世相を斬る あいば達也

民主主義や資本主義及びグローバル経済や金融資本主義の異様さについて
定常で質実な国家像を考える

●米軍産複合体を太らせるMD計画 日本のお寒いミサイル防衛

2016年08月21日 | 日記
天皇畏るべし 日本の夜明け、天皇は神であった
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●米軍産複合体を太らせるMD計画 日本のお寒いミサイル防衛

 米軍に“おんぶに抱っこ”の日本の防衛システム。以下の田岡氏のコラムも読むまでもなく、自衛隊のミサイル防衛システムなるものが、“張り子のトラ”ではないかと云う疑惑は、常に纏わりつく。米国本土のミサイル防衛システムそのものも、現実的対応に則して、システムが、本当に有効に作動するものか、疑念があるくらいだ。相手が、自暴自棄になって、めくら滅法に発射したミサイルを、完璧に撃ち落とすことなど、素人が考えても、“無理じゃねえの?”となる。

 軍事に関しては、常識とか、印象以外コラムを書けるほど知識がないので、田岡氏のコラムや朝日の報道、スプートニク日本の報道記事を引用するのだが、情報を並べて感じることは、半分以上気休めな防衛システムだな、と云う答えだ。結局、米国も、米同盟国も、アイゼンハワーが退任時に警告したように、軍産複合体の暴走に注意せよと云う言葉が、20世紀も21世紀共通の訓戒として光を放っている。ミサイル防衛システムは一発撃つごとに数億円が消えてなくなるようなものなので、軍産複合体にとって、涙があふれるほど、嬉しい商売に違いない。日本の防衛省も、“火事場泥棒”のように、5兆円以上の概算要求を出している。


≪ 防衛省の17年度予算、過去最大の5.1兆円を要求へ=政府関係者
[東京 19日 ロイター] - 防衛省は2017年度の概算要求に、過去最大の5兆1600億円程度を計上する方針を固めた。北朝鮮が弾道ミサイルの発射を繰り返すなど、日本を取り巻く安全保障の環境が一段と厳しさを増しているとして5年連続で増額を要求する。
 政府関係者が19日、明らかにした。 ・防衛省がとりわけ重視しているのが、北朝鮮の弾道ミサイル技術向上を受けた防衛態勢の強化。地上配備型の迎撃ミサイル「PAC3」の改修費用約1000億円を計上するほか、米国と共同で改良に取り組む海上配備型ミサイル「SM3」の量産費用を盛り込む。
 大気圏に再突入してきた弾道ミサイルを迎撃するPAC3は、射程距離を約2倍の30キロ超に伸ばす。大気圏外でミサイルを捕捉するSM3は、高度をさらに引き上げる。ミサイル防衛(MD)を将来的にさらに強化する研究費用も計上する。
 このほか、東シナ海で動きを活発化させる中国をにらみ、沖縄県宮古島や鹿児島県奄美大島に陸上自衛隊の沿岸警備部隊を配備する費用を要求する。有事の際の制空権を確保するため、9カ国が共同開発する新型戦闘機F35の取得費用も盛り込む。
 防衛省が次年度予算の概算要求額を増やすのは5年連続。初めて5兆円を突破した16年度の当初予算からは、約2.3%の上積みとなる。16年度は5兆0911億円を要求し、5兆0541億円が認められた。
 防衛費は、装備の調達を契約してから完成するまでに時間がかかる。実際の支払いは複数の会計年度をまたいで分割にするケースが大半で、毎年の予算が膨らみやすくなる傾向にある。来年度の概算要求も、過去に計上した予算の後払いが多くを占める。  ≫(ロイター:久保信博)


