去年の秋から、基本的に週末は横浜の実家で両親の介護をしております。
というのは、私の話ですが。
まあ介護と言っても、うちの母親は今では何とか一人でトイレに行けるようになりましたし、この映画の主人公ほど手がかかるわけじゃありません。
とは言え、骨折で寝込んだせいか記憶力や会話能力が幼児並みに低下してしまい、かなりトンチンカンな人になってきました。
そのトンチンカンでボケた言動はさておき、その他に何が大変かと言うと、母の食べ物に対する我が儘…というか、こだわりに付き合うのが、まぁ~大変
買って来て欲しいという食品や品物にはいちいちメーカーが指定されるので、母の希望を満たすために、週末は東京の自宅から横浜まで片道2時間半にプラスして、スーパーを二軒、三軒とハシゴする事も度々です。
それでも母のお気に入りの品物が必ず手に入るわけではないので別の物を買って行くこともありますが、すると母はこっちの苦労も知らず、私や姉に文句を言いたい放題です!
「楽しみは食べることくらいだから多少の我が儘は大目に見てあげたい」と思いつつも、とうとう母に説教してしまった私。あ~あ
もしかして、ちょっとばかりストレスたまっているのかも?
ということで、今年初めて観に行った映画がこれ、「こんな夜更けにバナナかよ」です。
いや~、相変わらず、前置きが長い(笑)
『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』2019.1.16
監督:前田哲
原作:渡辺一史
出演:大泉洋 高畑充希 三浦春馬 萩原聖人 渡辺真起子 宇野祥平 韓英恵 竜雷太 綾戸智恵 佐藤浩市 原田美枝子
映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』予告
我が儘も、生きていればこそ。
筋ジストロフィーの鹿野靖明(大泉洋さん)の我が儘を小憎らしく思いつつも、そのうちだんだんと「愛すべき人」に見えて、、こない!、、ん?、、こともない(笑)
我を通してでも自分の思い通りに生きたいと思ったり、何かに強いこだわりを持って押し通そうとする人って、障害の有る無し関係なく、その人の本来の気性なんだろうと思います。
筋ジス・鹿野の、ボランティアへの我が儘な言動は、あまりに傍若無人で自己チューで、新人ボランティアの美咲ちゃん(高畑充希さん)ならずとも、「あんたは何様?!」と言いたくなります。
元々、この人の本来の性格が我が儘で悪すぎるんじゃないの?ボランティアに感謝のかけらもないのか!!とか。
私だって、ムリムリ、こんな人!
ボランティアの人達は、何でこんな我が儘大魔神に尽くしていられるのか、正直言って、最初は不思議でしょうがなかったです。
鹿野は何よりも、自宅で生活する事にこだわっていました。
けれども重度の障害者が「自宅で生活する」のはどれほど大変なことか。それを一番よく理解しているのは当人に違いありません。
この人は、一人ではほとんど何もできす、だだ生きるだけでも大変な人です。
だからと言って、というか、「自宅だからこそ」と、無遠慮に我が儘をつらぬく鹿野には、物語が進むにつれて次第に心を動かされていきます。
夢を持って前向きに理想の人生を歩みたいというその願い、ただ生きるのではなく、より良く、思い通りに生きようとすると、鹿野の場合はああいう風にならざるを得ないのかもしれません。
では、自分はどうなんだろう?
やって出来ることはいっぱいあったはずだけど、今まで、思い通りに、前向きに生きようとしてきたのだろうか?
そうして、ボランティアに参加する若者達も、鹿野と接するうちに、やがて自分の本当の夢や生き方を見つけていきます。
鹿野の図々しさ、けれども何とも言えない可笑しさや憎めなさは、大泉洋さんならではという感じでした。
大泉さんは、この役作りのために10キロも痩せたそうですが、外見以上にこの役にハマっていたと思います。
そして、高畑充希ちゃんは可愛いかった
最初は嫌がっていたのに、だんだんと積極的にボランティアに参加し、変化していく彼女の存在で、鹿野の人生もだけど、この映画そのものが明るくキラキラしたように見えました。
ボランティアとか介護とかは、感謝されたくてやるものじゃないですよね!
この物語は実話だそうで、病気が治るような奇跡の話ではないですが、ラストには清々しささえ感じられました。
・・・と、この展開は期待していた通りっちゃ、そうなんだけど(笑)
期待通りに笑えて元気がもらえて良かったです。
ちょっとはストレス解消できたかも。
私の両親がこの先どれくらい自宅で生活できるのか分かりませんが、そのうち、もしも母が食べ物に全く注文をつけなくなってしまえば、たぶん寂しくなるかもしれません。
ましてや「もう何も食べたくない」と言われたら、さぞかし悲しいでしょうね。
我が儘も、生きていればこそ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます