世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●中国 日本メディアが報じるほど「好戦的国家」なのだろうか?

2016年08月28日 | 日記
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●中国 日本メディアが報じるほど「好戦的国家」なのだろうか?

 今夜は、以下“BPnet”のジャーナリストの福島香織氏などの情報をまとめた『一触即発の尖閣問題 中国はなぜ領海侵犯を繰り返すのか』を読んでいて感じたことを書いておく。この宮島某氏のまとめ記事をあげつらう積りはないのだが、日本の一般的な読者にとって、日常的に読み聞きする傍若無人とも言える「中国」の南シナ海、東シナ海の挑発行動情報に接していれば、何の違和感もなく、この情報掻き集め記事の内容に頷くことは、容易に想像できる。

 しかし、本当に中国が好戦的なファイティング・ポーズ専門の国家であり、平和外交等に縁遠い国なのか、そう云う疑問は、現在、世界二位の経済大国である事実と重ね合わせてみる時、そんな短絡的な中国の外交姿勢と云うのは、常識的にあり得ないと程度に気づくものではないのだろうか。経済予測によると2020年前後には、「米中GDP逆転劇」が実現すれば、世界一のGDP経済大国になるわけである。無論、最近の成長減速状況を見ると、その達成は2030年になるのかもしれない。しかし、いずれにしても、その日は来るだろう。

 そのような地位を得ようとしている中国・習近平政権が、徒に、フィリピンだ、日本だと、戦火を交えることを望むのだろうか。常識的に考えると不可思議だ。むしろ、将来展望が殆ど見えていない、日本と云う国の方が、戦争でも起きて、“戦時経済”になることを望んでいる可能性の方が高いくらいに考える方がニュートラルな思考の行きつく先だ。ただ、面倒な点は、中国共産党独裁の国だから、中国と云う国の情報を得るのが非常に厄介なことである。

 中国の公式な情報は、「新華網」「人民網」「チャイナ・ネット」等の日本語版サイトを読むことになる。しかし、安倍自民党政権以来、“報道の自由度ランキング”で日本が72位と限りなく低迷して話題になっているが、その比ではない(笑)。ちなみに、“報道の自由度ランキング”は176位である。北朝鮮が179位なのだから、推して知るべしなのだ。ゆえに、これらのサイト情報を鵜呑みにもできない。

 しかし、だからといって、西側プロパガンダの論調を信じて良い理由にはならない。この西側プロパガンダ情報は、その末端で生活している書き手のお追従で、プロパガンダ報道は勝手に増殖するので、よりリスキーな中国像が描かれ、新興宗教のご託宣にまでなりつつある。だからと言って、中国政府御用達の報道サイトを鵜呑みにも出来ない。まあ、上述のような事情を踏まえて、日経PBのまとめ記事を読むと、何だかな~と云う複雑な気持になる。今夜は、折角、上記中国報道サイトも覗いたので、中国政府が報道したがっている幾つか目についた記事の見出しを羅列しておく。


■目についた中国報道サイトの“見出し”(原文のまま)
★ 国防部、いわゆる「釣魚島周辺で中国側の活動が増加」について http://j.people.com.cn/n3/2016/0826/c94474-9106024.html

★ 第3回中日ハイレベル政治対話が北京で開催
http://j.people.com.cn/n3/2016/0826/c94474-9106006.html

★ 外交部、中日韓外相会議で海洋問題は議論せず
http://j.people.com.cn/n3/2016/0826/c94474-9105999.html

★ 外交部、安倍首相の杭州サミットでの習主席との会談希望に関するコメント
http://j.people.com.cn/n3/2016/0827/c94474-9106441.html

★ 南中国海に関する日本側言論に外交部「冷静になり、真剣に省察を」
http://j.people.com.cn/n3/2016/0729/c94474-9092761.html

★ 外交部、日本は南中国海問題であれこれ言う資格はない http://j.people.com.cn/n3/2016/0725/c94474-9090629.html

★ 米国は中国の5つの「断じてない」を理解する必要がある
http://j.people.com.cn/n3/2016/0720/c94474-9088809.html

★ 中国を支持する正義の声は国際社会の主旋律 (以上、人民網)
http://j.people.com.cn/n3/2016/0718/c94474-9087669.html