≪ 平和ボケの極み! 北朝鮮の事前通告がないと役に立たないミサイル防衛
■秋田県沖に落ちた北朝鮮のミサイル 政府は全く対応できなかった
 8月3日午前7時53分頃、北朝鮮は同国南西部の黄海南道の殷栗(ウンリュル)付近から弾道ミサイル2発を発射した。1発目は発射直後爆発したが、2発目は北朝鮮上空を横断して日本海に向かい、約1000km飛行して秋田県男鹿半島の沖約250kmの日本の排他的経済水域内に落下した。
 日本政府がこのミサイルの発射を知ったのはそれが落下した後か直前と見られ、ミサイル防衛に当たるはずのイージス艦や、陸上の要地防衛用の「PAC3」ミサイル部隊に「破壊措置命令」は出されず、全国の市町村の防災無線、有線放送などを通じて警報を出すはずの「Jアラート」も役に立たなかった。ミサイル防衛には今年度予算を含め1兆5800億円が注ぎ込まれたほか、「Jアラート」にも消防庁が市町村に交付金を出し普及率は100%になっていた。
 防衛省は「北朝鮮から事前の通告がなかった」「移動式発射機から発射されたため兆候がつかめなかった」と釈明するが、人工衛星の打ち上げと違い、 実戦用の弾道ミサイルは当然予告なしに発射されるし、先制攻撃で破壊されないよう自走式発射機に載せるのが一般的だ。日本のミサイル防衛は形だけであることを証明する結果となった。
 北朝鮮はこれまで大型ロケット「テポドン2型」などを使って人工衛星打ち上げを目指し、2012年12月12日と今年2月7日、小型衛星を地球周回軌道に乗せることには成功した。これは米戦略軍総合宇宙運用センターが確認している。衛星は2回とも故障した様子で電波を出していないが、ロケットの第3段が高度500km付近で水平方向に加速、周回軌道に物体を放出した飛行パターンは人工衛星打ち上げを狙ったとしか考えられない。軍用ミサイルならさらに上昇して頂点に達した後、放物線を描いて落下する。
 「テポドン2」は全長30m、重量90tもの大型で、高さ67mもの固定式発射機の側で2週間以上かけて組み立て、燃料を注入して発射している。 海岸近くの発射場で衆人環視の中、戦時あるいは緊張時にこんな悠長な作業をしていては航空攻撃などで簡単に破壊される。また北朝鮮は発射の前にその日時 (幅がある)や第1段、第2段のロケットの落下予定地点を国際海事機関に通報していた。
 防衛省は従来その通報を受けて「破壊措置命令」を出しイージス艦を出港させたり、ミサイル防衛用の「パトリオット・PAC3」を防衛省の庭や沖縄の宮古島、石垣島などに展開したが、これは実は「ミサイル」に対する防衛ではなく、人工衛星打ち上げ用ロケットが不具合を起こして落下して来ることへの対 策になりうる程度だった。現実には、ミサイル防衛に巨費を投じることが国民の安全を守る役に立つ、と宣伝し予算を確保するための行動の色が濃かった。

■事前の通告がなかったから 対応できなかったという「平和ボケ」
 私は本欄などで、人工衛星打ち上げを「ミサイル発射」と政府が称して大騒ぎし、メディアもそれに乗る愚行をいましめ、真の脅威は自走発射機に載っ ている「ノドン」や「ムスダン」であることを説いてきたが、今回「ノドン」がノーマークに等しい状態で秋田沖に落下したことは、それを証明する結果となった。
 今回の「ノドン」の発射は午前7時53分頃で、約10分以内に男鹿半島沖約250kmの海面に落下したが、防衛省が「ノドン」発射の第1報を発表したのはその1時間以上後の9時8分で、落下地点も特定されていなかった。これまでの「テポドン2」による人工衛星打ち上げの場合には、防衛省で発射直後から刻々と飛翔状況の発表が行われ、通信衛星などを経由する「Jアラート」システムにより住民に屋内への退避を指示するなど警報が出されたが、今回はその ような動きは全くなかった。防衛省が「ノドン」の発射を知ったのは、多分それが落下した後だった様だが、それに到る詳細は公表されていない。
 ミサイル防衛の構想では、弾道ミサイル発射の際に出る大量の赤外線(熱)を赤道上空約3万6000kmを周回するアメリカの静止衛星がとらえ、その情報は07年に米空軍三沢基地に設けた「総合戦術地上ステーション」に入り、日本の「JADGE」(航空宇宙防衛警戒管制システム)に入力され、また横田基地の「日米共同統合運用調整所」や防衛省地下の「中央指揮所」、首相官邸の「危機管理センター」にほぼ同時に伝えられる。それに要する時間は1分程度 のはずだった。
 北朝鮮で発射された弾道ミサイルは7、8分から10分程度で日本の目標に達するから、そうでないと迎撃や住民の避難が間に合わない。今回のように日本に向かったミサイルの第1報の発表まで1時間以上というのは論外だ。
 その理由として防衛省は「事前の通告がなかった。移動式発射機から発射され、兆候がつかめなかった」と言う。これは「平和ボケ」の極みで、実戦で 敵が「これからミサイルを発射します。発射地点はここ、目標はこれこれ」と通告してくれることはない。防衛省は人工衛星打ち上げを「ミサイル発射」と呼んできたため、自らも「ミサイル発射とはこんなもの」とのイメージが染みついていたのかもしれない。日本のミサイル防衛は人工衛星打ち上げの監視には使えても、本物のミサイル発射に対しては役立たなかったのだ。
 しかも「ノドン」(北朝鮮の制式名「火星7号」)は1990年代に開発された旧式だ。全長16mもあり、重量16t余、10輪の自走発射機に搭載されるが、移動はかなり不便だ。液体燃料と酸化剤をむらなく充填するには直立させて注入する必要があると見られ、発射準備には1時間以上掛かりそうだ。射程はほぼ日本全土をおおう1300kmと推定され、発射機が約50基、ミサイルは約300基とされている。

