今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

「宝塚BOYS」

2008年08月31日 22時20分19秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
あなたの夢はなんですか?

夢を持つ人は羨ましいと思う。
夢を持てば、時には苦しい思いもするだろうけど、生きるエネルギーがそこへ向かって人生に張りがあるだろうと思う。
もちろん、そのために夢を見るわけでなく、抑えられない望みがあるから「夢」になるわけでしょ? 
その望みが強く明確であることは幸いだわ。

人は望みがあれば、その思いが深ければ深いほどに、何かを行動せずにはいられない。
夢はあっても結局何もしない人は、心のどこかで「無理」と諦めているからで、その時点で夢は夢でなくて、ただの幻。
夢を実現させるために一生懸命な人は素敵です。

でも、人は誰でも夢を持って暮らしているわけじゃない。
私は子供頃から明確な夢がなくて、「将来の夢」というテーマで作文をかかされるのが嫌だったし、今でも「あなたの夢は何ですか?」と聞かれたら答えられません。
だから舞台に夢を見させてもらいに行っているのよね、きっと。

あ、これを書きながら気がついたけど、最近「夢」をテーマにしたり、モチーフのひとつにしているような舞台を多く観ているような気がするわ。
「ラマンチャ」「どん底」、「ミスサイゴン」もそうよね。
だからかな?
無理して夢を見るのは無意味だけど、私の望みって一体何だろう? 何をすればいいのだろう?
なんとな~く、そんなことを思う今日この頃です。

「宝塚BOYS」は、男子禁制の宝塚に男子部を作り、いつかは大劇場に立ちたいと思った男達の話です。
チラシを見たら「9年後に解散」って書いてありました。
思ったより長く頑張ったのね。
結局彼らの夢は破れてしまったけど、愛しき青春グラフィティ。
ちょっと可笑しくて切ないけれど、キラキラを見させてもらいました。

「ドラムストラック」

2008年08月24日 20時39分27秒 | ライブ/コンサート
天王洲銀河劇場へ「drumstruck」を体験しに行って来ました。

客席ひとつひとつにアフリカンドラムが置いてあります。
参加型舞台の極致 
舞台が始まる前から、待ちきれない皆がドコドコ敲いています!
始まってわりとすぐにリードされて、たちまちに劇場全体が興奮のドラミング

アフリカのお兄さん(年齢不詳)の言葉は全然わからないけど、音楽が人と人を繋いでくれます。
ドラムだけじゃなくて、歌や手拍子もしたし、間違えても笑顔です。
歌詞の意味も正確な発音だって不明だけど、一緒に歌ってと促されたら歌えちゃうし、なんかすごく楽しい
小さいことは気にしない! 本能から沸き起こるリズム。魂の歌!

筋肉の美しい男性、ダイナミック・グラマラスな女性たち。
この人たちは生きることに満ちている……そんなふうに感じます。
もし日本の女性なら、あれだけボリュームがあったらダイエットしなきゃ!とか思うだろうけど、彼女たちはきっとそんなこと思わないだろうなぁ。
私たちって、いろんなことに満たされているはずなのに、なぜだか満ちてない。
アフリカの歌の、歌詞がわからないメドレーを聴きながら、ふとそんなことを思いましたよ。

赤ん坊を抱くようなしぐさで歌うあの歌…子守唄かな。
床に伏して泣く女のために歌う歌は…生きることを全うした人を送るための葬送曲だろうか…??
ありのままに生きて、喜び、愛し、哀しみ…魂の赴くままに表現する彼らの音楽には感動します。

でもって、またドラム!
私は最前列だったので、途中から舞台上から配られたエッグ・マラカスを二つ持たされました。
マラカスを振ったのはほんと久しぶりだわ。
小さいけど、良い音します。もちろん、ノリノリで振りましたよ。
楽しかったです~!

また日本に来て欲しいです!

