今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

中川晃教コットンクラブ その2

2011年02月26日 16時56分00秒 | ライブ/コンサート

そんなわけで、真夜中に白ワインをグラス二杯半ほど飲んだら、もう、かなり酔って寝てしまいました(笑)
だから一夜明けて今はもちろんシラフです。

それにしても、お酒を飲みながら音楽を聴くお洒落なお店といえば都内にはたくさんありますけど、私のお初は銀座の「スウィング」だったっけかな? 
「スウィング」はジャズを聞かせてくれる老舗で、二十代の頃に、たしか、仕事帰りかなんかにお坊ちゃんな先輩が連れて行ってくれたのでした。
さっき検索してみたら、ベテラン勢の中にも若手では天才ジャズ・ボーカリストと言われている小林桂さんとかも出演しているようです。
だけど、コットンクラブもそうですが、このあたりは一見さんとしてはやっぱり敷居が高いですよね~。
もっと気楽なところでは、昔は青山の曼荼羅とか行きましたけど…懐かしいかも。
…ああ、六本木のSТBも敷居は高くないし、雰囲気のいいお店でしたっけ。

いずれにしろ、どこへ行っても緊張感のない私ですけど(笑)
コットンクラブは確かに格式のある老舗かもしれませんが、先日の私のようにあまり酔っ払いすぎてはなんですが、そんなに身構えなくてもいいんじゃないかと思うんですよね。
お酒を飲みながらリラックスして音楽を楽しむ場所なんですから。

ところで歌の感想なんですけど…それが実はあんまりないんですよね~(笑)
お酒に酔うというのは、つまりアルコールで脳細胞が麻痺されている状態ですから、理性や想像力が鈍くなって、逆に本能や感情のほうが活性化されてしまうんですよね。
ですから、酔っ払いすぎてしまった時に感じたことなんて、言語で説明しようとすると支離滅裂になってしまいます。

なので、1stでは酔いが回るに高じて、ひたすらに「あっきーが近くて嬉しい!楽しい!」で終始し(笑)、2ndにはその酔いが次第にさめていく過程のなかで妙に感覚だけが敏感になっていく。
だから、これは私だけが感じたことだと思って、適当に聞き流して欲しいのですが…

2ndt目に歌った「Miracle of Love」の後に、あっきーがこう言ったんです。
「今までほんとうにありがとうございました」って。
だから私、「ああ、そうか。そういうことか…」って……

こういう言葉って、卒業とか、別れや、旅立ちによく聞く言葉だと思う。
嫁ぐ日の前の挨拶とか…。そういった区切りの時にふさわしい言い方ではなかったか…?
だから私は突然、酔いからさめて勝手に寂しさを感じてしまったのですが…。
まあ、あっきーの場合には、いちいち言葉尻を捉えて反応するのもいかがなものかとは思いますけど(笑)だから相当酔っ払っていましたね、やっぱり。

ところで、「I have nothing 」は、あっきーの曲の中では最近一番好きだと思うので、コットンクラブで聞けてほんとうに良かったと思います。
この曲は友人たちが口々に「セクシー」だって言うんですけどね、私にはセクシーかどうかはわからないけど、ひと言でいうとエロいです(笑)

けれども、この「I have nothing 」の世界にあるエロティシズムには、享楽的なものがないので、リアリティーから離れ、エロティックではあっても、私にはあまりセクシーという感じがしません。
むしろ、そこには肉体的ではなく観念的な美が昇華されている。
エロティックでありながら同時にプラトニックな側面があるように思います。
その快楽への欲望は、抑制して押し込められた心の奥底から抑えきれずにトロリと零れてはみ出されたものであり、だからどこかしらタブーの香りが潜んでいる。
閉じ込められた意識や自我が月灯りに照らされて、肉体から溢れ出した魂は誘惑を求めている。
それは幻想の愛と欲望。
その世界には特定された愛の対象…具体的な相手の姿が全く見えないので、まるで「誰でもいいから今すぐに私の傍に来て抱きしめて欲しい」とでもいうかのような、孤独な飢えが感じられます。
脱肉体的に飛び出た魂が、回りまわって肉体の刺激である快楽を求めているような…そういうエロさを私は感じるので、それだけにとても中性的でもあると思うんですよね。
だから、あっきーがこの曲を女性の気持ちで書いてみたと他人事のようにいうのには、実は私は違和感を感じてしまって、むしろ高校生の時のあっきーが自分のことを書いたと言ってくれたほうがより納得ができます。
というか、創った時と歌う時のタイムラグを埋める話をいちど聞いてみたいです。
言わないと思うけど(笑)

…とまあ、こういった面倒くさい文になる感想は、シラフの今だから書けるもので、私の場合、音楽というのは、もしかしたらシラフで聞くよりも、案外とほろ酔いのあたりで気持ちよく聴くのが丁度良いのかもしれません。
今度からコンサートの前はグラス一杯までにしておきます。

以上、反省記でした(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中川晃教LIVE 2011 in TOKYO

2011年02月26日 01時38分34秒 | ライブ/コンサート

【日時】2011年2月23日(水)【会場】COTTON CLUB (東京)
【出演】中川晃教(vo,pf) 鮫島巧(g) 原たけし(b)アーミン・T・リンツビヒラ(ds)

これは感想になってません!
どっちかってゆーと、日記、というよりは、
ごめんなさい、ごめんなさい!もう二度としません、許してお願い!コットンクラブさま、お姉さま、いやさ、あっきーさまぁ~!…という、ただの酔っ払い反省記。

だってぇ~っ! 
私は顔に出ないからわかりにくいけど、実はお酒はあまり量を飲まない人で、普段はワインだったらグラスに一杯が適量、二杯で足元がフラフラ、三杯も飲んだら「なにこれ?もうどうしましょう!」ってなくらいにベロベロなっちゃう人だったのよ。
だったんだ、そうだった、忘れてた!
だけどこの日の相棒がお酒に強い人だったし、だったら一本のほうがお得よね?
ってなことで、フルボトルを頼んだところ……飲んじゃった。
二人で一時間で一本。しかも、相棒と同じペースで………
ちゅどぉーーん! 撃沈! ってか、やたらハイテンション!

