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家族旅行よりママ友旅行が増えてきました。

嗚呼、青春の寮生活

2008年11月09日 | ドラマチック寮生活

ロンドンには大学のときに寮でともに生活したルームメイトに会いに行ったのです。

その寮生活について語らせてください。
語りだしたら、止まらないくらい摩訶不思議、空前絶後、とにかく普通の常識が通用しないミラクルワールドだったのです。

「女子大の女子寮」 ときくと、どんなイメージ?

レースのカーテンが揺れる花園

地方出身の楚々とした令嬢が暮らし、挨拶はもちろん「ごきげんよう」

厳しい規則に上下関係、早すぎる門限

そんな感じかしら?

は~い、合ってるのは「地方出身者」が集まるところだけで、あとのパステルピンクなイメージは、すべてゴミ箱に捨てちゃって~

私が暮らしていた寮は、その時点で築30年。 それはそれは古くて汚くて、誰かが 「朽ち果てた倉庫のよう」 という表現がぴったりな悲しい場所でした。

寮といっても、食事は自炊、規則もなく、門限もあるけどなぜか夜11時20分。 門限に間に合わなければ別に帰ってこなくてもいいという、寮というよりは「集団生活所」 みたいな感じかな。

部屋は10畳くらい。基本的には3人部屋で、部屋の両サイドに、小さなクローゼット、2段ベッド、勉強机。 
真ん中の狭い空間は「リビング」として、コタツをおいてくつろぐというかんじ。 一人になれるのはベッドの中のみ。

自炊っていっても、部屋にキッチンがあるはずはなく、大きな台所もあるわけでもなく、調理は汚い廊下。 
廊下に電気コンロ並べて、その辺で適当に煮炊きをする。 使う水はトイレの前の洗面所の水。 そりゃ、どこの水使ったって出てくる水は一緒なんだけど、なんか抵抗ない? 洗面所の水で調理って…

その古い寮に、女子が約150人。 電話は3台。
当時まだ携帯もインターネットも存在すらしていない時代。 外とつながる唯一のツールが電話。
その電話がたったの3台しかないわけだから、そりゃもう、チケットぴあ並みの混雑状況。 いつかけたって話中。

夜には「電話当番」が電話の前にいて、かかってきた電話を受けるでしょ。 
そしたら、マイクで 「208号室のえびふらいさ~ん」 と館内に呼びかけるわけ。 それを聞いたらどうするか?
内線があるわけでもなく、返答するためのマイクがあるわけでもなく。

「えびふらいさ~ん」 と呼ばれたら、大きな声で返事をする!!

4階にいようが、風呂の脱衣所にいようが、どこにいようがとにかく腹の底から大きな声で 「は~~~~い」と返事をする。
そして走る。 1階にある電話まで全力で走る。確か一人に与えられた電話時間は5分だったか10分だったかなので、急がないと話す時間がなくなる。
そして、いなかったり返事が間に合わなかったりすると、「お留守のようです」といって、容赦なく切られ、「電話ノート」に 「8時15分 えびふらいさんへ お母さまより」 とか書かれるわけ。 彼氏がいる人なんかは 「○○さんという男の人より とか書かれるので、寮中の人がみんな彼氏の名前知ってたりしてね。

とにかく、そこは 「不衛生」 「不便」 「プライバシーなし」 

そんなところだから、過酷な環境に耐えられない「普通の人」は、続々と退寮していくわけ。
で、残るのはどんな苦境の中でも生きていける鋼の精神を持った人。 ある意味ヘンな人。もっと言っちゃえば「変態」。
そんな愛すべき変態集団の中で、よく4年間も生活したもんだと思うけど、それがもう、クセになるというか、やみつきになるというか、もっとやって~ってしびれちゃうくらいの楽しさだったんだな。  

… 私も変態の一人…?