■野球のシートノック同然 「迎撃ミサイル命中」はまやかし
 一方、今年6月22日に初めて試射に成功した「ムスダン」(火星10号)は旧ソ連の潜水艦発射ミサイル「SSN6」を基礎にしたものだけに全長 12.5m、重量12tと小型で、液体燃料を填めたまま相当長期間待機が可能だ。12輪の自走式発射機に載せてトンネルに隠され、出て来て約10分で発射可能とされる。射程は3000km以上でグアムに届くと見られる。旧式の「ノドン」に対応できないのなら、「ムスダン」の迎撃はさらに困難だ。
 政府は今回の失態に鑑み、これまでの人工衛星打ち上げの際のように、事前通告や、衛星写真などの兆候を確認してから「破壊措置命令」を出すのではなく、常時この命令を出した状態にし、イージス艦や「PAC3」を配置についたままにすることにした。
 イージス艦は6隻あるが、弾道ミサイルに対応できる射撃統制システムを持つのは4隻しかなく、他の2隻はその能力を付けるため改修中だ。軍艦は常 に4分の1はドックに入るなど整備・点検中で、その後再訓練をしたり、往復にも日数を要するから、4隻中1隻を常に日本海に配置するのは容易ではない。
 イージス艦は2007年12月17日、1番艦「こんごう」(満載時9500t)がハワイのカウアイ島沖で、同島から発射された標的の模擬弾道ミサ イル撃破に成功して以来、約80%の命中率を示している。だが、これは標的の発射地点、落下予定海面、発射の時間帯、標的の加速性能などがすべて分かっていて、それらのデータをイージス艦の射撃統制システムに入力して待ち構えているのだから実戦とは全く違う条件だ。まるで「センターフライ行くぞ」と叫んで球を受けさせるシートノックと同様だ。
 自走式の発射機に載せて移動し、隠れているミサイルの発射の兆候を事前につかむのは極めて困難だ。偵察衛星は時速約2万7000kmで、1日約1 回世界各地の上空を一瞬で通過するから、固定目標の撮影はできても、移動目標の探知、監視はできない。静止衛星は約3万6000kmの高度だからミサイルは見えず、発射の熱を感知するだけだ。エンジン付きグライダーのような無人偵察機を旋回させておけば撮影は可能だが、北朝鮮全土で常に細密に捜索するには 多数が必要だし、領空侵犯だから撃墜されても文句は言えない。
 予兆なしに、イージス艦のレーダーや、弾道ミサイルの探知ができる航空自衛隊の巨大な「FPS5」レーダー(高さ35m)、――下甑島(鹿児島) 佐渡(新潟)大湊(青森)与座岳(沖縄)に配備――で、弾道ミサイルの発射を見張ろうとすれば、秒速2km程度の中距離ミサイルが相手だけに、数秒の遅れも許されない。当直は交代すると言っても、24時間、365日大変な緊張を強いられる。予兆が無い場合には迎撃要員の疲労が激しく、迎撃ミサイルの命中率は予兆がある場合の半分以下になる、とも言われる。米国の静止衛星がミサイル発射の熱を捉えて伝えてくれるなら、少しの余裕は出るにしても、それに素早く 反応するために全く気が抜けない。