それでね、お食事中とステージ中はちゃんと大人しくしていたつもりだけど、実は頭の中がすっかりハイホー♪になっちゃって(笑)、こんなライブであっきーに近い席だったのも珍しくて嬉しすぎたし、隣の相棒は感極まって泣いてるしで、なんか頭がぐるぐると「混ぜるな、キケン!」状態で、ゲラゲラと笑って吹き出してしまわないように逆にあっきーを睨みつけちゃって、かなりおっかない顔になってたかも? だし、もうかなり危ない人でした!

1stと2ndの間の待ちのロビーではやたら陽気すぎて、なんかヤバい発言をバンバンしていたような気がするし…って、そのあたりは都合よく忘れちゃったけど(覚えている人は、どうか忘れて!!)、とうとうファン友達の風紀委員殿からは、「このような格式のあるオシャレで大人の店でそんなに酔っ払ってしまうとは何たる醜態! 店は客を見ている。イエローカードを出したい!」と言われ、あああっ! そうだよ、ここはなんと!コットンクラブ。
え~、そんなぁ~、もしもお店から顰蹙を買っていたらどうしよう~…と、とたんに青くなってシュンとなる始末。
あああっ! 穴があったら入りたい、そして誰かその穴にセメントを流し込んでほしい!!

以上、状況説明終わり。

そんなわけで、これはマトモな感想じゃないんですけどね。
いや、いつもそれはそうですが(笑)

1stのあっきーの衣装は、いかにも酔っ払い風に言えば、
「僕大人ですから、けっこう色っぽいんです!蜘蛛の糸張った編みこみの黒いタンクトップでドキューン!です」って感じ(笑)
始まって二曲くらいの間は上着を着ていたけど、そのデザインの記憶はすっかり欠落。
で、汗だくになりながらその上着を脱ごうしてなかなか脱げず、会場内のほぼ99.9パーセントの女性は…って、千人もいないか(笑)、だから、ほぼ全員はたぶん「ああ、見ていてもどかしい!私が手伝って脱がしてあげたい~!」とか思ったはず。
え? 思わなかった? 思ったよね、きっと。

脱いだら脱いだで、肩から腕のラインがキレイでスベスベで…その肩にかかる髪は結ばずにそのままフワフワです。
ピアノの後ろから見ていた私は…だから、そのぉ~ただの酔っ払いだったので…、思わず「ひし~っ!」としたくなったのならまだしもよ(笑) な~んか、ライオンを見たムツゴロウ先生みたいな気分になっちゃって~(笑) その金髪の髪をクシャクシャに掻き混ぜて「そーか、そーか、よ~し、よしよし!」なんてしてみたら楽しいだろーな~っ!! な~んて(笑)
もう駄目! この女、やっぱイエローカードどころじゃなかったわ、退場よ、退場!!

2ndの衣装は、お着替えしてきて、これも酔っ払いの観点で言うならば…
「スタイリッシュに決めて来ました、スーパーサイア人風」

だって~! 柔らかそうでゆとりある赤いパンツにブーツ、上はやっぱり赤い柄物のスカーフ?を斜め掛けにオシャレに結んでそのあたりは何となくおフランスな感じ。
も、もしかして、これはかのジャンポールゴルチェ?? いやいや、それともジャスパーさんとか?…なんて、知らない、知らないわよ!ちょっと言ってみただけ。だからガセですから!!なんだけど、なかなかその上下のボリューム感とコントラストがお洒落なスーパーサイア人みたい。
けれども髪は爆発してなくて、きちっとまとめて結わいていました。

…って、あれ?私としては、珍しく衣装レポ。
だって、曲の感想が書けないんだもの。なにせ頭がすっかりハイホー♪ だったから。

あ、そうか!
酔っ払った時の感想だから、酔っ払って書けば良いいのか!
ん? なんか違う?

