今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

NODA・MAP「キル」1/27

2008年01月31日 22時01分42秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
シアターコクーンへ「キル」を観に行ってきました。

題名からして「着る」「切る」「斬る」「KILL」「(生)きる」…と、言葉遊びにいろいろな要素が詰まったこの舞台。面白そうだとは思いましたけど「要は、妻夫木くんがカッコ良けりゃ、それでいいやぁ~!」なんていつものノリで、あんまり期待していなかったんですが……そりゃね、すごーく感動モノってわけじゃあありませんが、いろんな見方や楽しみ方があって、終わってからもこれをきっかけに何かと考えちゃったりと、なかなか面白い舞台だったと思います。
で、どう感想を書こうかなぁ~…なんて、つらつら思っているうちに今日になってしまったわ

「言葉」っていうのは、本当に興味深いと思う。
特に日本語は、同じ音で違う意味が沢山あったりするから、この題名みたいに遊べちゃったりするでしょ?
でも、それ以上に人を笑わせたり、幸せにしたり、傷つけたり、時には本当に人を殺せることもあるわね?

この主人公、妻夫木くんが演じるテムジンは、産まれた直後から父親に酷い言葉を浴びせられて育ちます。
それはテムジンが父親の本当の子供ではなかったからですが、それにしてもあまりに冷たい言葉の数々。
そして、大人になった彼もまた父と同じ立場になり、やはり自分の子供に酷い言葉を投げつけるわけです。
憎しみの言葉というのは、本当に人をスポイルしますね。
言われたほうはもちろんですが、言うほうの側も。
刃物で斬られるよりもなお深く、見えない傷が人格を壊していき、それはでも、諸刃の刃でもあるのね。

でもまあ、この話はともかく(って、おい!)
私が更に興味深かったのは、テムジンとシルク(広末涼子さん)の恋なんだけど。

このあたりは「シラノ・ド・ベルジュラック」が下敷きなんでしょうが、面白いのは恋文を代筆するのが、勝村政信さん演じる「結髪」という名の男で、この代筆がテムジンとシルクの二人分を兼ねていて、つまり結髪の書いたラブレターの返事を結髪が書き、それを読んで二人はろくに顔も合わせず恋をしていくわけです。

これはねぇ、すごく面白いと思うわ。
シルクが久しぶりテムジンに会うと、やっぱりあの人は好みじゃない、でも私はあの人の手紙が好き、言葉が好き!言葉が好きなのよ!って思うのね。
果たして手紙で人は恋ができるのか?……というと、それは平安時代の貴族たちから始まって、今もPCで最初は文章を介して知り合ってパソ婚するカップルもいるくらいだから、本当にそうなんでしょうね。
それで、ロクサーヌが自分の愛していたのはシラノだったと気づいたように、シルクもまた結髪と結ばれてしまうわけだけど、それは至極納得のいく展開だったと思うわ。

それを思うと、言葉というのは人を表し、どんな時にどんな言葉を選び、どんな風に言いまわすかで、つまり人格がわかるというものよね?
はぁぅ~(ため息)

それを踏まえて。
私はこうして一年以上もバカ話を続けているけど、その主なお相手の数は決して多くないものの、一人として間違えていなかった、会ったことのある方も、そうでない方も、みんな素敵な方たちばかり!というのがとても嬉しい。

言葉を介してコミュニケーションするこの場で、私とお付き合いしてくださるあなた、本当にありがとう!
私は時々イラつく文を書いたりもするでしょうが、それが私の人格でもあるんで、ごめんねと言うしかありませんが、マイミクさん達が選ぶ言葉に私のほうがイラついたり、ちょっとでも悪い感情を持ったりしないということは、もしかして、とても自慢できることじゃないかと思います。

……と、なんだか感謝モードになりましたが(笑)
妻夫木くんは、やっぱりカッコ良いですぅ~
っていうか、良い顔してます。いろんな場面で。歪んだ表情でさえもね。

この舞台は、妻夫木くんの他にも、「おとう~さまぁ~」と幼い声を出す野田さんの怪演、勝村さんの熱演など、見所が多かったですが、高田聖子さんはやっぱり日本で一番、機関銃の似合う女優さんだと思いましたよ

今日が東京楽じゃなかったら、もう一度観に行きたかったかも。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「ウェストサイド物語」