■自暴自棄の相手には 「抑止」は通用しない
 日本は2004年度から今年度までに計1兆5800億円をミサイル防衛に費やした。今年度は2244億円で、8隻目のイージス艦建造費1625億 円が含まれる。それが今積んでいる迎撃用ミサイル「SM3ブロックIA」は1発約16億円だから、1隻に8発しか積んでおらず、不発や故障もあるから1目標に対し2発を発射するから弾道ミサイル4発にしか対応できない。現在日米共同開発中の「SM3ブロック2A」の価格はその2倍にはなりそうだ。航空自衛隊が持つ「パトリオット・PAC3」は射程が僅か20km以下で1地点しか守れないが、それでも1発8億円程だから、例えば関東地方には8輌の発射機があり、各4発しか積んでいない。弾道ミサイルを多数発射されればお手上げだ。
 自衛隊の高官の中にも「ミサイル防衛は国民の気休め程度」と言う人もいた。このため「相手がミサイルを発射しそうなら、先に攻撃して破壊すべき だ」との論を唱える将官もいた。この人と話してみると、弾道ミサイル発射と人工衛星の打ち上げを混同して、実戦用ミサイルも北朝鮮東岸の無水端の固定発射台から撃つと思っていた。私が「ミサイルは移動式の発射機に載せてトンネルに隠れているから、どこにあるか分からない。どうやって狙うのですか」と聞くと 「偵察衛星で分かりませんか」と言う。偵察衛星は時速約2万7000kmで北朝鮮上空を1日1回通るだけ、と説明すると「自衛隊には偵察衛星がないからよく知らなかった」と驚いていた。
 北朝鮮の核・ミサイルに対しては、もし攻撃をすれば激しい報復攻撃を加える「抑止戦略」も考えうる。だが、今日でも北朝鮮が韓国や日本、そこにあ る米軍施設などを攻撃すれば、圧倒的に優勢な韓国軍、米軍の通常攻撃でも潰滅するのは必至で、抑止は一応効いている。米軍は北朝鮮に対して核を使うと統一後の韓国による再建に支障が出たり、放射性降下物が風向きにより韓国、中国、ロシア、日本に降るから、なるべく精密誘導の通常兵器で片を付けたいようだ。

 ただ「抑止」は相手が利害を計算する合理的判断力を持っていることを前提としている。崩壊が目前に迫るなどで、自暴自棄の「死なばもろとも」の心境になった相手には通用しない。
 北朝鮮の無法な行動は腹立たしいが、つとめて現実的に考えれば、中国が取ってきた「生かさず殺さず」政策しか手はないのではないか、と考えざるをえないのだ。
 ≫(ダイアモンドONLINE>経済・時事>田岡俊二の目からウロコ)


≪ 韓国配備のTHAAD、ミサイル迎撃の仕組みとは 香港(CNN)
韓国国防省がこのほど同国南部への配備を発表した米軍の高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)。北朝鮮からの弾道ミサイル攻撃に備えて導入する新技術だが、具体的にどのような機能によってミサイル防衛を可能にするのか。その仕組みを探った。
 機材を納入している米軍需大手ロッキード・マーチンによれば、THAADはインターセプターと呼ばれる発射体と発射台、レーダー、発射制御ユニットなどから構成されている。
 まずレーダーが飛んでくるミサイルを検知し、システム要員が脅威となることを確認したら、トラックに載せられた発射台からミサイルに向けてインターセプターが発射される。高速で飛ぶインターセプターは運動エネルギーによって相手のミサイルを破壊する役割を担う。
 香港大学の軍事政策の専門家、イボンヌ・チウ氏によれば、インターセプターに弾頭はついておらず、衝突することでミサイルを破壊することから、THAADは「特に核ミサイル相手では安全性が高いとみられる」という。
 「核弾道ミサイルを弾頭のないミサイルで撃てば、核爆発を起こさないことが期待できる」とチウ氏は言う。
 THAADの配備について、米国は在韓米軍と韓国を北朝鮮から守ることが目的だとの立場を崩していない。しかし中国やロシアは以前から配備を警戒する声を上げていた。 中国の王毅(ワンイー)外相は2月、米シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」主催のイベントで、THAAD配備は「中国の正当な国家安保上の権益」を脅かすと発言した。 THAADは数年前からグアムやハワイの米軍施設を守るために配備されている。  ≫(CNN:香港)