ん~、でも、明日は休日だし、今後のためにワインを練習しようっと!
なので、この続きは一杯やってから…書くか、もしくは諦めて寝るか、のどっちかにします。  

【セットリスト】
*1stステージ
音楽が消えることのないDANCE FLOOR (COTTONCLUBショートバージョン)
COUNT UP MY LOVE
BRAND
Stereo Voice
Without you girl
愛には愛が必要
I have nothing
マタドール (COTTONCLUBバージョン)
SADNESS
Just Call My Name
CHINA GIRL2011
音楽が消えるこのないDANCE FLOOR
(encore)
I WILL GET YOUR KISS

*2ndステージ
COUNT UP MY LOVE
BRAND
Stereo Voice
Miracle of Love 
愛には愛が必要 
I Have Nothing 
情熱の花 (COTTONCLUBバージョン)
Just Call My Name
CHINA GIRL2011
音楽が消えることのないDANCE FLOOR
(encore)
I WILL GET YOUR KISS

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポピュラーウィーク2011原田真二

2011年02月23日 01時24分52秒 | ライブ/コンサート

「ポピュラーウィーク」2/18
出演:原田真二 

これは普通の感想です(笑)
前述のような感想を連日書いたら、マジで頭のオカシイ人になっちゃいますからね~!(笑)

原田真二さんといえば、私はもともと好きですけど、コンサートに行き始めたのは三年前のマンハッタン・ライブからです。
それから数えたら…5回目くらいになるかしら?
この方のステージはガンガンのロックテイストの時であれ、今回のようなストリングスの伴奏の時であれ、いつも一貫して世界の愛と平和を願うメッセージがたくさん込められています。

実は私は世界平和って普段はほとんど意識していない人で、ごく身近な人達が幸せであればそれで良いと思っているようなところが多々あるんですよね。
けれども、その狭くて小さな願いですらもままならず、自分ひとりだけのことなら案外とどうにでもできると思うのに、他人に対してできることは本当にいつもごく僅かでしかありません。
自分はなんて無力なのだろうと、思わず投げ出したくなるときもあります。
というか、最近そんなことが多くて、ついつい心に角がたっていることも…。

…なんて、のっけから脱線しているようですが(笑)、原田さんのメッセージとは、一人一人がごく小さなことでも良いから愛を持って行動する…それがやがてさざ波となって大きな波紋となり、世界に広がっていくだろう…ということで、世界平和といっても決して大げさに身構えなくても良いのだと改めて思わされます。
繰り返し、繰り返し、そのメッセージを毎回根気よく、そして暖かく伝えて歌ってくれる原田さん。
小さなことから…小さなことだから…小さなことならば、私にもできる。
それでいいんだ、たぶん…きっと。
懐深く、楽しい原田真二さんのステージの帰りにはいつも、少しだけ心の角が取れて丸くなったような気がします。

でね~! 私は原田さんの眼鏡のお顔って好きぃ~!
いろいろと思い出しちゃう。
けれどもコンサートでは基本的にオペラグラスを持たないので、あんまりよく見えなくて残念だったわ! 貴重だったのにね!

そんな原田さんは、私は「原田さん」とお呼びするけれど、ずっと昔から応援し続けていたファンの方々は「真二」と、とても自然に呼ばれます。
この日も「キャンディ」では、前のほうの席からいつもの「真二コール」が飛びました。
ああ、けれども、このホールではどうなんだろう? しかも、弦楽四重奏よ?
…とか思ったら、当の原田さんは「もっと真二を!」って(笑)
さすがだ! なんて懐の深い大きな人なんだ! 
そうよね、あの「真二コール」が原田さんをずっと支えてきたのだものね。
なので、私も、曲が終ってからだけど、原田さんが再度歌った「きゃんでぃ~あいら~びゅ~」では、「シンジぃ~っ!」とやりました(笑)

この日はポピュラーウィークの特別ってことで、ポール・マッカートニーの「MY LOVE」を歌ってくださって、それがとっても良かったです!
ジョン・レノンの「Imagine 」も!!
ああ、お兄さまぁ~! とか言いたくなっちゃう。
って、どーいう意味なんだか、自分でもわけわからないけど(笑)

ほんとうに、「大和」で紅白出場できたらいいですね~! 
ってか、してくださいね!
その時はぜひとも黒ふちの眼鏡で!…って、それはしないか(笑)

大和 (P)
キャンディ(P)
てぃ~んずぶる~す(P)
MY LOVE
グッパイティアーズ(P)
Island of Peace 因 島Island of Peace 因 島(P)
下柚木の丘はいつだって(P)
緑が丘 ~夢と希望の仲間たち~(P)
The Lights(英語) (P)
広島の夢(AG)
In A Strong Wind Ahead (AG)
君にもっと近づきたくて(AG)
seet heart(AG)
Make it a Paradise(AG)
エブリナイト(p)
BREATHE
OUR SONG(p)
僕らのハーモニー(AG)
見つめてCARRY ON
イマジン
広島からはじめよう
Amazing Grace (P)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ポピュラーウィーク2011中川晃教

2011年02月22日 19時44分48秒 | ライブ/コンサート

「ポピュラーウィーク」2/17
出演:中川晃教 
ビアノ:旭純

この人の歌は、聴く者すべてに送るメッセージの中に「情念」が練り込まれている。
「煉り込まれている」と書き直したほうが良いのかもしれない。

あっきーは時折、全身充血している人みたいだ。 
充血して駆け巡ったその全身の血潮が熱くて沸騰しそうだ。手が震えている。
会場内の空気は濃密だった。
深く熱い「想い」を圧倒的な歌唱力に乗せ、その強烈かつ膨大なエネルギーを会場内の隅々、客席の一人一人に届けようとしていたようにもみえた。

そういえば、去年もこのコンサートで歌った「Stereo Voice 」は、去年は「歌っているうちについ発狂寸前になりました」という感じがしたが、私はあの時にこう思った。
「そこまでやるか、中川晃教! 私のほうこそ発狂しそうだ!」と。

しかし、果たして今年のこの曲では最初から意図的に、「さらに激しく発狂したがっている人」のように感じた。
「そこまでしたいか、中川晃教!」

常に「さらに、さらに」と、留まることを善しとできぬほどに強烈でしかも深い「想い」。
これほどの想いとは、その強さと激しさ、深さゆえに、愛と呼ぶよりはほとんど「情念」と呼ぶに相応しいだろう。

「いかないで、そばにいて」「貴方を決して離しはしない」「心はいつも傍にいる」と
その愛と恋情の「僕と貴方の世界」は、「貴方達」ではなくてあくまでも「貴方だけ」との二人だけの世界でなければ濃密すぎて凡人の私には納得ができない。
その「二人きりの世界」の「貴方」とは、私たちの知らぬどこかにいるはずの「貴方」であり、けれども、あっきーは客席600人の一人一人と個々にその世界を構築して繋がろうしているのではないか?

