困難な結婚 | |
クリエーター情報なし | |
アルテスパブリッシング |
応援に感謝、励みになります!
●米国経済だけが好調というカラクリ グローバル経済の終焉
筆者は数カ月前から、「TPPはアメリカで成立しない」と主張してきた。ここに来て、民主党大統領候補のヒラリーまでが、改めて、明確にTPPへの反対を表明した。巷の予測では、「彼女は、反対姿勢で大統領選に臨むが、大統領就任後、適当に修正を加えて、態度を変えるに違いない」と言われており、この巷の予測が、11月の大統領選において、ヒラリーの致命傷になる虞が出てきたことで、「本気で、TPPには反対です」と言わざるを得ない状況に追い込まれたと解釈して良いだろう。
≪ TPP暗雲さらに クリントン氏反対明言
世界の自由貿易体制が「負の連鎖」に陥る懸念が高まっている。米民主党の大統領候補、ヒラリー・クリントン氏が環太平洋経済連携協定(TPP)反対を改めて強調。TPP承認後に交渉を妥結させるのが基本シナリオの日欧経済連携協定(EPA)なども影響を受ける可能性が出てきた。 日米欧を主軸に新たな貿易秩序をつくる動きは正念場を迎えている。英国が欧州連合(EU)を離脱した後の域内の貿易の枠組みも不透明だ。
日本政府は、11月の米大統領選後から来年1月の新大統領就任までの「レームダック国会」での米議会のTPP関連法案承認に望みを託してきた。TPP発効に不可欠な米国の承認が早期に終われば、交渉中のほかの大型貿易交渉を加速する推進力になるためだ。
ところが、クリントン氏は11日、TPPについて「選挙後も大統領として反対する」と反対の姿勢を一段と明確にした。さらに「雇用を減らし賃金を下げるすべての貿易協定を止める」とも語った。共和党だけでなく、民主党内の早期承認への機運がしぼめば、TPPを起点とするシナリオは修正を余儀なくされる。
まず懸念されるのが臨時国会の審議への影響だ。政府・与党は9月召集予定の臨時国会で、TPP協定の承認と関連法案の成立を目指している。米国の議会手続きの遅れは国内の慎重論を勢いづかせることになりかねない。既に自民党の一部からは「日本だけ無理して先行して承認する必要があるのか」(幹部)との慎重論も浮上している。
TPP承認にメドがつくことが前提の日欧EPA交渉も綱渡りとなる。日本はEUに工業品の関税撤廃を求め、EUが農産品の自由化を求める構図で交渉は進んでいる。ただ日本政府はTPPの国会論議に波及することを恐れ、現時点では農産品分野で着地点を探るカードを切りにくい。来年になるとフランスやドイツの選挙の影響で交渉が停滞する恐れがあるだけに、短期間で交渉をまとめる必要がある。
さらに米欧間の環大西洋貿易投資協定(TTIP)も、米議会がTPPの承認手続きを終えないと交渉は加速しない見通しだ。TPPにタイやフィリピンなど新規参加国を取り込む動きも含め、TPPの停滞懸念が多方面で貿易交渉の勢いを鈍らせている。
一方で中国はTPPが停滞する間に、自国が参加し、自由化の水準も低い東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の妥結をはかりたい考えだ。日米欧のトライアングルによる大型貿易協定の軸が揺らぐと、中国主導の貿易協定が幅をきかせる事態にもなりかねない。 ≫(日経新聞電子版)
≪ 米のTPP承認、狭き道 オバマ氏意欲も民主党内には反対論
【ワシントン=河浪武史】オバマ米大統領は2日の記者会見で環太平洋経済連携協定(TPP)に関し「大統領選が終われば真の利点がわかる」と強調し、早期に議会の承認を得ることに改めて意欲をみせた。11月の選挙後、議会に法案を出す考えだが、民主党は与党にもかかわらず支持基盤の労組の反対で賛成票が そろわない。大統領選候補2人の反対姿勢も強く、年内承認は狭き道だ。
オバマ氏は訪米したシンガポールのリー・シェンロン首相との共同記者会見で「米国はグローバル経済の一部であり、後戻りはできない」と述べ、強まる保護貿易主義に強く異論を唱えた。