★ (新華国際時評)中日韓の友好協力の大いなる方向をしっかりと把握しよう(新華網)
http://jp.xinhuanet.com/2016-08/26/c_135635730.htm

★ 米軍は海外基地600カ所近くを保有 それでも中国は脅威か(新華網)
http://jp.xinhuanet.com/2016-08/24/c_135628711.htm

★ 日本の谷内正太郎・国家安全保障局長が訪中(新華網)
http://jp.xinhuanet.com/2016-08/25/c_135632686.htm

★ 「G20:中国の役割とグローバルガバナンス」、国内外の専門家が意見交換(「チャイナ・ネット」)
http://japanese.china.org.cn/politics/txt/2016-08/27/content_39176583.htm


 現代ビジネスを覗いていたら、またぞろ、長谷川幸洋の『領土拡大の野心が招いた中国外交の深刻な"八方ふさがり"  今、日本が通すべき「スジ」は?』というコラムが載っていた。長谷川が言わんとする安倍政権外交の我田引水は、想像がつきすぎるので、参考掲載は省略。読みたい方は下記URLへ。反吐が出ても知りませんがね。やはり、中国軍は戦争したがっていると書いていました(笑)。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49549


≪ 一触即発の尖閣問題 中国はなぜ領海侵犯を繰り返すのか
■中国の内政的要因が大きな要因
 8月5日午後、尖閣諸島領海に2隻の中国海警船と漁船が初めて侵犯する事件が起きた。このとき、尖閣諸島の接続水域の中国公船の付近に集まっていたのは、230隻あまりの中国漁船。日本外務省は、この事実を確認し、中国大使館公使に抗議している。
 しかし、抗議もむなしく、尖閣諸島海域の中国海警船は立ち去るどころか増え続け、7日午後には13隻、過去最多に増えた。その後も中国公船は断続的に領海侵犯を繰り返している。
 では、なぜ中国は最近になって、これほどまで挑発をエスカレートさせているのだろうか。ジャーナリストの福島香織氏は、日経ビジネスオンラインの記事「尖閣に迫る嵐、『終戦の日』の中国に備えよ」で、背景を分析している。
 一般的には、タカ派の稲田朋美氏が防衛相になったことへの中国側の反応と受け取る声も聞かれる。しかし、福島氏は、中国の内政的要因が大きいと見る。
 ■習近平政権の指示による計画的行動
 具体的には、習近平の軍権掌握が思いのほか難航していることだという。習近平は軍権掌握のプロセスとして、南シナ海実効支配固めや、東シナ海で影響力拡大を進めているのだが、軍権掌握を深めるどころか実は習近平の方が軍に翻弄され、当初の思惑以上に急速なテンポで軍事挑発がエスカレートしているのかもしれない、と福島氏は述べる。
 福島氏は、中国の挑発がエスカレートした始まりを、6月9日の中国軍艦侵入事件と見ている。同日、尖閣諸島周辺の接続水域に中国の軍艦が初めて侵入した。
 この中国軍艦侵入事件については、福島氏は日経ビジネスオンラインの記事「中ロ軍艦『尖閣』同時侵入、問われる日本の忍耐」の中で、「これは習近平政権の指示による計画的行動だ」と結論付けている。  その根拠の1つとして、中国国防部のコメントや中国メディアの論調にユーモアと余裕が見られることが挙げられている。この余裕に「してやったり」という中国側の計画性と、ほくそ笑みが見えるのだという。