600人分の「僕と貴方」の「二人だけの世界」。
そんなことがあっていいのだろうか。 
この人はきっと、600人が6千人でも…六万人でも、そうする気があるのかもしれない。
「深すぎる感情というのは、ある意味狂気の領域にあるのだろう」と私は前にどこかで書いた。
深すぎる愛も、深すぎる憎しみも、悲しみも、孤独も…そして、恋もまた。
あっきーは私からすればその狂気とも思えるほどの深い想いを、圧倒的な歌唱力でこちらへぶつけようとしている。
そのエネルギーこそは凄まじく、正気の沙汰ではないと私は思う。

たぶん、このコンサートを一番幸せに聴こうとするならば、あっきーが歌う「貴方とは私のことを言っているのだ」と思い込むのが正解なのだろう。
みんな、それぞれにそう思って繋がりながら、幸せに聞けば良いのだ。
客席も、あっきーも、それこそがきっと幸せだ。
実際、これ程の歌が歌えるとは、なんて幸せなことだろう。
このところの彼は見るごとにその力を増し、聴衆と心を交し合うその姿はとても幸せそうに見える。

けれども私はあっきーから「あなた」と呼ばれながら、でもその実は「あなたたち」の中のいつでも入れ替えのきく一人にしか過ぎない。
現実と歌の世界、理性と感性が真逆を示して思わず心が爆走したくなった。

私はあっきーの「貴方」に自己投影するのを放棄して、思わずふと壁を見てみると、上手と下手の両側に、あっきーの影が大きく映っているのが見えた。
実は去年もそうだったが、私は下手の影がとても気になる。
上手はただの影にしか見えないが、下手の影を何故か慕わしく思う。
舞台のうえの現実のあっきーよりも、影である「幻のあっきー」が気になってしかたない。
客席のすべてが前に注目している中、ひとりで斜めを向いて影だけ見つめていたら、影は私に気付いてしだいにやさしかった。
どうしてだかわからないが、この影は私を慰めてくれる。
影は幻のあっきーとなり、舞台上のあっきーの歌をBGМにして、私に言葉にならぬ声を聞かせてくれた。

私はこの時、他の誰でもない、私だけの「幻のあっきーと私の二人の世界」を感じて、「ああ、これでよいのだ」と思い、安堵する。
なぜなら、あっきーの歌はやはりそういう歌なのだから。
あっきーの「二人だけの世界」を、客席数の分だけ感じてしまうと、私は私だけを持て余してしまう。

ああ、そうか。
逆転だ。
私は歌の中の「貴方」に自分をうつして愛されるのではなくて、「私」として重なって「貴方」を愛したいのかもしれない。
受け取るだけでは、自分自身の感情のエネルギーを持て余してしまう。

この手を離さないと思っているのは、あなたではなく私のほうだ。
あなたは私を愛しているのではなく、私があなたを愛しているのだ。唯一の者として。
つまり中川晃教の世界とはそういうものだ。
私はそう思う。

だから、私は現実のあっきーに目を凝らす必要はなく、それは他の人たちがよろしくやっていればいい。
私は壁に映った影を独り占めしているのだから、それでいい。

いつしか、私は影と見つめ合いながら、説明のつかない涙を流していた。

これこそが狂気の世界だ。
私の狂気は正気の中でこそ開く。

中川晃教にはわかるまい。 そして誰にも…永遠に。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『眠狂四郎無頼控』

2011年02月20日 01時23分19秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)

Gacktといえば!!

ずっと前にテレビの某音楽番組で、「好みのタイプは?」と聞かれて「床上手」と言ったのが、私は超ウケてしまったのよね~(笑)
普通、言えないでしょ、そんなこと!
それで、あなたはどんだけなんだ? なんて、つい思わされちゃうところがこの方のスゴイところでして。
まあ、そんなハナシはどうだって良いんですけど(笑)

突然観られることになったこの舞台は、どのシーンも、どこからどの角度で見てもGacktを美しく見せることに徹しています。
これを観る前にね、大昔にテレビドラマで、どなたかの「眠狂四郎」を見たという方に聞いたのだけど、「エロいシーンが子供心にドキドキした」とか言ってたので、「床上手」の女性がお好みなGackt狂四郎のセクシー・シーンはいかほどなのかと期待していたら(って、こら!) 案外となかったですね~、露骨には。
どちらかというと、ストイックに生きている人みたい。
ってゆーか、「誰にも心を許さず、誰にも心を許させないよう」に、わざと不機嫌そうにしている人、って感じ。

