アフガン・イラク・北朝鮮と日本

黙って野垂れ死ぬな やられたらやり返せ 万国のプレカリアート団結せよ!

日本の夜明け~新たな一頁へ

2011年02月04日 22時52分39秒 | その他の国際問題
[Egypt] Revolution Now In Progress

 
 貧富の差に怒る若者の焼身自殺から始まった北アフリカ・チュニジアの革命が、とうとうアラブ諸国全域に及んできた。スーダンでも焼身自殺が起こり、ヨルダンやイエメンでも数十年に渡る独裁政治に抗議するデモが広がっている。
 しかも今回の場合は、かつてのイラン革命のような宗教指導者の主導によるものではなく、草の根の貧しい人々が、インターネットを介して直接立ち上がり、国境の枠を超えて急速に広がってきたものである。そういう意味では正に「市民革命」なのだ。
 その革命の動きが、とうとうアラブの中心国家エジプトにまで及んできた。この国も、サダト前大統領の暗殺を機に戒厳令が施行されて以降、三十年以上もデモやストが禁止され、国民の権利が大幅に制限されてきた。議会や野党はあっても形だけで、ムバラク現大統領の下で、大企業や外国資本のみを優遇する政治が行われてきた。
 その、集会もストもデモも禁止されてきた国で、今や市民が外出禁止令を蹴って抗議行動に立ち上がっている。国内第二の都市アレキサンドリアでは、デモ鎮圧に差し向けられた軍隊も、白旗を掲げて市民のデモに合流した。追い詰められたムバラク政権は、言葉だけの改革措置を打ち出す一方で、街のチンピラを雇って反政府デモを襲撃する所まで追い詰められている。

・・・と幾ら書いても、「所詮は遠い外国の、それも後進国エジプトの話。今の日本の我々には関係ない」なんて思っていません?そういう人には、まず次の文章を読んでもらいたい。

●でも、まぁ起こるべくしておきた革命なんですよね。だいたい三十年も政権を握ってる大統領がいる事自体が不自然なんですから。物心ついた時からずっとムバラクでしたよ。しかも、街の一角に掲げられた大統領の写真はたぶん就任当時の物から変わってないと思う。83歳の割に若く見えるのは何度となく繰り返された整形と、下からのライティングのおかげかとおもう。

●そもそもこの革命、エジプトの民主化運動なんて言葉で軽く繰られても、それでは深いところは読めませんよ。
 エジプトは他のアラブ諸国に比べたらただ一点を除いては不自由なく生活している国ですからね。はっきりいいましょう、ムバラクは確かに長年政権を握ってきたので独裁政権です。しかし、それはアメリカの作った親米政権による独裁であるわけで、国民はその親米による独裁に憤慨しているのです。それはなぜ独裁政権である同じアラブの隣国リビアではこの時期に革命が起きないかとゆう理由が物語っています。要するに民主化を求めているならリビアでも同じように革命が起こっておかしくないですよね?つまりこれは民主化運動とは違うんです。親米政権にウンザリなんです。リビアはちなみに反米政権です。

●エジプトは対外的に良い面をしていますが、本当に外国人ばかりが優遇されていて、国民は虫けらのように扱う国です。極端な話、外国人の方が仕事に就きやすくてエジプト人はあぶれてるなんてこと、ほんとに過言ではないくらい。わたしもいく度となく大使館で不快な思いをしています。大使館に働いている外国人スタッフは高い給料をもらっていながらエジプトのために積極的に働いてもいない、それを嗜めると、エジプト人スタッフが外国人をかばい、同じ国民をバカにする。エジプトの政府の態度がまさにそれ。そんな事があたりまえの国だったんです。だからそれに不満を持ち度々旅行客を狙ったテロも起きたんです。エジプト政府に、海外ではなく、国民に目を向けて欲しい、または今の外国に媚び売る政権にダメージを与えるためにテロが起きていたわけです。

●今回のムバラク政権後、はたして誰がリーダーになるのか、いちばんかたずをのんで見守っているのがアメリカでしょうけど、なんてたって、デモを抑え込んでしまったら各国の民主化を進めよと非難し攻撃をしてきたこれまでの姿勢に矛盾がおきますから、ヒヤヒヤしながらも民衆を支持するなんて心にもない態度しちゃって。その見返りに反米政権が誕生しようもんならどうしましょうと心配で仕方ないでしょうね。