 ■自衛隊機と中国戦闘機による“ドッグファイト”
 6月17日には、東シナ海上空で自衛隊機と中国戦闘機による“ドッグファイト”が起きた。この事実は、戦闘機乗りであった織田邦男・元空将による暴露で明らかとなった。
 一方、政府・官邸は“ドッグファイト”の事実を否定した。そのため、織田氏の暴露はガセだったのではないかとの批判や、情報漏えいを問題視する声も見られた。
 しかし、織田氏と面識のある福島氏は、日経ビジネスオンラインの記事「東シナ海、中国戦闘機の『攻撃動作』はあったか」で、織田氏の情報には信憑性があると述べている。
 その上で、問題の責任は織田氏に情報を漏らした側にあるのではなく、むしろ、公表すべき情報を公表しなかった官邸側、あるいは適切な対応がとれなかった官邸側にあるのではないか、と問題提起している。
 このように中国と対峙する日本を、ある意味、うらやんでいる国も存在する。地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)の配備問題で、中国との関係が急速に悪化している韓国だ。
■中国の報復を恐れる韓国から見た尖閣問題
 日経ビジネスオンラインの記事「『中国に怯むな』と叫びながら怯む韓国人」で、日本経済新聞編集委員の鈴置高史氏は、韓国人の見方を紹介している。
 鈴置氏によれば、韓国のメディアはTHAAD配備決定によって、中国が韓国に対して報復するかどうかをかなり恐れているのだという。そんな中、日本を引 き合いに出して「怯むな」と呼び掛ける記事(朝鮮日報7月20日付け「日本は中国の通商報復に屈服しなかった」)が登場している。
 2012年9月に日本が尖閣諸島を国有化すると、中国は戦闘機や艦船を送り武力を誇示した。中国で日本製品の不買運動が起き、トヨタやホンダなど日本の乗用車の販売台数が半減した。訪日中国人観光客のキャンセルも相次いだ。
 しかし当時の日本では、政府も国民もメディアも中国の報復に対する恐れを見せなかった。尖閣諸島の国有化撤回を求める声はほとんど聞かれなかった。日本を参考にハラの据わった対応をすべきだ――という内容である。
 日本だけでなく、周辺諸国と緊張を高めている中国。まるで全方位との衝突をも恐れていないかのようだ。
■原子力潜水艦を太平洋に進出させるための深謀遠慮
 それでは、どうして中国はそこまでして覇権拡大、とりわけ東シナ海や南シナ海での勢力拡大に躍起になっているのだろうか。元自衛官でGEジャパン安全・ 危機管理部長の上村康太氏は、nikkeiBPnetの記事「南・東シナ海で中国が本当に欲しいもの」で、中国の意図を分析している。
 上村氏によれば、中国にとっての脅威は、東の太平洋からやって来る米軍である。従来は為す術もなかったが、国力増強に伴い、より遠い場所で米軍を迎え撃つ戦略を現実のものにしようとし始めた。
 具体的には、東シナ海および南シナ海を軍事拠点化することで米軍が中国を直接攻撃できないようにするとともに、自らは核兵器搭載の原子力潜水艦を、東シナ海および南シナ海を通じて太平洋に安全かつ隠密裏に進出させるというものだ。
 中国の太平洋沿岸の勢力範囲拡大戦略について、上村氏は「まるで太っていく“中年オヤジのお腹”のように見えてくる」と表現する。“中年オヤジのお腹”は尖閣諸島まで呑み込んでしまうのか。中国に対する警戒と緊張はまだまだ続きそうである。  ≫(BPnet>BPセレクト>一触即発の尖閣問題 中国はなぜ領海侵犯を繰り返すのか 構成・宮島理)


 以上で終わらせる積りだったが、まともな日中関係について言及している田中均氏のコラムがあったので、口直しに参考掲載しておく。

≪ 今年の日中韓首脳会談は日本にとってどんな意味を持つのか
 ■2012年以降悪化した日中、日韓関係
 政治関係と国民感情悪化の悪循環
 日中韓三ヵ国の外相会談が本日(8月24日)行われる。執筆時点でその結果は明らかではないが、順調に進めば本年中に日本で三ヵ国首脳会談が開催 されることになる。二国間の首脳会談は二国間の政治関係の影響を受けやすいが三ヵ国であればやりやすいという認識もあり、三ヵ国首脳会談は2008年から 毎年開催された。
 しかし、2012年の李明博大統領の竹島上陸などによる日韓関係の停滞や尖閣諸島問題を巡る日中の緊張の影響でその後開催には至らず、ようやく2015年になってソウルで再開され、本年は日本の主催の順番となっており、予定通り開催されるかどうか注目を集めている。
 日中韓首脳会議は東アジアの平和や繁栄という見地からは極めて重要である。しかし、今日に至るまで三ヵ国の首脳の出会いの場という象徴的な意味以外に実質的な役割を果たしているとは思えない。その主要な原因はやはり日韓、日中二国間関係の悪化であった。
 日中韓三ヵ国のGDPの総量は2015年には16兆ドルに及び、東アジアGDPの83%、世界全体のGDPの23%に当たる。貿易量についてみれ ば三ヵ国間の総体は55百億ドルにのぼり、日本、中国、韓国から各国への訪問者の総数は毎年増え続け、2015年には総計約2400万人に上っている。こ のような統計を見ただけでも日中韓の相互依存の深さと協力の大きな潜在性は明らかであろう。また、戦後日本は70年代から90年代にかけて韓国や中国に対 しODA(政府開発援助)や投資を通じて国づくりに大いに貢献してきた歴史もある。
 このような深い相互依存関係にもかかわらず、特に2012年以降の日中、日韓政治関係の悪化は顕著であり、これを後追いするように日本と中国、お よび日本と韓国の相互の国民感情も悪化してきた。2015年の言論NPOの調査では日本の嫌中感情は国民の8割にもおよび、韓国に対する悪感情も5割を超 える。対日悪感情も中国では8割、韓国では7割を超えていた。
 日中、日韓の間の国民感情の根幹には歴史問題があることは疑いがないが、同時に政府が悪感情を煽ってきたという側面も見逃せない。特に中国の場合 は共産党政府の情報コントロールが大きな役割を果たしている。韓国の場合も権威主義的な傾向は否めず、大統領の言動と対日感情は密接に関連している。日本 の対中、対韓悪感情も中国・韓国での対日悪感情に刺激を受けるとともに、従来に比べれば対中、対韓関係の重要性を説く政治指導者も少ない。このような国 民・政府の相互への悪感情が悪循環を生んでいった。
 もちろん、「歴史問題」が消えてなくなる訳ではなく、歴史を巡って双方を刺激しないという基本が守られることが重要である。ただ政府間の関係が変わればそれを反映して国民感情が一定程度変わる。

 ■日韓の国民感情は改善
 昨年12月の慰安婦合意が転換点
 言論NPOがこの6月中旬から7月初めにかけて日韓両国で行った調査によれば、韓国人で「日本に良くない」「どちらかと言えば良くない」印象を 持っている人は昨年調査時の72.5%から61%へと11ポイント以上の大幅改善となっている。また日本人で「韓国に良くない」「どちらかと言えば良くな い」印象を持つ人は昨年の52.4%から44.6%へと7.8ポイントの改善となっている。
 これは昨年12月の日韓両国政府の慰安婦問題での合意とその後の両国政府の言動が改善の大きな要因となったと思われる。政治関係が改善されれば国民感情も変わるということである。
 今後、歴史問題以外に日本と韓国、日本と中国の政治関係を規定していく要因は何なのであろう。まず日韓関係から見てみたい。第一に日韓の大きな摩 擦要因として竹島問題がある。ただ竹島問題は今に始まった訳ではない。1965年の日韓関係正常化の時代から存在していた問題である。これが50年の時を 経て先鋭化した。
 日本の主張も強くなったが、実効支配をしている韓国が2012年の李明博大統領の上陸や最近では国会議員数名の訪問により敢えて日本国民感情を逆 なでしたという面はあろう。従来は静かにマネジメントが行われてきた問題である。この問題の現状を変える見通しはなく、主張を取り下げるという事ではないが、両国政府でこの問題の故に政治関係を大きく損なうことがないようマネージしていくという了解は出来るはずである。
 竹島問題をマネージできれば、その他の主要課題では日韓が共通戦略を持ちうると思う。重要な課題として、北朝鮮問題・対中関係・対米関係があるの だろう。北朝鮮問題について朴政権は従来中国との関係を緊密化することにより中国の北朝鮮への圧力を期待した時期があったが、北朝鮮の核・ミサイル実験の 頻発化や韓国への強硬姿勢が変わらない現実を見て日米韓の連携強化に舵を切った。今後日米韓の間で危機管理計画の整備や朝鮮半島シナリオ作りが重要な共通 課題となっていくのだろう。