で、そのアンニュイなGacktに合わせたかのように、実にスローなテンポのこの物語は、話としてはベタで先が読めるような、昔ながらの時代劇でした。
そのスローなお芝居の全てが、クライマックスの殺陣と、「シャキーン!」「カキーン!」と擬音とキラキラの火花散る「魔性剣・円月斬り」の麗しいGacktを見せるための前ふりであったようにも見えました。

それにしても、ところどころで登場する月の全部が満月だったというのが、もうここまでくるとアッパレかもしれないわ(笑)
蒼い満月、白い満月、赤い満月…バリエーションはあるにはあったけど、いつでも必ず満月。
もしかして、三日月や新月の日には魔剣「円月斬り」は発動しないのかも?
ってか、狂四郎はその強烈な美意識により、月に一度しか外出しない主義だったりしてね(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「KURO展」'It is nervous though it is a contemporary. '

2011年02月19日 23時41分02秒 | 美術館/博物館/展覧会
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「テンペスト」

2011年02月13日 23時59分15秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)

琉球ロマネスク「テンペスト」
真鶴・孫寧温 - 仲間由紀恵 /浅倉雅博 - 山本耕史 /聞得大君・真牛 - 生瀬勝久 /徐丁垓 - 西岡馬/孫嗣勇 - 福士誠治/喜舎場朝薫 - 安田顕  /尚泰王 - 伊阪達也/ほか
ナレーション - 野際陽子

まぁ~、ごーか、ごーか! 豪華絢爛!!
どんだけかっていうと、こんくらいよ↓

セットも衣装も豪華だけど、なんといっても舞台中央にいるのは仲間由紀恵さんだもの!
私もたいがい美女はたくさん見ていると思うけど、生で拝見した限り、私の好みでダントツに仲間由紀恵さん、そして宮沢りえさんの二人は美しいと思う。
そして、舞台の上に美男と美女の両方が並んでいたら、私は美女のほうを先に眺めるということがわかりました(笑)

この舞台はテレビ的。
最初にスクリーンがでぇ~ん!と幕に映し出され、沖縄の海が見えます。
そして、「この物語は…」と野際陽子さんのナレーションが入るあたり、大河ドラマの幕開けみたい。
…と思ったら、これは夏にNHKのBSでドラマ化されるのですってね?
同じ主役で先に舞台化されるなんて珍しいわね。
テレビドラマにしたら、舞台では語られない詳細も見られるだろうし、原作の小説に近い内容になるとしたら、かなり見応えのあるものになりそうです。
もちろん、舞台には舞台の良さがあるんで、面白かったですよ。

なにせ、だから仲間由紀恵さんが美しいし、相手役の山本耕史もカッコイイ。
おそろしく美男美女!
って、こればっかり繰り返してなんだけど(笑)
今日のお席は滅多にない良席で、前のほうでお二人の顔がばっちり見えて、なんという眼福!!
仲間さんって沖縄出身だものね。琉球踊りも美しかったです。

そしてこの物語といえば、それがまたスケールが大きいんだわ。
これってもちろんフィクションよね?
そうじゃなかったら、これほどの波乱万丈の人生で、しかもハッピーエンドなんて有り得ないんじゃないかしら?
男と偽って超難関の科試に合格して役人になり…というのは、どっかで聞いたような話ではあるけれど、そんな男女取替え劇の男装の美女にはやはり恋がつきもの。
男としては優秀でピカイチ、女としては当代の最高位に上り詰め…何度も迫り来る転落と命の危機を潜り抜けて、最後には……という話だけど、つまり真鶴という女性は希に見る才色兼備の極みでした。

ところで、聞得大君・真牛の生瀬勝久さんが面白い!
この方が唯一、舞台的に可笑しかったです。
生瀬さんはテレビでもこの役で出るのかしら? って、聞得大君は女性なんだっけ。
ちょっと調べたら原作では残虐な人らしいけど、舞台ではあまりそうとは感じらす、最後にはかえって気の毒な人にも見えたけど。
この聞得大君は、その称号の通り、未来を予言する占いの力を持つ人で、生瀬さんが演じるといかにも胡散臭くて悪そうなんだけど、その予言はことごとく当たっているのよね。
もしかしたら、もっと早くこの人に勾玉をあげていたら琉球は大和に侵略されなかったのだろうか…などと思ったくらいに力のある人にお見受けしました。

それにしても、昼間に観た小劇場のお芝居とはなんという違い!
幕開けと同時に思わず笑っちゃったくらいだわ。
でも、小劇場には小劇場の良さ、大劇場には大劇場の面白さがあるものよね。
「テンペスト」は豪華だし美しいし、スケールも大きく役者も揃ってアレコレと見どころがあり、それなりに感動もしたけれど、「バックアップベイビー」も胸に迫るものがあり、まだ未熟な部分は多々あるものの、涙が抑えきれないほどに感動しました。
どっちがどうだと、同じ秤で比べることは無意味かも。

ああ、これだから観劇通いは止められない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「バックアップベイビーズ~私本χ訳聖書~」前楽 Aキャスト

2011年02月13日 16時27分00秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)

たった今、前楽を観終わったばかりです。
残すところは本日18時からの千秋楽のあと一回のみ。

『バックアップベイビーズ~私本X訳聖書~』
【脚本・演出】高原フヒト
【出演】Aキャスト:塩塚玲(ペス)/岡雄一(伊吹)/小島菜奈子(ミケ)/伊藤宏晃(溝口博士)/菅原賢人(おこが)/若松宏枝(マリア)/大久保裕太(藤堂)/中島悠紀(うらら)/利根川真夏(武蔵)