●野党であるムスリム同胞団の事が度々メディアで紹介される際に、この同胞団を過激派とイコールに誤解して解説する人がいますが、ちゃんと勉強した上で話をしていただきたい。それに足元すくわれて知識の無さが誇張されてしまいますよ。日本語でもアラブの政治の本を読めば書いてあるが、ムスリム同胞団は孤児院や病院などを設立し古くから民衆をサポートしてきた団体、組織であって、過激派とは全く異なる。むしろムスリム同胞団をアルカイダなどのように扱って世界にその誤解を広めたのはアメリカ。その方がアメリカに取って都合がよかったから。イスラムはテロだ、アルカイダなどとゆう単純かつ幼稚な思想をメディアを駆使して無知な人間に植え付けたことで、アラブの立場を窮地に追いやり、中東での立ち振る舞いを世界に納得させてきたんだから。 まぁ、でもそんなアメリカのパワーバランスももう崩れてきているわけで、その証拠にいまアラブの火薬庫から次々に噴煙が上がっているにもかかわらずそれを消火できずにいる。わたしはまさに世界地図が描き変えられる瞬間を目にしているようで身震いの連続なわけだが。
 http://ameblo.jp/fifi2121/entry-10788441634.html

 上記●印の一節は、いずれもFIFIさんという在日エジプト人占い師のブログの、「エジプトの夜明け~新たな一頁へ」という記事からの引用です。これは、あくまでも今回のエジプト革命について書かれたものですが、この上から三番目の段落を次のように置き換えると、今の日本にも殆どそのまま当てはまる事ばかりなのでは?

●日本は対外的に良い面をしていますが、本当に大企業ばかりが優遇されていて、労働者は虫けらのように扱う国です。極端な話、世襲のドラ息子の方がよい仕事に就きやすくて汗水たらして働く派遣社員はあぶれてるなんてこと、ほんとに過言ではないくらい。わたしもいく度となく職場で不快な思いをしています。大企業の経営者は高い給料をもらっていながら国民のために積極的に働いてもいない、米軍基地の米兵も思いやり予算で至れり尽くせりでいながら、騒音もジェット機墜落も強姦も垂れ流し放題で。それを嗜めると、政府役人は経営者や米兵ばかりをかばい、同じ国民をバカにする。日本の政府の態度がまさにそれ。そんな事があたりまえの国だったんです。だからそれに不満を持ち度々「勝ち組」を狙ったテロも秋葉原や広島マツダで起きたんです。日本政府に、大企業ではなく、国民に目を向けて欲しい、または今の米国に媚び売る政権にダメージを与えるためにテロが起きていたわけです。(笑)

 また中には、「こんなもの市民革命なんかじゃない、裏で糸を引いているのは米国じゃないか」という人も居られるかも知れません。私もその疑惑は否定しません。世間の人は、とかくインターネットを手放しで評価しがちですが、あれを実際に牛耳っているのは、グーグルやマイクロソフトなどの米系資本です。そういう意味では、既存のマスコミとも本質的な部分では何ら変わらない。
 今回のアラブ諸国の革命に際しても、「今までベンアリやムバラクといった独裁者を使って彼の国の民衆を抑えつけてきたが、このままでは反独裁の矛先が米国にも向かいかねない。もはや役立たずのベンアリやムバラクはお払い箱にして、もっとうまく支配できる人物に首を挿げ替えよう」との思惑も、あったのかも知れません。

 でも、それを言い出したら、一昨年に日本で起こった政権交代も同じではないですか。「今まで自民党を使って日本の民衆を抑えつけてきたが、このままでは反自民の矛先が米国にも向かいかねない。もはや役立たずの自民党はお払い箱にして、本質的には自民党と何ら変わらないが(小沢一郎を筆頭に)、よりマシなイメージの民主党に首を挿げ替えよう」と。
 しかし、それでも、その自民党政治に国民が痛めつけられてきたのは事実でしょう。だから政権交代は起こるべくして起こった。それで終わりではなく、それはあくまでも始まりにしか過ぎないのです。自民党を葬った国民が、民主党や米国の思惑をも乗り越えて、この日本を、本当に自由や民主主義や人権が保障される国にしていけるかどうかは、偏に国民の力にかかっているのです。
 今回のアラブの革命についても、それと全く同じでは。これはあくまで未確認情報ですが、あの情報鎖国で知られる北朝鮮の民衆にも、アラブ諸国の革命のニュースは、携帯電話などを通して密かに伝わりつつあるそうです。もしこれで北朝鮮にも、マルコス独裁政権を打倒したフィリピンのピープルズパワーや、東欧の「ベルリンの壁」崩壊みたいな事が起こったら、日本は北朝鮮にも遅れをとる事になってしまうでしょう。

