この間、職場の下らない話題でブログ記事を費やしてしまい申し訳ありませんでした。この話題も私にとっては大事な人権問題には違いないですが、余りにも程度が低すぎます。やる事為す事全て「行き当たりばったり」で「余計な仕事」ばかり増やしながら、やれ「モギリを貼り置きするな」とか「棚に貼り跡を残すな」とか。その余りの程度の低さに、当の私自身も半ば呆れながら書いていました。その為に、下らない職場ネタよりも遥かに重大な、ガザ空爆緊急抗議集会の参加報告が今頃になってしまいました。
その抗議集会「イスラエルのガザ攻撃即時停止を求める7.20緊急行動」は、7月20日(日)に全国主要都市で取り組まれました。大阪でも16時から約1時間、JR大阪駅前のヨドバシカメラの店の前で行われました。行動を呼びかけたのは「ATTAC(アタック)関西」「関西共同行動」「パレスチナの平和を考える会」の三団体。そこに何故、外野の私が参加したのか。今からそれを書きます。
今までも中東では長年に渡り、ユダヤ人主体のイスラエルとアラブ人主体のパレスチナが血みどろの争いを繰り広げてきた事は、皆さんもニュース等でご存知だと思います。「イスラエル」も「パレスチナ」も同じ地域です。ユダヤ人が「イスラエル」と呼んでいる地域を、アラブ人は「パレスチナ」と呼んでいるのです。
元々アラブ人が住んでいた「パレスチナ」に、第一次大戦後から第二次大戦にかけて、ナチスドイツに迫害されたユダヤ人が大量に逃げてきます。しかも、当時そこは英国の植民地でしたが、英国がユダヤ人にもアラブ人にも良い顔をしようと、両方に将来の独立承認を約束してしまったものだから、もう話が完全にこじれてしまいました。その結果、ユダヤ人の「イスラエル」だけが建国を認められ(1948年)、「パレスチナ」側の人間は難民として生きていく他なくなりました。上記の地図からも、パレスチナの領土(緑色)がイスラエル(白色)によって奪われていく様子がよく分かるでしょう。その中から、ファタハやPFLP(パレスチナ解放人民戦線)等のパレスチナ・ゲリラ諸派や、それらを中心としたPLO(パレスチナ解放機構)、イスラム教徒主体のハマス(正式名称は「イスラム抵抗運動」)が生まれ、それぞれがイスラエル打倒の武装闘争を行ってきました。
その後、イスラエルとパレスチナの間で和平協定が結ばれ(1993年のオスロ合意)、パレスチナも「自治権」獲得に至りましたが、「自治政府」とは名ばかりで、イスラエルがその後も好き勝手な振る舞いを同地域で行ってきました。今回の空爆のきっかけとなった衝突もその中で起こりました。まず、イスラエル人3名が拉致され、ヨルダン川西岸で遺体で見つかります。それをハマスの仕業とみたイスラエルの過激派によって、今度は何の関係もない16歳のパレスチナ人青年が東エルサレムで拉致され、生きたままガソリンを飲まされ身体にも浴びせかけられ火をつけられて焼き殺されるという凄惨な事件が起こります(日テレNEWS参照)。それが契機となって今回の衝突が始まり、今や空爆だけでなく地上戦にまで拡大してしまったのです。
その中で、何故、私もその抗議集会に参加しようと思い立ったか。第一の動機は、何の罪もない人間を生きながらにして焼き殺すという、凄惨な事件に対する言い様のない怒り。第二の動機は、その空爆をガザとの境界にある高台からまるで花火見物でもするかのように眺めている鬼畜イスラエル人たちの写真を観て(AFP BBNEWS参照)。第三の動機は、前述でも少し触れた、もはや「報復の連鎖」とも「戦争」とも呼べない、イスラエルによるパレスチナ人への一方的虐殺の歴史を改めて知って。主にこの三つです。
前置きはこの位にして、まずはその抗議集会の写真を観ながら少し説明して行きます。
会場には16時半位に着きました。着いたらあいにく土砂降りの夕立で、当初はヨドバシ前の路上で私も飛び入りでビラ配布に参加するつもりだったのが、急きょ聴衆としてビルの下から参加する事に。それでなくても急な雨で通行人がごった返す中で、ヨドバシカメラのガードマンが露骨にビラ配布の妨害に出てきました。
しかし、主催者側も負けてはいません。緊急という事で行動参加者は20名位も、「表現の自由は憲法でも保障されている」「この間もイスラエルによる大量虐殺が行われているのに、それに抗議するのとヨドバシの金儲けと、一体どちらが大事か!どちらが人間としてあるべき姿か!」と、ますます宣伝に力が入る。在日パレスチナ人の方も何人か参加され、黒・白・緑に赤の「パレスチナの旗」の前で、片言の日本語やアラビア語で連帯の挨拶。