そういえば私は今後当分、「あっきー以外の舞台はリピートしない」つもりだったっけ。
裏を返せば、「あっきーの出る舞台はリピートしたい!」ということだけど。
で、この舞台の出演者であり主催者でもある塩塚玲(アキラ)さんは、実は私の応援するもう一人の「あっきー」です。
彼女の舞台を私が初めて見たのは2007年9月「赤毛のアン」だから、考えてみればもう三年以上も経っているのか…月日が経つのは早いわ。
そんなわけで、この舞台ではすっかり「まわし者」気分の私ですが(笑)、どちらにしてもやっぱりただ観に行くだけしかできないけれど、これからも地道にこつこつと応援できたらいいな、と思います。

そんなこんなで、予定外にAキャストを観てきたのは、今度は塩塚玲さんのペス役と、Bキャストでマリア役がハマっていた小島菜奈子さんのミケ、そしてやはり武蔵役で良かった若松宏枝さんが今度はマリアをどう演じるのかを観てみたかったから。
それと、私は案外と伊吹役の岡雄一くんって好きなのよね~(笑)
…なんて、「案外と」と「(笑)」は余計か。 
なんか、彼って人柄に味があるんだもん。

…と、ここまで書いた上記の文は、じつは昨日のうちに下書き済みなのよ(笑)

今日の夜はこれから赤坂へ「テンペスト」という、うって変わって有名人だらけの豪華な舞台を観に行きますが、その移動の合間に今見たばかりの舞台感想を書けるだけ書いておきますね。

うらら&ペスはAキャストが、マリアと武蔵はBが私は好き。
キャストには全体的に甲乙つけられないけど、舞台として締まっていたので初日よりは今日のほうがより感動しました!

ってか、私はなんで一人で鼻水すすってんだか(笑)
客席の平均年齢より年寄りだから涙腺が弱かったりして??
なんて、それもあるかもしれないけど、やっぱり高原フヒトさんの作品がツボに入るからなのよね。

「夜は遠くの音が良く聞こえる」というその音は、誰かに聞いてもらえなくて夜空からこぼれて落ちてきた「声」なのだ。
そして、その声をべつの誰かが拾ってくれるならば、互いは大切な友達という宝物になるだろう。

もしかしたらそれは、ネット社会に生きる私たちこそが実感し、体験しうる感覚かもしれないな。

私は、そしてあなたは、今日何を選び、生きているのか…。

ああ、タイムアウトだわ、赤坂に到着しました!

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「バックアップベイビーズ~私本χ訳聖書~」Bキャスト

2011年02月12日 02時44分37秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)

『バックアップベイビーズ~私本χ(かい)訳聖書~』
【脚本・演出】高原フヒト
【出演】Bキャスト:塩塚玲(麗←うらら)/岡雄一(伊吹)/小島菜奈子(マリア)/伊藤宏晃(溝口博士)/竹島由華(ミケ)/菅原賢人(おこが)/若松宏枝(武蔵)/大久保裕太(藤堂)/中島悠紀(ペス)

「早く私のせいで傷ついて、私のものになってよ!」

この台詞を聞いた瞬間、「やられたぁ~!」とか思ったわ。
しかも、彼女はマリアという名の女。
この脚本家の高原フヒトさんはまだとても若いはずなのに、どうしたらこんな引き出しが持てるのか…ちょっと嫉妬しちゃったな~(笑)

劇団天然ポリエステルの第二回公演は、前回の旗揚げ公演「五月雨式~夜桜は散りたがった」に続いて、早くも「高原フヒト・ワールド」という感じ。

地球上は次々と砂漠化が進み、人類は謎の病原菌に蝕まれ滅亡へと向かうなか、完全なクローンによって人間の体のスペアを創ったひとりの科学者がいた。
その科学者・溝口博士が生み出したクローン人間・ミケは、その本体であるオリジナルとは別の固有の魂を持っていたのだった。
…とまあ、そんな話。

やはり私はこの人の脚本って好きだなぁ…。
前回は源氏物語という過去の時代で「見えない姿」を見る者を描き、今回は近未来を背景にして「聞こえぬ声」を聞く者が登場します。

まあ、だからこの脚本もまた私の好きな方向ではあったんだけどね、でも約2時間20分はちょっとこの手のお芝居にしては長すぎやしませんか?(笑)
始まって1時間半ほどは伏線も含め、広げた風呂敷をどうたたむのか、まるっきり先が読めなくて心配になっちゃったわよ(笑)
あと、30分、いや20分ほど縮めてくれたらもっと良かったんじゃないかと思ったけれど、結局今回も最後には涙をこぼしながら見させてもらったんだから、落しどころは良かったのよね。

笑いの場面には伊吹役の岡雄一さんの、あの何ともいえない台詞センスと間が好きだなぁ~!
役柄には冒頭の「私のものになってよ!」を言ったマリア役の小島菜奈子さんはハマりすぎ。
その小島さんはAキャストではクローンで目覚めるミケを演じ、代わりにマリア役をBキャストでこれまた武蔵役を好演していた若松宏枝さんがダブルキャストで演じるというから、両方観たらこの二人の演じわけは面白そう。