TPPを政権のレガシー(遺産)としたいオバマ氏は、選挙後から自身が退任する来年1月までの「レームダック国会」で関連法案を審議し、承認を得たい考え。ただ野党・共和党だけでなく、与党・民主党議員すら賛成票がまとまらない。
ヒラリー・クリントン氏を大統領選候補に指名した7月25~28日の民主党大会。オバマ氏らの演説中に「反TPP」のプラカードを掲げる支持者が目立った。一方の共和党大会でも大統領選候補のドナルド・トランプ氏が「TPPは米産業を破壊する」と訴え、支持者の歓声を浴びた。
米国では大 統領選と同時に上下両院の改選も予定され「各議員がTPPへの賛否を選挙で問われる」(全米商工会議所幹部)。民主党議員には全米自動車労働組合などが 「自由貿易協定で米雇用が失われた」と激しいロビー活動を展開している。共和党議員には新薬のデータ保護の拡充を求める製薬業界などが再交渉を促して圧力をかける。
このため選挙後にTPP法案を提出しても「議会で賛成多数を得られる見通しが立たない」(米政府関係者)。昨年6月にはTPP法案の前哨戦といえる大統領貿易促進権限(TPA)法が成立した。オバマ氏に交渉権限を一任する法案だが、賛成票を投じた民主党議員はわずか2割。自由貿易推進派の共和党議員の8割が賛成し僅差で成立したが、今では両党の賛成派も切り崩しに遭う。
多数派・共和党の議会指導部は「TPP法案は賛成多数が見込めなければ審議にはかけない」と公言する。短期間のレームダック国会は、予算審議なども必要で「そもそも時間切れになるリスクが高い」(米当局者)。
「ヒラリーは私より大統領に適任だ」。オバマ氏は民主党大会でクリントン氏を称賛し、世論に強く支持を訴えた。借りを作った形のクリントン氏は同大会で 「不公平な貿易協定をなくすために戦おう」と述べたものの、TPPには直接言及せず、年内承認というオバマ氏のレガシーづくりに配慮をにじませた。
*筆者注:このオバマ大統領のレガシー作りへの協力と、オバマのヒラリー強力支持が、単なるバーターと捉えかねない状況に至ったヒラリー候補は、前記日経の報道のように、このオバマとのバーターを反故にした。
だが、ライバルのトランプ氏は「TPPは最悪な協定だ」と強硬発言を繰り返す。大統領選を決する「激戦州」のオハイオ州やペンシルベニア州は鉄鋼業など不振産業が多く「反自由貿易論が票になる」(日本政府関係者)ためだ。オバマ政権下で議会承認に失敗すれば、次期政権下での道筋は全く見通せなくなる。 オバマ氏は「米国がTPPから離脱すれば、通商ルールの主導権は中国が握ることになる」と危機感を強めるが、反対派議員への同氏自らの説得が成否のカギを握る。 ≫(日経新聞電子版)
つまり、99%の確率で、米国両議会が「TPP」の審議に入る可能性はなくなった。本家本元の米国が両議会で審議さえしない「TPP」を、幾ら安倍一強状況だからと言って、駄馬の先走りを演じて、強行採決まで行ってしまうほど、自民党も馬鹿ではないだろう。安倍としても、ここで今井経産省天皇の尻馬に乗って、内閣支持率を大幅に減らしたくはないだろう。グローバルに展開する世界経済こそが、カオスの上にカオスを乗せるような、愚かな行動であることに気づいた民衆がいると云うことだが、米国の格差社会の是正に見向きもせず、金融経済界の走狗になったオバマの最後の醜態なのだろう。
このレームダックしていたオバマ政権と歩調を合わせ、こま鼠のようにチョロチョロ動き回った経産省と甘利だったが、思わぬところで頓挫するようだ。今井秘書官の信頼度ランキングも、一等を減ずと云うことになるのだろう(笑)。政府・与党は9月召集予定の臨時国会で、TPP協定の承認と関連法案の成立を目指しているらしいが、天皇の「譲位問題」が議論を独占する可能性もあるような国会審議に、「駄馬の先走りTPP」審議と云うのは、相当の蛮勇が必要だ。「そもそも論」になるが、日欧中及び資源国家である露・ブラジル・サウジ等経済も絶不調。にもかかわらず、米国経済だけが強調と云う話を真に受けること自体、どこか滑稽だ。幾分、暴露嗜好のある “Paul Craig Roberts氏”だが、言っていることは、「そもそも論」からも、当を得ていると考えて良さそうだ。
≪ 経済の実態は一体いつまで無視されるのだろう?
