それはまた別のお話

観劇とか映画とかの感想文を少しずつ

「羊の木」

2018-02-07 | 映画
山上たつひこといがらしみきおによる、第18回文化庁メディア芸術祭優秀賞(マンガ部門)に輝いた問題作を、アレンジを加え実写映画化。殺人歴のある元受刑者の移住を受け入れた町を舞台に、移住者の素性を知らされていない町の人々の日常がゆがんでいくさまを描く。『桐島、部活やめるってよ』などの吉田大八監督がメガホンを取る。お人よしな市役所職員を錦戸亮、彼の同級生を木村文乃が演じるほか、元受刑者役で北村一輝、優香、松田龍平らが出演する。


「刑期を終えた元受刑者を自治体が受け入れる新仮釈放制度により、閑散とした港町・魚深市に男女6人が移住してくる…」という概要は予告編で知っていたし、予告編はさらに新たな殺人事件が起こるところまで見せています。
が、そこまでのくだりは早い展開である意味静かに進み、そこからが急転直下。
吉田大八監督というと「紙の月」を思い出しますが、こういう緩急のつけかたが本当に上手いなあ。

元受刑者の顔ぶれがすごい。
北村一輝、優香、市川実日子、水澤紳吾、田中泯、松田龍平が、畳みかけるように不穏な空気をまとって登場してくるので、
「この中で誰が何をするの?」という不安感が押し寄せます。
そういう意味で原作は読まなかったほうが正解かも。

でなんでそんなに「誰が?何するの?」と恐れおののいたかと言えば、それは受け入れ係である市役所職員の錦戸くんの存在。
仕事は真面目に取り組んでいるけれど、平凡でそれほど人格者には見えない。
「人はいいし魚も美味いですよ」と元受刑者全員に繰り返すけれど、おそらくそうは思っていない。
だからこそ私たちは「自分だったら…」と終始自問自答してしまう。
自分の行動が自衛なのか偏見なのかは紙一重なのを自覚しているけれど、危険人物と認識しながら同じ部屋でうたたねをしてしまう凡庸さ。
「友達として」という台詞は本心で最強なんだよね。

途中に出てくる「のろろ様」もいい具合に気持ち悪かった。
お祭りの夜、町中が「直接見てはいけない」という掟に従って家の窓を閉めるのが。
見てはいけないのと、見て見ぬふりをするのは同じ。

いろいろ考えさせられる作品でした。
「羊の木」というタイトルに込められた意味も、作品公式サイトを見ても釈然としなくて「勝手に考えてくれ」なのかな。
でもエンドロールに込められた意味は受け止めたい。
「DEATH IS NOT THE END」というエンディング曲のタイトル、スタッフロールが「下から上」ではなく「上から振ってくる」こと、
そしてラストの映像の美しさ。
最後の瞬間まで楽しめました。




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「祈りの幕が下りる時」

2018-01-31 | 映画

類い稀な推理力で難事件を解決に導く刑事を主人公にした、東野圭吾の人気ミステリー小説を映像化した『新参者』シリーズの完結編。謎に包まれた殺人事件の捜査線上にある女性演出家が浮上したことで、主人公・加賀の母が失踪した理由や父との不和、加賀自身の過去が明かされる。主演の阿部寛をはじめ溝端淳平、田中麗奈、山崎努らレギュラー陣が続投し、新キャストとして松嶋菜々子、伊藤蘭、小日向文世らが参加。テレビドラマ「半沢直樹」などの演出を務めた福澤克雄がメガホンを取る。


非常にウエットで重厚な作品でした。
「砂の器」を彷彿とさせる後半の運びは、これ観て泣かない人いるのか?ってぐらい涙を誘いました。

新参者シリーズの完結編との位置づけですが、ドラマ版も前作の「麒麟の翼」も未見のわたしでも問題なし。
事件は冒頭から次々に展開していくけれど、字幕や説明台詞で必要十分な解説がありました。
バタバタと新事実がつながっていくので、「前後編でもよかったかも」と思ったけれどスピード感を大切にしているのかな。

やはり圧巻は後半の小日向さん。
そして松嶋菜々子の少女時代を演じた桜田ひよりちゃん。
今思い出しただけでも涙が出ます。

あとは「明治座」が重要な舞台になっております!
女性演出家が主人公なので劇場がひんぱんに画面に映りますが、
日本橋周辺の観光名所というだけでなく、ここは明治座でないと話が成立しない。
今度入ったときにあのガラス張りの「演出家部屋」を確認してみよう…

日本各地でのロケ、空撮を多用した俯瞰の画面作り、そして日本映画を代表する実力俳優の演技。
これぞ邦画のどまんなか。
福澤監督の手腕にも感服いたしました。
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これからのあっきー予定を考える【1月中旬】

2018-01-23 | 日記
「ジャージー・ボーイズ」地方公演のスケジュールが発表になりました。
チマタでは芳雄さんと光一くんの新作に話題が集まっていますが、配分を考えるにあたり先の予定がわかるのは嬉しい。
(でもクリエの日程は後回しなのね…?)

