映画「アニー」
【監督】ウィル・グラック
【出演】クワベンジャネ・ウォレス/ジェイミー・フォックス/ローズ・バーン/キャメロン・ディアス
大ヒットしたミュージカルを映画で観た時、たいがい私はもの足りないと思う。
映画の中の歌や演技がどれほど素晴らしくても、同じ作品であればやはり生の舞台には敵わない。
「レ・ミゼラブル」しかり、「RENT」しかり、「ヘアスプレー」も、あの名作「ウエストサイド物語」でさえもそう思った。
生の舞台には、そこに生きる俳優達が発する生々しい感情や、その場限りならではの真剣さ、空気を伝い体中に響く本物の歌や楽器の音など、それらの全てを劇場全体で刹那に共有する醍醐味があるからだ。
けれども、だからと言ってミュージカル映画を見る価値がないとは全く思わない。
生の舞台がより感動するのは当たり前だ。むしろ、そうでない舞台はエンターテイメントとして駄目だと思う。
ことミュージカル作品において、映画よりも感動できない舞台を作るくらいなら止めて欲しい。
何故ならば、チケット代が違う。
問題はそこなのか?と言われそうだが、それは大きな問題だ。
今どきの映画館では平日ならば会員一律に1,000円とか、ポイントを貯めたりとか、映画の日やレディースデイなど、賢く利用すればお得に観られる。
実際に私などは 平均して1,000円未満で観ている。
そのチケットは何時でも気軽に購入でき、座席すらも簡単に自分で選べるのだから、映画は間口が広くて庶民にやさしい。
などというのは、言わずもがなのお話。
この映画「アニー」はブロードウェイで大ヒットしたミュージカルで、日本でも度々上演され、映画化も今回が初めてではないそうだが、幸か不幸か私はそのどれも観たことが無い。
全く白紙の状態で観た映画「アニー」は期待通りに面白かったし、素直に感動した。
物語は少女時代に読んだ「小公女」を思い出すような、結末がたやすく想像できるものだが、それで良いのだと思う。老若男女が安心して楽しく見られる、こういうハッピーエンドの話は嫌いじゃない。観て良かった。
アニー役のクワベンジャネ・ウォレスちゃんはキュートな小生意気さが可愛かったし、この子を囲む大人達もベテラン揃いで良い味が出ている。
キャメロン・ディアスは ミュージカル映画の初挑戦と聞いたが、彼女も参加する歌「Who Am I?」の場面では涙がこぼれた。
これがもし舞台ならば、ディアスの歌などは他のミュージカル俳優に聞き劣りもするだろうが、さすが、スクリーンの大女優の演技力はあなどれない。役の延長として聴けたと思うのは、やはり映画ならではだろう。 それも含めて、 私は字幕版で観て満足した。
映画「アニー」は、昨年「アナと雪の女王」で大興奮した子ども達を連れて、ぜひ家族で楽しんで欲しいと思う。
それにしても、楽しい映画を観てきたというのに、今日の私の文章は何故にこんなに硬いのか?
それもこんな時間に・・・
Who Am I?
もうじき夜が明ける。
明日が来る。