トランプとヒットラリーは、“経済政策”を提示した。両者いずれも、また両者の顧問も、実際に何をなすべきかについて、何も分かっていないが、マスコミにとって、それは問題ではない。
“金がものを言う”が、売女マスコミの作動原理だ。連中は、それを言うように、金をもらっていること言うのだが、それは何であれ、大企業と政府のためになるものだ。つまり、売女マスコミは、ヒットラリーの経済政策がお気に入りで、トランプの経済政策はきにくわないのだ。
トランプは、自由貿易を支持しているふりをしているが、NAFTA、環太平洋連携協定などのあらゆる自由貿易協定に反対なので、本当は反対なのだと NPR売女マスコミが言うのを、昨日私は聞いた。売女マスコミは、こうしたものが貿易協定ではないことを知らないのだ。NAFTAは“アメリカの雇用を手 放す”条約であり、いわゆる連携協定は、グローバル大企業に法律からの免責特権を与えるために、国々の主権を手放すものなのだ。
何度も報告させて頂いている通り、少数独裁政府は、経済統計を含め、あらゆることに関してウソをつく。例えば、2009年6月以来、我々は経済回復を享受していて、失業率は5%以下で、おおよそ完全雇用状態にあり、インフレはないのだと聞かされる。失業率は23%で、インフレはひどいのに、インフレ 率の過小評価に基づく“回復”だという事実にもかかわらず、そう聞かされているのだ。
GDPは、現行の価格で計算される。もしGDPが、昨年よりも、今年3%増えれば、本当の製品とサービスの生産が、3%増えたのか、価格が、3%上 がったのか、あるいは、本当の生産は減ったが、価格上昇によって見えなくされているかだ。実際に何が起きているのかを知るためには、名目GDP数値は、イ ンフレ率分だけ、引き下げなければならない。
昔は、インフレ尺度が妥当だったので、経済状態が一体どうなのかについて妥当な考えを得ることができていた。今はもはや、そうではない。様々な“改 革”で、インフレ尺度から、インフレが外されてしまったのだ。例えば、もしインフレ指標中の品物の価格が上がると、その品物は外され、代わりに、より安い もので置き換えられる。あるいは、価格上昇は“品質向上”と呼ばれ、価格上昇とは見なされない。
言い換えれば、インフレを定義上、排除することで、価格上昇を実際の生産の増大に変身させているのだ。
同じことが、失業の尺度についても起きている。報じられている失業率では、失業が数にいれられていない。失業者が、いくら長期間懸命に職を探して も、その人物が、過去四週間に職探しをしていなければ、その人は失業者と見なされないのだ。就業率が崩壊している中、失業率が5%だと言われている理由は これで、25歳のアメリカ人の半数が両親と同居しており、更により多くの24-34歳のアメリカ人が、自立でなく、両親と同居している。
一体なぜ、政府統計が、経済の不正確な様相を示すよう作られているのかという質問を、経済記者連中は決してしない。食べ物や衣類を購入し、ホームセ ンターに行き、修理費や光熱費を支払っている人なら皆、大変なインフレであることを知っている。処方薬を例にとろう。全米退職者協会は、退職者が使う処方 薬の年間経費が、2006年の5,571ドルから、2013年の11,341ドルに上昇したと報じているが、彼らの収入は追いついていない。実際、インフ レ尺度“改革”の主な理由は、社会保障支給に対する生計費調整を無くすことだった。
https://www.rt.com/usa/334004-drug-prices-doubled-years/
チャールズ・ヒュー・スミスは、本当のインフレ率を推計する賢い方法を考え出した。ブリート・インデックスだ。2001年から、2016年までに ブリートの値段は、2.50ドルから、6.50ドルへと、160パーセント上がった。ここ15年間、公式に測定されたインフレ率は35パーセントだ。
しかもメキシコ料理のブリートだけで済まない。2000年以来、高等教育の費用は137%上がった。ミリマン医学指標は、医療費が、2005年から 2016年の間に、公式インフレよりはるかに上がっていることを示している。医療保険、ゴミ収集の費用、何もかも、公式インフレ率よりも劇的に高い。
http://www.oftwominds.com/blogaug16/brito-index8-16.html
家計にとっては、食料と学費と医療費が主要支出だ。実質所得が停滞し下落する中、主要な経費増大に対処する問題に、貯蓄のゼロ金利が加わる。例え ば、ゼロ金利で、高インフレの時代に、基本的に凍結されている社会保障支給を補うため、祖父母は自らの貯蓄を下ろさざるを得ず、祖父母は孫の学費ローン負 債を助けてやることが出来ない。貯蓄は経済から外されている。多くの家族が、クレジットカードの未払い金の最低金額だけ支払ってやりくりしており、彼らの 借金は、毎月増えてゆく。
本当の経済の姿を見つめている本物のエコノミストが、もしいるとすれば、彼らは、まん延した負債デフレと窮乏化へと経済が崩壊しつつあるのを目にし ているはずだ。負債デフレというのは、消費者が負債を返済した後、購買をして経済を動かすための可処分所得が残っていない状態だ。
アメリカ人が、貯蓄から収入を得られないでいる理由は、当局が、ごく少数の“大き過ぎて潰せない銀行”の福祉を、アメリカ人の福祉より優先している ためだ。連邦準備金制度理事会が作り出した膨大な流動性は、金融体制の中に流れ込み、金融商品の価格を押し上げている。株式市場は回復しているが、経済は 回復していない。
かつて、流動性は経済成長を意味していた。連邦準備金制度理事会が、金融政策を緩めると、消費者需要の増大が、商品やサービス生産の増大をひき起こ した。利益増大を期待して株価も上がった。しかし近年、金融市場は、不調なファンダメンタルズによってではなく、その全てが潰れるままにされるべきだっ た、ごく少数の巨大過ぎる銀行や保険業の巨人AIGなどを救うために、連邦準備金制度理事会が金融体制に注ぎ込む流動性で動いている。流動性は、どこかに 向かわざるをえず、それは株や債券へと向かい、大変な資産インフレをひき起こしている。
高インフレがお金の本当の価値を浸食している時に、ゼロ金利にして、一体何の意味があるのだろう? 消費者市場が拡大できない時に、高い株価収益率にして、一体何の意味があるのだろう? 経済が製品やサービスを作り出す以上に遥かに大量のドルを連邦準備金制度理事会が作るなかで、ドルを安定させておくのにどういう意味があるだろう? 株式市場に対する確定利益ヘッジを無くして、年金基金や保険会社の財政状態を、ゼロ金利によって悪化させて、一体何の意味があるのだろう?
全く意味などない。
我々は、結論は崩壊しかないワナにはまっているように見える。もし金利が本当のインフレ率を反映すれば、何百兆ものデリバティブ は吹き飛び、株式市場は崩壊し、過小評価で失業を隠蔽することもできなくなり、財政赤字は増大する。当局は一体どうするのだろう?
危機が見舞ったら、利益と借金を利用している大企業、つまり株価を高くしておいて、それで幹部のボーナスを上げ、株主を喜ばせ、企業買収支持の気を 削ぐため、借金で自社株を買い戻している大企業に一体何がおきるだろう? 混乱と、それがもたらす恐怖が満足にとって代わる。大混乱が生じる。
更なる紙幣が印刷されるのだろうか? お金は消費者価格へと向かうのだろうか? 大インフレと大量失業を同時に経験することになるのだろうか? こうした疑問のどれひとつとして、売女マスコミや政治家やウオール街が立ち向かうなどと期待してはならない。
危機が起きれば、ロシアか中国のせいにされるだろう。
Paul Craig Robertsは元経済政策担当の財務次官補で、ウオール・ストリート・ジャーナルの元共同編集者。ビジネス・ウィーク、スクリプス・ハワード・ニュー ズ・サービスと、クリエーターズ・シンジケートの元コラムニスト。彼は多数の大学で教えた。彼のインターネット・コラムは世界中の支持者が読んでいる。
彼の新刊、The Failure of Laissez Faire Capitalism and Economic Dissolution of the West、HOW AMERICA WAS LOST、The Neoconservative Threat to World Order.が購入可能。
記事原文のurl:http://www.paulcraigroberts.org/2016/08/10/how-long-can-economic-reality-be-ignored-paul-craig-roberts/
≫(「マスコミに載らない海外記事」様のサイト引用)
(090)未婚当然時代: シングルたちの“絆 | |
クリエーター情報なし | |
ポプラ社 |