「blastⅡ」

2008年08月10日 22時24分08秒 | ライブ/コンサート
国際フォーラムで「ブラスト2:MIX」を楽しんできました。

○△□の図形をモチーフに、管楽器と打楽器のパフォーマンス。さらにバトントワリングを交えたダンスが加わって、聞き応えと見応えのある舞台です。

お席が通路側だったので、客席に降りてきた演奏者がピッタリ寄り添ってくれるわ、視線飛ばしてくれるわで、か~な~りお得でした!
フロア・パフォーマンスも早めに行けたし、帰りも最前列でお見送り曲が聴けて握手もしてもらっちゃいました。

で、今年はね~、楽器投げません。
あれね、常識からして「絶対にやっちゃダメでしょ、良い子は真似しちゃイケマセン!」…みたいなことを楽しそうにやってくれるので最初は仰天したけど、それだけに見てると快感で好きなのよ~!
これは来年に期待ね。

楽しみの打楽器は2つのタワー対決が面白く、とてもカッコよかったです!
シンセはいろいろな音が出せるから楽しいわ。でもシンバルはやっぱり生だわ。
そりゃ正解だ!

たくさんのバスドラムを寝かせて和太鼓ふうに敲くパフォーマンスも楽しかったし、やっぱりどうしても打楽器に目がいくし、胸が弾みます。
今月は「ドラムスティク」、頂いたチラシの中にも来年は「ドラムライン」という楽しそうな舞台があるしで、これはいよいよ見ているだけじゃ気がおさまりそうにないわ。習いたいな

「ミス・サイゴン」

2008年08月10日 20時42分14秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
8/10日「ミス・サイゴン」は最前列センター!
芳雄くんカブリツキ席のつもりで行ったわけですが、ソニンちゃんカブリツキ!でもありました。

ソニンちゃんが良かった~!!
歌はもっと上達の余地はあると思う。でも、役としてハマっています。憑依していると言っても過言じゃないわ。
最初に登場したあたりから、この少女の不安や怯え、そして覚悟も垣間見えて、表情を見ているだけでウルウルしますよ。一幕のキムがこんな少女だからクリスは彼女に惹かれたのだと納得。
絶望と空しさの中で生きるためには、何かが必要。
昔この舞台を観たときに、クリスには「なんだかなぁ~…」と思ったものだけど、
ソニンちゃんのキムであり芳雄くんのクリスだからかな、この恋にすんなりと入れて感動しました。

それにねぇ、私もオトナになったものよ(笑)
もともと女性に甘く男性には厳しい、っつーか、冷たい私ではありましたが
どーいうわけだ?最近ちょっと寛大かもね。鍛えられたのか?(笑)
前ならクリスには結構ムカついていたけど、アメリカに帰ったあと、献身的に支えてくれたエレンと結婚してしまったのも、その妻と別れるわけにはいかないと思うクリスの気持ちもわかる。
男って弱いよね。と言うか、男の愛の誓いなんて大半はアテにならないよね、でも仕方ないじゃん、きっとそういうふうにできているのよ。
だから愛しいのよ。…って、それは芳雄くんだからということにしておこう。
誰も彼も許されると思うなよぉ~、だってジョンにはやっぱり「なんだかなぁ~」って思うもの。
どうもジョンの社会的活動が子供達のためというよりは、贖罪のため…いや、自分のしたことを忘れるためとしか思えない。でも、何もしないよりは一万倍良いよね、うんうん、だから立派ですよね、ってつい斜めに見たくなるのよね
あんたのした事は何か? それで「ゴミ屑」と聞かせないでくれって。

まあ、いいや。何度か観ていくうちにジョンへの見方も変わるかもしれないし。

で、一番まともなのはトゥイじゃないかと思ったわ。
この男の一途さには同情すべきところがある…と思った石井トゥイでありました。
それでその…まあ、いくら子供を守るためとはいえ、あのトゥイを殺してしまったキムが、その罪を抱えたまま幸せになれるのか?それでいいのか?と自分に問うことがチラリとでもあるとしたら、クリスをなじりもせずに子供を託して死を選ぶのも、成り行きではあったかもしれないけど、彼女の選択は正しかったような気がするわ。
誰がどんな風に演じるかで、いろんな見方ができる舞台かもしれない。

某カード会社の貸切ゆえに、カテコで挨拶がありましたが、キムに憑依してさっき死んだばかりのソニンちゃんはまだ顔がこわばっていて、こちら側にうまく戻れていません。しかし、いつもながらユーモア交えてソツのない挨拶をする芳雄くん。
そんなところが好きよ♪