イスラエルの蛮行に抗議する神戸大、奈良女子大学生有志の横断幕・宣伝ビラに「イスラエルによるガザ侵略・人民大虐殺糾弾!」とある様に、これはもはや「報復の連鎖」でも「戦争」でもない。イスラエルは国境を全て封鎖してガザを兵糧攻めにし、人道物資や医薬品の受入れも拒否しながら、住宅密集地に無差別爆撃を加えている。それに対してハマスは、手製のロケットで絶望的な反撃に出ているだけなのだ。イスラエル側の民間人犠牲者は多くても数名。それに対しパレスチナ側の犠牲者は既に数千人を数える。その大半が女性や子どもだ。どちらが本物の「テロリスト」なのか、もはや一目瞭然だ。
「日本はイスラエルに武器を売るな」とある様に、これは日本にとっても他人事ではない。それは、今まで「武器はどんな国にも原則的には売らない」と言っていたのを、今後は「国連決議に違反した国には売らない(その他の国には売る)」と変えてしまったからだ。この新しい原則によっても、今までたびたび国連決議を踏みにじってきたイスラエルには武器は売れない筈だが、安倍政権は早々にイスラエルに武器輸出を約束してしまった。この事からも分かる様に、集団的自衛権とは、単に「日本が外国の戦争に巻き込まれる」だけでなく、侵略国の一員として「他国に戦争を吹っ掛けていく」役割を自ら買って出るという事なのだ。
シュプレヒコール「空爆反対、虐殺反対、封鎖やめろ、アパルトヘイトやめろ、ネタニヤフ恥を知れ、安倍恥を知れ、イスラエルに武器売るな、紛争国に武器売るな、ソーダストリーム売るな、入植地製品売るな、ガザ解放、パレスチナ解放」。「アパルトヘイト」とは南アフリカでかつて行われていた人種差別・人種隔離政策で、黒人から土地を奪い荒れ地やスラムに閉じ込めた事を指す。正に今イスラエルがパレスチナに行っている事と同じだ。「ネタニヤフ」はイスラエルの首相。「ソーダストリーム」とはイスラエルの炭酸飲料メーカーで、パレスチナの入植地(イスラエル占領下でユダヤ人がアラブ人から奪い取った土地)で、無権利状態のパレスチナ人を安くこき使っているブラック企業だ。欧州では不買運動の広がりで商品が売れなくなって、中国・韓国・日本に進出して来たのだ。ヨドバシも、阪神阪急や高島屋、そごう・西武、東急ハンズとともにソーダストリームの商品を扱っている。だから今回の抗議集会もヨドバシの前で行ったのだ。
ここまで書いてもまだピンと来ない人は、パレスチナ人の置かれた境遇を自分のそれと置き換えて考えて見たらよく分かると思う。
イスラエルの面積2.2万平方キロは、近畿地方から兵庫県を差し引いた面積と大体同じだ。
それに対し、隣接するパレスチナ自治区の面積は、ヨルダン川西岸とガザを合わせて約6千平方キロ、ほぼ三重県と同じ広さだ。
その中でガザの面積は約365平方キロ、大阪市と堺市を合わせた位だ。こんな狭い地域の中で、イスラエルが空爆前に避難勧告のビラをまいた所で、一体どこに逃げろと言うのか。
昔は兵庫県を除いた近畿地方全域が自分たちの土地だったのに、国連決議によって一方的に他国人の土地と二分され、何度も戦争に負けた結果、今や三重県と大阪市・堺市を合わせただけの狭い「自治地域」に押し込められてしまった。しかも「自治政府」も名前だけで、他国人は自治地域の中でも好き勝手に入植地を拡大し、本国との間に道路まで作り、分離壁まで作って我々を三重県の山中や大阪湾岸に閉じ込めてしまった。
その中で自治政府の選挙をしても、他国人の気に入らない政権が出来ると「テロリスト」と一方的に言われ、有無を言わさず無差別攻撃されるのだ。たとえオモチャみたいなミサイルでも、撃って反撃したくなる気持ちが分かるだろう。
どうです?よく分かるでしょう。
第一に、何でも上の言いなり奴隷根性のうちの会社も、正に今のパレスチナやその中のブラック企業ソーダストリームと同じだと言う事が。第二に、その中でもパレスチナ人民は解放を目指して闘っているという事が。第三に、それに引き換え我々は、「モギリがどうたらこうたら」とか「ラベルの跡を残すな」とか「上が決めた事だから仕方ない」とか、自ら家畜・奴隷状態に甘んじている事が、世界情勢から見てどれだけ遅れているか、どれだけ全世界人民の足を引っ張っているか、という事が。