 ≪ 米国の退役軍人ら、THAADシステムの韓国配備に反対
米国の非政府組織「平和のための退役軍人」は韓国へのTHAAD展開はワシントンとモスクワ、北京、平壌との関係の緊張をエスカレートさせるとしてこれに反対した。メディアが報じた。
「米国と韓国は北朝鮮ミサイルの脅威でTHAAD展開の決定を正当化するが、 THAADは韓国を保護するためのものではない。その任務は中国ミサイルの使用可能性を中和し、地域内の米軍部隊を守ることだ」。
「同時に、韓国の人々は、自国保護の観点から最終的に役に立たないシステムのために高すぎる価格を支払うことになる」。 米国は「中国とロシアを取り囲むようにミサイル防衛システムを設置しようとしている」。
これは両国の防衛力を破壊し、「世界に危険な軍拡競争を促進する」ものだ。  ≫(スプートニク日本)

 ≪ 米軍ミサイル防衛システム配備は韓国外交の破綻を意味する
 韓国は、自国領内に米国の高高度ミサイル防衛 THAADシステムを配備することに同意した。そして同システムが、来年2017年末から稼働することも発表された。こうした措置について、米韓両政府 は、北朝鮮からの脅威に対抗するためだと説明している。スプートニクは、日露双方の専門家から見解を伺った。
 朝鮮半島問題に詳しい拓殖大学大学院・武貞秀士特任教授は、韓国が今回THAAD配備に踏み切らざるを得なくなったことは、韓国の二股外交破綻を象徴していると指摘している。
 武貞教授「韓国は中国との経済関係を切ることはできませんし、軍事関係では米国との関係を切ることができません。朴政権は相当無理 をして、経済は中国と、軍事は米国と関係を築いてきましたが、それがほとんど破綻したということです。
 政策に非常に無理があり、それがTHAADの配備に つながりました。 結局韓国の本音は、外交軍事の分野では、中国よりも米国を相手として緊密な関係を築く必要があるということ、また、これを明らかに しなければならないということです。韓国は米中の板ばさみという非常に厳しい状況になり、朴槿恵大統領が三年間やってきた『二股外交』を今までどおり続け ることは難しくなりました。その意味で、今回のTHAAD配備は、中国・ロシア・米国の本音が全部出た一つの出来事であったと思います。残りの一年半、朴 政権は苦しい外交政策の運営をしなければならず、厳しい立場におかれるでしょう。」
 また、ロシアの軍事評論家でCIS諸国研究所の専門家、ウラジスラフ・エフセーエフ氏は「今回の措置は、より大きな懸念を中国側から呼び起こしており、その結果、中国政府の北朝鮮問題へのアプローチが変わるかもしれない」と指摘している。
 エフセーエフ氏「中国は、米国の対ミサイル防衛システム配備に対し大変敏感に鋭く反応しています。なぜなら、朝鮮半島から比較的遠 くない場所に基地を置く中国の中距離ミサイルを迎撃できる可能性が生じるからです。韓国にはすでにTHAADシステムの他、イージス艦が配備されており、 海上からミサイルを迎撃できます。 こうした措置に対抗する中国の行動は、おそらく、軍事的性格を持ったものとなるでしょう。
 その課題は、中国のミサイルを迎撃できるような 距離、つまり1000キロ未満に、米国の軍艦を近づかせないということです。そうした目的のために、中国が利用する可能性があるのは、沿岸ミサイル総合施 設や、誘導ミサイル兵器搭載艦船、さらには巡航ミサイル搭載可能な潜水艦です。その際中国は、韓国領内にまさに距離1000キロ未満の標的を発見できる レーダーステーションがあることも考慮するに違いありません。
 レーダーステーションが、韓国領内にある対ミサイル防衛施設と同様、中国を、脅威が生じた時に攻撃する優先的標的とみなしていることは明らかです。その際、中国が核潜在力を利用する可能性も除外されていません。
  また韓国に最新の迎撃ミサイル・システムが配備されたら、結果的に中国の北朝鮮問題に対するアプローチが変わるかもしれません。も し中国が、将来深刻な脅威を感じるとしたら、彼らは北朝鮮に対する制裁緩和に踏み切り、国境をより透明なものにする可能性があります。
 つまり『北朝鮮が核 やミサイル実験を実施するのをやめるよう、平壌の指導部に圧力をかけよう』とする中国の立場が弱まるだろうという事です。その代わりに、中国と北朝鮮の潜 在的関係は温暖化し、あべこべに韓国との関係は冷却化してゆく可能性があります。
 こうした好ましくない状況から抜け出す最良の出口となり得るのは、一つのまとまった地域安全保障システムの創設です。そうしたもの ができれば、朝鮮半島の緊張をほどく助けになるでしょう。
 北朝鮮当局が、若干の対立緩和に向けた期待を示しているにもかかわらず、米国が、そうした動きを妨害するに違いないことは現在すでに明らかです。なぜならそれは、米国の戦略的利益にそぐわないものですから。」  ≫(スプートニク日本)

