今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

映画「ICHI」

2008年10月21日 22時13分33秒 | 映画

この映画はきっと私のツボだろうと思ったの。
闘う女が好きだから。
私はできることなら闘いたくないけどね

  

で、最初から最後までやっぱりツボでした!
後半なんか、周りが泣いてなくても、またしても一人でずっと泣いてましたから。
ズズッ!とかやっちゃって、ごめんなさ~いとか思いながらも止まりません。

これは座頭市の女版です。でも違うと思う。
この映画を、いわゆる「時代劇」を見に行った人、凄い殺陣を見たかった人は、もしかしたら何か違うと思うかもしれない。
でも、私は「人」を見たいの。

人は何を見たいか……。

市(綾瀬はるか)は言う。「目の見えない者には境界が見えない」
崖があっても、どこからがそうか見えないと。
でも、彼女の本当に見たかった境界はこころの中にあるものだった。

たとえば、
これを読んでくださっている、あなたと私の境界。
私の中の、私自身の境界。

あなたは見えますか?
闇にも光が見えますか?

…って、そういう話で私は見ました。
これは女性が主人公だからできた物語であり、そのために時代劇という設定は最適だと思いました。

見えない女がたった一人で、女を雌としか見ない男を斬っていく。
「なに斬るかわかんないよ、見えないんだからさ」というセリフにはキューンとしたわ。

で、この期に及んでちょっと言わせて

きゃ~っ!たかお~っ!すてきぃ~~! 
たよりないときのたかおも、ラストのたかおも、すてきよ~! 
うたってないしぃ~!

…って、これは、大沢たかおさんね(笑)
中村獅童さんの悪党ぶりも、ますます良かった!
この人が演じる悪役って、私は好きなのよね。
悪い奴なんだけど、心のずっと奥底で泣いているような悪役。

今年観た映画はどれも当たりだけど、一番好きな映画でした。
いや、好きっていうのとはちょっと違うかな?
一番ツボに入った映画でした。

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「ミス・サイゴン」

2008年10月18日 20時33分16秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
この舞台を観るとね、
私ってば、普段は男(だけどイイ男限定!)は愛しくて可愛いと思うけれど
実は男が嫌いで怖くて憎くて、本当は男の愛の誓いなんて、一度も本気で信じたことなんかないんじゃないかと思ったりするのよ。
そういう作品だったってこと、前回と前々回を芳雄くんクリスで見たから、つい忘れていたわ。

この日のお目当ては原田クリス。
このクリスはね……子どもです。
それは前述を踏まえると、ある意味この作品を観るにおいてハマっていると言えなくもないです。
原田クリスの登場場面は、芳雄くんクリスのように空虚なふうでなく、怒っています。
このベトナム戦の只中にいる空しさに、ひとり怒り苛立っているようなその硬い表情の奥深い底に、もし少しでも空しさゆえの哀しみを感じることができるなら、私は彼を愛しく思うかもしれない。
だけど、ただ子どものように、ままならぬ自分とその環境に怒ってスネているように見えます。
そして、キムに出会えた喜びが感じられないのよね。
恋する人特有の高揚感や陶酔がまるで見えない。二人がラブラブに見えない!!
芳雄くんクリスと違い、原田クリスがなぜキムを愛したかも私には伝わってこないの。
そもそも彼はキムを本当に心から愛したのかしら?
もしかして、この状況に辛く感じるのは自分だけだと思っていたのに、それまでおどおどしていたキムが突然、怒りを帯びて悲惨な身の上話を始めたから、その衝撃と、上から目線の哀れみを恋と勘違いしたんじゃないでしょうね?
男はきっと可哀相な女が好きなのよ。
もっとも、自分が助けられる範囲の可哀相さに限られるけどね。

なんだか原田クリスに凄い辛口に聞こえるかもしれませんが、
まあ、聞いてよ。

それで、だからこそ…というか、この日の知念キムはとても良かったです!!
彼女にとって、クリスは生きる希望であり夢だったのよね。
キムはクリスとの愛の誓いを信じて、それを支えに生きた人。
恋する女のいじらしさと純粋さ強さ、そして哀しい愚かさが、お子ちゃまクリスのお陰でより一層際立って、私はこの彼らの温度差に泣けた泣けた

この前の芳雄くんクリスとじゃ、知念ちゃんキムにあまり感じられなかったその思い。
「サイゴン」はキムで私は泣きたいのだから、そういう意味で原田クリス、ナイスです!!

