渋谷のシアターコクーンで「ドラクル」を観てきました。
作・演出 長塚圭史、出演 市川海老蔵 宮沢りえ 永作博美 勝村政信 他
吸血鬼ネタは好きなのよ。あちこちにツボがあるし。
舞台のヴァンパイアものは「…シャッフル」と「なんとかショー」と「ダンスなんとか…」と、これで四作を観たことになるかな。
人間の生き血を吸い永遠の時を過ごすことを吸血鬼自身がどう感じているのかとか、その愛はどのようなものであるかとか、ラストはどうなるとか……それぞれの作品で捉え方も落としどころも全然違うんだけど……ふ~ん、長塚さんはこうなんだ~……。
物語の始まりでは、吸血鬼レイ(海老蔵)が、過去の行いに対して神に許しを請い、救いを求めながら病身の妻リリス(宮沢りえ)と二人でひっそりと信心深く暮らしているわけよ。
それって、ちょっと面白いでしょ? 悪魔が神に祈る姿。
人外のものに人の世の善悪とか、信仰とか、そういうものが持てるのか?という疑問はあるけど、レイがリリスと共に暮らすためにはそこまで自己改革が必要だったのでしょうね。
というか、リリスと出会って彼の求めるものが変わってしまったのかな。
その生活はかな~りストイック……と言えば聞こえは良いけど、人の血が吸えずにお腹空いてフラフラで青白い顔した海老蔵さんは、テレビで見る豪快で奔放なイメージと違ってなかなかに美しかったです
リリスのりえさんと並ぶととても綺麗な二人だったわ
「私の血を吸って」と差し出すりえさんの腕はあまりに細すぎて、これじゃレイじゃなくても遠慮しそう
それで、話が進んでいくうちに、リリスが誘拐されてレイは愛しい人を取り戻すために暗黒の力を解放するわけですが……このあたり、「ヴァンパイアはこうこなくっちゃ!もっとやれ~!」と思って観てましたけどね、吸血鬼本来の姿に戻った海老蔵さんも、謎が解き明かされるリリスのりえさんも、悪女が似合う永作さんも、徐々にテンションが上がって二幕は意外な展開になるわけです。
終盤へ向かうにつれ、ゴシックホラーを含みつつ、でもリリスの過去がわりと衝撃的で、彼女が何故レイに出会い、手を差し伸べたのかという話に移ります。
このあたりのりえちゃんは良かったです。彼女の透明な美しさとその陰にもつ闇とが、罪を背負い苦しむ聖女によく似合ってましたね。
そしてラストですが。
その数十秒前に「あ、これはこのまま終わってしまう?……いや、そうじゃなきゃおかしいんだけど……でも……」なんて想ううちに、やっぱりそこで終わったか、という感じね。
なんかあのラストだけを観たら、美しいラストではあるけど、せっかくの「永遠の命」という美味しいネタを放り出しているようで、もったいないような気もしたわ。ある意味ハッピー・エンドなのよね。
吸血鬼よりは人間を描きたかったのかも。
「それでもなお、哀しさと空しさを抱えてヴァンパイアは永遠を彷徨う」というような、私好みの乙女チックな感傷的路線はここでも捨てられたわけか まあ、いいですけど。
「これでいいのか!!」と仰け反った某作品のラストよりは、このラストを取りますよ、私は。
あと、難を言えば、生首の出来が悪かったな~。相変わらずくだらんことにこだわりますが、あればどう見ても人形の首よ
作・演出 長塚圭史、出演 市川海老蔵 宮沢りえ 永作博美 勝村政信 他
吸血鬼ネタは好きなのよ。あちこちにツボがあるし。
舞台のヴァンパイアものは「…シャッフル」と「なんとかショー」と「ダンスなんとか…」と、これで四作を観たことになるかな。
人間の生き血を吸い永遠の時を過ごすことを吸血鬼自身がどう感じているのかとか、その愛はどのようなものであるかとか、ラストはどうなるとか……それぞれの作品で捉え方も落としどころも全然違うんだけど……ふ~ん、長塚さんはこうなんだ~……。
物語の始まりでは、吸血鬼レイ(海老蔵)が、過去の行いに対して神に許しを請い、救いを求めながら病身の妻リリス(宮沢りえ)と二人でひっそりと信心深く暮らしているわけよ。
それって、ちょっと面白いでしょ? 悪魔が神に祈る姿。
人外のものに人の世の善悪とか、信仰とか、そういうものが持てるのか?という疑問はあるけど、レイがリリスと共に暮らすためにはそこまで自己改革が必要だったのでしょうね。
というか、リリスと出会って彼の求めるものが変わってしまったのかな。
その生活はかな~りストイック……と言えば聞こえは良いけど、人の血が吸えずにお腹空いてフラフラで青白い顔した海老蔵さんは、テレビで見る豪快で奔放なイメージと違ってなかなかに美しかったです
リリスのりえさんと並ぶととても綺麗な二人だったわ
「私の血を吸って」と差し出すりえさんの腕はあまりに細すぎて、これじゃレイじゃなくても遠慮しそう
それで、話が進んでいくうちに、リリスが誘拐されてレイは愛しい人を取り戻すために暗黒の力を解放するわけですが……このあたり、「ヴァンパイアはこうこなくっちゃ!もっとやれ~!」と思って観てましたけどね、吸血鬼本来の姿に戻った海老蔵さんも、謎が解き明かされるリリスのりえさんも、悪女が似合う永作さんも、徐々にテンションが上がって二幕は意外な展開になるわけです。
終盤へ向かうにつれ、ゴシックホラーを含みつつ、でもリリスの過去がわりと衝撃的で、彼女が何故レイに出会い、手を差し伸べたのかという話に移ります。
このあたりのりえちゃんは良かったです。彼女の透明な美しさとその陰にもつ闇とが、罪を背負い苦しむ聖女によく似合ってましたね。
そしてラストですが。
その数十秒前に「あ、これはこのまま終わってしまう?……いや、そうじゃなきゃおかしいんだけど……でも……」なんて想ううちに、やっぱりそこで終わったか、という感じね。
なんかあのラストだけを観たら、美しいラストではあるけど、せっかくの「永遠の命」という美味しいネタを放り出しているようで、もったいないような気もしたわ。ある意味ハッピー・エンドなのよね。
吸血鬼よりは人間を描きたかったのかも。
「それでもなお、哀しさと空しさを抱えてヴァンパイアは永遠を彷徨う」というような、私好みの乙女チックな感傷的路線はここでも捨てられたわけか まあ、いいですけど。
「これでいいのか!!」と仰け反った某作品のラストよりは、このラストを取りますよ、私は。
あと、難を言えば、生首の出来が悪かったな~。相変わらずくだらんことにこだわりますが、あればどう見ても人形の首よ