≪ ロシア人専門家、MDの放射線を危ぶむ星州郡住民の危惧は根拠あり
 米国MD THAADの配備先に決まった韓国南部の慶尚北道星州郡では、地元住民の抗議行動が行なわれた。住民はレーダーから出される放射線の影響を憂慮しており、政権に対して配置決定を覆すよう呼びかけている。
 米国側はレーダーの星州郡への配備は韓国を北朝鮮の潜在的脅威から守るという米国の断固とした決意に裏付けられるものと説明している。だがこれが配備される ことにより、星州郡は自動的に北朝鮮の標的にされてしまう。また韓国の住民たちの間では深刻な問題が生じた。
 それはレーダー施設から放射される強力な電磁 放射線の危険性と関連したものだ。ロシア人軍事専門家のコンスタンチン・シフコフ氏はスプートニクに対して次のような見解を明らかにしている。
  「当然のことながらTHAADのシステムのレーダーは出力がかなり大きい。なぜなら遠距離をかなり低い高度で飛ぶ小さな弾頭を発 見、追跡するには実際にかなり大きな出力が必要だからだ。このためレーダーが周辺領域に対して放射線を照射することは間違いない。米国がこれを市街地に近 い場所に設置した場合、住民の健康は大きな危険にさらされる。通常、こうしたシステムは付近住民への否定的影響を最小化するために居住区から離れた場所に 設置される。このため韓国の住民らの憂慮はもっともなことなのだ。少しでも安全を図ろうとするならば、こうした施設は少なくとも数10キロ、本来ならば 150キロ離れた場所にたてなければならない。」
  スプートニク:仮にこの規則が遵守されないとなると住民の抱いているリスクは現実のものになるのか?
 「米 MDは北朝鮮の戦域戦術ミサイルを無害化する目的で作られたといわれている。おそらくこれは根拠があることだろう。だが住民の側からすれば根拠に欠ける話 だ。なぜなら放射線被害のほかにも住民は直撃対象になってしまうからだ。ミサイルは文字通り自分たちの頭の上に落ちてくることになる。なぜなら米MDがミ サイルを迎撃したとしても、ミサイルは宇宙空間に留まらず、必ずどこかに落ちてくる。ミサイルの軌跡はMDによって変えられてしまっているのだから、それ が落ちてくる先は軍事施設でも司令部でもなく、民間人の頭上になる。」
  韓国の「韓国の平和と統一への連帯」組織のオ・ミチョン事務総長も米MDの韓国配備の決定は朝鮮半島の平和を損ねるだけでなく、韓国国民の安全を脅威にさらすと語っている。
 ロシアと中国もまた、米MDの朝鮮半島展開は地域情勢を不安定化させるだけとの懸念を表している。 先に伝えられたところによると、米国防総省は7日、米韓は朝鮮民主主義人民共和国からの脅威に対抗するために韓国領内への米ミサイル防衛システム THAADの配備に合意したことを明らかにした。  ≫(スプートニク日本)