あっきーさんはFCイベントで「ジャージーボーイズ貯金してる人~」と挙手させていましたが、
会場全員「そりゃしてるに決まってるだろ!」と頷いておりました。
ただ今回の地方公演、きっと仙台公演があるだろうと予想していたのでちょっと肩透かしかな。
大千穐楽の11/4はプレお誕生日、ラスト35歳の日でもあります。
私も500円玉貯金箱をぶちまけることになるのかなぁ…


1/4~11 シアタークリエ10周年記念公演「TENTH」(シアタークリエ)第二部に出演
1/13 KOKI MITANI’S SHOW GIRL 「ショーガール」 Vol.2(EXシアター ROPPONGI)
1/20 HEADS UP!(富山芸術文化ホール オーバード・ホール)
1/26~27 HEADS UP!(上田市交流文化芸術センター サントミューゼ)
1/28 「蜜蜂と遠雷」リーディング・オーケストラコンサート ~コトダマの音楽会~(大阪森ノ宮ピロティホール)

2/2~4 HEADS UP!(大阪 新歌舞伎座)
2/14 サラ・オレイン バレンタインコンサート with 中川晃教(石川県立音楽堂)
2/15~16 HEADS UP!(刈谷市総合文化センター アイリス 大ホール)
2/22 cube三銃士「Mon STARS Concert ~Again~」ゲスト出演(Bunkamura オーチャードホール)
2/24 マシュー・モリソン in コンサート ゲスト出演(Bunkamura オーチャードホール)

3/2~3/12 HEADS UP!(TBS赤坂ACTシアター)

4/1 中川晃教Symphonic Concert 2018「Spring has come」(大阪 ザ・シンフォニーホール)
4/8 中川晃教Symphonic Concert 2018「Spring has come」(りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館)
4/15 中川晃教Symphonic Concert 2018「Spring has come」(サントリーホール)
4/21 中川晃教Symphonic Concert 2018「Spring has come」(東京板橋区立文化会館)
4/22 中川晃教Symphonic Concert 2018「Spring has come」(市川市文化会館)
4/29 中川晃教Symphonic Concert 2018「Spring has come」(鈴鹿市文化会館)

5/12~13 ミュージカル「ジャージー・ボーイズ」イン コンサート(シアターオーブ)

6/23~30 銀河鉄道999~GALAXY OPERA~(明治座)
7/21~22 銀河鉄道999~GALAXY OPERA~(北九州芸術劇場大ホール)
7/25~29 銀河鉄道999~GALAXY OPERA~(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ )

9月 ジャージー・ボーイズ(シアタークリエ)

10/8 ジャージー・ボーイズ(秋田・大館市民文化会館)
10/12~13 ジャージー・ボーイズ(岩手・岩手県民会館)
10/17~18 ジャージー・ボーイズ(愛知・日本特殊陶業市民会館)
10/24~28 ジャージー・ボーイズ(大阪・新歌舞伎座)

11/3~4 ジャージー・ボーイズ(福岡・久留米シティプラザ)
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今年観たあっきー2017

2018-01-21 | 日記
(未公開のままほったらかしにしてました 今さらですがもったいないのでこっそりと)

2017年、忘れられない年になりました。
読売演劇大賞を受賞したニュースを知ったあの朝。
授賞式で見せたあっきーの涙声のコメント。
FCで開催した祝賀会のときの笑顔。

それからは、彼のプロフィールには必ず「読売演劇大賞受賞」の文字が入るようになりました。
演劇賞は数々あれど、ネームバリューが大きいこの受賞歴は、生涯の宝物になるでしょう。
「ジャージーボーイズ」という生涯の当たり役とともに。

個人的にも「よく追っかけたなー」という年でした。
家族の事情により後半のコンサートゲストを観に行くことはなかなかできなかったのですが、
日帰り遠征もそれなりに。
新大阪駅で551蓬莱の肉饅を買うテクニックも身についた!

作品ごとに。
「フランケンシュタイン」は作品自体には「誰にも感情移入できない」と違和感を感じていたけれど、
ダブルキャストの罠に嵌り、名古屋まで遠征するハメに。
1月のFCイベントで驚いたのは、あっきーが「フラロス」「腐女子」という言葉を使っていたことなんですが(…どこで知ったのか?)
ストーリーの穴はどうあれ(笑)、歌舞伎の様式美のような外連味を感じた作品でした。

「チャーリーブラウン」は「犬になるの?」という意外性はもとより、
若手キャストの中の立ち位置を確立していたのが頼もしかったです。あと「ドックブレス」というワザを知った(笑)
「SupperTime」は持ち歌としてずっと歌ってほしい!

