世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●米中戦争の危機などない 米NATO対ロシアはあり得る

2016年08月14日 | 日記
信長 ー近代日本の曙と資本主義の精神ー
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●米中戦争の危機などない 米NATO対ロシアはあり得る

 以下は、ロイターのコラムだが、筆者は、米中戦争が起きるとは思っていない。まあ、中国・フィリピンや中国・日本と云った周辺同盟国の小競り合い程度があることは想定できるとしても、米国は同盟関係国である事を忘れて、白馬の騎士よろしく、気がついた時には、仲裁役の地位におさまり、例のWスタンダード論を振り撒き、最も都合の良い、漁夫の利戦略を、既に想定していると理解している。

 あれだけ、中東やリビアなどで、ISを育成する資金援助と傭兵派遣を行いながら、「我々は関わっていない」とオバマが、あまりの「嘘」と判る主張を繰り返しても通用する魔法の杖が、「覇権国」の証なのだろう。ゆえに、いつまでもNATO軍が対ロに貼りつかなければならない、軍事的火種の育成に余念がない。突きつめて考えると、リビア等北アフリカにおける紛争継続も、シリアやイラクとISの紛争継続も、米ネオコンの「反権維持戦略」の一環だと言えるのだろう。

 Peter Apps氏の米中戦争、核攻撃は?のコラムは、「米シンクタンク、ランド研究所」の情報を元に書かれたコラムだが、米中の直接対決と云うもの自体、論理的に考え難いシナリオなので、その戦争で、核が使われるかどうかなど、屋上屋の議論であって、たいして意味はない。逆に、Peter Apps氏が触れようとしない、米NATO軍対ロシア戦争の方が、中東を巻き込む形で、勃発する可能性は遥かに高い。そして、戦術の一つに、ロシアによる、核先制攻撃の確率の方が、現実的核戦争のリスクを端的に表している。こんなことを書いていたら、時事が、オバマの「核先制使用宣言」は困難と云うWSJの記事を引用している。

≪ 核先制不使用宣言、困難か=有力閣僚や同盟国反対―米紙
 【ワシントン時事】米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)は12日、オバマ大統領が検討しているとされる核兵器の先制不使用宣言について、ケリー国務長官ら有力閣僚や日本などの同盟国が反対していると報じた。  関係者は同紙に「実現の可能性は低くなった」との見通しを示した。
 ケリー長官は核政策に関する討議の中で、米国の「核の傘」に依存する同盟国の懸念を指摘。日本や英国、フランス、ドイツ、韓国などが先制不使用宣言に危惧を示しているという。また、カーター国防長官も、米国の核抑止力に対する同盟国の不安を招きかねないとして反対した。 ≫(時事通信)


≪ コラム:米中戦争シナリオ、核攻撃は杞憂か
 [7日 ロイター] - 世間の注目がテロリズムに集中するなか、過去10年間におけるもっとも顕著な特徴の1つは、世界の主要国間における戦争リスクが再び高まっていることだ。
ベルリンの壁崩壊以来初めて、欧米とアジアの軍事専門家は、いったいそれがどのような紛争になるのか、真剣に考えている。 核兵器があふれる世界では、これは憂慮すべき事態だ。
先月、このコラム欄で書いたように、ロシアと北大西洋条約機構(NATO)加盟国の間に存在する、仮に限定的だとしても、確かな紛争リスクに加えて、あらゆる戦争が核戦争を引き起こす真の危険が存在している。
 NATO 加盟国であるバルト諸国における戦争の可能性について研究している米シンクタンク、ランド研究所は先週、米中間で起こり得る軍事衝突はどんなものになるか についての考察を公表した。
ランド研究所は長年、米軍に対する主要発案者とみられてきたが、この報告書は米政府の直接の政策ではない。しかし、それはかつてないほど大幅に既成の概念の枠を超えたものとなっている。
報告書は、周到に準備された米中戦争の「可能性は非常に低い」と指摘する一方、中国と日本やフィリピンといった米同盟国による領土問題などに対する不適切な対応は「無視することのできない危険」になると強調している。
 ランド研究所は、2つの異なったシナリオを分析。
1つは偶発的な軍事衝突が現在発生した場合。もう1つは、中国の軍事力と経済力の増強がほぼ現在のペースで続くと仮定して、今から10年後に偶発的な軍事衝突が起きる場合だ。 ランド研究所は、中国が向こう10年間で米国に対する軍事力の差を大幅に縮めると予測している。しかし、状況がどのように進展するかという基礎力学はそんなに大幅に変わらないかもしれない。
 今でさえ、中国の人民解放軍は、アジアで米軍のメンツを傷付ける能力を有しているとみられている。ランド研究所は中国の弾道ミサイルや巡航ミサイル、潜水艦の能力向上を指摘し、米国は中国との開戦まもない段階で、空母と複数の水上艦を失うと警告している。 同報告書は死傷者数を推計していないが、それは甚大な数になる可能性がある。空母と水上艦数隻の損失は、瞬時に何千人もの命をたやすく奪うことになるからだ。
 同時に、米中政府はともにサイバー攻撃でかなりの成功を収めることができると一般的に想定されている。 最近の他の報告書が指摘するように、中国軍事力の有効性は計測が難しいだろう。これは、同国が1979年にベトナムに侵攻して以来、大規模な紛争に参戦していないのでなおさらだ。
米政府にとって決定的に重要な決断は、アジア太平洋地域にどれほどの軍を送るかになろう。他の地域における脅威と責務は消えはしない。中東はほぼ確実に混乱の中にとどまっており、欧州においてロシアが何らかの行動を取るリスクも、実際に高まるかもしれない。
 米国はそれでも、かなりの数の空母と艦船を予備艦として保有するだろう。 戦争がわずか数日から数週間で終わろうとも、あるいは1年以上にわたって長引こうとも、米国はほぼ間違いなく、戦場で標的となる中国拠点を幅広く攻撃する能力を維持するだろう。
この中には、少なくとも限定的な方法だとしても、中国本土に対する攻撃も含まれる。
ランド研究所の予測によれば、時間が経つにつれ、中国は主要水上艦隊の全部ではないにしろ、大部分の壊滅に直面する可能性がある。比較的旧式の潜水艦は米軍の良いカモになりそうだが、2025年までには、そうではなくなる可能性もある。
 大国同士が武力衝突した場合によくあることだが、真の消耗戦は経済面になろう。
 この点においては、中国は破滅的な影響を受ける可能性がある。 米中は互いに最も重要な貿易相手国だ。
 報告書では、両国が1年間に及ぶ直接的な武力衝突に及んだ場合、2国間貿易の90%が停止すると見込んでいる。両国にとっての打撃となるが、米国は他の多くの国々と貿易を続けることが可能な一方、中国が輸出入する物品のほぼ全ては交戦地帯を抜けて、海上通航しなければならなくなる。
 おそらく最も重要なことだが、中国は自国に不可欠な外部エネルギー源を遮断される一方、米国のエネルギー供給網に対する影響は、はるかに限定的となるだろう。
 ランド研究所は、アジアでの戦争が1年に及んだ場合、米国の国内総生産(GDP)を5─10%押し下げると推計する一方で、中国の経済は最大25%縮小する可能性があると見込んでいる。
 これらは、なぜ戦争が決して起きてはならないのかを説明する良い理由となる。 たとえ両国が、何らかの誤算によって戦争突入の淵に立たされたとしても、どちらか一方が一線を越えようと議論の論理立てをすることはほぼ不可能だろう。
 そのため、真に危険なのは、主に、第2次世界大戦時のようなエスカレーションを招きかねない準備不足の行動であろう。 ラ ンド研究所のアナリストは、米中が仮に長期にわたり海上戦や空中戦を続けたとしても、核戦争へのエスカレーションは避けられるだろうと指摘する。
 これは、 冷戦時代に西側が抱いていた軍事的思考とは大きく異なる。
 冷戦時には、従来型の直接衝突による、ほぼ必然的な結果として、核戦争が発生するとみられてい た。 これが確かかどうかは別の問題だ。戦争は恐ろしい内部の論理と勢いを育てる傾向があり、より強力な武器を手に入れたいという衝動は今も健在だ。
  今のところ、中国が「段階的に縮小する核攻撃」というロシアの考え方を採用したとの証拠はない。これは、核弾頭1発を用いて、西側の敵国にショックを与えて撤退させ、紛争を終わらせることを目的とする。しかし、こうした核攻撃を想像することは可能である。
  こういったシナリオを考慮することの重要性はさらに増している。もしそうしなければ、想像を絶することが、静かに、あるいはもっと悪いことには、突如、容赦なく現実のものとなってしまうかもしれない。
*筆者はロイターのコラムニスト。元ロイターの防衛担当記者で、現在はシンクタンク「Project for Study of the 21st Century(PS21)」を立ち上げ、理事を務める。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
 ≫(ロイター通信:Peter Apps)

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