた時に行われた。
専門家は、デモ隊排除を行うのは警察で、軍ではないと考える。中国にとって香港は金の卵を産むニワトリ。投資家に衝撃を与えないように、法的手段で対抗する。
ロシア科学アカデミー極東研究所のアレクサンドル・ラリン上級研究員はこう話す。「北京はほとんど譲歩せずに混乱を阻止できるだろう。北京にとっては、堅牢さを示すことが極めて重要。香港が中国の他の都市の”お手本”になるようなことがあってはならない」
中国の報道では、アメリカ人とイギリス人が香港の混乱を挑発しているという意見が、多く見受けられるという。このような陰謀説は現在流行している。だ が、アメリカの影響は最小限だという。「香港が民主運動の砦になり、国中を揺り動かすことを、アメリカ人は望んでいない。アメリカにとっては、中国との関係を悪化させないことの方がはるかに重要」とラリン上級研究員。≫
以上の記事を読んでもお分かりの通り、ロシアのジャーナリストや学者には、自分の意見に対する責任や自尊が基礎的にあるらしく、抑制と中立の姿勢を守ろという矜持の雰囲気を感じる。その点では、日本のマスメディアのジャーナリズム精神など、皆無なものに思えてくる。悪い意味で「空気」に条件的に反射する体制翼賛資質の国が、口先建前だけが先行している点で救いはあるが、本気で、その口先を実行し始めたときは、えらく大変なことになりそうだ。
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