「ビューティフル」はコストパフォーマンスという邪念が邪魔をしてしまいました…
カーネギーホールを見立てるには帝劇しかありえないとは私も思うけど、クリエか日生で上演してくれれば違ったかも…

コンサートシリーズの中では、豊中市のシンフォニックコンサートが一番良かったかな。
遠征が楽しかったので底上げもしてるけど(笑)
何より会場のホールが素晴らしかった。
恐らくこのコンサは会場にお呼ばれ形式だったと想像しますが、秀逸なパンフレットや、告知のポスターなどから心意気が伝わってきました。
そうやって「あちこちからお呼ばれする」ことの大切さを感じています。

2018年もいろいろなところからお呼ばれするのでしょうね。
ジャージーボーイズのコンサートや再演、地方公演もあるから「JB貯金」の運用も考えたいところです。
良い1年になりますように。


■ 2017年に観たあっきー

1/8 フランケンシュタイン(日生劇場)
1/14 フランケンシュタイン(日生劇場)
1/14 オーケストラコンサートCD発売記念インストアイベント(タワーレコード新宿店)
1/24 フランケンシュタイン(日生劇場)
1/27 オーケストラコンサートCD発売記念スペシャルイベント(銀座山野楽器本店)
1/28 フランケンシュタイン(日生劇場)

2/17 フランケンシュタイン( 愛知芸術劇場)

3/5 読売演劇大賞受賞祝賀会(椿山荘)
3/14 中川晃教 Symphonic Night with Love(紀尾井ホール)

4/9 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(シアタークリエ)
4/16 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(シアタークリエ)
4/18 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(シアタークリエ)
4/21 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(シアタークリエ)
4/24 きみはいい人、チャーリー・ブラウン(シアタークリエ)

5/20 中川晃教meets小沼ようすけ~music is wonderful~(HAKUJU HALL)

6/9 オリンピックコンサート2017(東京国際フォーラム ホールA)

7/26 ビューティフル(帝国劇場)

8/9 ビューティフル(帝国劇場)
8/17 ビューティフル(帝国劇場)
8/26 ビューティフル(帝国劇場)

9/14 中川晃教コンサート2017 Seasons of love(中日劇場)

10/1 中川晃教コンサート2017 Seasons of love(明治座)
10/7 ソング&ダンス・オブ・ブロードウェイ(シアターオーブ)

11/4 中川晃教コンサート2017 I Sing~time to come~(新国立劇場中劇場)
11/5 中川晃教コンサート2017 I Sing~time to come~(新国立劇場中劇場)
11/12 中川晃教シンフォニックコンサート(豊中市立文化芸術センター)
11/17 中川晃教コンサート at 東京文化会館2017 (東京文化会館小ホール)

12/14 HEADS UP!(KAAT神奈川芸術劇場)
12/16 HEADS UP!(KAAT神奈川芸術劇場)
12/24 中川晃教Symphonic Concert Hol+y Night 2017(ロームシアター京都 メインホール)
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「パディントン2」

2018-01-20 | 映画

マイケル・ボンドの児童文学を実写映画化した『パディントン』の続編。ペルーの密林からイギリスに渡って暮らしていたクマのパディントンが、ある絵本をめぐる事件に遭遇する。監督のポール・キング、パディントンのボイスキャストを務めたベン・ウィショーら前作のメンバーが結集するほか、日本語吹き替え版も松坂桃李、古田新太、斉藤由貴、三戸なつめが続投。新たに、『マダム・フローレンス! 夢見るふたり』などのヒュー・グラント、『ヒットマンズ・レクイエム』などのブレンダン・グリーソンが参加する。


前作の「1」も公開日早々に観ましたが、続編も居ても立っても居られないぐらいな迅速さで鑑賞。(「1」の記録は → ここ )

冒頭からパディントンの日常生活が描写されます。
結構リアルクマな顔つきのパディントンは一見「そんなにカワイクない」てのが第一印象なんだけど、すっかり街の人々に受け入れられている様子。
前作のテーマ「異質なものを受け入れる社会」はもう達成されてる…?と思いきや、意外なところに事件が転がっていた。

その事件の発端になるのが「飛び出す絵本」。
遠くの国にいるルーシーおばさんの誕生日プレゼントをあげたい、という気持ちそのままに、
絵本のページを開くたびにすごいスケールで現れるロンドンの街並みの素晴らしいこと!
あーやっぱり3Dで観ればよかったよ―!

こういう映画で大事なのは悪役(ヴィラン)ですが、今回は洋画オンチの私でも知っているヒュー・グラントさんでした。
しかも吹き替えが斉藤工で、その甘いヴォイスに胡散臭さを混ぜてくるのが本当に上手い!
朝ドラ感を全く出さなかったパディントン役の松坂桃李以上にナイスキャスティングでした。

濡れ衣を着せられて刑務所に収監されても、「人のよいところを見つける」という正義を守るクマにみんなが感化されていく。
脱獄してから絵本を取り戻すまでのいきさつは少々無理があったけれど、
最初に紹介されていたブラウン夫妻の境遇や、鉄オタのジョナサンやジュディの学校新聞が「あーここで繋がる!」というのが小気味よくて、「よくできている映画」の醍醐味を味わいました。

ヒュー・グラント演じる悪役ブキャナンさんは、落ち目の俳優で「ウエストエンドに返り咲く」のが目標。
彼の台詞には、シェイクスピア作品の有名な台詞が出て…きているはず(吹き替え版で観たからよくわからない。次回は字幕で観よう…)
エンディングロールの途中で飛び切りの場面が用意されたのが嬉しかった!
2年ごとぐらいでいいからずっとシリーズ化してくれないかな。
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