(参考資料:追記あり)
・速報874号 エジプトの若者からのメッセージ(Translators United for Peace:TUP)
 http://www.tup-bulletin.org/modules/contents/index.php?content_id=906
・腐敗と武力がエジプト国内で作り上げたもの(マスコミに載らない海外記事)
 http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-c1fc.html
・中東の窓>エジプト情勢関連記事
 http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/archives/cat_73682.html
・The Egypt Protests > TotallyCoolPix(注:ツイッターに公開された市民決起の写真)
 http://totallycoolpix.com/2011/01/the-egypt-protests/?sms_ss=twitter&at_xt=4d4315405b5394d2,0
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何度でも立ち上がる (あるみさん)
2011-02-06 17:37:44
TBありがとうございます。「何度でも再生する」立ち上がるというネタでプラナリアとかサナダムシとかが出てくる記事を書き出したのですが、エジプト情勢についてのTBであったため「アルジェの戦い」についても書いてみました。
切られてても切られても「再生」し闘いを続ける中東やアフガンの民衆…おそらく中国や北朝鮮の民衆もそうするでしょう…
それに比べて日本は…という言葉はあまり使いたくあいませんが、私たちも「政権交代」に裏切られても、どんな弾圧や理不尽にあっても、病気や様々な事情を抱えていても、小さなプラナリアに負けないよう、がんばりたいものです。
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ちょっと極論では (三浦小太郎)
2011-02-12 08:57:57
「エジプトは対外的に良い面をしていますが、本当に外国人ばかりが優遇されていて、国民は虫けらのように扱う国です。極端な話、外国人の方が仕事に就きやすくてエジプト人はあぶれてるなんてこと、ほんとに過言ではないくらい。(中略)エジプト人スタッフが外国人をかばい、同じ国民をバカにする。エジプトの政府の態度がまさにそれ。そんな事があたりまえの国だったんです。だからそれに不満を持ち度々旅行客を狙ったテロも起きたんです。」

エジプト人ご自身が語っておられるのですから、私が批判する権利は無いかもしれませんが、果たしてこのとおりなのでしょうか。「外国人をかばい、同じ国民をバカにする」という言葉に、いつもプレカリアートさんが批判するレイシズムのにおいは感じませんか?

いや、私はある意味本音だと思うんですよ。ムバラク政権は観光で儲けて、貧困層の不満をばら撒きで押さえてきたという説を読んだこともあるので、ある面、お金になる外国人企業関係者や観光客誘致組織を優先し、エジプト庶民を無視してきたというのはありそうです。ただ、それをもって、テロまで必然的だったといわんばかりの書き方はちょっと。ルクソール事件のことをさしているとは思いませんけれど(ムバラク政権へのテロなら一理あっても、ルクソール事件に理があるとは思いません)

それと、ムスリム同胞団がテロを組織として否定しているというのはそのとおりです。ただ同時に、彼らの初期のイデオローグの中には、アルカイダに強い影響を与えた思想家もいたこともまた事実。勿論急いで付け加えますが、同胞団はそのようなメンバーを除名し、団の意見を代表するものではないと宣言しました。私が言いたいのは、こういう広い組織の場合、色々な人が参加し、色々な思想的立場がいるはずだから、その時々で穏健派が強くなったり、また、原理主義派に勢力が傾くこともある、今のところは、このdなタイをテロ組織呼ばわりするのは不当、という程度の冷静さがあればいいということです。

私はエジプト民衆決起を勿論支持しています。できることは特にありませんが、エジプトに民主化と平和がもたらされることを祈っています。根本的にこの国の従来の親欧米路線が大きく変わるとは実は思っていません。そして、これが「親米への反抗」であり、リビアは反米だから民衆は政府を支持しているのだという論旨には、私は今のところ本等にそうかなあとしか思えないです。否定する証拠も肯定する証拠も私は無いですから。

北朝鮮民衆が立ち上がって民主化がおきる、それが出来たら本等に素晴らしいですね。でも、今のところ、これは難しいと思うなあ・・・
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修正 (三浦小太郎)
2011-02-12 11:59:03
すみません、誤字修正ね

今のところは、このdなタイをテロ組織呼ばわりするのは不当、という程度の冷静さがあればいいということです。



今のところは、この団体をテロ組織呼ばわりするのは不当、という程度の冷静さがあればいいということです。

それから、私が知る最も解りやすいイスラム原理主義への本は、「イスラム過激原理主義―なぜテロに走るのか (中公新書) 」がおすすめ。ちゃんとムスリム同胞団とルクソールを起こしたグループとは分けてます

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キーワードはやはり民主化なのでは? (プレカリアート)
2011-02-17 20:47:16
 昨日たまたま喫茶店で日経新聞を読んだら、バーレーン・イラン・リビアの反政府デモの事が載っていました。
 バーレーンはアラビア半島東岸にある親米王制の島国で、米国第5艦隊司令部もここにあります。その国で、多数派でありながら、少数派スンニー派王家によって歴史的に抑圧されてきたシーア派の市民数千人が、首都の広場を占拠しているとのニュースが、まず目に飛び込んできました。
 そして、その横には、反米独裁国のイランやリビアでの反政府デモの高まりが報じられていました。

 やはり、アラブ諸国の革命は、「民主化」がキーワードだったのでは? それがチュニジアやエジプト、バーレーンでは親西欧・親米の独裁政権に、イランやリビアでは反米の独裁政権に、それぞれ国民の怒りが向けられているのではないでしょうか?
 だから、エジプトに関しては、このフィフィさんの分析通りなのでしょうが、リビアに関しては、必ずしもそうとは言えないのでは?
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