 ■日韓の共通戦略
 北朝鮮問題、対中関係、対米関係
 さらに韓国の米軍基地にTHAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の配備決定もあり、韓中関係は従来の蜜月時代から大きく変化した。もちろん 地理的・歴史的・経済的要因から中国を重要視せざるを得ない韓国と日本の間の対中認識についての温度差は残るが、日本も対中抑止力の強化だけではなく、中 国との協力の拡大に踏み切れば、日韓の間の対中認識の差もさほど問題ではなくなる。
 これからの一年という時期を考えると、日韓共通の最重要課題は大統領選挙を終えて新体制となる米国との関係の再構築である。トランプ政権となれば トランプ氏の発言をベースとすれば深刻な亀裂と摩擦が米国との同盟関係に生じる。クリントン政権となっても、大統領選挙の顛末を見れば米国は徐々に内向き 志向に向かっていく怖れがあり、少なくともブッシュ政権のように軍事的行動を厭わないという姿勢は後退するだろうし、日韓は米国を東アジア地域に引き付け ておくために大きな役割を果たさねばなるまい。
 日本は中国と尖閣問題などの個別の問題を超えた構造的問題を抱えており、良好な政治関係の構築はなかなか難しい。近代の歴史を見れば明らかな通 り、明治維新以降、日本は富国強兵を唱え大きく台頭し中国とは二度の戦争を戦い、戦後1972年の日中正常化以降ごく最近までは世界で第二の経済大国で あった日本が中国の経済発展を助けることを基本とした協力の時代があった。しかし、2010年以降は中国が第二の経済大国として急速に台頭し、他方で日本 は相対的に停滞し、日中の競合関係の図式が出来、摩擦は大きくなってきた。

■構造的問題を抱える日中関係
 両国首脳の大局観が肝要
 日本から見れば、南シナ海や東シナ海での海洋活動が示すとおり、中国は一方的行動により既存の国際秩序を破壊している、中国は東アジアで覇権を求 めているのではないか、と映る。中国から見れば、日本は米国をはじめ豪州、インド、ASEANなどとの安保協力を強化し、中国を囲い込んでいると映る。更 なる厳しい対立が衝突に繋がっていくという事か。
 日中が対立と衝突を避ける唯一の方策は、両国の首脳が大局的立場に立ち、日中関係はウィン・ウィンの関係を作ることができ、地域の安定と繁栄のためにお互いが不可欠であると言う合意を担保することである。
 習近平主席の登場後たった3ヵ月たらずで米中首脳は長時間の首脳会談を行い(2013年6月にカリフォルニアのサニーランドで二日間にわたるマラ ソン首脳会談が行われた)、現在の米中関係の基本枠組みを作った。米中は利益が異なる分野があるが、これらはマネージし、協力できる分野を拡大していく、 ということである。
 南シナ海や東シナ海を巡り米中の利益が大きく異なるのは周知の事実であるし、南シナ海における埋め立てや軍事施設の構築など中国の一方的行動に対 し米国は「航行の自由作戦」として戦艦を航行させ、中国を強く牽制している。一方で米中の戦略対話は頻繁に行われ、環境などグローバルな課題への協力が推 進されているほか、軍事的信頼醸成措置も進めている。
 日本が自国の安全を担保するため日米安保体制や関係国との安保協力を強化するのは何の問題もなく、望ましいことである。しかし、同時に中国との間で「相違をマネージ」し、「協力関係を拡大」する真摯な外交努力を行うべきものであろう。
 来年、習近平体制は5年の中間地点を迎え、党大会で政治局常務委員会の人事が行われる。これから人事を巡る権力闘争も起こってくるだろう。経済も 現在の6-7%の高い成長から4-5%へとスローダウンしていかざるを得ないのであろう。このような時期に日本との対立を深めることは好ましいことではあ るまい。
 日中韓三ヵ国首脳会談が成功するためには日中、日韓の二国間関係を促進するという総意が必要であるが、いったんそのような総意が達成されれば三ヵ 国首脳会談は経済・環境等の分野で具体的協力を実施していく重要な仕組みとなる。日本は韓国との政治的関係は幸いにして修復の方向性を示しており、ここか ら年末にかけて中国との関係を修復していく格好の時期に来たのではないか。9月のG20首脳会談の杭州開催などを通じてこのような方向性が明確になること を期待したい。
 ≫(ダイアモンドONLINE>国際>田中均の「世界をみる眼」)

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