ラッキーのわけは写真の色紙。
抽選で、市村さん、芳雄くん、ソニンちゃんの三人の色紙が当たりました!!!
そして、出待ちしているマイミクさんに一言でも挨拶しようと降りた地下で、思いがけなく早々と上がった芳雄くんに遭遇したので、ついでに私も握手してもらっちゃいました。
この日は昼と夜とで何人と握手したか数えてないけど、芳雄くんの手が一番柔らかく感じました。

「SISTERS」

2008年08月03日 20時44分33秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
この舞台が暗くて重いという話は聞いていましたよ。
父と娘の性的関係…というより暴力。
一人は過去において。一人は現在において。
予備知識があったので内容自体には驚かなかったけど、それだけにラストに向けて徐々に明らかにされる登場人物の衝撃的な心の病理にぐんぐんと惹きつけられました。
カーテンコールでは役者さん達の姿が涙でかすみ、いつまでも席を立てなかった私は、次々と帰っていく他のお客達の目にはどう映ったでしょうね?
同じトラウマでもあるのか?と思われたかも
そんなことないんですけどね~。
むしろ私は父からはひとつもトラウマを持たされることなく育ちましたが。

松たか子さんは、やっぱりタダモノでない女優さんです。
そして長塚圭史さんはいったい何だってこんなホンが書けるんだろう?
何だってこんな舞台が作れるのだろう。
時間も空間も現実も妄想も…すべてひっくるめてひとつの部屋のセットですませて、最初は??となりましたが、二つの部屋をそこに被せるように見せるという手口が面白いです。
たぶんね、精神分裂傾向がある人のほうがこの世界にのめり込めるんじゃないかな? 私がそうだから(笑)
あくまでも傾向ね。ボーダーラインは超えてませんから

で、その部屋の床がラスト近くでいつの間にか水浸しになり、そこでのたうちまわるような激情を発する松さん。
それにつれて水はかさを増し、最後にはたくさんの赤い彼岸花が浮かび流れる様を見て、とどめを刺されたように長塚ワールドの虜になりました。

これは好き嫌いのある舞台かもしれないわね。
気持ち悪いと思う人もいるだろうし、あまりの重さに辟易した人もいるかもしれない。
私はある意味、この気持ち悪さが好き。
ただ一人を残して、誰も彼もが多かれ少なかれ狂っています。

私はこれを見ながら、十年くらい前に流行った「アダルトチルドレン」という言葉を思い出しましたよ。
病んだ心はその人から始まるのではなく、その前の世代…つまり親とかその前の世代から徐々に病んでいるのだということ。
親から暴力を振るわれて子供の心が壊れるのは、先ずその親である者が弱く脆い子供のまま大人になり切れていないからだ……そんなことを昔、某パティオにいた頃、その主催者の方とお話ししていましたっけ。
その暴力とは、殴る蹴るや性的な暴力、言葉の暴力だけでなく、過保護や愛情過多による過干渉も含まれるわけですが。
そのせいか、帰り道でふと「ああ、これはヤオイと似ている」と思ったのね。

弱い子供の心を持つ大人がもっと小さな存在を暴力や性で支配し王国を作り上げる。
その圧倒的な力と甘やかな秘密。禁じられた濃密な、二人だけの王国に閉じ込められて心狂う共依存の世界。

かつて妹を死なせた馨(松たか子)はそれを「断ち切るのよ!」と美鳥(鈴木杏)に言ったのに……
彼女の最後のセリフがいつまでも頭から離れずに涙が止まりませんでした。

そして、ケチな私が久々にパンフレットを買いました
…って、最近はウィキッドでも買ったけど。

それで、パンフに松さんが「最終的に(この舞台に)希望を見出してほしい」と言ってるのね。

ど、どこが希望なんだろう?
唯一マトモ…っていうか、大人の男として彼女を受け止める夫がいるからかしら。
でも、ラストのアレで彼女はいっそう断ち切れないものを感じるんじゃないかな。
過去の心の傷が断ち切れなくても、乗り越える意思があれば、そして、良い出会いがあれば幸せになれるかも?…ってそういうことかな。

テーマが深くで簡単に答えが出ないわ。
出ないからこういう舞台に惹かれるのよね、きっと。