≪ 韓国、米軍のTHAAD配備予定地を変更へ
 韓国の韓民求(ハンミング)国防相は17日、米軍が来年末までに慶尚北道星州郡(キョンサンブクトソンジュグン)に 配備する高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)の予定地を変更する考えを示した。軍事関係筋によれば、現在は韓国軍基地が予定だが、そこから20キロ弱離れたゴルフ場用地を使う見通しという。
 韓氏は同日、星州郡の住民集会に出席。レーダーによる健康被害などへの不安を訴えて予定地の変更を求めた住民らに対し、「地元が意見を出せば検討する」と答えた。
 韓国内では、予定地の変更で配備の時期が遅れることへの懸念や、THAAD配備に反発する中国を勢いづかせることを憂慮する声も出ている。 ≫(朝日新聞デジタル:ソウル=牧野愛博)

■THAAD
元はTheater High-Altitude Air Defense(戦域高高度防空)システムと呼ばれ、クリントン米政権時代に戦術ミサイル防衛(TMD)システムの1つとして開発に着手された。移動式の陸上配備型で、迎撃ミサイルは長さ6.17m、発射重量900kg、100km以上の高高度で弾道ミサイルかその弾頭を迎撃できる能力から「高高度防空」と呼ばれたが、ブッシュ政権のミサイル防 衛計画によって、目標近くで落下してくるミサイル、またはその弾頭の迎撃を行う「終端段階防衛用」とされた。防衛半径は200kmとされる。2005年か ら実用に向けての発射実験を再開、09年から部隊における運用実験が開始される。米陸軍は8連装の自走発射機を80〜99輌(1個部隊は9輌で編成)、迎撃ミサイル1422発、移動式の地上設置型レーダー(GBR)18基の装備を計画している。THAAD用GBRは9.2平方メートルのレーダー面に2万5344個のレーダー素子を並べたXバンド型レーダーで、1000km先でのミサイルや弾頭の探知ができる。04年から実用段階に達し、06年6月末に青森県の車力航空自衛隊分屯地に配備されて、北朝鮮からのミサイル発射の警戒に当たっている。 ≫(知恵蔵2015:江畑謙介 拓殖大学海外事情研究所客員教授 / 2008年)


≪安倍首相、オバマ氏の「核先制不使用」に懸念 米紙報道
 米ワシントン・ポスト紙は15日、オバマ大統領が検討している核兵器の先制不使用政策について、安倍晋三首相が「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」という趣旨の懸念をハリス米太平洋軍司令官に伝えたと報じた。 安倍首相は7月26日に官邸でハリス司令官と会談している。
 先制不使用政策は米国の核政策を大きく転換させるもので、「核なき世界」を掲げるオバマ氏の象徴的な政策になるとみられている。だがこの政策は、韓国や欧州の同盟国にも反対論があるとされる。また米メディアの一部は、ケリー米国務長官など閣僚の中にも反対の声があり、実現の見通しは不透明だと伝えている。 ≫(朝日新聞デジタル:ワシントン=杉山正)

 ≪ 「核先制不使用に懸念」報道、安倍首相が否定
 安倍晋三首相は20日、オバマ米大統領が検討している核兵器の先制不使用政策への懸念を、自らがハリス米太平洋軍司令官に伝えたとする米紙報道について、「ハリス司令官との間において、アメリカの核の先制不使用についてのやりとりは全くなかった。どうしてこんな報道になるのか分からない」と述べ、否定した。羽田空港で記者団の質問に答えた。
 首相は「オバマ大統領と広島を訪問し、核なき世界に向けて強いメッセージと決意を表明した。着実に前進するように努力を重ねていきたい」と強調。一方で「先制不使用について米側はまだ何の決定も行っていない。今後とも米国政府と緊密に意思疎通を図っていきたい」と語り、先制不使用についての首相自身の見解は明らかにしなかった。
 ワシントン・ポスト紙は15日、複数の米当局者の話として、首相がハリス氏に「北朝鮮に対する抑止力が弱体化する」として、先制不使用政策への懸念を伝えたと報じた。首相はハリス氏と7月26日に首相官邸で面会している。  ≫(朝日新聞デジタル:大久保貴裕)

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗
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