わずかな光

焙煎しない一日。
なんだかね、心穏やかな一日だった。
ボーっと焙煎しているつもりだったのだけれど、緊張していたんだろうな。
毎日たくさん焙煎出来るってことは本当にありがたいのだけれど、
心と頭はガチガチになってパンク寸前だったのかもしれない。
私が壊れる前に、アアルト君が代わりに壊れてくれたんだ。
本当に申し訳ない、ありがとう。

今日も、たくさん読んだ。
次に出してもらえる本のためにたくさんの文章を読んでいる。
毎日毎日たくさんの名文を読んでいるといろんなことがわかる。
技術はとても重要だ、とくに職業作家になるには絶対に必要。
だけどね、心を打ちぬく文章ていうのは、きっと職業から外れたところで生まれた言葉。
仕事のためにコーヒー屋になった私には出来ないことだからこそ、憧れ恋うる。
いつか誰かの心を打ちぬきたい。

それが何なのかはわからない。
コーヒーでは出来ないような気がする。
自分が生み出すのか、自分が作ったところからそういうものが出てくるのか、
何にもわからない、わからないからこそ生きていける。
今から生まれる文章を読ませてもらった。
才能がむき出しになって、伸びていくのをずっと見ていられる幸せ。
自分で書かなくてもいいのかもしれない、そう思った午後。

でもね、書くんだ。
稚拙でも、滑稽でも、書くんだ。
笑われるのにもバカにされるのにも慣れた。
そんなことは怖くない。
怖いのは書かないまま終わってしまうことだ。
ちょっと気合いいれないと。
自然に書ける才能がないんだから全力でふり絞り出さないといけない。

わずかな光、見えている、さあ、踏み出そうぜ。