キムが生きて子どもがいると知った時のクリスもね
器の大きいお姉さまのシルビア・エレンに見捨てられたくなくて、必死に可哀相な男になってしまうクリス。
でもって、そういうクリスだから、エレンだって辛いだろうに、健気に二人の幸せを守ろうと耐えて頑張っちゃうのよね~。
女の我慢強さと包容力の見せどころ。
ああ、あの豊かな胸に抱かれて眠りたい…って、きっとクリスはキムが死んでも、それを引きずりまくりながら、エレンに慰められ癒されて、その後の二人は結構幸せに暮らすんじゃないかしらね?
その場合、幸せの贖罪にタムを立派に育てれば丁度良いし、彼らは正義を尽くしたことにもなるわね。

……って、なんだか私、すごく斜めにすさんでる?(笑)
だってさ~、いろいろとムカつくじゃん。
サイゴンの男達って、好きなキャラが一人もいないのよ。
だから、前回の芳雄くんクリスや石井トゥイがなかなか好ましく、愛しき男達に思えてしまったのが、私としてはキャラ認識の間違い。

一途で真っ直ぐな石井トゥイ、噂によればキムにラブラブで熱い男の泉見トゥイ。
この二人もたぶん私は愛しき男と思うけれど……トゥイってキャラとしては憎まれ役じゃない?
神田トゥイはね、キムに拒絶されたことで男のプライドが傷つくの。
彼女を愛していたわけじゃないと思う。
だから再会して、そのプライドを取り戻すチャンスを得て、「ほら、僕はこんなに偉くなったんだぞ!」って誇示したのに、またしても彼女にズタボロにされちゃうのよね。
もし彼が、そうでなくて、キムをどんなに想い続けていたのかとか、キムを心から幸せにしたいと思っているとか、そういうことを訴えれば、キムはあんなに冷たく心を閉ざさなかったと思う。
支配欲と所有欲をむき出しにされただけで、愛を感じなきゃ女の心は動かないのよ。
その身勝手なバカ男その2…いや、その3かな?…を殺してしまって、その亡骸に号泣する知念キムにやっぱり泣けた泣けた

そのほか、
ジョンはもともとムカつく男だから、いつも通り(笑)
エンジニアさとしさんは、やっぱりハマり役。

まあ、そんなこんなで、原田くんでこの作品を観てとっても良かったです!
大変感動してダダ泣きした「サイゴン」マイ楽でありました!!
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「から騒ぎ」

2008年10月13日 20時35分30秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
彩の国、蜷川シェイクスピア・シリーズで、全ての役を男性俳優が演じるオールメールです。

ベネディック 小出恵介 / ビアトリス 高橋一生 / クローディオ 長谷川博己 / ヒアロー 月川悠貴 / ドン・ペドロ 吉田鋼太郎 / レオナート 瑳川哲朗

オールメールと聞いていたのに、ビアトリスとヒアローの二人が登場した時には
「なぁ~んて綺麗な女性達だろう!」なんて、一瞬忘れていた私です

無知というのは時として苦い思いをするけれど、この時ばかりはシェイクスピアに疎くて良かったわ。
物語の先の展開が読めずに、興味津々でかなり楽しかったです。
ベルディク役の小出くんは、言葉数の多いセリフが大変そうだったけど、女性に辛口で恋に疎い青年貴族が初めて恋にハマっていく、そのコミカルな演技が似合っていて好感が持てました。

それにしても、女性というのは無口なくらいのほうが神秘的で魅力的よね。
平日はともかく、休日になると友人相手にマシンガントークをかます我が身の色気のないこと
まあ、友達にするのなら私は、毒舌で、そのわりに友人思いの心優しいビアトリスを取るけど、気高く美しい月川くんのヒアローはほんとうに魅力的
でもあの不思議な魅力というのは、男だからこその倒錯的な妖艶さじゃないかとも思う。

そんな折、先ほど友達から綺麗な雌雄同体の蝶の写真を見せてもらいました。。
アンバランスの美を持つこの蝶に、クリエーターの友人は惹かれるものを感じるそうですが、私もその不思議な魅力にとても想像力を刺激されたので、思わず頂いてきました。
同時に両方を持つということは、欠けていることでもあるわね?
という話をしていたのですが、欠けているからこその魅力があるのでしょうね。

男が演じるヒアロー達には、もちろん女性の象徴である胸の膨らみがありません。
女性の胸ってね~、女特有の母性とエロスを同時に感じるじゃない?
それが開花されてないとすると、逆に乙女の純潔さを表すこともあるし。
で、それが欠けていながら、それでもなお…というか、それだからこその月川くんらのあの魅力。
歌舞伎の女形や、宝塚の男役さんが、実際の女性や男性以上に魅力的なのも
もしかしたら、同時に両性を持つ魅力、欠ける魅力…そこから引き出される力があるせいかも?
まあ、歌舞伎にもヅカにも、ついでに蜷川シェイクスピアにも疎い私には未知の世界であるけどね。
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「SHAMPOO」

2008年10月11日 22時16分28秒 | ライブ/コンサート
たまにはミーハーじゃない普通の感想も書かないと…

* * * *

自分自身の体を、リアルに抱きしめてみたいと思ったことはありますか?

あっきーがサングラスをかけて黒衣で登場した時、前日の「BOB」で同じ人を見ていたにもかかわらず「あっきーって、こんなに素敵な人だったっけ? こんなにカッコ良かったっけ?!!」と、今年何度目かの同じことを思った私は、やっぱり人より頭が悪いのかもしれません。
いつも今日出会う、一番新しいあっきーに落ちてしまう。

「SHAMPOO」はどの曲も凄いことになっていました!
ほんとうに、ほんとうに、楽しかった!…だけじゃなくて、
ドラマティック!で、感動的!で、
一曲ごとにその世界にぐいぐいと惹きつけるパワーがみなぎって、
会場にいた者たち全員の魂が一体となるような素晴らしい!ライブでした。
どんなライブとも比べることのできない、私の人生レベルでも最高に大好きなステージだと思います!

今思うと、私の好きな本に例えるならば、「SHAMPOO」は若き鬼才がジャンルを超えて放つ、卓越した珠玉の短編小説集のようであったように思います。

中川晃教さん、あなたは私が少女の頃から憧れた、「ここではない、どこかの世界」へ音楽とその歌で連れて行ってくれる人。
その世界に恋焦がれるように惹かれて、導かれて、一緒に踊っているうちに、いつしか私は「今、あっきーと同じものを見ている」とまで思いました。

古澤巌さんのヴァイオリンも素敵でした!
あっきーが恋するその音色に、私も魅せられました。
あっきーがテンションを上げるごとに、浅野さんの「さあ、どこまでやる?」というような見極めながらも面白がっているような、その暖かい表情も好きです。
映像も良かったです!
「CHANGE 」の冒頭は、いつか私が心に見た朝日のようでもあり、青い地平線のようでもありました。
「CHINA GIRL2008」の赤を基調とした映像も素敵でした。
スクリーンも、ヴァイオリンの演奏も、あっきーも…すべてを同時に同じくらいの重さで凝視したくて、とても欲張りなジレンマを味わいました。

あっきーが素敵な仲間と先輩方に囲まれて、自身も楽しみながら創り上げたであろう渾身の歌を聴かせてもらい、それがどんなにか幸せな時間であったか、言い尽くすことができません。

もう一度言わせてください、何度でも言わせてください。
私は「SHAMPOO」が好き!! あっきーの歌が好き!!

二日間のライブが終わり、祝杯を上げた友人達とも別れの時間が来た時、私たちは最後にかわす言葉もなくて、しっかりと互いの体を抱きしめ合って再会を誓いましたね。
そんなことは初めてです。
あっきーの歌に満ちたその時の友人達の体は、柔らかくて心地よく、とても愛しく感じられました。

そして、生まれて初めて私は思ったのです。
自分自身の体をリアルに抱きしめてみたい。
心ごと、中川晃教さんの音楽に満ちた自分の体は、私にとって
きっと今、世界で一番愛おしく心地好いに違いないと…。
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