塩塚玲さんと中島悠紀さんも、対になった「麗とペス」の二人の役をAとBとで取り替えるというからそれもまた興味深いと思います。
麗とペスの正体がわかったあたりからこの物語はぐっと盛り上がりましたよね。
まあ、「それはいきなりで、ちょっと不自然なんじゃ?」という展開もなくはなかったけれど、終盤の「それでいいのか?」な感じが、却っていろいろと投げかけられているようでもあり、押し付けがましいところがなくて良かったです。

ああ、だけど、テンシション低めのオカマキャラって珍しいわ。
いかにも天才っぽいアンニュイなオネエ博士も悪くはないけど、伊藤宏晃さんには一度、酒でもユン*ルでもなんでもいいから一服盛ってみて(笑)、一回くらい超ハイテンションで「こんな博士がいてもいいのかっ?!」というオカマ博士を見せてもらったら面白そう(笑)
おこが役の菅原賢人さんは金髪にして役にぴったりだったし声の通りもよくて、この明るいキャラがいたことで舞台にメリハリがあったと思います。
ミケの竹島由華さんには、「どっちが地なの? 」とか思い、藤堂役の大久保裕太氏には不思議な二枚目オーラあり(笑)

…なんて、ひとりひとりの役レポを書くのは苦手なんで超簡単に書いちゃったけど(笑)、千秋楽までみんな頑張ってください!

* * * * 
『バックアップベイビーズ~私本χ(かい)訳聖書~』

未来都市。
生きるか死ぬか。
何を選ぶのも自分次第。

さぁ、あなたは何を選ぶ

2011年2月
11日(金)15時☆、19時★
12日(土)13時★、18時☆
13日(日)13時☆、18時★
(☆:Aキャスト
 ★:Bキャスト)
新宿タイニイアリスにて
前売 2000円
(高校生以下1000円)
当日 2500円
(リピーター 1000円)
公式HP
PC→http://tennen.ho-zuki.com/main.html
〓会場案内
会場は新宿タイニイ・アリスです。新宿御苑、新宿三丁目が最寄り駅、新宿から徒歩10分強です。
新宿駅からですと、東口アルタ正面を左手に真っ直ぐ進み、世界堂のある十字路をそのまま渡ります。二つ目の角(不動産屋リブマックス)を左折し、二つ目の右手角にある寂れたコンビニの隣の地下です。
また新宿駅地下構内そのまま案内にそって新宿三丁目C8に出ることも可能です!
地下で少し分かりにくいので、お間違いのないようにお気をつけ下さい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「シラノ・ド・ベルジュラック」

2011年02月09日 00時35分30秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)

【出演】 市川右近、 安寿ミラ、 深沢敦、 小林十市、 駒田一、 栗田芳宏、 石橋正次
MUSICIAN ヴァイオリン:氏川恵美子、 アコーディオン:大田智美

この安寿ミラさんのロクサーヌってば、キッパリ!ハッキリ!してて、なんてわかりやすい女性なんだろう!(笑) 
いいな~っ、このロクサーヌは! 
私がシラノの物語を好きだってことは、たしか以前に鹿賀さんの舞台でも言ったと思うけど、ロクサーヌにこれほど好意を持ったのは初めてかも。

ロクサーヌって女性はね、とびきりの美人で男性たちからの憧れの的なわけだから、そんじょそこらの月並みな褒め言葉や愛の告白なんてもう聞き慣れちゃっていて、賞賛の言葉に対してはさぞかし贅沢な女だろうと思うのよ。
だから、クリスチャンが「あなたを崇拝しています」なんて、つまらないことを言ったもんならすぐにでも「あ、そうですか。では、さようなら」みたいにスパッと切り捨てようとするのね(笑)
そんな、言いたいこと直撃!みたいな、ある意味素直すぎるこのロクサーヌが好きだわ。
そして、シラノがクリスチャンとタッチ交代して美辞麗句を並べると、とたんにクラクラ~!と乙女心が刺激されてしまうような単純なところもね。

この舞台は総勢50人の登場人物をたった7人で演じるというもので、シラノ以外の6人の役者さんたちは舞台上でお着替えしながら次々と別人に役代わりして演じます。
安寿さん以外は全員男性なので、お髭の生えた女房だの尼さんだのもいてその演じ分けが面白いです。
いーや! それだけでなく、あっちこっちが面白い!

だいたいね~、死んだクリスチャンがむっくり起き上がる…のは、次の場面に行くための動作だから何でもないとして…で?! なんで、そこでボレロを踊るんだか?!(笑)
しかも、すっごく嬉しそうで、可笑しいったらありゃしない!!
強者どもの遊び心が満載で、笑いのあるこんな「シラノ」が見られるなんて意外で楽しかったです。

それでも笑いながらでも、やっぱりシラノはシラノ。
この物語の終盤には、私は今回もやっぱり泣かされました。
自分の醜い容姿にコンプレックスを抱き続け、「だから愛される資格がない」と思い込んだ、このシラノというオトコのストイックな愛に涙せずにはいられません。