2008年01月14日 22時03分27秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
トニー 阿久津陽一郎/マリア 高木美果/ベルナルド 加藤敬二/アニタ 増本藍/リフ 荒川務

去年観て「ぜひもう一度観たい!」と思った舞台。
キャストがベルナルド以外ほとんど入れ替わって、ますます良いよぉ~
もしかしたら作品としては「M!」より好きかもしれないっていうくらい
四季の役者さんはきびきびと踊ってくれてどのシーンもカッコイイし、音楽はどれも好き
ただ「マリア~♪」と言うだけの(ってことはないけど)歌詞に、なんで涙が出てしまうんだろう?
恋愛物はそんなに好きでもなかったはずなのに、ついでに言えば四季は苦手だったはずなのに、トニーとマリアの真っ直ぐな想いに泣けてしまうし、ダンスシーンには心も躍ります

トニーの阿久津さんは背が高くてガタイがいいし、姿勢も良くてハンサムで金髪が似合います。
私から見たらほとんどアメリカ人よ
マリアは最初は前回の笠松はるさんと同じ人かと思ったくらい(ごめん、あたしゃ四季の役者さんには無知です)同じような顔に作ってあるし、セリフ回しが同じなんだわ
四季印教科書通りの優等生なんだな、きっと。
でも、高木さんのほうがゆーっくりと話すのね。それがまた「外国から移住してきた人が話す米語を日本語にしてみました」と思って聞けば悪くない(笑)
何より高音まで隅々と綺麗で、うわ~っさすが四季だね!と思ったわ。

実はこの前日、ちょっとムカつくことがあって心の中がトゲトゲしていましたがね、そのトゲが涙に変って流れましたよ。
誰も泣いてないシーンにまで無性に泣ける。音楽の力って凄いです。
ミュージカルっていいなぁ~!

「ウェストサイド物語」は定期的に観たいくらい。
まだ観ていない人はぜひ!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

いのうえ歌舞伎☆號「IZO」

2008年01月10日 22時05分14秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
戸田恵梨香ちゃんは可愛かったな~
もともと好きだけど、すっかり気に入りましたよ
テレビで見るよりもずっと骨太な感じの田辺誠一さんは武市半平太の冷たさが良かったし、何より坂本竜馬役の池田鉄洋さんの存在感と言ったら 
池田さん、いいなぁ~!他の舞台でも観てみたいけど……次は下北沢だって?う~……。

主演の森田剛さんは以蔵が似合っていましたよ
終盤でウルウルした場面もあったけど……なにせそこまでが長い
いかんせん、脚本がねぇ……中島さんじゃないせいか、あまり新感線らしくない、ほとんど毒も狂気もなく、ましてや笑いもない舞台なのよ
まあ、その中で右近さんと池田さんは面白かったけど。
およそ外連味のない、盛り上がりも乏しい3時間40分はいつもより長く感じられました。

セット代わりのスクリーンは「TOMMY」でも賛否両論だったけど、あの時私はトミーの精神世界を表現するための映像としても悪くないと思ったわ。
でも、今回は幕末の背景を説明するための文字が多いし、映像で済ませた部分が多いせいか、セットも面白味がなくてその映像には途中から飽きます。
人斬りだからバッタバッタと殺されて、血しぶき舞うのはいいとして、首を撥ねるシーンが映像で多かったのはちょっとなぁ~。

あ、切腹のときの介添えで、首を一度で綺麗に撥ねるほどの腕を持つ武士は意外と少ないって知ってます?……ってこれは関係ないか。
でも影絵の首が簡単に転がるとつまんなくて……。
唯一映像ではなくて最初に転がった生首はさすが新感線、よく出来てたよね。

でね、人を斬ることしかできなくて、難しいことなんか全然わからない、たとえ犬でもいいから武市に必要とされたかった以蔵のラストは、私が想像していたものと全然違いました。
ボロボロに斬られて壮絶に死ぬか、または惨めにゴミ屑のように死ぬかと思った…。
まあ、予想と違うのはある意味面白かったと言えなくもないですが。
それにしても、哀しいほどに馬鹿だった以蔵にラストで突然あんな知的なセリフを言わせるなんてねぇ…。
その辺りが一番無理やりな感じがしたわ。

脚本家の青木豪さんって、次は蜷川さんの「ガラスの仮面」だって。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする