最近、小劇場にも足を運ぶようになって改めて思うのは……
「この人達(役者さん達)はみんな、変だ!!」ということね。
だからこれって、褒めてるというか、嬉しいんだけど。
板の上の人達が変な人じゃなかったら面白くなくて、私はなにもわざわざ劇場になんかきっと行かないと思うもの。
家で本を読んでいるか、どっかのカフェの中から道行く人を眺めたり、個性豊かな友人・知人を見たり(笑)…じゃなきゃ自分を見るものね~。
まあ、ひとことに「変」といっても、いろんな方向があるけどね。
絶世の美男美女だって、ある意味「変な人」だし。
そんな話はともかく、この舞台は面白かったです。
この物語は「あなたには中身がないから」なんて、街なかで携帯越しにお手軽に振られちゃった青年が、デタラメ占い師の二人にスカウトされるところから始まります。
心に浮かんだ脈絡もない言葉…それをデタラメと思うか真実と思うか、または神託と思うかは受け取る人次第…ということで、このデタラメ占いはそのデタラメの言葉の中にも勝手に受け取りたいものを受け取る人々によって流行りだします。
そして、その三人の中にもう一人、「恋愛の話が苦手」というエキセントリックな女子高生が加わることになり、その女子高生を祭り上げて次第に怪しい新興宗教のように変化し、やがて反社会的な一団となってしまうんですけどね、もうその様子がハチャメチャで笑えます。
そして、そのグループと同じマンションの別室で事務所を構える男がいて、その男の仕事がまた「恋愛に関することなら何でも請け負います」という胡散臭いもので、この男の被害者だと憤り「金返せ!」を繰り返す女とか、例の家出した女子高生を探しにきたヘンな教師とか、お巡りさんとか、そのお巡りさんに恋する恋愛依存症の女とか、婦人警官とか…まあ、そんな一同が最後にはぐっちゃぐちゃに町の中を追いかけっこしながら駆けずり回って…
って…、それでお終い。
「え? 結末は?」とか、「つまり何が言いたいの?」なんて、無粋な疑問は要らないのよね、きっと。
結局、どんな作品だって、受け取り手が勝手に「何を受け取りたいか」なのよね。
なので、私は最初から最後まで笑いながら観ていたけど、でも実はこの舞台で受け取ったものがあるとしたら、「他人の言葉を鵜呑みにして自らの思考を止めてはならない」という、なぜか大変真面目な感想でした(笑)
この舞台の演出の青木秀樹さんという方は、「恋とか愛とか苦手な人」だそうだけど、そういう人があえて純愛とか描いたらどんな風になるのかしら?
それはそれで、またこの舞台とは別方向の「変」が観られて面白いかもね。