そういえば、シラノがロクサーヌへ人知れず綴りつけた愛…その手紙なんですけどね、
その前日に観た「ピアフ」でも、ピアフが最も愛したといわれたボクサーのマルセル・セルダンも、遠距離恋愛の中で彼はピアフに手紙をたくさん送っていて、ピアフは「もっと手紙をちょうだい!あなたの言葉が欲しいの」などと言ってましたっけ。
女性は自分に宛てられた愛の手紙が好き…と、ひと括りには言えないにしても…確かに手紙には恋愛を盛り上げる力があるのでしょうね。
「そんなん、口からでまかせじゃん?」と思う人もいるにはいるけどさ(笑)
書くにつけ、読むにつけ、時間と空間を隔てたほうが、より美しく、そして自分の好みに都合よく想像が広がるだろうし。
想像…つまり、幻想と思い込みが恋心を盛り上げるし、でもそれだけじゃない、あれだけ何通も何十通、もしかして何百通?も書くとすれば、口から出任せじゃとても持続できない、それ相応のエネルギーと真心が必要なはず。
それに、褒め言葉って、悪口に比べて案外とネタが尽きるものじゃないかな?
そこに切々とした心が加わってこそ、相手の心を動かすのでしょうね。
もっとも、その手紙ですらも、貰い慣れちゃっている人にはどうだか知らないけど…。

でも、クリスチャンは口下手で詩心が全くないオトコで、シラノが「自分にクリスチャンの美しさがあれば…」と思うように、彼もまた「自分にシラノのような詩心があれば…」と思っている。
このシラノとクリスチャンの二人は一人だけではロクサーヌの愛が得られず、互いが相手なしでは愛されなかっただけに、複雑な感情を交えながらも、いつしか友情を育み合います。
私はこの男達の微妙な友情も好きだなぁ…。
クリスチャンが容姿だけでなく、その心もやはり愛すべき男だとは、もしかしたらロクサーヌには解らなくても、シラノだからこそ解るのかもしれない。
クリスチャンが亡くなるシーン前後の彼らの互いを想う心には胸を打つものがありました。
…って、だからボレロを踊り出すまではね(笑)

正反対のコンプレックスを抱きながら、同じ女性を愛した二人の男。
そして、二人の男性を一人として愛した女。
見方によっては愚かしい話かもしれないけれど、その三人の愚かしさはそれぞれに哀しく、そして愛おしい。
やっぱり私は「シラノ・ド・ベルジュラック」が好きだと思う。

あ、これはてんで蛇足だけど。
舞台の上手でお着替えをしながら時折「ふっ」と小さく息を漏らす駒田さんの横顔は、久しぶりにハンサムだと思いました まる(笑)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「エディット・ピアフ」

2011年02月07日 22時14分24秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)

【出演】 エディット・ピアフ:安蘭けい、 イヴ・モンタン/テオ・サラポ―(二役):浦井健治
マルセル・セルダン:鈴木一真、 モモ―ヌ:佐藤仁美 、警官:八十田勇一
ピアフの母(幻)/テオの母(二役):床嶋佳子、 レモン・マッソ―/テオの父(二役):中嶋しゅう、 ルイ・バリエ:甲本雅裕

ピアフの人生といえば、そういえば三年くらい前に映画化されていて、その時に私は上映会のご招待が当たったんだった。
だけど、急に何だかの都合で行けなくなってしまい心残りだったところが、その一年後くらいにわりと早くテレビで放映されたのよね。
だからピアフの波乱万丈な人生は知っていたけど、…まあ、ピアフという女性は、彼女がその半分ほども「恋多き女」でなければ、あれほどまでに苦しみも悲しみも味わうことがなかったんじゃないか?って思うほどに、ほんとうに恋多き人だったのね。
そして、その愛と苦しみの人生はすべてが歌になり、歌うことは彼女にとって生きることでもあったのだろうと思ったわ。

それにしても、歌というのは、歌う人によって色合いがこうも違うものなのか。
解釈ではあまりブレようがないだろう、というような歌の、その同じ歌を歌ってさえ、いや、それだからこそ、ずいぶんとまた違いが感じられてしまう。
どんな歌もそうなんだろうけど、特にピアフのシャンソンには、人が出るというか、その背景の人生が出るのかもしれないわね。
それに、「物語の中で生きて歌を歌うこと」と、「歌の中にひとつの物語やそれに生きる人を見せること」は微妙に違うのかもしれないな。
安蘭けいさんのシャンソンには、ミュージカルの舞台に相応しい華やかさを感じました。
ピアフの人生をその時々で熱唱してくれて、見ごたえ聞きごたえのある内容の濃い舞台だったと思います。

それにつけても~、
私は、そんなこんなの何はともあれ、浦井くんよ~!!(笑)
浦井くんが登場すると、とたんに私はゆるゆると癒されて心が和むのよね~!
今回はイヴ・モンタンとテオ・サラポ―の二役で、イブ・モンタンの♪枯葉よぉ~!もステキだったけど、後半の、あの春の陽だまりのようなテオは私の超ツボだわ!

ピアフの拭えぬ寂しさを埋めるためには、それを補うほどの燃えるような恋が必要だったのでしょうね。
恋愛依存症といえるかもしれない。
だから恋愛の山場を超えると一気に終わってしまい、そして次の恋に行き…と、そんなふうにピアフは恋愛を繰り返さずにはいれなかったのかもしれないけれど、その恋多き人生の終わりにテオのような青年と彼の両親に出会えたのは、まさに奇跡のような神様からのギフトだったと思う。
私はテオの両親が彼女に会いに来たあたりから涙が溢れて止まりませんでした。

ピアフの激動の人生にはその時々に思うところがたくさんあったけど…
「いいよなぁ~っ、浦井くんで…ってか、テオのような人にあんなふうに愛されて、傍にいてもらって。ピアフは最後に幸せで良かったね」……なんて、結局そんな感想だったりして(笑) 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする