出演:山崎育三郎/高橋由美子/島袋寛子(SPEED)/涼風真世/山口祐一郎/市村正親/阿知波悟美/武岡淳一/吉野圭吾/坂口湧久/黒木璃七(アマデ)
山崎育三郎さんの舞台を観るのは今年は夏の「サ・ビタ」以来二作目ですが、前に「レ・ミゼラブル」でマリウスを見ていました。
あ、ラ・カージュも見ていたんだっけ。
どんな役者さんかというと、私の印象では「目立った欠点がほとんど感じられない好青年」という感じです。
たしか三年前にどこかの小劇場でついうっかりぶつかりそうになったくらいに至近距離で遭遇したこともありましたけど、その時は半プライベートだったせいかとてもナチュラルで嫌味の全くない爽やかなイケメンぶりでした。
ところが夏のこの舞台の製作発表では、おおっ!ってなくらいに隙もなくビシ~っ!とした二枚目に美しく作り上げてきて、もの凄く緊張しているのが痛いほどに伝わってきてました。
客席を満遍なく眺めるさすが余裕の芳雄くん!と違って、育三郎くんは終始硬い表情で視線はほとんど遠い奥のカメラ席へ。
さぞかし大変なプレッシャーなんだろうなぁ…と思いました。
やっぱりとても真面目で真摯な人なんでしょね、この人もまた。
その山崎育三郎くんのヴォルフガングは、あの時彼に感じたガチガチの緊張感やプレッシャーもそろそろ程よい頃合になっていたようでした。
今のところ印象としてはやはり「目立った欠点がほとんど感じられない」という感じでしたが、とにかくまだ始まったばかり。
この先彼も幕が開くごとに成長し、進化していくのだろうと思います。
ところで私はこの「モーツァルト!」という作品は大好きで、久しぶりに観てみると改めてどのシーンも感動的です!
市村パパは今回は全く笑いをとるようなアドリブをせずに、ひたすら愛情深い演技を見せてくれました。
すご~く伝わってくるものがあるんですよねぇ……。
息子が可愛くて、いつも気がかりで心配で…だからこそ、口やかましくせずにはいられない。
「私ほどお前を愛するものはいない」というのに大きく頷きたくなった私です(笑)
けれども、悪妻と言われていたコンスタンツェだって、本当にヴォルフガングを愛していたんですよね。
私はヒロちゃんのコンスというのは、前の舞台からわりと好きなコンスでしたけど、ヒロちゃんは前よりかずっと演技が上手になったような気がします。
今回は意外な場面で思わず涙がこぼれそうになりました。
それはヴォルフガングが悪夢を見て取り乱してしまう場面ですが、ヒロちゃんコンスタンツェは彼を抱きしめて背中をさすっています。
三年前にもそうした場面はありましたが、今回のそのしぐさには更に愛情が感じられて、それだけに、そのあとすぐに外の街に出かけてしまうヴォルフから取り残された寂しいコンスタンツェの姿は哀れで悲しく見えました。
山口祐一郎さんの大司教さまも、吉野圭吾さんのシカネーダーも、「そうそう、これこれ!」と心が浮き立つし、高橋由美子さんのお姉さんも相変わらずで嬉しい!
男爵夫人は涼風真世さんで見ましたが、私は涼風さんの、このひと際華やかな男爵夫人が結構好きです。
歌声も安定していてとても聞きやすかったです。
そしてアンサンブル!
私は特に後半のアンサンブルの歌が好きで、実は「М!」で涙する場面といえば、コンスタンツェの場面の次くらいに私は前からアンサンブルの歌うシーンです。
なんだかんだ言っても(いや、私は言ってないけど)この作品はとても感動的で多くのことを想うし、楽しいし、歌も良いし、レ・ミゼのようにずっと長く続けていってほしい舞台だと心から思いました。